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2020年3月25日 (水)

MYRKUR『FOLKESANGE』(2020)

MYRKURが2020年3月下旬に発表した3rdアルバム。日本盤未発売。

ここ日本でも一部メディアを中心に、大きな注目を集めた前作『MARERIDT』(2017年)。女性シンガー/アーティストのアマリエ・ブルーンによるブラックメタルとヨーロッパ民謡/ダークフォークをミックスさせたスタイルは、ブラックゲイズ以降のメタル/ラウドロックの新たな潮流に目が向いていた層のみならず、80年代のゴシックロックやポジパン好きにも高く評価されました。

2年半ぶりに発表されたこの新作は、前作にあったヨーロッパ民謡の要素を前面に押し出した作風で、デンマーク、ノルウェー、ドイツ出身のメンバーで構成されたネオフォーク・バンドHEILUNGのメンバー、クリストファー・ジュールとの共同作業で制作。レコーディングにスウェーデンの民族楽器ニッケルハルパ、古代ギリシャの竪琴ライアー(リュラー)、マンドラといった楽器を用いた、北欧の伝統的なフォークミュージック(民族音楽)を追求した1枚です。

聴いておわかりのとおり(いや、ジャケットのアートワークを観ておわかりのとおり、と言ってもいいかも)、本作ではブラックゲイズなどメタリックな要素は完全に払拭されています。メタル系アーティストの系譜でMYRKURに触れてきたリスナーにはそこで評価が大きく二分されるかもしれませんが、本サイトでも過去に取り上げてきたWARDRUNAチェルシー・ウルフあたりの近作にも通ずる作風なこともあり、意外と昨今の流れに敏感な方ならすんなり入っていける内容ではないかと思っています。

アマリエの美しい歌声が全編にわたりフィーチャーされたこのスタイルは、聴く者を存分に癒してくれるはず。Kulningと呼ばれる「北欧などで日中放牧されている家畜を、高山の牧草地から呼ぶ出すために使われる放牧コールおよび歌」もふんだんに取り入られており、それが我々人間にも心地よく響いているのかな、と。いわゆる古典を彼女なりに、現代的に昇華させたものが本作だと考えると、この荒んだ現代(苦笑)にこういった作品が発表されるのは必然だったのかもしれません。

もちろん、MYRKURは今後もこのスタイルを押し通すことはないと思います。あくまで、この時点でトライしておきたかったことが本作というだけで、前作のようなスタイルに戻るかどうかは別として、今後もさらに進化したダークフォークに取り組んでいくことでしょう。逆に、こういったスタイルを追求したあとだからこそ、再びヘヴィなサウンドと導入した際にどんな化学反応を起こすのかは、個人的にも楽しみなところです。

四六時中ヘビロテするような内容ではありませんが、心も体もどうにも言うことを聞かないとき、あるいは不安で押しつぶされそうな夜にふと聴きたくなる。そんな“心の隙間”を埋めてくれる“お薬”のようなアルバムかもしれませんね。

 


▼MYRKUR『FOLKESANGE』
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