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2020年4月

2020年4月30日 (木)

2020年4月のお仕事

2020年4月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。(※4月27日更新)

 

[WEB] 4月27日、「RedBull Japan」にて2016年公開のコラム海外ラウドロックバンド10選改訂版が公開されました。

[WEB] 4月25日、「リアルサウンド」にてコラムPIZZA OF DEATH RECORDS、Hi-STANDARD全タイトルサブスク解禁 サプライズがもたらした歓喜と未来への可能性が公開されました。

[紙] 4月23日発売「ヘドバン・スピンオフ09『日本が世界に誇るメタル』欧州進撃追跡レポート号」にて、THE冠『日本のヘビーメタル』クロス・レビュー、祝!BABYMETAL結成10周年記念 俺の(私の)BABYMETALベスト・ライヴ/BABYMETALベスト・ソングに寄稿しました。(Amazon

[WEB] 4月16日、「リアルサウンド」にて神宿アーティスト評神宿、“楽曲視点”で振り返る5年間の成長 デビュー曲「KMYD」から新曲「在ルモノシラズ」に至る音楽性の拡大が公開されました。

[紙] 4月15日発売「VOICE BRODY」Vol.8にて、内田真礼、逢田梨香子、渕上舞の各インタビュー、コラム「常識を逸脱する奇跡と絆 ハロハピ伝説の23分」を担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 4月5日、「リアルサウンド」にて新譜キュレーション連載Code Orange、オジー・オズボーン、5FDP、In This Moment……良作続きのメタル/ラウドシーンで注目すべき7作が公開されました。

[紙] 4月3日発売「日経エンタテインメント!」2020年5月号にて、欅坂46菅井友香の連載「菅井友香のお嬢様はいつも真剣勝負」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

[紙] 4月1日発売「ぴあ Movie Special 2020 Spring」にて、乃木坂46齋藤飛鳥×山下美月×梅澤美波インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

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また、3月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2003号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

GHOST『OPUS EPONYMOUS』(2010)

2010年10月発売の、GHOSTの1stアルバム。日本盤は約半年遅れの、2011年4月にリリースされました。

今や言わずと知れたGHOSTのデビュー作は、リー・ドリアン(WITH THE DEAD、SEPTIC TANK、ex. CATHEDRAL)主宰のドゥームメタル専門レーベルRise Above Recordsからのリリース。それもあって、当初はスウェーデンから現れた新手のドゥームメタルバンドかと思いきや、当時はそのキャッチーさに腰を抜かした記憶があります。

レトロチックなサウンドメイクと、往年のホラー映画を彷彿とさせるおどろおどろしさ。そこに70年代的王道ハードロックのギターリフとプログレ的展開、ポップで親しみやすい歌メロ&爽やかなハーモニーが融合するという、現在まで引き継がれるGHOSTらしさはこのデビュー作の時点でほぼ完成されていることに、あれから10年経った今聴き返して改めて驚かされます。

米ウエストコースト風味のコーラス(笑)に、思わず「墓場から蘇ったBOSTON」なんてキャッチコピーを勝手に付けていたことを今思い出しましたが(苦笑)、全体的にそういう曲が多く散見されます。そこに乗る、パイプオルガン風シンセの音色の古めかしさ、音の隙間の多いアレンジ、80年代のNWOBHM流れのバンドにも通ずるB級臭さなどの要素によって、メジャー感の強いメロディを持つにも関わらずカルト臭がプンプン鼻をつくのが、本作最大の魅力なのかなと。

なお、歌詞の面では(どこまで本気かわからない)悪魔崇拝や反キリスト的な内容と、非常にアレです。そこも含めて、アリス・クーパーから脈々と受け継がれるエンタテインメントの一環であると割り切ることができれば、本作はダークファンタジー作品として十分楽しめるはずです。ただ、MARILYN MANSONあたりと比較してしまうと、若干刺激が少なくて物足りなさを感じるかもしれませんが。

なお、日本盤のみボーナストラックとしてビートルズ「Here Comes The Sun」のカバーを追加収録。カバー曲のセレクト&アレンジに定評のあるGHOSTですが、この時点では選曲的にはちょっと普通すぎないかい?(笑) ただ、仕上がり的には悪魔召喚の賛美歌的な空気でベリーグッドです。アナログシンセの音色もこのアレンジにぴったりで、これ1曲のためだけに日本盤を購入してもいいんじゃないかと思えるほど。配信ではきけないレア曲なので、ぜひ国内盤CDで手に入れてほしいところです。

