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2020年3月

2020年3月31日 (火)

2020年3月のお仕事

2020年3月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※3月30日更新)

 

[紙] 3月30日発売「月刊エンタメ」2020年5月号にて、欅坂46石森虹花×尾関梨香、井上梨名×関有美子インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 3月25日発売「CONTINUE」Vol.64にて、『ゾンビランドサガ』特集内フランシュシュ 1万字座談会およびアニメ第2話レビュー、『ラブライブ!フェス』披露全楽曲レビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月25日、「リアルサウンド」にて乃木坂46インタビュー乃木坂46 高山一実&樋口日奈&中田花奈が語る、白石麻衣の卒業と変わりゆくグループの今が公開されました。

[WEB] 3月23日、「リアルサウンド」にて工藤晴香インタビュー工藤晴香が語る、『KDHR』に至る音楽遍歴とソロへの強い意志 「『バンドリ!』で今まで知らなかったことを知れた」が公開されました。

[WEB] 3月16日、「RedBull Japan」にて2016年公開のコラム日本を代表するラウドロック10選改訂版が公開されました。

[紙] 3月11日発売「ヘドバン Vol.26」にて、LOVEBITES asami 2万字インタビュー、FIVE FINGER DEATH PUNCHクリス・ケール インタビュー、オジー・オズボーン ディスコグラフィー、新譜ディスクレビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月6日、「リアルサウンド」にてGALNERYUSライブ評GALNERYUS、現状維持ではなく最高を更新する 観る者を惹きつける技術と表現力の進化が公開されました。

[紙] 3月4日発売「日経エンタテインメント!」2020年4月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

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また、2月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2002号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

WHITE STONES『KUARAHY』(2020)

2020年3月上旬に発表されたWHITE STONESの1stアルバム。日本盤は約1ヶ月遅れ、同年4月上旬にリリース予定です。

このバンドはOPETHのベーシスト、マーティン・メンデスによるソロ・プロジェクトで、メンバーは彼のほかエロイ・ボウシェリー(Vo)、ジョルディ・ファッレ(Dr)という布陣。マーティンはベースのほか、ギターもプレイしており、ソロパートのみゲストとしてOPETHのフレドリック・オーケソンが担当しています(「The One」のみBLOODBATHやKATATONIAのメンバーだったパー・エリクソンがプレイ)。

デスメタル期であった1997年にOPETH加入という、ミカエル・オーカーフェスト(Vo, G)に次ぐバンド在籍歴を持つマーティン。ウルグアイ出身の彼はOPETH加入前もデスメタルバンドに在籍しており、当時はボーカルも担当していたんだとか。そんな経歴の持ち主の彼が、OPETHの12thアルバム『SORCERESS』(2016年)に伴うツアーを終えたあと、遊びでデスメタル・ナンバーを1曲制作。その勢いで数曲完成させると、当初はそれらを自身で歌うプロジェクトとしてこのアルバム制作に取り掛かり始めたそうです。

が、スペインのブラックメタル/デスメタルバンドVIDRES A LA SANGのシンガーであるエロイと出会ったことで、考えを一変。彼にボーカルのすべてを任せることで、WHITE STONESの大枠が完成することになります。

本作で展開されているサウンドは、スラッシュメタルやスピードメタルの延長線上にあるデスメタルではなく、ミドルテンポ中心のドゥーミーでグルーヴィーなスタイルがメイン。ギターも思ったより歪んでおらず、そういった要素が80年代後半以降のデスメタルというよりも、さらにルーツとなるBLACK SABBATHやその周辺の“プログレッシヴな展開を信条とした、ダークな嗜好のハードロックバンド”を彷彿とさせるものとなっています。

とはいえ、エロイのボーカルはデスメタルそのもので、容赦ないグロウルが全編で展開されています。無骨なバンドアンサンブルはときにプログレッシヴな展開を見せ、それらは2000年代前半のOPETHにも通ずるものがあるのではないでしょうか。「Rusty Shell」や「Guyra」「Ashes」などで聴けるツーバス連打で突き進むパートでは、まさにそういった風景が脳内に投影されますしね。

そんな楽曲の上に、フレドリックの流麗なギターソロが乗ると世界観が一変。この切り替わりの気持ち良さがハンパないんですよ。また、アームプレイを多用したパーのプレイもなかなかのものがあり、ゴツゴツしたサウンドとの対比が非常に面白いです。

1曲1曲が4分前後というコンパクトさも本作の聴きやすさに拍車をかけており、全10曲41分があっという間に感じられるはず。OPETHが包括するいち要素をピックアップし、別の形に仕立て上げたと捉えることもできる本作は、単なるデスメタル・アルバムとして以上の意味を持つ重要な1枚と言えるでしょう。

 


▼WHITE STONES『KUARAHY』
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2020年3月30日 (月)

STARMEN『WELCOME TO MY WORLD』(2020)

2020年2月下旬にリリースされたSTARMENの1stアルバム。日本盤は1ヶ月遅れ、同年3月下旬に発売されました。

メンバー4人全員が顔を白塗り&4色の星をペイントしたSTARMENは、2018年の結成されたスウェーデンのハードロック/グラムロック・バンド。メンバーはスターメン・レッド(Vo, G)、スターメン・パープル(G, Vo)、スターメン・ゴールド(B, Vo)、スターメン・シルバー(Dr, Vo)……RAMONESというよりも日本の戦隊ヒーローのそれですね(笑)。ブルーやピンクを差し置いて、本来なら追加戦士であるゴールドやシルバーが最初からいる設定が海外っぽいですが(苦笑)、そこ含めてのチープさが嫌いじゃない。

“スターマン”といえばデヴィッド・ボウイ。白塗りに星のペイントといえばKISSポールス・スタンレー(あちらは“スターチャイルド”ですが)。このへんからもおわかりのとおり、彼らはKISSやボウイ、SWEET、アリス・クーパーなどのグラムロック/ハードロックへのリスペクトを体現したバンドであり、そのサウンドも上記3組のほかにDEF LEPPARDWHITESNAKEなどの80's組、WIG WAMやTHE POODLESといったゼロ年代以降のグラム・メタルを彷彿とさせるものがあります。

どちらかというと、産業ハードロックやグラム・メタルなのかな。僕が昨年彼らを知ったきっかけとなった「Ready To Give Me Your Love」なんて80年代前半のメタル化前後のKISSみたいだし(しかもひとりでポールとジーン・シモンズのパートを歌い分けたような歌唱スタイルも好印象)、オープニングの「Dreaming」もAOR調ハードロックの香りがプンプンしますしね。

なのに、そこまで歪みまくっていないけどソロになると弾き倒すギタースタイル、シャープなようで意外ともっさりもしているリズム隊など70年代のKISSっぽい部分も多く、要所要所に挿入されるハーモニーやコーラスもそういった要素を強めるファクターになっています(「Warrior」なんてまさにですよね)。そのへんは、スターメン・パープル以外の3人がKISSのトリビュートバンドに在籍していることも大きいのでしょう(パープル、メイク含めて無理してやらせれてるのかな。苦笑)

とはいえ、全体的にはアメリカン・ハードロックみたいなバカっぽさや破天荒さは皆無。マイナー調のキラーチューン「Warrior」やムーディなバラード「Stay The Night」からもおわかりのように、北欧のバンドらしい適度な湿り気と繊細さも至るところから感じられる、非常に高品質なポップ・メタル/グラム・メタルを堪能することができます。

バンドの雑なコンセプトをはじめ、ジャケットのアートワークやMVのチープさなど、どこを取ってもどインディーズからのリリースだとわかる点を含め、その微笑ましさが愛くるしいバンド。40代以上のおっさんリスナーにはど真ん中かもしれません(逆に10代〜20代のリスナーにはどう響くのか、ちょっと怖いですが)。上に挙げたアーティスト名にピンと来た方なら、間違いなく引っかかるものがあると思いますよ?

 


▼STARMEN『WELCOME TO MY WORLD』
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2020年3月29日 (日)

KVELERTAK『SPLID』(2020)

KVELERTAKが2020年2月中旬に発表した4thアルバム。日本盤未発売。

Roadrunner Records経由で2ndアルバム『MEIR』(2013年)、3rdアルバム『NATTESFERD』(2016年)と2作品を発表し、世界的知名度を上げることに成功した彼ら。2018年夏に前任シンガーErlend Hjelvikが、2019年にはドラマーのKjetil Gjermundrødが相次いで脱退するという大きな転換期を迎えましたが、新たにIvar Nikolaisen(Vo)、Håvard Takle Ohr(Dr)という新メンバーを迎え、Rise Records移籍第1弾となる3年9ヶ月ぶりの新作を完成させます。

キャッチーさを強めつつ、初期2作の混沌さから若干の落ち着きを見せた前作『NATTESFERD』は賛否分かれる作風でしたが、今作ではプロデューサーをニック・テリーから初期2作を手がけたカート・バルー(CONVERGE)へと戻して制作。それもあってか、初期の爆発感や破天荒さが若干戻ってきており、前作に苦手意識を持ってしまっていたリスナーを引き戻す効果もあるのではと思っています。

最初こそ新ボーカリストの歌声に若干の違和感を覚えますが、楽曲の熱量が上がるに連れてあまり気にならなくなるはずです。事実、僕自身2曲目「Crack Of Doom」で早くも気にならなくなっていましたから(笑)。

ちなみに、その「Crack Of Doom」ではMASTODONのトロイ・サンダース(Vo, B)をゲストボーカルに迎え、初の英語詞ナンバーに挑戦。もともとデス声やスクリームを多用することで言語的にはあまり気になっていなかったKVELERTAKですが(笑)、この哀愁味を強めた爆走ロックンロールナンバーでは良い意味での“聴きやすさ”が強まっており、それは耳馴染みの良い英語詞の響きと相まって、前作とはまた異なるキャッチーさを強めることに成功しています。

また、「Discord」ではCONVERGEやCAVALERA CONSPIRACY、CAVE INなどで活躍するネイト・ニュートン(B)もゲストボーカルで参加。タイトルからおわかりのとおり、こちらも英語詞ナンバーですが終始スクリームの嵐なので、「Crack Of Doom」ほど英語詞である強みは表れてないかな(苦笑)。曲中やエンディングにフィーチャーされたギターのハーモニーは相変わらず気持ち良いですけどね。

前作から長尺の楽曲が増え始め、曲数のわりにトータルランニングが長くなりだしましたが、本作もその傾向は続いており、全11曲で約58分と過去最長の仕上がりに。とはいえただ長いだけではなく、爆走ロックと70年代のクラシックロックが融合したような「Bråtebrann」や、80年代のスラッシュメタル的側面を強めた「Fanden ta Dette Hull!」、悲哀さに満ちたギターフレーズ&メロディとクリーントーンでのボーカルが不思議な世界へと誘う8分超えのプリグレッシヴな大作「Delirium Tremens」など新境地を見せる楽曲も含まれており、単に初期2作へ回帰するのではなく、過去を抱えつつも前進することを選んだバンドの強い意思が感じられる力作と言えるのではないでしょうか。

本作を聴いたあとに『NATTESFERD』へと戻っていくと、実は意外と無理なく楽しめることにも気づくはず。そういった意味では、前作での実験も見事に回収した、「第2期KVELERTAKの始まり(第1期KVELERTAKの総集編も含む)」を示す1枚と言えるでしょう。僕は大好きですよ、これ。

 


▼KVELERTAK『SPLID』
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2020年3月28日 (土)

BRKN LOVE『BRKN LOVE』(2020)

2020年2月中旬にリリースされた、BRKN LOVEの1stアルバム。日本盤未発売。

BRKN LOVE(Broken Loveと読むのでしょう)はカナダ・トロント出身のフロントマン、ジャスティン・ベンロロ(Vo, G)を中心にアメリカ・ロサンゼルスにて結成された4人組ロックバンド。昨年3月にメジャーのSpinefarm Records(Universal Music傘下)と契約した時点でジャスティンは21歳というその若さに驚かされますが、LED ZEPPELINを筆頭としたクラシックロックや、SOUNDGARDENやROYAL BLOODなど90年代〜テン年代のグランジ/オルタナティヴ・ロックをベースにしたストレートなハードロック・サウンドにも驚くのではないでしょうか。

海外メディアではすでに「SOUNDGARDENの再来」と騒がれているようですが、確かにジャスティンのルックスやカリスマ性はクリス・コーネルに通ずるものがあるように思います。サウンド自体もSOUNDGARDENの影響下にある、オルタナ経由のオーソドックスなハードロックですし。それに、現在の音楽シーンにおいてロックがここまで“オルタナティヴ”な存在になってしまったからこそ、新たなロックアイコンが必要なのも理解できます。

実際、年齢のわりに渋みを感じさせる、それでいて若さならではの躍動感もにじみ出た(と同時に適度なセンチメンタリズムの携えた)ロックナンバーの数々は僕個人としても大好物な部類ですし、現在までかなりの頻度でリピートしております。ただ、安直に「SOUNDGARDENの再来」と言い切ってしまうのは如何なものか?とも思うわけでして。「SOUNDGARDENの再来」と言い切るには、ちょっと多彩さに欠ける面も否めないんですよね。

デビューアルバムなので焦点を絞ったと言えばそれまでですが、SOUNDGARDENって結局「単なるツェッペリンの再来ではなく、80年代のアリーナロックに対するアンチテーゼ」的側面も大いにあったわけで、そこがあの当時のシーンにマッチしたと思うんです。ところが、このBRKN LOVEはここ数年のクラシックロック・リバイバルの潮流に乗って現れ、サウンドメイキングがここ5年くらいのオルタナティヴ・ロックをなぞったものである。つまり、メジャー感が強く、フォロワー的側面も非常に濃厚な存在なんですよ。

