TESLA『FIVE MAN LONDON JAM』(2020)
2020年3月下旬にリリースされたTESLAのライブアルバム。日本盤未発売。
本作はTESLAが1990年に発表したライブアルバム『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』から30周年を祝して、2019年6月12日にロンドンのAbbey Road Studioで行った公開ライブレコーディングを収めたもの。少数ながらも観客を入れて行われたスタジオライブの模様は4K収録され、ライブアルバムのみならずBlu-rayでも発売されています。
BON JOVIを筆頭とした「ハードロックバンドのアコースティック要素の強調」が広く行きわたり、『MTV Unplugged』の誕生および大ヒットを経て、TESLAもアコースティックライブを行い、それを録音&映像収録した『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』が大ヒット。同作からはFIVE MAN ELECTLICAL BANDのカバー「Signs」が全米TOP10入り(最高8位)も果たすなど、彼らにとって代表作のひとつと言っていい1枚です。
本作では『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』に収録された楽曲は5曲程度に抑え、最新アルバム『SHOCK』(2019年)からのナンバーや、『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』以降に発表された『PSYCHOTIC SUPPER』(1991年)や『INTO THE NOW』(2004年)といった「30年前に披露されていない楽曲」が大半を占める構成。チューニング(キー)も現在のスタイルに合わせて低く設定されており、最初こそ80〜90年代の楽曲(特に『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』でも披露されたナンバー)には多少の違和感を覚えるものの、「California Summer Song」や「Forever Loving You」といった『SHOCK』収録曲のアコースティック・バージョンの新鮮さに耳が慣れるとそこまで気にならなくなる……のでは? 何度か聴いていると慣れてきた自分に気づくはずです。
スタジオライブ収録ということで、30年前の『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』ほどの臨場感はないかもしれません。が、このバンドの場合はこういった肩の力が抜けた演奏が魅力のひとつだったりするので、これはこれでアリなのかなと思ったりして。それでも、「Into The Now」あたりに漂う緊張感もTESLAらしくて、こういうのもいいよね?と思ったりするわけですが。そういう、リラックスした中に突如訪れるスリリングさも意外と随所に散りばめられた1枚ではないでしょうか。
圧巻はやはりラストナンバー「Love Song」でしょうか。この曲に関してはアコースティクを通り越して、途中からエレキギターを多用して原曲に近いアレンジで演奏されてしますからね(笑)。で、感動的なエンディングを迎えたと思ったのもつかの間、最後の最後にレコーディング場所にちなんだカバー(フレーズ)も飛び出して、やっぱりユルく締めくくり。あ、そうか。『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』から引き続き「We Can Work It Out」をセレクトしたのもそれが理由か(って、ここまで書けばおわかりかと思いますが、何を演奏したかはその耳でお確かめください)。
全米21位のヒットとなった最新オリジナル作『SHOCK』はUniversal Music経由でリリースされたにも関わらず、ここ日本では未発売。おそらくこのアコースティック・ライブ盤も余程のことがない限り、日本盤化されることはないでしょう(こんなご時世ですが、来日が決まるとかね)。だからこそ、海外盤CDやBlu-ray(リージョンフリーとのこと)を購入するとか、ストリーミングサービスで再生しまくるとかしてフォローしてあげたいものです。
▼TESLA『FIVE MAN LONDON JAM』
(amazon:海外盤CD / 海外盤Blu-ray / 海外盤アナログ / MP3)
« 2020年3月のお仕事 | トップページ | PARKWAY DRIVE『VIVA THE UNDERDOGS』(2020) »
「Tesla」カテゴリの記事
- TESLA『MECHANICAL RESONANCE』(1986)(2024.05.07)
- TESLA『BUST A NUT』(1994)(2024.05.02)
- ERIC MARTIN BAND『SUCKER FOR A PRETTY FACE』(1983)(2023.03.10)
- ELLEFSON『NO COVER』(2020)(2020.11.21)
- TESLA『FIVE MAN LONDON JAM』(2020)(2020.04.01)
「2020年の作品」カテゴリの記事
- KIX『MIDNITE DYNAMITE』(1985)/『MIDNITE DYNAMITE: RE-LIT』(2020)(2022.11.09)
- ALTER BRIDGE『WALK THE SKY 2.0』(2020)(2022.10.28)
- GAUPA『FEBERDRÖM』(2020)(2022.05.10)
- GINGER WILDHEART『HEADZAPOPPIN』(2019)(2022.05.06)
- RINA SAWAYAMA『SAWAYAMA』(2020)(2022.04.25)