 


▼GHOST『OPUS EPONYMOUS』
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KATATONIA『CITY BURIALS』(2020)

2020年4月下旬にリリースされたKATATONIAの11thアルバム。日本盤は少々遅れ、同年6月5日に発売予定。

スウェーデン・ストックホルム出身の彼らも、来年で結成30周年。前作『THE FALL OF HEARTS』(2016年)発表から4年の間には1年間の活動休止期間などもありましたが、無事本作を完成させます。現編成では2作目となる本作は、ヨナス・レンクス(Vo)によると「前作同様、実験性を孕みながら、より直接的なサウンドにアプローチした」とのこと。そのカラーはリードトラック「Lacquer」にも色濃く表れており、ポストロックにも通ずる質感とゴシック調のサウンドメイクはメタルの枠を飛び越えた独自性が感じられます。

かと思えば、その前にはエキゾチックなギターフレーズにグッと心を掴まれる、ダークながらもエモい「Behind The Blood」があったり、不思議な浮遊感が伝わる「Rein」、DEPECHE MODEなどのゴス風エレポップにも通ずるテイストの「The Winter Of Our Passing」、気怠さの中にどうしようもない悲しみが落とし込まれたスローナンバー「Vanishers」のように個性的な楽曲が豊富。特に女性ボーカルがフィーチャーされた「Vanishers」からは、後期PINK FLOYDにも通ずる要素が感じられ、彼らがどこを目指しているのかがなんとなく伝わってくるのではないでしょうか。

アルバム後半も粒ぞろいで、バンドサウンドの隙間で鳴り響くエレピが良い味出している「City Glaciers」や「Flicker」、ボーカルの重ね方にこだわりを感じる単尺曲「Lachesis」、絶望的なまでに悲しみに暮れたラストナンバー「Untrodden」など、1曲1曲が非常に強い個性を持っていることに気づかされます。で、聴き終えて初めて「……そういえばボーカル、一切“叫んで”ないな」と気づくという。

個人的には初めて聴いたKATATONIAが『THE GREAT COLD DISTANCE』(2006年)だったし、そこから過去作をさかのぼって聴いていたので、その印象が強いんですよ。もちろん、ここ数作は現在のスタイルなので当たり前っちゃあ当たり前なんですが、彼らをそこまで真剣に聴いてきたわけではなかったので、改めて驚かされたといいますか。うん、良いじゃないですか。もっと真面目に過去作も聴きます。

という、新たな気づきを与えてくれた本作。個人的には非常に好みな1枚です。激しさは皆無ですが、聴いているだけで気持ちをどん底に突き落とし、その行為の気持ち良さを教えてくれる本作は、こんなご時世にこそじっくり浸りたい力作です。

 


▼KATATONIA『CITY BURIALS』
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2020年4月29日 (水)

ALTER BRIDGE『AB III』(2010)

ALTER BRIDGEが2010年10月初頭に発表した3rdアルバム。日本盤は1ヶ月強遅れて同年11月下旬にリリースされています。

前作『BLACKBIRD』(2007年)がアメリカでTOP20入り、イギリスでは初のTOP100入り(最高37位)を果たすなど、着実にバンドとしての知名度を高めていたALTER BRIDGEでしたが、2009年にマーク・トレモンティ(G)、スコット・フィリップス(Dr)、ブライアン・マーシャル(B)が古巣のCREED再結成に参加、残るマイルズ・ケネディ(Vo, G)もスラッシュのツアーに帯同するなど、ALTER BRIDGEの存続を危ぶむ声がちらほら聞こえるようになります。が、バンドは2010年初頭には3rdアルバム制作に着手しており、秋には満を辞して本作をリリースしたのでした。