それ自体は決して悪いことではないですし、事実グランジ・ムーブメント真っ只中のシーンから(シアトルではなくロスから)STONE TEMPLE PILOTSというメガブレイクを果たすバンドも登場したくらいですから。そういった点では、このBRKN LOVEは「第二のストテン」的存在になってもおかしくないと思っています。実際、それくらいの魅力や才能は感じられますしね。

ただ、あの頃とまったく状況が異なりますし、そもそもロック自体が下火という世の中ですから、なかなか前途多難だと思います。それでも、こういう活きのいいバンドがメジャーから登場すると、ちょっとうれしいんですよ。まだまだ捨てたもんじゃないな、って思えるから。

衝撃は一切受けなかったけど、デビュー作としては平均点以上の出来。気づけばリピートしているという意味では、実は意外とスルメ度の高い1枚かもしれません。

 


▼BRKN LOVE『BRKN LOVE』
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2020年3月27日 (金)

THE CULT『CEREMONY』(1991)

THE CULTが1991年9月下旬に発表した、通算5作目のスタジオアルバム。日本盤は1ヶ月遅れの、同年10月末にリリースされています。

3rdアルバム『ELECTRIC』(1987年)で時代の寵児、リック・ルービンをプロデューサーに迎えハードロック・バンドへの転化を成功させたTHE CULT。続く4作目『SONIC TEMPLE』(1989年)では、これまた当時の人気プロデューサーであるボブ・ロックを迎え、よりタフでファット&ヘヴィに進化したサウンド、楽曲でリスナーを惹きつけ、全英3位/全米10位という大成功を収めました。

大ヒット作『SONIC TEMPLE』から2年半を経て発表された今作は、プロデューサーを新たにリッチー・ズィトー(CHEAP TRICKHEARTBAD ENGLISHなど)へと変更。いわゆる産業ロック的サウンドを得意とする人選ですが、展開されているサウンドそのものは『SONIC TEMPLE』の延長線上にある、より“深化”させたハードロックを楽しむことができます。

長年在籍したベーシスト、ジェイミー・スチュアートの脱退を経て、イアン・アストベリー(Vo)&ビリー・ダフィー(G)の2人体制で制作に臨み、リズム隊には前作にも参加のミッキー・カリー(Dr/ブライアン・アダムスなどでおなじみ)、キース・リチャーズのソロ作で知られるチャーリー・ドレイトン(B)を迎えてレコーディング。それもあってか、硬質なハードロックサウンドにも関わらず“ノリ”にしなやかさが加わっている印象を受け、聴きやすさという点においては前作以上のものがあります。

また、本作は全11曲で63分という長尺な作品で、5〜6分台の楽曲が中心。中には「White」のようにほぼ8分もある大作も含まれています。ミディアム〜スローな楽曲が大半ということもあり、これだけの長さになったのかな。オープニングの「Ceremony」からして6分半もあるのですが、このLED ZEPPELIN的な空気感/リズム感を持つヘヴィチューンで大体の雰囲気は掴めるはずです(前作の延長線上にあるという点において)。続く「Wild Hearted Son」も前作における「Fire Woman」的な作風ですし、「Earth Mofo」みたいなアップチューンも「If」のようにエモーショナルな泣メロナンバーも「Heart Of Soul」のように壮大さを持つ歌モノ・ミドルナンバーも含まれている。ただ、これらがすべて良い意味でカッチリ作り込まれすぎていないナチュラルさを放っているおかげで、前作の二番煎じでは終わらない新鮮味を感じながら楽しむことができるのです。

チャート的には全英9位/全米25位と前作から数字を落としていますが、アメリカでは100万枚超えと前作並みのセールスを残しています。音楽的な充実度という点においては、実は本作こそが“ハードロックバンド”THE CULTのピークだったのかな、と。HR/HMからグランジへとシフトしていく時代の間に産み落とされた、今こそじっくり聴くべき1枚です。

 


▼THE CULT『CEREMONY』
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2020年3月26日 (木)

THE MISSION『CHILDREN』(1988)

1988年2月初頭にリリースされたTHE MISSIONの2ndアルバム。日本盤は少々遅れ、同年5月下旬に発表されました。

1stアルバム『GODS OWN MEDICINE』(1986年)、活動初期に発表したEP収録曲をまとめたコンピ盤『THE FIRST CHAPTER』(1987年)に続いて制作された本作は、プロデューサーに元LED ZEPPELINのジョン・ポール・ジョーンズを迎え、ゴシック・テイストを残しつつも少々硬質化させたサウンドが時代にフィットしたこともあり、全英2位という好成績を残しています。さらに、「Tower Of Strength」(全英12位)、「Beyond The Pale」(同32位)というヒットシングルも生まれており、個人的には1stアルバムに並ぶ代表作のひとつと思っております。

いわゆる80年代的なニューウェイヴがかった、薄皮1枚被せたようなどんより感と、メジャーシーンで活動するバンドらしいキラキラ感も散りばめられた、“ちょうどいい塩梅”のハードさとポップさを併せ持つゴシックロックは、僕らのようなハードロック耳のリスナーにも十分親しめるもの。80年代はまだ賛否分かれたところでしょうけど、何周もして、いろんな要素を飲み込んで勢力を拡大させてきた今のヘヴィロック/ハードロック・シーンに片足を突っ込んだ人なら、間違いなく受け入れられやすい内容だと思います。

そりゃあイマドキのゴシックメタルなどと比べたら音は薄っぺらいですし、ボーカルも弱々しいかもしれません。が、そういったジャンルのルーツと考えれば十分に楽しめる作品ですし、むしろジョン・ポール・ジョーンズらしいオーケストレーションが加えられたアレンジの数々、ウェイン・ハッセイ(Vo, G)による哀愁味の強いボーカルは2000年代以降のゴシックメタル、ゴシックパンクを愛聴するリスナーにこそ聴いていただきたいなと。

また、「Heaven On Earth」や「Tower Of Strength」で鳴り響くパーカッション、および全体的に漂うトラッド色はツェッペリンにも共通するものがありますし、AEROSMITHの原曲をよりゴシック色豊かかつ壮大にバージョンアップさせた「Dream On」のカバーなど含め、クラシックロックをベースに深化したニューウェイヴのひとつの進化する道として、オーソドックスなハードロック・リスナーにも触れてほしい1枚です。

にしても、10代の頃はここまで好意的に受け取ることができなかった本作。単純に「Dream On」のカバー目当てで手を出したものの、ほかの曲にはそこまで惹きつけられなかったんだよな。ところが、大人になった今では「Beyond The Pale」や「A Wing And A Prayer」「Kingdom Come」「Child's Play」など、聴きどころ満載なことに気づかされるわけですから(「Child's Play」なんて完全にメタルファン向けの1曲ですものね)。改めて、「いろんなジャンルに触れてから昔苦手だったものに再び手を出すと、意外とイケたりする」の、大事ですね。

 


▼THE MISSION『CHILDREN』
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2020年3月25日 (水)

MYRKUR『FOLKESANGE』(2020)

MYRKURが2020年3月下旬に発表した3rdアルバム。日本盤未発売。

ここ日本でも一部メディアを中心に、大きな注目を集めた前作『MARERIDT』(2017年)。女性シンガー/アーティストのアマリエ・ブルーンによるブラックメタルとヨーロッパ民謡/ダークフォークをミックスさせたスタイルは、ブラックゲイズ以降のメタル/ラウドロックの新たな潮流に目が向いていた層のみならず、80年代のゴシックロックやポジパン好きにも高く評価されました。

2年半ぶりに発表されたこの新作は、前作にあったヨーロッパ民謡の要素を前面に押し出した作風で、デンマーク、ノルウェー、ドイツ出身のメンバーで構成されたネオフォーク・バンドHEILUNGのメンバー、クリストファー・ジュールとの共同作業で制作。レコーディングにスウェーデンの民族楽器ニッケルハルパ、古代ギリシャの竪琴ライアー(リュラー)、マンドラといった楽器を用いた、北欧の伝統的なフォークミュージック(民族音楽)を追求した1枚です。

聴いておわかりのとおり(いや、ジャケットのアートワークを観ておわかりのとおり、と言ってもいいかも)、本作ではブラックゲイズなどメタリックな要素は完全に払拭されています。メタル系アーティストの系譜でMYRKURに触れてきたリスナーにはそこで評価が大きく二分されるかもしれませんが、本サイトでも過去に取り上げてきたWARDRUNAチェルシー・ウルフあたりの近作にも通ずる作風なこともあり、意外と昨今の流れに敏感な方ならすんなり入っていける内容ではないかと思っています。

アマリエの美しい歌声が全編にわたりフィーチャーされたこのスタイルは、聴く者を存分に癒してくれるはず。Kulningと呼ばれる「北欧などで日中放牧されている家畜を、高山の牧草地から呼ぶ出すために使われる放牧コールおよび歌」もふんだんに取り入られており、それが我々人間にも心地よく響いているのかな、と。いわゆる古典を彼女なりに、現代的に昇華させたものが本作だと考えると、この荒んだ現代(苦笑)にこういった作品が発表されるのは必然だったのかもしれません。

もちろん、MYRKURは今後もこのスタイルを押し通すことはないと思います。あくまで、この時点でトライしておきたかったことが本作というだけで、前作のようなスタイルに戻るかどうかは別として、今後もさらに進化したダークフォークに取り組んでいくことでしょう。逆に、こういったスタイルを追求したあとだからこそ、再びヘヴィなサウンドと導入した際にどんな化学反応を起こすのかは、個人的にも楽しみなところです。

四六時中ヘビロテするような内容ではありませんが、心も体もどうにも言うことを聞かないとき、あるいは不安で押しつぶされそうな夜にふと聴きたくなる。そんな“心の隙間”を埋めてくれる“お薬”のようなアルバムかもしれませんね。

 


▼MYRKUR『FOLKESANGE』
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2020年3月24日 (火)

DECKARD『DREAMS OF DYNAMITE AND DIVINITY』(2003)

2003年に発表されたDECKARDの2ndアルバムにして最終作。日本盤未発売。

本作は当初、オフィシャルサイトから購入可能な限定商品でしたが、2004〜5年頃から一般流通が開始。現在は各デジタル音源販売サイトおよびストリーミングサービスにて手軽に聴くことができます。

BABY CHAOSからDECKARDへと改名し、満を辞してのデビューアルバム『STEREODREAMSCENE』(2000年)をメジャーのReprise Recordsから発表したものの、大したプロモーションを受けることもなくすぐに契約終了。それからしばらくしてこの2作目の制作に取り掛かったものの、バンドは本作をリリースすることなく2002年に活動休止。メンバーはそれぞれの道を歩むことになります。

この2作目のプロデュースを手がけたのは、メンバーのクリス・ゴードン(Vo, G)。基本的な作風は前作の延長線上にある、良い意味でアメリカナイズされたパワーポップ。ですが、穏やかさの中にもキラキラしたメジャー感がにじみ出ていた前作とは異なり、全体的にどことなくダークさが漂っているのが大きな特徴かもしれません。

もちろんどの曲も非常に練り込まれた、完成度の高いナンバーばかりなのですが、なんとなく“突き抜け”感が足りないような……良い意味で受け取れば、BABY CHAOS時代の魅力が復調していると見ることもでき、「Holy Rolling」を筆頭に(アレンジや演奏面で)ハードロック的な色合いが戻ってきているのはその影響もあるのかなと思いました。

一方で、悪い意味で受け取るとならば……せっかくアメリカに渡ったのに、レーベルからは思ったようなサポートを受けられず、あげくリリースから間もなく契約解除。そういったネガティブな要素が作品にも暗い影を落とした……そう考えられなくもないのかなと。

本来彼らが持ち合わせていた要素の復活と、状況がままならない不安。これらが複合的に作用して、この空気感を生み出した……だとしたら、こういう作品こそ多くのリスナーのもとに行き届くようにして「ダークだけどカッコいいじゃん。あれ、前にも1枚出してるの? だったら聴いてみようかな?」と思わせることもできたはずなのに。悪い状況はいつになっても復調することなく、結果としてバンドは事実上の解散へと向かうわけです。

事実、僕自身このアルバムがリリースされていることを知ったのはかなりあとになってからで、当時まだ生きていたDECKARDのオフィシャルサイトでダウンロード購入して「もっと早くに聴いておくべきだった!」と思ったくらいですから。

結果として、2013年にBABY CHAOSが再結成したおかげで、DECKARD時代の2作品も「歴史のひとつ」として受け取れるようになりましたので、あのまま埋もれずに本当によかったです。『STEREODREAMSCENE』ほどの鉄壁さはないものの、影の要素を強めたこの作風もかなりクセになるはず。『STEREODREAMSCENE』を気に入った方、BABY CHAOSの近作から彼らを知ったというリスナーにもぜひ触れてもらいたい1枚です。

 


▼DECKARD『DREAMS OF DYNAMITE AND DIVINITY』
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2020年3月23日 (月)

BABY CHAOS『APE CONFRONTS COSMOS』(2020)

2020年3月初頭にリリースされたBABY CHAOSの4thアルバム。日本盤未発売。

1998年にDECKARDへと改名し2002年に解散。そこから11年を経て、2013年にBABY CHAOS名義で再結成を果たした彼らは、2015年に同名義では『LOVE YOUR SELF ABUSE』(1996年)から19年ぶりの新作となる3rdアルバム『SKULLS, SKULLS, SKULLS, SHOW ME THE GLORY』(2015年)をリリース。同作は日本盤もリリースされ、一部マニアの間で喜ばれました。