前作で初タッグを組み、以降2019年の最新作『WALK THE SKY』まで制作に携わるマイケル・“エルヴィス”・バスケット(TRIVIUMRATTcoldrainなど)をプロデューサーに迎えた本作は、正統派ヘヴィメタル色を強めた前作とは異なり、どちらかというと1stアルバム『ONE DAY REMAINS』(2004年)でみせたポスト・グランジ以降のモダンヘヴィネス路線に近い印象を受けます。しかし、1stアルバムの焼き直しという印象は一切受けず、むしろ大成功を収めた『BLACKBIRD』を現代的なサウンド/手法で表現したらどうなるか?という前向きさすら感じられ、バンドとしての真価が問われるこのタイミングに勝負に出たことが伺えるのではないでしょうか。

また、マーク・トレモンティの低音を効かせたリフワーク&ソロプレイが本当に素晴らしく、この点においては全キャリア中最高峰と言えるのではないでしょうか。それに伴い、楽曲自体も非常によく練り込まれており、実はメロディの作りは前作の延長線上にあることにも気づかされるはず。また、そのメロディを効果的に盛り上げるドラマチックなアレンジからは、往年のハードロック的手法も感じられる。

つまり、軸足は前作から一切変えることなく、“ガワ”のみを時代に合わせた……と捉えることもできるのかなと。結果、それが好意的に受け捉えられ、全米17位/全英9位という好成績を残すわけですから、彼らの勝負はしっかり勝利を収められたということなのでしょう。

全14曲(日本盤はさらに1曲追加)で約65分というトータルランニングは、過去2枚をはるかに超えるもの。もっとコンパクトにすることもできたはずなのに、ここまで詰め込んだということは、それだけ「みんなに聴かせたい」という自信の楽曲が揃っていたという表れなんでしょうね。確かに長い作品集ですが、緩急に富んだ楽曲群はどれも絶品なので、迷わずオススメできる1枚です。個人的には前作よりもお気に入りですし、なんなら彼らのキャリア中もっとも好きな1枚です。

 


▼ALTER BRIDGE『AB III』
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SLASH'S SNAKEPIT『AIN'T LIFE GRAND』(2000)

2000年10月にリリースされたSLASH'S SNAKEPITの2ndアルバムにしてラスト作。日本盤は海外より1ヶ月前倒しの同年9月に発表されています。

SLASH'S SNAKEPIT名義の1作目となる『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』(1995年)は、GUNS N' ROSESの長い休暇期間にしびれを切らしたスラッシュが制作したサイドプロジェクト的な作品でしたが、続く今作はガンズ脱退を経て最初に作られたメインバンドとしての1枚。また、前作には当時のガンズメンバー(マット・ソーラムやギルビー・クラークなど)が参加していましたが、今回はスラッシュ以外のメンバーを一新しており、ここから新しいスタートを切るぞという意気込みが感じられます。

ロッド・ジャクソン(Vo)、ライアン・ロキシー(G)、ジョニー・グリパリック(B)、マット・ローグ(Dr)という比較的無名/これまでのキャリアと無関係なメンツを迎えたあたりに、スラッシュの「裸一貫、一から再スタート」という気概が伝わってきます(ライアンはギルビーの1stアルバム『PAWNSHOP GUITARS』にも参加していたり、アリス・クーパーのツアーメンバーでもあったので、唯一ガンズ絡みと言えなくもないですが)。AEROSMITHCHEAP TRICKNEW YORK DOLLSなどで知られるジャック・ダグラスがプロデュースを務めた本作は、前作でのブルースフィーリング濃厚な作風から一転、ソウルフルさこそ漂うものの根本には「パンキッシュでグラマラスな豪快ハードロック」という原点回帰な1枚に仕上がっています。

前任のエリック・ドーヴァーがアクセル・ローズ的テイストの声/ボーカルスタイルの持ち主だったこともあり、前作には「ガンズが今、スラッシュ主導で新作を作ったらこうなるのかな?」という側面もありましたが、今作で歌うロッドの声質は前任ともアクセルとも異なる野太いものだからか、ギタープレイこそガンズっぽいのの曲自体は「ポップさ濃厚な、モダンテイストのハードロック」という印象が強いかな(とはいえ、一部でアクセル的歌唱を意識した歌い回しも登場しますが)。楽曲のバリエーションも前作以上の幅広さがあり、全体的にモノトーンのイメージが強かった前作と比べるとかなり聴きやすいかもしれません。

そういう意味では、本作は「スラッシュの新バンド」とか「ガンズ関連作品」という観点で触れるのではなく、当時台頭し始めたBUCKCHERRYHARDCORE SUPERSTARBACKYARD BABIESあたりと同じ視点で楽しむ1枚ではないかと。要は、スラッシュなりに当時の時流を考えた結果がこれだったと。

でも、世間が求める音はこれでなかったんですよね、残念ながら。そして、SNAKEPITは短命で終わり、スラッシュは再びダフ・マッケイガンやマット・ソーラムと合流し、VELVET REVOLVERを結成するのでした。

……って、こう書くと本作は失敗そのものみたいな受け取られ方をしてしまいそうですが(だってそう書いているじゃん自分)、そのVELVET REVOLVERへの布石も至るところに散りばめられた本作、意外と侮れない重要作なんじゃないかな。『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』から本作に至る流れ、そしてここからVELVET REVOLVERへとつながっていく流れ。点と点がすべてつながっているだってことを、本作を聴き込めばより深く理解できるはずです。

 


▼SLASH'S SNAKEPIT『AIN'T LIFE GRAND』
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2020年4月28日 (火)

SLASH『SLASH』(2010)

2010年3月末にリリースされた、スラッシュのソロアルバム。これまでSLASH’S SNAKEPIT名義では2枚のアルバムを発表していますが、ソロ名義ではこれが初のオリジナルアルバムとなります。

2007年にスコット・ウェイランド(Vo)が脱退したことで、事実上の解散状態に陥ったVELVET REVOLVER。スラッシュはUniversal Musicと新たに契約し、これまでのキャリアを総括するようなソロアルバム制作に臨みます。

彼と親交の深いミュージシャンを多数迎えた本作は、イアン・アストベリー(THE CULT)、オジー・オズボーン、ファーギー、マイルズ・ケネディALTER BRIDGE)、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)、アンドリュー・ストックデイル(WOLFMOTHER)、アダム・レヴィーン(MAROON 5)、レミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、キッド・ロック、M.シャドウズ(AVENGED SEVENFOLD)、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップと曲ごとに異なるシンガーが参加した豪華な内容に。さらに日本盤のみ、稲葉浩志(B'z)をフィーチャーした楽曲も用意されたことで、当時はリリース前から賛否両方の意味で話題となりました。

サウンド的には、過去にスラッシュが参加したバンド……GUNS N' ROSESやVELVET REVOLVER、そして自身のSNAKEPITの延長線上にあるものですが、それらをアクの強いシンガーたちが自身のメロディで歌うことにより、スラッスの楽曲であると同時に各シンガー自身の楽曲にもなっている、まさにコラボらしいコラボ作と呼べる仕上がりです。だって、オープニングのイアン・アストベリーが歌う「Ghost」からして、彼が歌うことでどう聴いたってTHE CULT以外の何者でもない楽曲に昇華されていますし、それこそオジーが歌う「Crucify The Dead」もオジーの近作に収録されていても不思議じゃない内容。ハードロック調の「Beautiful Dangerous」がファーギーのアルバムに収録されていたとしても、別に不思議じゃないし……っていう妙な納得感があるのは、それこそ本作に参加したシンガーたちの個性がいかに強いかという証拠でもあるわけです。

また、本作には1曲のみインストナンバー「Watch This」が収録されているのですが、こちらではベースに盟友ダフ・マッケイガン、ドラムにデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)という夢の組み合わせが実現しています。これ、デイヴがそのまま歌っても面白かったのにね。

本作で唯一複数歌っているマイルズ・ケネディとは相性が良かったのか、本作を携えたワールドツアーにも帯同することに。結局、その後もスラッシュのソロ活動では毎作彼が参加することになります。

ちなみに、誰もが気になる稲葉浩志が参加した「Sahara」ですが……稲葉による日本語詞で歌われているので、稲葉のソロ曲のように聴こえます。スラッシュらしさももちろんそこそこ見受けられるのですが、やっぱり他シンガー同様に稲葉のアクの強さが優っており、そこはさすがだなと。けど、どうせなら英詞で歌えばよかったのにね……日本語が悪いってことではなく、この流れで最後に日本語が飛び込んでくると、ちょっと違和感がね。80年代によくあった、外タレが日本盤ボーナストラックに提供した「日本語バージョン」みたいで、少し恥ずかしくなってしまうと言いますか。曲やボーカルパフォーマンスが素晴らしいだけに、非常に勿体ないと思いました。