5年ぶりの新作となる本作の制作には、“5人目のメンバー”としてアラン・イーストン(G, Cho)が全面参加。トリプル・ギター編成となった彼らですが、90年代のBABY CHAOS〜DECKARDの流れを汲んだパワーポップ/ハードロック・サウンドとひねくれたメロディ&アレンジを随所に織り込んだ楽曲は本作でも健在。むしろ、『SKULLS, SKULLS, SKULLS, SHOW ME THE GLORY』以上にそのへんの魅力がブラッシュアップされた印象を受けます。

オープニングの「Out Of The Blue」でストレートなパワーポップ感を提示したかと思えば、続く「The Wild Beast」では英国バンドらしい“ひねくれ”感、ストレンジ感を散りばめた豪快なハードロックを聴かせてくれる。かと思えば、「You Won, You Won」ではパワフルなビートを強調させた“ゼロ年代以降”のガレージロック色を漂わせ、「I Belong In Battle」では音響処理が印象的なアコースティック・ソングを響き渡らせる。そうそう、こういうのが聴きたかったんだよ!という“痒いところに手が届く”楽曲群が次々と繰り出される構成は、さすがの一言です。

クリス・ゴードン(Vo, G)は本作に対し「過去3作とは大きく異なる挑戦に取り組んだ」と発言していますが、本当にそのとおりの内容です。事実、1曲1曲の個性が良い意味でバラバラなのは、もしかしたらこれまで以上と言えるでしょう。しかも、どの曲もしっかりBABY CHAOSらしさを維持しつつ、高い完成度を追求している。それにより、想像以上に高品質のロックアルバムに仕上がっていますし、むしろ“2020年のポップシーン/メインストリームで語られるべき”1枚と断言できるほどの内容なんじゃないかと言いたくなる。いや、本当に。

日本ではまだその傾向は見えていませんが、海外ではすでにギターロックはオルタナティヴな存在になってしまっている。しかも本作は、どマイナーなインディーズからのリリース。注目したくてもその機会がほぼ皆無な現状ですが、ハードなギターが鳴り響き、ポップで甘いメロディが乗せられたロックナンバーに一度でも心が揺さぶられたことがあるリスナーなら、間違いなく響く1枚だと思います。

 


▼BABY CHAOS『APE CONFRONTS COSMOS』
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2020年3月22日 (日)

DEF LEPPARD『THE EARLY YEARS 79-81』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたDEF LEPPARDの最新ボックスセット。

今年2020年にアルバムデビュー40周年を迎えたDEF LEPAPRDがこれを記念して、デビュー前夜の1979年から世界的メガヒット目前の1981年までの3年間に焦点を当てた5枚組ボックスセットを制作。1stアルバム『ON THROUGH THE NIGHT』(1980年)、2ndアルバム『HIGH 'N' DRY』(1981年)のリマスター音源に加え、1980年4月26日のオックスフォード公演を収めた未公開ライブアルバム『WHEN THE WALLS CAME TUMBLING DOWN - LIVE IN OXFORD』(DISC 3)、インディーズから発表した『THE DEF LEPPARD E.P.』(1979年)を筆頭に同時期のシングル収録音源(カップリング曲含む)や未公開だったデモ音源を含むDISC 4『TOO MANY JITTERBUGS - B-SIDES AND RARITIES』、1980年のレディング・フェス出演のライブテイクやBBC Radio Oneで放送されたスタジオ・ライブ音源をまとめたDISC 5『RAW - EARLY BBC RECORDINGS』という貴重な音源/楽曲をたっぷり楽しむことができます。

リマスター化された『ON THROUGH THE NIGHT』と『HIGH 'N' DRY』に関しては、2018年に発表された最初のボックスセット『THE COLLECTION: VOLUME ONE』で使用された音源と同じものかなと。初期のCD音源と比較すれば格段に音が良くなっており、ともに迫力の違いが感じられるはずです。

ここで特に注目しておきたいのがDISC 3のオックスフォード公演のライブアルバムでしょう。今やさまざまな時期のライブ音源/アルバムが手に入るDEF LEPPARDですが、デビュー初期のライブアルバムがこういう形で正式リリースされるのはこれが初めてのこと。聴いてもらえばご理解いただけると思いますが、こんなに綺麗な形で録音された音源がなぜ今まで正式に発表されることがなかったのか、本気で理解に苦しみます(笑)。ぶっちゃけ、あとから録音し直したんじゃないの?ってくらい今の耳で聴いてもそのクリアさ、迫力は商品化にふさわしい内容だと思いました。

公演時期(1stアルバム発売から1ヶ月後)からもおわかりのように、演奏されている楽曲は『ON THROUGH THE NIGHT』収録曲が中心。というか、全収録曲(11曲)がすべて披露されております。ですが、このライブCDに収められているのは16曲。つまり、5曲が『ON THROUGH THE NIGHT』未収録曲ということになります。その内訳は、『THE DEF LEPPARD E.P.』のみに収録された「Ride Into The Sun」、シングル「Hello America」のカップリング曲「Good Morning Freedom」といった既発曲に加え、翌年発売の『HIGH 'N' DRY』に収録されることになる「Lady Strange」、本作で初公開となる「Medicine Man」「When The Rain Falls」……後者3曲は、当時ライブでしか聴くことができなかった貴重な楽曲ということになるわけです。

「Lady Strange」は大まかなアレンジはほぼアルバムテイクと同様ですが、コーラスが入らないところなどスタジオテイクとの細かな違いを見つけることができるはずです。で、問題なのが「Medicine Man」「When The Rain Falls」の2曲。これ、聴いてもらえばわかると思いますが、前者が「Rock! Rock! (Till You Drop)」(3rdアルバム『PYROMANIA』収録)、後者が「Let It Go」(2ndアルバム『HIGH 'N' DRY』収録曲)の元ネタなのです。ぶっちゃけギターリフ以外は完全に別モノなので、のちの新作時にメンバー発かプロデューサー発でボツにされ、リフだけを生かして別の曲を作ったということなんでしょう。歌メロは完全に初期のDEF LEPPARDそのものなのですが、のちの完成版と比べるとメロディの抑揚やキーなどの違いに驚くはずです。個人的には「Medicine Man」のイントロ〜メインリフのもっさり加減がツボだったりします(笑)。

DISC 4にはシングルのみで発売された「Wasted」「Hello America」のニック・タウバー・プロデュース版、同じくニック・タウバーが手がけた「Rock Brigade」と「Glad I'm Alive」のアーリー・バージョン(後者は未発表曲かな)という貴重なテイクを収録。「Let It Go」や「Switch 625」「Bringin' On The Heartbreak」の各シングル・エディットというレア・テイクも楽しむことができます。

さらに、DISC 5のBBC音源集も1979年6月および同年10月という、1stアルバム制作前のスタジオ・ライブ音源を聴くことができるので、のちのスタジオ盤やライブ音源と聴き比べてみると面白いのではないでしょうか。さらに、1980年8月のレディング・フェスの音源も聴きどころのひとつ。ここでも「Medicine Man」や「Lady Strange」といった当時の未発表曲が披露されているので、この頃のバンドにとっては気合いの入った新曲だったのかもしれませんね。

『PYROMANIA』以降のレア音源はCD再発時のデラックス盤や『HYSTERIA』(1987年)ボックスセットなどで小出しにされてきたので、あれ以上のものは出てこないと思うので、こういった“作品として楽しめる”ボックスセットはこれが最初で最後かもしれませんね。あとは……ライブ音源か。これはもっとありそうな気がするので、忘れた頃にリリースしてくれるとうれしいかも(笑)。

 


▼DEF LEPPARD『THE EARLY YEARS 79-81』
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2020年3月21日 (土)

DIZZY MIZZ LIZZY『ALTER ECHO』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたDIZZY MIZZ LIZZYの4thアルバム。

2009〜10年の単発復活を経て、2014年に本格的な再結成を果たした彼らは、2016年に約20年ぶりの新作『FORWARD IN REVERSE』をリリース。本国デンマークではデビューアルバム『DIZZY MIZZ LIZZY』(1994年)以来となるチャート1位を獲得し、好意的に受け入れられした。

あれから4年ぶりに発表された本作は、前作で見せた“従来のDIZZY MIZZ LIZZYらしさ”と“20年の積み重ねて得た音楽的進歩”の程よいブレンド感が、良い意味で後者側へと振り切った意欲作に。とはいうものの、同じメンバーが作っているのだから当然のように“らしさ”は至るところから感じ取ることができますし、むしろティム・クリステンセン(Vo, G)がこの声、この節回しで歌えばしっかりDIZZY MIZZ LIZZYとして成立するのですから、違和感のようなものは皆無だと思います。

確かに、オープニングの「The Recochet」や全5楽章で構成された組曲「Amelia」の最終楽章「Part 5: Alter Echo」がインストナンバーで飾られるという異色の構成は気になるものの、思えばその前兆は前作の後半パートに見え隠れしていたわけなので、突然こんなことを始めました的な驚きはないはず。それよりも、前作で見せた新境地がいよいよ本格稼働し、90年代からの続きを良い意味で表現した『FORWARD IN REVERSE』以上に“ナウ”な彼らが凝縮されているのではないでしょうか。

いわゆるアップテンポの楽曲はないに等しい作風で、歌モノの1曲目にあたる「In The Blood」からして重々しい空気感を放っている。けれど、ティムの歌うメロディはDIZZY MIZZ LIZZY以外の何者でもないわけですから、このインスト流れのオープニングからも「いよいよ本格的に新章に突入した」ことがう伺える。以降も同じようなテンポ感で、アレンジで味付けを変えながらグイグイと聴き手を惹きつけ続ける。昨年秋にリードトラックとして先行配信された5曲目「California Rain」までたどり着くと、そのディープな世界観にどっぷりハマってしまっている自分に気づくはずです。

そこから、後半5曲が計23分にもわたる組曲「Amelia」。もちろん1曲1曲を単独で楽しむことも可能ですが、ここはぜひ5曲続けて(いや、アルバムまるまる46分)途切れることなく向き合ってもらいたい。ティムが往年のプログレから影響を受けていることはデビューアルバムの時点からなんとなく想像できましたし、特にその傾向が前作あたりから強まっていることも理解できました。そういう意味では、本作は作家性とアーティスト性が絶妙なバランスで共存する、奇跡の1枚なのではないでしょうか。

個人的にはラストのインスト「Part 5: Alter Echo」で余韻に浸って終わりたいところですが、日本盤のみこのあとにボーナストラックとして「Madness」という楽曲が追加されています。正直、このエンディングのあとに歌モノ曲が追加されたらアルバムの世界観台なしだな……そう思っていたのですが、いざ届けられたボートラを聴くと、アルバムのエピローグ的な、泣きのミドルチューンだったりするもんだから、非常にベストな形でアルバムにもうひとつのエンディングを加えてくれたことに気づく。うん、この終わり方も全然アリだ。

配信版での「Part 5: Alter Echo」終わりがベストっちゃあベストですが、この日本盤フィジカルでのラストも捨てがたい。要するに、気になる人はCDも買って、ストリーミングでも楽しめってことです(笑)。

4月末には本作を携えた一夜限りの来日公演も控えていますが、このご時世ですから無事敢行されるのかどうか……。せっかくなのでアルバムまるまる、この曲順どおりに演奏してもらいたいところです。

 


▼DIZZY MIZZ LIZZY『ALTER ECHO』
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2020年3月20日 (金)

DAVID ELLEFSON『SLEEPING GIANTS』(2019)

MEGADETHのベーシスト、デヴィッド・“ジュニア”・エレフソンが2019年7月中旬に発表した初のソロアルバム。日本ではボーナストラックを多数追加して、2020年3月下旬に発売されました。

これまでもF5やMETAL ALLEGIANCEといったプロジェクトへの参加、ANTHRAXのフランク・ベロ(B)とのバンド・ALTITTUDES & ATTITUDEなどがありましたが、純粋なソロアルバムはMEGADETHとして『KILLING IS MY BUSINESS… AND BUSINESS IS GOOD!』(1985年)でデビューして以来初めてのこと。大佐(デイヴ・ムステイン)の咽頭がん発症などもあって、2019年は年初にALTITTUDES & ATTITUDEのアルバム『GET IT OUT』、夏にこのソロアルバムと活発な課外活動が続きました。

ですが、ジュニアのビジネス・パートナーであるトム・ハザートとの共同作業で完成した本作は、実は純粋なオリジナルアルバムというわけではありません。本作のために制作されたスタジオ録音新曲(リミックス含む)やそのデモ音源、そしてF5の未発表デモ音源から構成されたもので、完成度や音質の違いこそあれど、ジュニアのカラーが色濃く表れた、非常に聴き応えのある内容に仕上がっています。

ジュニアは本作のスタジオ音源では歌っておらず、ベースとソングライティングに専念。基本はトム・ハザートが歌っていますがが、曲ごとにさまざまなゲストボーカルもフィーチャーされており、例えば「Sleeping Giants」ではRUN D.M.C.のDMCが、「Hammer (Comes Down)」ではエリック・A.K.(FLOTSAM AND JETSAM)の歌声も聴くことができます。また、これらの楽曲ではアディショナル・ボーカルとしてロン・“バンブルフット”・サール(SONS OF APOLLO、ex. GUNS N' ROSES)やコリー・グローヴァー(LIVING COLOURULTRAPHONIX)の名前も見つけることができます。

さらにデモ音源ではありますが、「If You Were God」ではジョン・ブッシュ(ARMORED SAINT、ex. ANTHRAX)がそのパワフルな歌声を響かせており、ALTITTUDES & ATTITUDEに続いてここでも“MEGADETH meets ANTHRAX”なコラボレーションを堪能できます。このほかにもデヴィッド・グレン・アイズレー(Vo/ex. GIUFFRIAなど)やマーク・トレモンティ(G/ALTER BRIDGE、CREED)、デイヴ・マクレイン(Dr/SACRED REICH、ex. MACHINE HEAD)、そしてMEGADETHの初代ギタリストでもあるクリス・ポーランドなどといった豪華な布陣との共演を楽しむことができるはずです。

ELLEFSON名義によるオリジナル曲は、どこか初期〜中期(90年代前半)のMEGADETHを彷彿とさせる曲調、スタイルで懐かしさと新鮮さを同時に楽しめるものばかり。ここ最近のMEGADETHにはない“何か”が確実にここには存在しており、その違いは何なのかといろいろ考えるきっかけにもなりそうです。と同時に、あのMEGADETHのスタイルは何も大佐だけのものではなく、ちゃんとジュニアの中にも脈々と受け継がれている(あるいは血として流れている)ということがはっきり確認できます。ぶっちゃけ、これらの曲を今のMEGADETHでやってくれてもいいのに……なんて思っちゃったりもしますが、けどそれも違うんでしょうね。

F5のデモ音源は音質的にまちまちですが、楽曲的には2000年代のモダン・ヘヴィネスの延長線上にあるものばかり。ぶっちゃけ、ソロ名義の楽曲と並んだときに違和感覚えるんじゃないかと不安でしたが、まったくそんなこともなく、むしろジュニアのソングライターとしての一貫性を再確認できるいい素材となりました。これ、ちゃんとスタジオレコーディングしてあげればよかったのにね。勿体ない。

日本盤のみ、初CD化となる「Vultures」「If You Were God」のライブテイクも収録。「If You Were God」ではトム・ハザートとジュニアのデュエット(笑)も楽しむことができる、貴重なテイクとなっておりますので、ぜひチェックしてみてください(全19曲と海外盤よりも4曲多いですし、「Vultures」のスタジオテイクはマックス・ノーマンMIXに差し替えられていますしね)。

でも、海外盤は海外盤で特別感のある2枚組仕様となっており、ジュニアが所属するレーベル・EMP / Combat RecordsのスペシャルサンプラーCD(全18曲入り)がDISC 2として付属。何気にこっちも聴き応えがあって、興味深い内容なのですよ(マーク・スローターのソロや、ジョー・ペリーがゲスト参加したCO-OPなど面白いテイク満載)。ジュニアの曲だけ聴きたいって人は少々お高い日本盤を、おまけが欲しいって人は輸入盤を購入してみてはいかがでしょう。

 


▼DAVID ELLEFSON『SLEEPING GIANTS』
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2020年3月19日 (木)

WARDRUNA『RUNALJOD - RAGNAROK』(2016)

2016年10月にリリースされたWARDRUNAの3rdアルバム。本作が日本デビューアルバムとなっており、海外から1年半遅れの2018年3月に満を辞して発表さてました。

WARDRUNAはノルウェーのベルゲンを拠点とするバンド/ユニットで、元GORGOROTHのドラマーだったアイナル・セルヴィク(GORGOROTH時代はクヴィトラフンと名乗っていた)を中心に2003年に結成。自身の音楽ルーツに目覚めたアイナルが、土着的民謡や北欧神話などの伝承に触発されたことを機に、ブラックメタルの対極にあるトラッドフォークやゴシック、アンビエントといった“静”のスタイルで独自の音楽を構築しています。

アイナルはボーカルヤドラムのほかにターゲルハルパ(擦弦楽器)、クラヴィクリラ(小型の竪琴)、ブッケホルン(角笛)、ルール(細長い管楽器)といった古楽器を多用。現在は彼の他に女性ボーカルのリンディ=ファイ・ヘラ、ルールやホルン、フルート、アイス・パーカッション奏者のエイリッフ・グンダーゼン、アルネ・サンヴォル(Vo)、HCダルガード(Vo)、ヒェル・ブラーテン(Vo)というメンバーが在籍しています。

本作はデビューアルバム『RUNALJOD - GAP VAR GINNUNGA』(2009年)から始まった、「創生」「生長」「終末」というサイクルを描く三部作の最終章にあたるもの。前作『RUNALJOD - YGGDRASIL』(2013年)まで在籍したガァールことクリスチャン・アイヴィン・エスペダル(Vo/ex. GORGOROTH)脱退を経て、1stアルバムから7年、結成から13年にてついに最初のコンセプトが完結することになります。

先に書いたように、ブラックメタル的な“動”の要素は皆無で、むしろそのサブジャンルとも言えるダークフォークに属する密室感の強い土着的なサウンドと、宗教音楽のような(言い方は失礼ですが)不気味なミニマルサウンドが交差する、非常にクセの強い楽曲が並んでいます。ドラムというよりもパーカッションをメインに使ったリズムセクションが土着感をより強め、パターン化されたフレーズをループすることで生み出される不思議な高揚感が聴き手にトリップを誘う。そういったところにも密教的な危うさが感じられるのではないでしょうか。

また、古ノルド語によるボーカルもまるで何かの神様(善の神か、あるいは悪霊か)を降臨させる呪文のようにも聞こえ、聴き手の情緒を不安に陥れる。だけど、なぜか聴くことをやめられない不思議な魅力が強い……そう、気づけばこの音色/ハーモニー/プリミティブなリズムに魅了されている自分がいるのです。

メタルの要素は皆無ですが、MYRKURなどにも通ずる魅力を持つアーティストだけに、メタルから派生したひとつの進化形と捉えて楽しむのもありかもしれません。

なお、彼らは昨年新たにSony Music / Columbia Recordsとメジャー契約。今年6月には通算5作目のアルバム『KVITRAVN』をリリース予定です。4作目『SKALD』(2018年)がほぼアイナルのソロアルバム形態だったので、三部作とソロスタイルを経たWARDRUNAが新たにどんなサウンドスケープを構築するのか、今から楽しみでなりません。

 


▼WARDRUNA『RUNALJOD - RAGNAROK』
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2020年3月18日 (水)

MY DYING BRIDE『THE GHOST OF ORION』(2020)

MY DYING BRIDEが2020年3月上旬に発表した、通算13作目のスタジオアルバム。

彼らは1990年にイギリスで結成されたデスメタル/ドゥームメタル・バンド。結成時からのオリジナルメンバーはすでにアーロン・ステインソープ(Vo)とアンドリュー・クレイハン(G)のみですが、現在は彼らのほか紅一点のレナ・アベ(B)、ショーン・マガウアン(Key, Violin)、ジェフ・シンガー(Dr)、そして昨年加入したニール・ブランシェット(G)という6人で活動を続けています。

PARADISE LOSTやANATHEMAとともに、英国ゴシックメタル・シーンを長年にわたり牽引し続けてきたMY DYING BRIDE。前作『FEEL THE MISERY』(2015年)から4年半ぶりという長いインターバルの間には、アーロンの5歳になる娘に癌が発覚(現在、快調に向かっているとのこと)、さらにはメンバー2人の相次ぐ脱退、デビュー時から25年以上も在籍したPeaceville Recordsからの離脱などネガティブな話題が続きましたが、新たにNuClear Blast Recordsへと移籍して発表した本作ではいまだにシーンのトップに君臨する王者ぶり、かつバンドとしての健在ぶりを存分にアピールしてくれています。

随所にバイオリンをフィーチャーした耽美かつ甘美なゴシックメタル・サウンドに、メロウなクリーンボイスと地を這うようなデスボイスを交互に操るアーロンのボーカルが乗ることで“これぞMY DYING BRIDE”と呼べる説得力の強い世界観を構築。全体的に7分台から10分台の楽曲が大半を占める(全8曲中5曲)も彼ららしいのですが、過去2作が8曲で60分を優に超える超大作だったのに比べると、本作は2〜3分台の楽曲が含まれていることからトータル56分と、意外とコンパクトに収まったような印象も受けます(まあ、とはいえ通常のロック/メタルアルバムと比べたら長尺なのですが)。

「Tired Of Tears」など2声、3声を重ねたハーモニーからは美しさも感じられるものの、ミディアムスローなテンポ感と引きずるようなヘヴィリフと合間って、どことなく不穏な空気も感じ取ることができるはず。かつ、それらがドゥームメタルの始祖であるBLACK SABBATHほどレイドバックしたものではなく、90年代以降のモダンさが主張されたテイストでまとめられている。聴きようによっては、どことなくメタル寄りのグランジロックにも通ずるものがあり、先日紹介したBIG SCENIC NOWHERE同様に「BLACK SABBATHを起点に枝分かれしたサブジャンル」の未来を感じ取ることができるのではないでしょうか。

ノルウェーのダークフォーク/アンビエント・ユニットWARDRUNAの女性シンガー、リンディ=ファイ・ヘラの呪術的なボーカルを大々的にフィーチャーした浮遊感の強い「The Solace」、10分前後におよぶ暗黒超大作「The Long Black Land」「The Old Earth」などはもはやメタルの枠を超えて、黒ミサを彷彿とさせる密室感/密教感も強く、MYRKURをはじめとするブラックメタル/ダークフォークを愛聴するリスナーにも引っかかるものがあるのでは。淡々と歌うアーロンのクリーンボイスが、そういった宗教色をさらに強めているような……うん、クセになりそうな1枚です。

 


▼MY DYING BRIDE『THE GHOST OF ORION』
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2020年3月17日 (火)

OUTRAGE『RUN RIOT』(2020)

2020年4月中旬リリース予定の、OUTRAGE通算14作目のスタジオアルバム。フィジカル(CD)リリースに先駆けて、同年3月初頭にはデジタル&ストリーミング配信がスタートしています。

最初のEP『OUTRAGE』(1987年)から30周年という節目のタイミングに発表された前作『Raging Out』(2017年)は、それまで以上にストレートな形で表現された“スラッシュメタル以前のルーツ”が色濃く表出した、原点回帰かつ集大成的な1枚で多方面から高評価を受けました。

あれから2年半。この間にはアナログ限定で発表されたEP『Axe Crazy』(2019年)がありましたが、こちらはNWOBHM40周年記念リスペクト企画と称して制作された、JAGUARとANGEL WITCHのカバー曲。純然たるオリジナル作品は『Raging Out』以来ということになるのですが、いやはや、同作と先のEPを経てさらに(よい意味で)レイドバックしてくれています。

スラッシーな要素ももちろん要所要所ににじみ出ているのですが、それ以上に本作はもっとピュアなHR/HM色が前面に打ち出されている印象が強く、その濃度は『Raging Out』の比ではないほど。バンドとして改めて「最初に何がやりたかったのか」に立ち返ったかのような、心の底から遊びまくっているイメージが強い内容に仕上がっています。

いわゆるNWOBHM前後のクラシックなハードロック/ヘヴィメタル・サウンドをベースに、70年代後半のパンクロックやガレージロック、それらをルーツに持つ80年代初頭のスラッシュメタルやスピードメタルを、芸歴30年以上のベテランメタルバンドがここまでの経験と知識を武器に、2020年に再構築した。だから、懐かしさこそ感じさせるものの、古臭さは皆無。そして、80年代前半のジャパニーズHR/HMとも一線を画する、第二世代的ならではの強みが存分に活かされた個性も強く感じられ、そこがいわゆる“ジャパメタ”との最大の違いなんだと改めて教えてくれるわけです。

思わずニヤリとしてしまうギターリフやフレーズも随所に盛り込まれていますが、それらが単なる“パクり”や“焼き直し”で終わらないのは、OUTRAGEというクセの強いバンドが自信と信念を持ってこういったスタイルと向き合っているからこそ。いやいや、最高にカッコいいじゃないですか。

とはいえ、『Raging Out』と比較すると若干落ち着いたかな?という印象も。良い意味で“大人になった”表れなのかもしれませんね。このへん、80年代から活動する“50代に突入したHR/HMの命題”でもあるのですが、僕は本作に関しては好意的に捉えたいと思います。だって、深みや“聴かせる”度は過去イチですからね。

なお、本作のCD初回限定盤にはボーナストラックとして「White Lightning」(PARALEXカバー)と「Red Skull Rock」(TANKカバー)を追加収録。できれば限定アナログEPでしか聴けない「Axe Crazy」(JAGUARカバー)と「Baphomet」(ANGEL WITCHカバー)もCD化してほしかったな(「Baphomet」に関しては初回盤付属DVDにライブテイクが収められていますが)。

 


▼OUTRAGE『RUN RIOT』
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2020年3月16日 (月)

THERAPY?『GREATEST HITS (THE ABBEY ROAD SESSION)』(2020)

2020年3月中旬にリリースされたTHERAPY?のグレイテスト・ヒッツ・アルバム。

本作はバンドの結成30周年を記念して、彼らがイギリスでTOP40入りさせたヒットシングル12作品のリードトラック計12曲をアンディ・ケアンズ(Vo, G)、マイケル・マッキーガン(B)、ニール・クーパー(Dr)という現編成でリ・レコーディングしたもので構成。レコーディングは2019年11月、かのAbbey Road Studioにて実施されました。

セレクトされた楽曲はメジャー1st(通算3rd)アルバム『NURSE』(1992年)からメジャー4th(通算6th)アルバム『SEMI-DETACHED』(1998年)までの、いわゆる全盛期とよばれる期間に発表されたもの。大ヒットを記録したメジャー2nd(通算4th)アルバム『TROUBLEGUM』(1994年)とメジャー3rd(通算5th)アルバム『INFERNAL LOVE』(1995年)からの楽曲を含むという意味では間違いなく代表曲揃い。であると同時に、『SEMI-DETACHED』を最後にバンドはTOP40ヒットを生み出せていないという事実を突きつけられる、うれしいような悲しいような、そんな1枚でもあります。

ニールは2002年加入なので、これらのオリジナル音源には未参加なんですよね。そういった意味では、すでに20年近い現編成(トリオではなくツインギターの4人編成だった時期もありますが)ならではの、息のあったプレイを楽しめるはずです。