なお、本作はのちに国別に内容の異なるボーナストラック/ディスクを付けたさまざまな別バージョンが発表されており、そちらにはCYPRESS HILLとファーギーによるガンズ「Paradise City」やマイルズ・ケネディが歌う「Sweet Child O' Mine」アコースティックカバー、ニック・オリヴェリやアリス・クーパー参加のアルバム未収録曲、先の稲葉歌唱曲「Sahara」の英語バージョン(!)などが収録されております。おいおい、英語版あるじゃねーかよ(苦笑)。

 


▼SLASH『SLASH』
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STONE TEMPLE PILOTS『STONE TEMPLE PILOTS (2010)』(2010)

2010年5月下旬に発表された、STONE TEMPLE PILOTSの6thアルバム。

2001年に5thアルバム『SHANGRI-LA DEE DA』を発表するも、翌2002年にスコット・ウェイランド(Vo)がVELVET REVOVERに加入したことでSTPを脱退。結局、バンドはそのまま解散の道を選びます。しかし、2007年にスコットがVELVET REVOLVERを脱退すると、そのままSTP組に合流してバンドとして再始動することに。2008年に60本以上におよぶ北米ツアーを行い、そのまま6作目のスタジオアルバム制作へと突入します。

9年ぶりに届けられた新作は、バンド名を冠したシンプルなタイトル。中身も変化球など一切ない、正真正銘のSTPサウンドで聴く者を納得させる内容でした。その甲斐あって、全米2位という高ランクを獲得。まだまだ行ける!とその健在ぶりを証明したのでした。

2〜3分台とコンパクトにまとめられた楽曲群は、過去5作のキャリアを総括するような仕上がりで、デビュー作『CORE』(1992年)にあったポスト・グランジ的なゴリゴ感こそ薄れていますが、2rdアルバム『PURPLE』(1994年)や3rdアルバム『THE MUSIC...SONGS FROM THE VATICAN GIFT SHOP』(1996年)で表現されたサイケデリック感やグラムロック、バブルガムポップからの影響が強くにじみ出た、貫禄あるロックナンバーをたっぷり楽しむことができます。

VELVET REVOLVERの2作を経て再びSTPに戻ったスコットですが、2バンドで楽しむことができたサイケポップ感はやはりスコットによるものが大きかったんだなと、このアルバムを聴いた当時強く感じたものです。もちろん、それがドラッグの影響によるものだとは言いませんが、もともとこの人って70年代前半の英国グラムロックからの影響が強い人だったんでしょうね。特に本作からはそのへんのルーツがいろいろ垣間見えますし、個人的にはデヴィッド・ボウイあたりからの影響が強いのかな?と感じずにはいられません。

そんなスコットのポップさを、安定感の強いバンドアンサンブルで支える。特に本作で鳴らされる音はハードロックのそれというよりは、もっと土着的で自然体という印象が強く、オープニングの王道チューン「Between The Lines」はもちろん、「Hickory Dichotomy」や「Dare If You Dare」といったサイケナンバー、パワーポップ感の強い「Cinnamon」、STP流ファンクロック「Hazy Daze」など佳曲揃い。楽曲の幅を徐々に広げることで、戦うフィールドもさらに拡大していくことになりそう、と感じさせるに十分な1枚だと思います。

ここからさらなる進化が楽しみだ……とワクワクしたものの、案の定バンドからスコットが再脱退。チェスター・ベニントン(LINKIN PARK)をフィーチャーした編成などでの活動もありましたが、結局2015年12月にスコットは帰らぬ人に。バンドは2016年にジェフ・グートを新メンバーに迎え、2018年初頭に本作と同じタイトルの新作『STONE TEMPLE PILOTS』を発表しています。

 



▼STONE TEMPLE PILOTS『STONE TEMPLE PILOTS (2010)』
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2020年4月27日 (月)

KEITH RICHARDS『CROSSEYED HEART』(2015)

2015年9月にリリースされたキース・リチャーズの3rdソロアルバム。

ソロ作品としては2010年に発表されたコンピレーション・アルバム『VINTAGE VINOS』以来5年ぶり、純粋な新作としては2ndソロアルバム『MAIN OFFENDER』(1992年)以来23年ぶり(!)の本作。オリジナル作品としては全15曲(日本盤は16曲)、60分前後と過去最長ですが、中身的には前2作と何も変わっておりません。