事実、すべての楽曲は原曲に忠実な演奏/アレンジで、変わったのはチューニングのみ。すべて最近のスタイルに合わせたダウンチューニングで、曲によってはダークさが増しているのですが(「Teethgrinder」「Stories」など)、最初に聴いたときは耳馴染みのある楽曲のキーが低くなっている違和感は否めませんでした。まあ、アンディが以前ほど高いキーで歌えなくなった今、こればかりは仕方ないのかなと。

あ、唯一「Diane」のみアレンジが大幅に変更。こちらはリリース当時、原曲者のHÜSKER DÜから叩かれたこともあり、原曲に近いバンド・アレンジに戻されています。一応気を使ったのかな。

そうそう、本作ならではの特別感もちゃんと用意されており、「Die Laughin」では盟友MANIC STREET PREACHERSジェイムズ・ディーン・ブラッドフィールド(Vo, G)がゲスト参加。アンディとのデュエット(笑)を披露してくれています(もちろんギターもプレイ)。90年代前半はよく対バンしていた2組だけに、こうやって30年近くを経て再びここで交わることができたのは、当時を知るファンとしてはうれしいというか、むず痒いというか(笑)。微笑ましいですね。

なお、本作のCDは2枚組仕様となっており、『OFFICIAL BOOTLEG 1990-2020』と題したDISC 2には過去15作のアルバム(インディーズからの2作含む)から各1曲ずつ、計15曲のライブテイクを収録。シングル化されていないレア曲を中心にセレクトされており、録音も1990年6月から2018年10月までかなり幅広い時期から選出されています。こちらの音源はデジタルリリース&ストリーミングでは未配信なのでご注意を。

 


▼THERAPY?『GREATEST HITS (THE ABBEY ROAD SESSION)』
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2020年3月15日 (日)

CODE ORANGE『UNDERNEATH』(2020)

2020年3月中旬にリリースされたCODE ORANGEの4thアルバム。

前作『FOREVER』(2017年)は全米62位とチャート上で好成績を残したほか、海外の音楽サイトや音専誌にて年間ベストアルバムに選出されるという、強烈なインパクトを残しました。それだけでなく、同作は米・グラミー賞のBest Meta Performance部門にまでノミネート。次の作品で本格的にブレイクスルーするのではないか?と多くの音楽ファンが注目を寄せていました。

アルバムとしては約3年ぶりとなる本作。過去3作に携わってきたカート・バルー(CONVERGE)が初めて制作から外れ、ニック・ラスクリネクツ(MASTODONDEFTONESHALESTORMKORNなど)とメンバーのジャミー・モーガン(Vo, Dr)が共同プロデュースを手掛けております(前作にも携わったウィル・イップもコ・プロデューサーとしてクレジット)。また、NINE INCH NAILSMARILYN MANSONなどで知られるクリス・ヴレナなどがプログラミングで参加しており、前作でフィーチャーされ始めたデジタル/インダストリアル色をさらに強めることに成功しています。

まあとにかく。聴いてもらえばおわかりのように、前作からものすごいスピード感で進化しています。ハードコアがメタルやパンク、ヒップホップを飲み込み、インダストリアル風味で味付けた、血の通った肉感性と冷徹なマシーナリーの共存……という簡単な表現では伝わりきらないこの良い意味ですっきりさを残さない“ぶった斬り”感。暴力的とか破壊的とかそんな生易しいものではなく、聴き手の延髄に超高速で斧が飛んできたり、あるいは何トンもある巨大なハンマーで一瞬に潰されたりして(って前作のときとほぼ同じ表現だけど)、あたり一面に内蔵や脳髄が飛び散り、姿形が跡形もなく消される。それくらいの衝撃と狂気が冒頭の「(Deeperthanbefore)」からラスト(日本盤ボーナストラック除く)の「Underneath」までの47分に凝縮されているのです。

スピード感は終盤に用意された「Black Inside The Glass」以外はほぼ皆無ながらも、ミドルテンポ中心に突き進む作風はとにかく残虐の一言。そんな中に、日本語で「ただひとり」というセリフ(サンプリング)がフィーチャーされた「You And You Alone」や泣きメロの要素すら感じられる「Sulfur Surrounding」、オルタナティヴ・ロック感の強い「Autumn And Carbine」、ニューウェイヴ的浮遊感が味わえる「A Sliver」などフックも随所に用意されている。これだけ先鋭的で攻め攻めの内容にも関わらず、意外にもキャッチーさが前作以上というこの作風。言語化するのが本当に難しい。難しいんだけど、聴くと全部が理解できたかのような悟りの境地へと到達する……そんな1枚じゃないですか?

信頼できる音楽ライターやメディア、ミュージシャンたちが発売前からこぞって「2020年最注目の1枚」にピックアップし、リリース後も絶賛の声が多数寄せられている本作。筆者も発売前のかなり早い段階から本作に触れてきましたが、本当に何度聴いても飽きないし、聴くたびに新たな発見がある内容なのです。その発見には、アルバムで展開されているサウンドや仕掛けに関してのみならず、聴いた自分自身の感情の揺れ動きも含まれているのですから、本当に面白い。言葉はいらない。とにかく爆音で聴け! そう言いながら、相手に豪速球で投げつけたくなる、本年度No.1アルバム間違いなしのだい傑作です。

 


▼CODE ORANGE『UNDERNEATH』
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2020年3月14日 (土)

BIG SCENIC NOWHERE『VISION BEYOND HORIZON』(2020)

2020年1月末にリリースされたBIG SCENIC NOWHEREの1stアルバム。日本盤未発売。

BIG SCENIC NOWHEREはFU MANCHUのボブ・ボールチ(G, B)、YAWNING MANのゲイリー・アルセ(G)、マリオ・ラリ(B)およびビル・スティンソン(Dr)、MOS GENERATORのトニー・リード(Vo, Key, Dr)、MONDO GENERATOR(かつex. KYUSS、ex. QUEENS OF THE STONE AGE)のニック・オリヴェリ(B)、SPIRITUAL BEGGARSのペル・ヴィバリ(Key)、THE WELLのイアン・グラハム(Vo)とリサ・アレイ(Vo)、ELEVENやTHEM CROOKED VULTURESなどでの活動で知られるアラン・ヨハネス(Vo, G)という総勢10名からなるスーパーバンド。バンド名を見ればおわかりのとおり、いわゆるストーナー・ロック、デザート・ロックと呼ばれるジャンルの有名バンドばかりで、この手のジャンルでこの手のプロジェクトが組まれるというのも非常に興味深いものがありますよね。

昨年9月末発売の4曲(CDやデジタルでは3曲が1トラックにまとめられた2曲)入りEP『DYING ON THE MOUNTAIN』(2019年)に続く本作は、全体的に4〜5分台の楽曲でまとめられた全9曲、トータル44分台というコンパクトな仕上がり。それもあってか、ストーナー・ロックならではのクセの強さがそこまで表出しておらず、むしろ全体的に聴きやすい印象を受けます。

もちろん、それらしいスロー&ヘヴィな楽曲が数多く収められているのですが、歌メロが親しみやすいことがあってか、全体的にポップなんですよね。ペル・ヴィバリらによるオルガンやエレピの音色がいい感じにアシッド感を醸し出しており、こういったテイストが聴いているうちにどんどんクセになってハマっていく。そんなスルメ度の高さが本作最大の魅力ではないでしょうか。

また、ダウナーなサウンドとモノトーンかつメランコリックなメロディの相性も抜群で、この質感がゴシック・ロックやゴシック・メタルのみならず、90年代前半のグランジ(主にハードロック流れのグランジ・バンド)にも通ずるものがます。改めてBLACK SABBATHをルーツにさまざまなサブジャンルへと派生していったことも、このアルバムから感じ取れるのではないでしょうか。そういった意味では、非常に歴史的資料としての価値が高い1枚とも言えます。

ストーナー・ロック、デザート・ロックと聞くとなんとなく構えてしまうという敷居の高さがパブリックイメージとして付きまとうジャンルかもしれませんが、このアルバムはむしろそういったビギナーにこそ触れてもらいたい内容であり、ここを起点にマニアへの扉を開くのも悪くないんじゃないかな。そんな重要な役割を存分に果たしてくれるであろう、非常によく出来た良作です。

 


▼BIG SCENIC NOWHERE『VISION BEYOND HORIZON』
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2020年3月13日 (金)

H.E.A.T『H.E.A.T II』(2020)

2020年2月中旬にリリースされたH.E.A.Tの6thアルバム。

スウェーデン出身のシングルギター、キーボードを含む5人組バンドH.E.A.Tはいわゆる“80年代のスタジアム・ロック”をベースにしたスケール感の大きなハードロックサウンドを武器にしながらも、北欧らしい繊細さを随所に感じさせるメロディが魅力。そういう要素もあってか、ここ日本でもそれなりに高い人気を誇り、過去数回にわたる来日公演が実現しています(この新作を携えた再来日公演も、今年3月後半に予定されているのですが……)。

デビュー作にしてセルフタイトルアルバムとなった『H.E.A.T』(2008年)に次ぐ『H.E.A.T II』と題された本作は、ある種原点回帰的な意味合いもあるのかもしれません。が、展開されているサウンドの指向性は前作『INTO THE GREAT UNKNOWN』(2017年)からそこまで大きく変わったようには感じられず、むしろ前作で示した方向性をさらにブラッシュアップし、1曲1曲の完成度を高めた内容と受け取ることができます。

パワフルなボーカルとキレの良いギターリフ&ソロ、キラキラしたシンセにビッグなコーラス。この時代、一歩間違えばギャグになりかねないスタイルですが、いかんせん曲の仕上がり/作り込みが細部にまで徹底していることもあり、ネタで終わることなく真剣に楽しむことができる。オープニングの「Rock Your Body」なんてタイトルからして2020年にありえない方向性ですが(笑)、ここまで真剣に(かつ情熱的に)演奏/表現されたら、わらうに笑えないですよ。

で、そこから「Dangerous Ground」「Come Clean」と曲が続くにつれて……自然と体がノッてくるし、なんならサビで拳を高く掲げる自分がいる(笑)。「Adrenaline」なんて、初めて聴いた瞬間に曲冒頭から真似して〈Wow〜Wow!〉ってシンガロングしてましたから。

1曲1曲の緩急の付け方もしっかり計算されており、同じミドルテンポでもリズムの取り方・組み立て方の違いでバリエーションを作っているので、聴き飽きることがない。もっとも、各曲ともメロディがキャッチーですぐに口ずさめるものばかりなので、歌モノとしてもまったく飽きがこないんですよね。

しかも、この手のバンドにありがちなパワーバラードが8曲目まで待たないと登場しないというこだわりもなかなかのものがあり(そこに頼ってないという意味で)、その「Nothing To Say」という楽曲もいわゆるアメリカンHR/HM側のパワーバラードというよりは、北欧HR/HM的な側面が強い作風なので好印象。本当に日本人が好きそうな楽曲ばかりですよね。

ラストナンバー「Rise」(日本盤は「Come Clean」のアコースティックバージョンを追加)まで、とにかく捨て曲なし。昨日のHAREM SCAREMじゃないけど、このような真っ当なハードロックバンドが世界的に正当評価される時代が再び訪れることを願ってやみません。

 


▼H.E.A.T『H.E.A.T II』
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2020年3月12日 (木)

HAREM SCAREM『CHANGE THE WORLD』(2020)

2020年3月上旬に発表されたHAREM SCAREMの15thアルバム。日本盤は同年3月25日にリリース予定。

前作『UNITED』(2017年)からほぼ3年ぶりに発表された本作は、来年2021年にデビュー30周年を控えた彼らにとって、大きな節目となる1枚。2013年の再結成以降はハリー・ヘス(Vo)とピート・レスペランス(G)の2人が中心となり楽曲制作を含む活動を続けており、ダレン・スミス(Dr, Vo)はレコーディングではドラムを叩かずにクレイトン・ドーン(Dr)がプレイ。ダレンはコーラスのみで参加し、MVやツアーではドラムをプレイするという形がとられています。

さて、再結成後3作目のオリジナル新作、名盤『MOOD SWINGS』(1993年)の再録盤『MOOD SWINGS II』(2013年)を含めれば4作目のスタジオアルバムとなる本作。前作でもバンドとしての充実ぶりを存分にアピールしていましたが、そのポジティブな空気は本作からも存分に感じ取ることができます。

とにかく、1曲1曲の完成度が高い。しっかり過去のHAREM SCAREMらしさを感じさせつつ、単なる焼き直しでは終わらない(つまり、マンネリを一切感じさせない)圧倒的に作り込まれた楽曲群がずらりと並んでいます。オープニングナンバーであるタイトルトラック「Change The World」の壮大さ、そして楽曲の端々から伝わるポジティブさからは問答無用の凄みが伝わるはずです。

「Aftershock」や「The Death Of Me」といったマイナーキーの“らしい”ハードロックもあれば、「No Man's Land」のように凝ったアレンジのメランコリック・ナンバーもあるし、「In The Unknown」みたいな哀愁味を漂わせたミディアムナンバー、「Riot In My Head」で味わえる疾走感の効いたハードチューン、「Mother Of Invention」や「No Me Without You」のようにスケール感の大きなバラードも存在する。「Fire & Gasoline」みたいに若干ダークさを残したアップチューンや、“これぞHAREM SCAREM!”と太鼓判を押せる王道ナンバー「Swallowed By The Machine」まであるんだから、そりゃ満足しないわけがない。

要するに、HAREM SCAREMというバンドが過去に残してきた諸作品のいろんなフレイバーが、この1枚に凝縮されていると受け取ることができるわけです。そういった集大成感が非常に強い作風にも関わらず、しっかり新しい作品としてアップデートされている。正直、この手のバンドはサウンドメイキングで現代的な味付けをすることだってできるはずですし、そうすることで“今っぽさ”を表現しないとどんどん古臭くなってしまう可能性だってある。なのに、彼らはそういった味付けに一切手を出すことなく、いい曲といい演奏といい歌といいハーモニーだけで勝負し(いや、「だけ」って簡単に言うけど、その当たり前の要素がすべて揃っていること自体が奇跡なんですが)、結果そこで毎回“勝ち”続けている。その苦労は相当なものがあるはずなのに、それすら一切感じさせないくらい涼しい顔をしている(ように見える)。職人技といえる技術で30年近くにわたり戦い続けてきたわけですものね。脱帽モノです。

「これ!」という突出しまくった圧倒的名曲はないかもしれないけど、どれもが85点以上の高品質。そういう文句の付けどころのない充実の1枚です。

 


▼HAREM SCAREM『CHANGE THE WORLD』
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2020年3月11日 (水)

WHITESNAKE『SAINTS AND SINNERS』(1982)

1982年11月にリリースされたWHITESNAKEの5thアルバム。日本盤は1ヶ月遅れの同年12月に発表されました。

これまで1年間隔でアルバムを制作してきたWHITESNAKEですが、本作は過去最長の1年半という期間を要してファンの手元に届けられています。もちろん、半年なんて今の感覚で言えば誤差範囲ですし、デビューからここまで休みなく走り続けてきたバンドですから、これくらいの間隔ができても別に不思議ではありません。

しかし、前作『COME AN' GET IT』(1981年)のレビューに書いたようにバンドとしてのマンネリ化が始まっていたWHITESNAKE。バンマスのデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)は本作制作に入る前、公私ともにかなりのプレッシャーに襲われていたとのこと。そういう不安を抱えたままスタジオ入りすると、今度はバンド内がギクシャクしていることにも気づく。最初のセッション時には長年のプロデューサーであるマーティン・バーチ(DEEP PURPLERAINBOWBLACK SABBATHIRON MAIDENなど)も不在。すべてが噛み合わない状況の中、スタジオを変えるなどして制作を続けるも、カヴァーデイル的にはお手上げ状態に。

結果、アルバムは無理くり完成させられます。楽曲は全10曲中、カヴァーデイル単独で書いた楽曲が4曲と前作と同じ流れ。ほかはバーニー・マースデン(G, Vo)との共作が2曲、ミッキー・ムーディ(G)との共作が3曲、バンドメンバー6人の名前がクレジットされた1曲という内訳です。これがすべてバンドの内部分裂に関係するのかは正直定かではありませんが、確かにカヴァーデイルが単独で書いた「Bloody Luxury」や「Victim Of Love」といった楽曲は比較的よくできているほうなんですよね。

もちろん、そのほかの楽曲も素晴らしいですよ。演奏も聴くぶんにはタイトさが伝わる、前作『COME AN' GET IT』の延長線上にある作風ですし。個人的には地味に感じた前作よりも、若干派手さが復調しているような印象も受けますし。それもあってか、全体的な作風としても次作『SLIDE IT IN』(1984年)に通ずる要素がところどころから感じられます。

また、本作には「Crying In The Rain」と「Here Go I Again」という、5年後に7thアルバム『WHITESNAKE』(1987年)でリメイクする突出した2曲を含むんでいることも大きなトピックかなと。混沌とした時期のアルバムながらも、こういった突き抜けた楽曲が収録されたことで救われているのも非常に大きいと思います。

本作完成後、バンドはカヴァーデイル、ムーディ、ジョン・ロード(Key)のレコーディング参加メンバーにメル・ギャレー(G, Vo/彼はレコーディングにもコーラスで参加)、コリン・ホッジキンソン(B)、そしてコージー・パウエル(Dr)という新たな編成へとシフト。「Here Go I Again」のMVはこの布陣で撮影されたものですね(アルバム裏ジャケなどに写っているのもこの6人です)。それもあって、アルバムにはレコーディングメンバーは記載されておりません。また、そんな不安定さは結果として、数字にも表れてしまいます。リードシングル「Here Go I Again」は全英34位、アルバム自体は全英9位と、どちらも前作から数字を落とす結果に。そんな複雑な時期の、本当に混沌とした本作は大きな括りでの第1期WHITESNAKE終焉をそのまま形として表した1枚なわけです。

なお、本作は2006年のリマスター化に際し3曲のボーナストラックを追加。「Young Blood」「Saint An' Sinners」の別テイクと、未発表曲「Soul Survivor」を楽しむことができます。「Soul Survivor」は歌が入っていない未完成なものなので、完全にオマケでしかありませんが……。

 


▼WHITESNAKE『SAINTS AND SINNERS』
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2020年3月10日 (火)

WHITESNAKE『COME AN' GET IT』(1981)

1981年4月に発表されたWHITESNAKEの4thアルバム。日本盤は同年6月後半からスタートする2度目のジャパンツアーの来日記念盤として、5月に発売されました。

2作目『LOVEHUNTER』(1979年)から7ヶ月という短いスパンで発表された前作『READY AN' WILLING』(1980年)は、リードシングル「Fool For Your Loving」のスマッシュヒット(全英13位)も手伝って最高6位を記録。その成功をフォローするかのように11ヶ月後に発表された本作は、「Don't Break My Heart Again」(全英17位)、「Would I Lie To You」(同37位)とシングルヒットを連発させたことで、アルバム自体も最高2位という高ランキングを残しています。

前作から加わったイアン・ペイス(Dr/ex. DEEP PURPLE)の影響もあってか、バンドアンサンブルがよりタイトに強化された印象を持つ本作。『READY AN' WILLING』で手に入れた成功が良い形で作用された、初期の最高峰といえる内容ではないでしょうか。

モロに女性器を表した蛇の舌に苦笑してしまうというジャケットを持つ本作。序盤の「Come An' Get It」や「Hot Stuff」こそ初期2作のおおらかさが再び感じられますが、そこにはいなたさが一切感じられず、むしろ洗練された印象を受けるほど。そこから前作の影響が大いに反映された「Don't Break My Heart Again」、このバンドらしい泣きのブルース要素が最大限に発揮された「Lonely Days, Lonely Nights」と最高の流れを見せ、WHITESNAKE流“Sex, Drug, Rock 'N' Roll”を体現した軽やかなロックンロール「Wine, Women An’ Song」へと続くアナログA面の流れは、本当によくできているなと感心します。

後半(アナログB面)はいぶし銀の渋みを感じさせる名曲「Child Of Babylon」からスタート。シングルカットもされたノリの良いロックチューン「Would I Lie To You」やドス黒いリズムセクションがひたすら気持ち良い「Girl」「Hit An' Run」と流れ、どことなく「Ain't Gonna Cry No More」に似た空気(と作風)の「Till The Day I Die」で締めくくり。なんとなく地味さが目立つ1枚ですが、ブルースやR&B/ソウルをハードなサウンドで表現するという初期WHITESNAKEのコンセプトはここでひとつの完成を見ることになります。

もちろん、穿った見方をすれば「前に似たような曲、なかったっけ?」というマンネリさも見え始めています。それはデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)のバンマスとしての甘えだったのか、あるいはミッキー・ムーディ(G)やバーニー・マースデン(G, Vo)といったソングライターたちの“才能の限界”だったのか。これまでのアルバム4作中、カヴァーデイル単独制作楽曲が4曲と過去最多なのもそういった事象の表れだったのかもしれません。

なお、本作は2006年にリマスター化されており、その際にアルバム収録曲の別ミックスやバッキング・トラックなど6曲が追加されております。個人的には必聴とは言い切れない、オマケ以外の何ものでもないテイクですので、気になる人はぜひ……といったところでしょうか。

 


▼WHITESNAKE『COME AN' GET IT』
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2020年3月 9日 (月)

WHITESNAKE『LOVEHUNTER』(1979)

1979年10月にリリースされたWHITESNAKEの2ndアルバム。日本盤は同年9月に予定されていた初来日公演にあわせて、海外より1ヶ月早く発売されたようです(が、結果的にそのジャパンツアー自体が中止に。あれ、どこかで似たような話題が。苦笑)。

デビューアルバム『TROUBLE』(1978年)が本国イギリスで50位まで上昇、続く2ndアルバムに先駆けて発表されたリードシングル「Long Way From Home」もシングルとしては初めてチャートイン(最高55位)を記録するなど、バンドとしてどんどん良い状況を作り始めていた中、満を辞してリリースされた今作は全英29位という好成績を残しています。バンドとしてようやくシーンに認められたということでしょうかね。

現在だったらコンプライアンス的にありえないであろうジャケ写が、後追いで聴き始めた中高生時代の自分にはかなりハードルが高かった本作。内容的には前作の延長線上にあるものの、よりナチュラルなブルースロック/ソウルフルなハードロックを聴かせてくれます。

シングルヒットも果たした「Long Way From Home」のおおらかなノリは、前作のオープニングとは異なるもので、スルッとアルバムに入っていける空気を作ってくれます。続く代表曲のひとつ「Walking In The Shadow Of The Blues」のクールさ、レオン・ラッセルのカバー「Help Me Thro' The Day」のアダルトな世界観と、本作が前作以上に対象年齢を上げてきたことを冒頭3曲でアピール(しているように感じました)。とにかく「Help Me Thro' The Day」でのデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)の歌がハンパないほどの表現力で、「Ain’t No Love In The Heart Of The City」といいこのバンドにカバーをやらせたらすごいものができることを実感させられます(この際「Day Tripper」は無視する。いや、あれもよかったけどね)。

中盤に入ると、軽快さを伴うロックンロール「You 'N' Me」やアップテンポなハードロック「Mean Business」が用意されており、前作からのリスナーを手厚く迎えてくれます。が、音の質感やアレンジが前作よりも手堅くなっている印象を受け、この1年で“バンド感”がより強まったことがこういった点に形となって表れているのかなと思わされました。

アルバムを象徴するようなタイトルトラック「Lovehunter」を経て、バーニー・マースデン(G, Vo)がリードボーカルをとるグルーヴィーな「Outlaw」が良いアクセントになったり、王道なロックンロールリフを持つ「Rock 'N' Roll Woman」でうまく聴き手をノせたと思うと、1分半程度の短さにも関わらずリスナーのハートを掴んで離さない名バラード「We Wish You Well」で締めくくり。前作の延長線上にありながらも、実は少しずつ楽曲の幅を広げ始めていることがこういったところからも伝わるのではないでしょうか。

バンドとしてはまだまだ垢抜けなさが残る本作ですが、続く傑作『READY AN' WILLING』(1980年)での本格的ブレイクを前にした“プロトタイプ”と考えると本作の残した功績は非常に大きなものがあるのではないかと思います。

なお、2006年のリマスター化に際し、本作のCDには4曲のボーナストラックを追加。デビューアルバムから「Belgian Tom's Hat Trick」「Love To Keep You Warm」「Trouble」、そして「Ain't No Love In The Heart Of The City」の「BBC Radio 1」でのスタジオライブ音源を楽しむことができます。観客の入ったライブのそれとはまた違った、スタジオ音源以上のスリリングさ、生々しさを味わえるこれらのテイクは単なるおまけ以上の価値ありです。

 


▼WHITESNAKE『LOVEHUNTER』
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2020年3月 8日 (日)

WHITESNAKE『TROUBLE』(1978)

明日からスタート予定だったWHITESNAKEのジャパンツアー、再延期になっちゃいましたね。本来は昨年10月に計画されていたものが、バンド側のスケジュール再調整により半年後の3月に振り返られたわけですが、ここまで振替が続くと……最新作『FLESH & BLOOD』(2019年)リリースから間もなく1年。忘れ去られちゃいますよ。

ということで、ここ数日WHITESNAKE関連の諸作品を紹介してきましたが、しばらくの間彼らのオリジナルアルバムやライブアルバムなどを集中的に紹介することで、少しでも彼らに注目が集まることに揚力できたらと思います。

本日ピックアップしたのは、1978年10月にリリースされたWHITESNAKEの1stアルバム『TROUBLE』です。日本では翌1979年2月に発売されたようです。

1976年夏にDEEP PURPLEが解散し、デヴィッド・カヴァーデイルは1977年春に初のソロアルバム『WHITESNAKE』を、翌1978年3月には2ndソロアルバム『NORTHWIND』を順調にリリースしています。さらに、同年6月にはDAVID COVERDALE'S WHITESNAKE名義で4曲入りEP『SNAKEBITE』を発表。さらに、WHITESNAKE名義での本作が10月に発表されているとなると、かなりのハイペースで創作活動を行なっていたことがわかります。

当時のバンドメンバーはカヴァーデイル(Vo)のほか、ミッキー・ムーディ(G)、バーニー・マースデン(G, Vo)、ニール・マーレイ(B)、デイヴ・ドウル(Dr)、そしてDEEP PURPLEからそのまま行動をともにすることになったジョン・ロード(Key)という6人(EP制作時はピート・ソリーがキーボードを担当)。パープルやRAINBOWの代表作に加え、のちにIRON MAIDENの諸作品を手がけることになるマーティン・バーチをプロデューサーに迎え、ビートルズ「Day Tripper」のカバーを含む全10曲入りアルバムを完成させます。

クレジットを見ると、大半の楽曲でカヴァーデイル/ムーディ、カヴァーデイル/マースデンという共作が実現しており、3人およびバンドメンバー全員での共作曲を含めるとその数は実に7曲にもおよび、カバーを除く残り2曲はカヴァーデイルの単独制作による「Love To Keep You Warm」とミッキー・ムーディ単独制作曲「Belgian Tom's Hat Trick」という内訳になります。こうやって見ると、カヴァーデイルがリーダーではあるものの、ちゃんとバンドとして機能していることが伺えます。