プロデュースを手がけるのは、キース本人と過去2作を共同制作してきたスティーヴ・ジョーダン。レコーディングには基本的にキースのバンドであるTHE X-PENSIVE WINOSの面々が参加しているほか、バーナード・ファウラー(Cho)やアーロン・ネヴィル(Cho, Piano)、ピノ・パラディーノ(B)などのミュージシャンや、「Illusion」ではノラ・ジョーンズがソングライティング&デュエット・ボーカルで、「Love Overdue」の別バージョンにはリー・スクラッチ・ペリーがそれぞれゲスト参加しております(WINOSのチャーリー・ドレイトンは本作には不参加)。

『MAIN OFFENDER』から23年も経過していることに驚くと同時に、本作制作時点でキースが71歳という事実にも驚愕なわけでして。今の年齢を考えれば、本作で聴くことができるレイドバックしたユルユルのブルース&ロックンロールは年相応なわけですが、そもそも23年前の時点でやってること変わってないし、もっと言えばその20年以上前からさらに変わっていないんですよね(笑)。ミック・ジャガーの時代を読む力(時代と寝る力)とは真逆の、一度好きになったものは裏切らない一途な姿勢、本当にすげえなと思います。

音の質感的には過去2作(80〜90年代)と比べて全体的にコンプを効かせすぎていて、大音量で聴くと歪んで/潰れて聴こえることも少なくない。それでいてぼんやり・ふんわりさせた感触に最初は違和感を覚えますが(要はそういう現代的なサウンドメイキングが、キースがやりたいこと/ずっとやってきたことと乖離している証拠)、それも聴いているうちに慣れてくるものがあります。が、結局はデジタル音源(CD含む)ではなくアナログ盤を引っ張り出して聴いている自分がいるんですよね(アナログで聴くと、そのへんが若干抑え気味に感じるような)。

あと、「やっていることは今まで変わってない」と最初に書きましたが、楽曲自体の渋みは以前とは比べものにならないほどで、非常に地味です(笑)。キースも71歳とあって、声を張り上げるようなロックチューン皆無ですし、終始落ち着いた雰囲気で展開される世界観が60分近くも続くとさすがにキビしい……と感じるリスナーもいるかもしれません。しかし、これはそういうアルバムなのです。このユルさとじっくり向き合う優雅さこそが本作最大の魅力ではないかと、声を大にして断言したいと思います。

何かとイライラさせられることの多い昨今。今晩は本作をBGMに(音量は地抑えめにして)、アルコール摂取してみると……あら不思議。昼間に大音量で聴いていたときとは違って聴こえるんじゃないでしょうか。そういう、聴く場所とタイミングを選ぶ、贅沢な1枚です。

 


▼KEITH RICHARDS『CROSSEYED HEART』
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MICK JAGGER『GODDESS IN THE DOORWAY』(2001)

2001年11月に発表されたミック・ジャガーの4thソロアルバム。

ソロ名義では前作『WANDERING SPIRIT』(1993年)から8年9ヶ月ぶりのアルバム。同作以降、THE ROLLING STONESとして『VOODOO LOUNGE』(1994年)『BRIDGES TO BABYLON』(1997年)と精力的な活動が続き、それに伴うワールドツアーも大々的に行われていたので、ミック個人としてもアク抜き、もしくはインプットの意味でこのソロアルバムを制作したのでしょう。

ビル・ラズウェルやナイル・ロジャース(1st『SHE'S THE BOSS』)、デイヴ・スチュワート(2nd『PRIMITIVE COOL』)、リック・ルービン(3rd『WANDERING SPIRIT』)と毎回旬のプロデューサーを迎えて制作してきたソロ作ですが、この『GODDESS IN THE DOORWAY』ではストーンズでの仕事で知られるマット・クリフォード、AEROSMITHオジー・オズボーン、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルなど幅広いアーティストを手がけるマーティ・フレデリクセンとミック自身の3人による共同プロデュースで制作。楽曲の大半はミック単独で書かれたものですが、数曲でマット・クリフォードと共作、さらにロブ・トーマス(MATCHBOX TWENTY)、レニー・クラヴィッツ、ワイクリフ・ジョン(THE FUGEES)ともコラボしています。