オープニングの「Take Me With You」こそアップテンポのハードロック調ですが(シンセが前面に打ち出されていることで、ニューウェイヴ感も漂っていますが)、軽快なロックンロール「Lie Down」やヘヴィブルース調にアレンジされた「Day Tripper」など含め、全体的にソウルミュージックやブルースロックのテイストがかなり強い作風となっています。「Nighthawk (Vampire Blues)」や「Free Flight」なんて、そのグルーヴィーなリズムからジャズやファンクの影響も見え隠れしますし。かつ、後者ではバーニー・マースデンがボーカルを披露しているのも、このアルバムの面白いところでしょうか。しかも、なかなか良い歌声聴かせてくれるもんだから、たまらんです。

80年代後半以降のWHITESNAKEとはもはや別モノでしかありませんが、このソウルフィーリングこそがカヴァーデイルの魅力だと信じて疑わないリスナーも少なくないはず(筆者もそのひとり)。今や本作の楽曲を軸にしたライブなんて到底叶いっこあいませんが、たまには本作のことも思い出してあげてくださいね、カヴァーデイルさん。

なお、本作は2006年のリマスター化に伴い、デビューEP『SNAKEBITE』収録の4曲を追加。今でも来日のたびに披露される機会の多いボビー・ブランドの名カバー「Ain't No Love In The Heart Of The City」のスタジオバージョンや、「Come On」「Bloody Mary」といったロックンロール色の強いナンバー、スライドギターをバックに歌うカヴァーデイルの歌声がセクシーな「Steal Away」という貴重なナンバーを楽しむことができます。

 


▼WHITESNAKE『TROUBLE』
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2020年3月 7日 (土)

DAVID COVERDALE『INTO THE LIGHT』(2000)

2000年9月に発表されたデヴィッド・カヴァーデイルの3rdソロアルバム。

ソロプロジェクトの一環で制作された『RESTLESS HEART』(1997年)が結果としてWHITESNAKE名義で発表されたことで、カヴァーデイルは同作のツアーをもってWHITESNAKEを再び解散させ、本格的なソロ活動に臨みます。

レコーディングでタッグを組んだのはデヴィッド・ボウイやジョン・レノンとの共演で知られる名手アール・スリック(G)のほか、グレッグ・ビソネット(Dr)やマイク・ポーカロ(B)などと共演してきたダグ・ボッシ(G)という過去のWHITESNAKEからは想像できない面々。そこにリーヴス・ガブレルス(G/デヴィッド・ボウイTHE CUREなど)やマルコ・メンドーザ(B/ex. BLUE MURDERなど。のちにWHITESNAKEの一員に)、トニー・フランクリン(B/ex. BLUE MURDER、ex. THE FIRMなど)、デニー・カーマッシ(Dr/ex. WHITESNAKE、ex. HEARTなど)といた新旧のWHITESNAKEメンバーを含むプレイヤーがゲストとして参加することで、サウンドに華やかさを加えています。

完全なるソロ名義としては1978年の『NORTHWINDS』以来22年ぶりとなりますが、確かに今作を聴くと『NORTHWINDS』から地続きであること、と同時にWHITESNAKEから続く物語であることが伺える内容であることがわかります。

ぶっちゃけ、『RESTLESS HEART』がなかったことに感じてしまうほど、本作には華やかさが備わっている。確かに後期WHITESNAKEと比べたら地味だと思います。ですが、『RESTLESS HEART』の地味さとは別ベクトルなんですよね。ちゃんと“ソロシンガー、デヴィッド・カヴァーデイル”を盛り立てようとする鮮やかさが至るところから感じられる。それは、カヴァーデイルが単独で書いた楽曲はもちろんのこと、アール・スリックとの共作「Love Is Blind」や「Slave」、カヴァーデイル/アール/ダグの三者共作曲「Cry For Love」「Living On Love」などからも感じ取れるはずです。逆に、『RESTLESS HEART』からのリメイクとなる「Too Many Tears」はこの中に入ると本当に地味に思えてしまうのですから……ゴメンね、エイドリアン・ヴァンデンバーグさん(苦笑)。

『RESTLESS HEART』はそれ以降のWHITESNAKEのアルバムよりも“らしい”内容だった1枚でしたが、今作はそれをさらに上回る完成度ではないでしょうか。80年代の派手さを求める層には敬遠されそうですが、デヴィッド・カヴァーデイルというアーティスト/シンガーの真髄が余すところなく収められたという点においては、実は彼のキャリアにおいて本作が最後だったんじゃないか……そう思わずにはいられません。それくらい、以降の活動には毎回少なからず「?」を感じてしまうのですから(悪くはないんですけどね。でも、100%満足させてくれる内容ではないというわけです)。

無理やりキーを下げてがなりまくるのではなく、またこのテイスト/トーンのアルバムを作ってくれないかなあ……売れないだろうけど(苦笑)。

あ、ちなみに本作も現在日本盤が廃盤状態。国内ではストリーミングサービスでも聴くことができません(海外でもSpotifyのみ)。このへん、どうにかならないのかなぁ……。

 


▼DAVID COVERDALE『INTO THE LIGHT』
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2020年3月 6日 (金)

WHITESNAKE『RESTLESS HEART』(1997)

1997年3月下旬に日本先行リリースされたWHITESNAKEの9thアルバム。本国イギリスでは同年6月に“DAVID COVERDALE & WHITESNAKE”名義で発表、北米では当時リリースされませんでした。

1990年に『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)を携えたワールドツアーを終えると、WHITESNAKEとしての活動を休止させたデヴィッド・カヴァーデイル。その後、ジミー・ペイジと合流し、COVERDALE・PAGE名義でアルバム『COVERDALE・PAGE』(1993年)を発表するも、ライブは日本公演のみという短命に終わり、翌1994年にはGeffen Records時代の音源をまとめたベスト盤『GREATEST HITS』を携え、エイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)、ルディ・サーゾ(B)という旧友に加え、COVERDALE・PAGEで活動をともにしたデニー・カーマッシ(Dr/ex. HEART)、そしてウォーレン・デ・マルティーニ(G/RATT)という意外な布陣でヨーロッパおよびジャパンツアーに臨みます。

WHITESNAKEとしてツアーがひと休止すると、カヴァーデイルはWHITESNAKEとしてではなくソロ名義でのアルバム作りに挑みます。ここでのパートナーは『SLIP OF THE TONGUE』では曲作りこそ一緒に進めたものの、腱鞘炎のためレコーディングには参加できなかったヴァンデンバーグ。1987年のWHITESNAKE加入から10年、満を辞しての本格的タッグです。

レコーディングにはヴァンデンバーグ(G)のほか、ガイ・プラット(B/PINK FLOYDゲイリー・ムーアROXY MUSICなど)、デニー・カーマッシ(Dr)、ブレット・タグル(Key/デヴィッド・リー・ロスなど)という所謂職人プレイヤーが多数参加。これだけで、本作が80年代後半の“派手なスタイル”のWHITESNAKEとは異なることが想像できることでしょう。

実際、我々の手元に届けられたアルバムもそういった内容で、70年代〜80年代初頭のWHITESNAKEを思わせるブルース/ソウルをベースにしたハードロック/ブルースロックをたっぷり楽しむことができます。

オープニングの「Don't Fade Away」の落ち着いた雰囲気は、高音でキーキー叫びまくっていた『WHITESNAKE』(1987年)や『SLIP OF THE TONGUE』とはまったく異なり、さらには『SLIDE IT IN』(1984年)ともかけ離れた世界観。タイトルトラック「Restless Heart」冒頭の低音ボイスや、AOR調のミディアムバラード「Too Many Tears」で聴かせる中音域など、どれも心地よく響くものばかり。かと思えば、女性ソウルシンガーのロレイン・エリソンの名曲カバー「Stay With Me」では途中からハイトーンでシャウトしまくり(苦笑)。もちろん、これはこれで悪くないんですけどね。

楽曲的には先にも書いたように、全体的に落ち着いた雰囲気。そりゃそうでしょう、ソロアルバムとして制作されたものなんですから。とはいえ、カヴァーデイルのキャリアを総括するように、ハードブルース「Crying」や軽快なロックンロール「You're So Fine」、セクシーなスローブルース「Take Me Back Again」、COVERDALE・PAGEの延長線上にあるブルージーなハードロック「Woman Trouble Blues」といった楽曲も用意されている。このへんはカヴァーデイルがというよりも、MANIC EDENを経てヴァンデンバーグがこういった世界観にどっぷり浸かっていたことも大きいのかな、という気がします。

結局、所属レーベル(EMI)側の要請により、日本ではWHITESNAKE名義で先行リリース。本国では最初に書いたように、“DAVID COVERDALE & WHITESNAKE”というまどろっこしい名義で世に放たれることになった本作。ソロ作として考えれば満足のいくムーディな1枚ですが、WHITESNAKEというハードロックバンドとして捉えるとインパクトに欠けてしまうのは否めません。

それもあってか本作、ここ10数年にわたり日本では廃盤状態。デジタル配信もされていません。ストリーミングサービスも海外ではSpotifyでは確認できるものの、Apple Musicでは見当たらない状況です。2000年代以降の諸作品よりも優れた“隠れた良盤”なだけに、本当に勿体ないったらありゃしません。

 


▼WHITESNAKE『RESTLESS HEART』
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2020年3月 5日 (木)

ISSUES『BEAUTIFUL OBLIVION』(2019)

2019年10月初頭にリリースされたISSUESの3rdアルバム。日本盤未発売。

日本ではメジャー(ワーナー)から発表された前作『HEADSPACE』(2016年)から約3年半ぶりとなる本作は、バンドにとって大きな転換期となる1枚。なぜなら、ISSUESの武器のひとつであったスクリーム/アンクリーン・ボーカルの役割を一手に担ってきたマイケル・ボーンが脱退(事実上の解雇)というバンドの根幹を揺るがすメンバーチェンジが生じたからです。

マイケルは前作ではクリーン・ボーカルも一部担当しており、バンドとしてもさらなる進化が期待されていた中での脱退、しかも新メンバーを迎えることなくバンドは4人(とシンセ/プログラミングのタイラー・アコード)で活動を継続するとなり、ISSUESの行く末を不安視する声も少なくなかったと思います。

しかし、ISSUESはそんなネガティブな要素を払拭するほど個性的な新作と携えて、シーンへのカムバックを果たしました。

新作のプロデューサーはモダン・メタルやオルタナ・メタル界隈でおなじみのハワード・ベンソン(MY CHEMICAL ROMANCEHOOBASTANK、P.O.D.など)。もともとニューメタルの中にR&Bの要素をにじませた個性的なサウンドが特徴だったISSUESですが、本作ではそのR&B/ソウルの側面をより強化させた“ラウドなソウル/ファンク”アルバムに仕上がったと言えるのではないでしょうか。

昨年春に先行発表されたリード曲「Tapping Out」こそタイラー・カーター(Vo)とAJ(G)がスクリームも兼務した、非常に“らしい”ラウドナンバーに仕上がっていますが、アルバムを聴くと冒頭の「Here's To You」の質感にいきなりひっくり返るんじゃないでしょうか。非常にモダンなR&Bのテイストが前面に打ち出され、スクリームも一切なくソフトに歌われるこの曲……メタルやラウドといった枠から完全にはみ出した異色作だと思います。

もちろん、アルバムはこういったテイストで統一されているわけではありませんが、この手のカラーが色濃く加わったことで逆に従来のラウドなバンドアンサンブルが異色なものとして響いてくるのですから、本当に不思議な作品です。「Downfall」なんて序盤こそ昨今のヒットチャートに入っていそうなソウル風ですが、後半はラウドロックのテイストにシフトしているわけですからね。まあ、これこそがISSUESの醍醐味と言えばそれまでですが、それにしても今回は“振り切ったな”と思うわけです。

この感覚、何かに似ているな……と頭をフル回転して思い浮かんだのがINCUBUS。ISSUESが彼らのような変貌を遂げるのかは次作以降の展開にもよりますが、少なくとも本作で展開されているサウンド/テイストは僕、嫌いじゃありません。いや、むしろ大好物だし、過去2作よりも好きかも。「Get It Right」や「Flexin」の気持ち良さは何ものにも変えがたい魅力がありますしね(ホント、本作は後半の流れが最高なんですよ)。

残念ながらチャート的には大惨敗となってしまった本作ですが(全米181位と、1stアルバム『ISSUES』の9位、次作『HEADSPACE』の20位から大幅に順位を落とす結果に)、そういった数字だけでは計り知れない魅力がぎっしり詰まった意欲作として、僕は前向きに受け取りたいと思います。

 


▼ISSUES『BEAUTIFUL OBLIVION』
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2020年3月 4日 (水)

FIVE FINGER DEATH PUNCH『F8』(2020)

FIVE FINGER DEATH PUNCHが2020年2月末に発表した、通算8作目のオリジナルアルバム。日本盤未発売。

2007年のデビュー以降、常にコンスタントにアルバムを発表してきた彼ら。本作以前には2年に1枚は新作を届けていますし、2013年に至っては年に2作も発表する多作ぶりを発揮しています。一番感覚が空いた6thアルバム『GOT YOUR SIX』(2015年)から7thアルバム『AND JUSTICE FOR NONE』(2018年)の間も、実は新録2曲入り(のちにリリースの『AND JUSTICE FOR NONE』にも収録)ベストアルバム『A DECADE OF DESTRUCTION』(2017年)を発表しているので、驚きの働きぶりを見せ続けているわけです。

前作『AND JUSTICE FOR NONE』から本作のリリース間隔も約1年9ヶ月と、ここ最近の他アーティストのスパンから考えると非常に短いもの。前作リリース前にはメンバーのドラッグ問題など不安要素を抱えていたようですし、本作制作前にはオリジナルメンバーのジェレミー・スペンサー(Dr)が健康面の問題でバンドを離れています。しかし、本作はそういったマイナス要素を払拭するほどパワフルで前向きで、新たな一歩が刻まれた意欲作に仕上がっています。

メンバーがさまざまなインタビューで語っているように、本作には“Rebirth”という思いが込められているとのこと。メンバーチェンジを経ての再生もあるでしょうけど、バンド内に不和を抱えていた前作制作時から一転、非常にポジティブな空気に満ちた今だからこその“再デビュー”感ももしかしたらあったのかもしれません。それくらい、本作で聴ける楽曲群には新しい“何か”をたくさん見つけることができるのです。

オープニングを飾るインスト「F8」はストリングスをフィーチャーした、非常にシリアスな作り。そこから5FDPらしいガッツのある「Inside Out」へと続くのですが、この曲ですらいつも以上にシリアスな雰囲気を感じ取れる。それくらいバンドとしての“シラフ”感がダイレクトに伝わるこの曲から、「Full Circle」「Living The Dream」とリード曲に続いていくのですが……うん、いつもと気合いが違うことが確かに伝わります。

そんな“いつもとの違い”は、「A Little Bit Off」あたりから端的に表れ始めます。どこかアナログテイストのアコースティック調歌モノですが、ボーカル処理にはデジタルな要素が加えられている。かと思えば、ラップメタルの現代的進化版「Bottom Of The Top」や彼ららしいグルーヴメタル「To Be Alone」、ギターとドラムのユニゾンプレイが気持ち良いメタルコアとグランジの融合のような「Mother May I (Tic Toc)」、再びストリングスをフィーチャーしたダークなパワーバラード「Darkness Settles In」、前曲の静寂を切り裂くようなパワフルなグルーヴが気持ち良い「This Is War」、浮遊感の強い空間系エフェクトがかかったギターとラップ調ボーカルとの相性も抜群な「Leave It All Behind」、90年代以降のUSメタルの血を引き継ぐ「Scar Tissue」と個性的な楽曲が次々繰り出されていきます。そして、(ボーナストラックを除く)ラストはメジャーキーの穏やかな歌モノ「Brighter Side Of Grey」で締めくくり。優しさや切なさを併せ持つ、明るく希望を持たせる終わり方は5FDPのアルバム史上で非常に稀なもので、こういった点からも彼らが新たなフェーズに突入したことが伺えます。

アルバム本編はここまでなのですが、一般流通しているCDデラックス盤やデジタル版にはさらに3曲のボーナストラックを収録。PANTERAフォロワー的でもあるオールドスクールなグルーヴメタル「Making Monsters」、文字通り5FDP流セラピーを音で表現した「Death Punch Therapy」、リード曲「Inside Out」のラジオ・エディット(冒頭に原曲にはないパートを追加。MVで使用されているバージョンです)と、こちらも単なるおまけ以上の魅力が備わった仕上がりなので、個人的にはアルバム本編を終えたらひと呼吸置いてから楽しむようにしています。

ぶっちゃけ、新ドラマーのチャーリー・エンゲン(Dr)が加わったことで、リズム面にどういった変化が生じたのか、という点においては今回は明確になっていませんが、それを抜きにしてもバンドとして本気で“再生”した感が伝わる、強烈に個性的な1枚。90年代以降のUSモダン・メタルの総決算のような内容であると同時に、2020年代のUSメタル・シーンの新たな幕開けを宣言するような1枚でもあると確信しています。

 


▼FIVE FINGER DEATH PUNCH『F8』
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2020年3月 3日 (火)

THE JEFF HEALEY BAND『SEE THE LIGHT』(1988)

1988年9月にリリースされたTHE JEFF HEALEY BANDの1stアルバム。日本盤は海外から2ヶ月遅れの、同年11月に発売されました。

THE JEFF HEALEY BANDはカナダ出身のジェフ・ヒーリー(Vo, G)を中心に結成されたトリオバンド。ジェフは1歳のときに病気で盲目となりながらも、3歳でギターを手にし、膝上にギターを乗せて弾く独自のスタイルで注目を集めます。

Arista Recordsと契約後、発表された本作はジミー・アイオヴィン(ブルース・スプリングスティーン、U2SIMPLE MINDSなど)やグレッグ・ラダニー(ジャクソン・ブラウン、ウォーレン・ジヴォン、ドン・ヘンリーなど)、トム・パヌンジオ(アリス・クーパーBLACK SABBATHDEEP PURPLEなど)をプロデューサーに迎え制作。トリオ編成ならではのスリリングな演奏と、ブルージーながらも耳触りが良いAOR寄りの楽曲が楽しめるロックアルバムに仕上がっています。

音だけ聴けば、これが盲目のギタリストが歌いプレイしたアルバムとは思えないはず。それくらいジェフのギタープレイは卓越したものがあり、それはエリック・クラプトンジョニー・ウィンター、あるいはスティーヴィー・レイ・ヴォーンにも通ずる、親しみやすさとマニアックさが同居したスタイルで、ロックファンなら間違いなく楽しめる要素が満載だと思います。ボーカリストとしても派手さこそ皆無ながらも説得力の強い歌を楽しむことができるので、これらの名前にピンときたリスナーなら絶対に引っかかるものがあるはずです。

楽曲に関しても、先に挙げたようなギタリストのアルバム同様に、単なるギター・オリエンテッド・アルバムでは終わっておらず、しっかり“聴かせる”ことに徹した完成度の高いナンバーが並びます。全12曲の内訳はオリジナルが半分、ZZ TOPやフレディ・キングなどブルースなどのカバーと外部ライター提供楽曲が半分。中でもジョン・ハイアットの貢献度が非常に高く、全米5位を記録した名バラード「Angel Eyes」も彼の手によるものです。

リリース当時、TBSで日曜深夜に放送されていたHR/HM系音楽番組『PURE ROCK』で紹介されたことで、僕は彼らを知ったわけですが、そこから数ヶ月後には「Angel Eyes」がUS TOP40を紹介する番組でもオンエアされ、改めてアルバムを手にしたという経緯があります。当時高校生だった自分にはちょっと敷居が高いイメージの強かった1枚ですが、よくよく聴くと(先に触れたように)AORっぽさもあって意外と聴きやすい。特にTHE BLACK CROWESがヒットした90年代前半にはジョニー・ウィンターなどの延長で本作を楽しむことができました。なので、ブルースロックやソウル、カントリーなどの影響下にあるハードロックが好きというリスナーなら、本作にスッと入っていきやすいのではないでしょうか。

2000年頃からはソロ名義で音楽活動を続けていたジェフですが、2008年3月にガンのため41歳で逝去。思えば視力を失ったのもガンが原因だったので、彼の人生は常に病魔と隣り合わせだったのかもしれません。

 


▼THE JEFF HEALEY BAND『SEE THE LIGHT』
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2020年3月 2日 (月)

BBM『AROUND THE NEXT DREAM』(1994)

1994年5月中旬にリリースされた、BBM唯一のオリジナルアルバム。日本盤は海外から1ヶ月遅れの、同年6月中旬に発売されました。

BBMはBRUEC BAKER MOOREの略で、ジャック・ブルース(Vo, B)、ジンジャー・ベイカー(Dr)、ゲイリー・ムーア(Vo, G)というメンバー3人の苗字の頭文字を取ったもの。90年代に入ってから『STILL GOT THE BLUES』(1990年)、『AFTER HOURS』(1992年)とブルースにどっぷり浸かっていたゲイリー・ムーアが、1993年にジャック・ブルースのバースディライブにゲスト参加したことをきっかけに元CREAM組と邂逅。ゲイリーとしては自身のルーツである伝説的バンドCREAMの面々と一緒にバンドを組む最高の機会を手にし、一方のジャック&ジンジャーからすると「いつまで経ってもエリック・クラプトンが乗り気じゃないCREAM再結成を、それに匹敵する若い才能とともに限りなく近い形で実現することができる」わけで、まあWin-Winな関係だったことが伺えます。

アルバムは全10曲中6曲をゲイリー&ジャックのタッグで制作(一部楽曲にはジャズの系譜にあるキップ・ハンラハンの名前も)で、「Naked Flame」「Wrong Side Of Town」の2曲がゲイリー単独で書いたもの、残り2曲はブルースのカバー(「High Cost Of Loving」「I Wonder Why (Are You So Mean to Me?)」ともにアルバート・キングで知られる楽曲)となっています。

プロデューサーはゲイリーの諸作を手がけてきたイアン・テイラー。なんとなくこの流れから、本作が『STILL GOT THE BLUES』や『AFTER HOURS』の延長線上にあることが想像できることでしょう。実際、アルバムで展開されているサウンド、楽曲はまさにそういったスタイルにあるもの。ですが、ゲイリーはあくまで“バンドのギタリスト”に徹し、ボーカルの大半をジャックが担当している。そこへんはCREAMというレジェンドに対するリスペクトも大きかったのではないでしょうか。オープニングの「Waiting In The Wings」や「Glory Days」なんて、ゲイリーというよりはCREAMのそれですものね。

かと思うと、「Where In The World」のようなCREAMともゲイリーとも異なる(ある意味では両者っぽいですけどね)、毛色の違う新境地ナンバーも含まれている。続く「Can't Fool The Blues」はゲイリーのブルースアルバムに含まれていても不思議じゃない仕上がりで、ここではゲイリーが思いっきり歌いまくっている。「Naked Flame」で聴けるボーカルも味わい深くて、個人的には好印象です(ゲイリー作ですがジャックが歌っているジャジーな「Wrong Side Of Town」も最高です)。

「I Wonder Why (Are You So Mean to Me?)」ではこのトリオらしいヒリヒリした演奏を堪能できますが、全体的にはこれを超えるような緊張感は皆無。むしろ、最初に聴いたときは「……ユルすぎない?」と不満を感じたほどでした。それはCREAMとの比較のみならず、ゲイリーの過去作との比較も含めて。きっとこれが1994年にゲイリー・ムーアという“若造”がジャック&ジンジャーというレジェントに立ち向かうギリギリのラインだったんでしょうね。

歌の比率が低いぶん、ゲイリーのギターは非常に濃厚さを増しており、なかなか聴き応えがあると思います。なので、ゲイリーのアルバムの延長で聴けば間違いなく楽しめるはず。間違っても「CREAMの再現」なんてハードルを高くしないように。

なお、BBM自体は同作を携えたショートツアー後に空中分解。2002年には本作のリマスター&エクスパンド盤が発表されていますが、そちらにはアルバム未収録の「Danzer Zone」「The World Keeps On Turnin'」「One Day」やデモ音源などが楽しめます。この中でも「One Day」は出色の出来で、のちにゲイリーのベストアルバムにも収録されたほど。「Still Got The Blues」にも通ずる泣きのバラードで名曲度が高いものの、アルバム本編から漏れたということはジャック&ジンジャーとやるべき曲ではなかったのかもしれませんね。

 


▼BBM『AROUND THE NEXT DREAM』
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2020年3月 1日 (日)

DIRTY HONEY『DIRTY HONEY』(2019)

2019年3月に発表されたDIRTY HONEYの1st EP。日本盤未発売(2020年3月上旬現在)。

DIRTY HONEYは2017年に結成されたロサンザルス出身の4人組ロックバンド。2018年に配信シングル「Fire Away」を発表し、これに続く自主制作音源として配信限定でリリースされたのがセルフタイトルの本作となります。

EPには全6曲を収録。先の「Fire Away」は未収録ですが、どれも懐かしさと新鮮さを混在させた“オールドスクールなイマドキのロックンロール”に仕上がっています。

数年前に登場したGRETA VAN FLEETが、LED ZEPPELINなどのロッククラシック、THE BLACK CROWES以降や最近のRIVAL SONSにも通ずるロッククラシック・リバイバルの流れにあるバンドとして注目されましたが、このDIRTY HONEYもある意味ではその傾向がかなり強い。もちろんロッククラシック・リバイバルの恩恵を受けているでしょうけど、それよりもアメリカの片田舎にずっと存在し続けた土着的なルーツミュージックを若者が奏でた結果がこれ、という見方もできるんじゃないかなと。そんな音を奏でているんです。

バンドアンサンブルには確かにツェッペリンやAC/DCAEROSMITHあたりの匂いが漂っていますが、個人的にはそれよりもHUMBLE PIEやFREE、あるいはTHE ALLMAN BROTHERS BANDやジャニス・ジョプリンからの影響が強く感じられる気がします。もっと言うと、GRETA VAN FLEETがシンガーと同じくらいにバンドアンサンブル/演奏を前面に打ち出すスタイルだったのに対して、このDIRTY HONEYは“歌”を聴かせることに主軸を置いている印象を受けるのです。そのへんがスティーヴ・マリオットやジャニス、ポール・ロジャースを思い浮かべた理由だったのかもしれません。

あ、あとアクセル・ローズ(GUNS N' ROSES)っぽさもありますよね、マーク・ラベル(Vo)というフロントマンの声質。特に高音で張り上げたときが似ているなと。AC/DCよりもガンズなんじゃないかな。そこも“あの時代の生き写し”だったGRETA VAN FLEETとの違いかな。60年代からテン年代まで全部地続きみたいな。

リードトラック「When I'm Gone」がBillboardのMainstream Rock Songsチャートで1位を獲得したそうですが、まだまだ「これ!」という突き抜けた1曲は生まれていないと思うので、これからの存在であることには違いありません。でも、だからこそ今このタイミングに観ておきたい。3月下旬には『DOWNLOAD JAPAN』出演および代官山SPACE ODDでの単独公演で初来日を果たす予定ですが、すげえ観たいニューカマーのひとつなので新型コロナウイルスの影響で取り止めにならないことを願っております。

 


▼DIRTY HONEY『DIRTY HONEY』
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