前作がナマ感の強いバンドサウンドを軸にした作風だったのに対し、今作では曲ごとにバンドサウンドや打ち込みをセレクトした初期の路線に回帰。ただ、ポップス色濃厚だった『SHE'S THE BOSS』とも異なり、ゴスペルやソウル、ラテンなどのルーツミュージックを現代的に解釈した作風の、比較的地味な楽曲が揃った1枚に仕上がっています。

そういった意味では、過去3作と比較すると非常に肩の力が抜けているのが明確な作品かもしれません。それが、先のアク抜きにもつながり、ルーツミュージックの現代的解釈(および、さまざまなアーティストとのコラボ)がインプットになったのかなと。つまり、本作はアーティストとして制作することに意味を見出す、リスナー視点では評価の難しい1枚とも言えるでしょう。

もちろん、ミックが作っているんですから悪いわけがない。平均点以上の仕上がりですし、こちら側も今まで以上にリラックスして聴くことができる作品だと思います。でも、視点を変えると“アクの弱い”アルバムとも言えるわけでして。確かに、先のロブ・トーマスやレニー・クラヴィッツに加え、ボノ(U2)やジョー・ペリー(AEROSMITH)、ピート・タウンゼンド(THE WHO)といった豪華ゲストも多数参加しています。でも、そういったスタープレイヤーの華やかさが表出した作風というわけでもなく、過去のソロ作と比較してもどうにも影の薄い1枚とも言えるわけでして。

ライトリスナーにはオススメはしないけど、ストーンズファンなら聴いておいて損はしない。そんな1枚かもしれません。まあミックのソロに手を出すなんて、確実にストーンズにヤラれた人以外いないでしょうから(偏見です)。

 


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2020年4月26日 (日)

THE TEA PARTY『TRANSMISSION』(1997)

THE TEA PARTYが1997年8月に発表した4thアルバム。日本盤は同年10月末にリリースされました。

THE TEA PARTYはジェフ・マーティン(Vo, Gなど)、スチュアート・チャットウッド(B, G, Keyなど)、ジェフ・バロウズ(Dr)からなる、カナダ出身のトリオバンド。1990年に結成し、EMI Canada から発表された2作目『SPLENDOR SOLLS』(1993年)で本国にてブレイク。その後、RUSHのマネジメントと契約したことから、この『TRANSMISSION』はアメリカと日本ではRUSHのレーベルAnthem(当時の流通はAtlantic Records)からリリースされました。

トリオ編成と聞けばシンプルなアンサンブルをイメージするかもしれませんが、上に書いたメンバーの各パートからもおわかりのように、音源にはいろんな音が詰め込まれています。かつ、本作ではサンプリングをはじめとしたデジタル要素も強まり、クラシックロック的な手法とミックスさせることで新たなスタイルを確立させようとしていることが伺える。今の耳で聴くと手垢のついた手法かもしれませんが、この「LED ZEPPELIN的スタイルにモダンなテイストを散りばめる」やり方は1997年という時代においては非常に新鮮なものに映りました。

エキゾチックな旋律をギター・オーケストレーションなどで厚みを持たせたアンサンブルにて表現した楽曲群と、適度な熱を帯びたジェフ・マーティンの歌声が合わさった本作は、“グランジのその先”を感じさせるものでもあり、当時のHR/HMシーンではあまり見受けられなかった手法でもあったのかなと。軸にあるのはクラシックロックなのかもしれませんが、それを1997年当時の質感/テイストで表現した結果、クラシックロックからかけ離れた地平へと到達できた。だから、SOUNDGARDENのようなバンドと並列で語ることもできれば、NINE INCH NAILSDEPECHE MODEのようなアーティスト、あるいはOASISあたりのUKバンドとの共通点も見いだせる。本作は「どこにでもあるようで、実は唯一無二」な存在にまでバンドを導いてくれた、記念碑的な1枚と言えるんじゃないでしょうか。

なのに、リリース当時はここ日本でほとんど話題にならなかった本作。これは余談ですが、『TRANSMISSION』は前々作『SPLENDOR SOLLS』以来の日本盤リリースでしたが(『SPLENDOR SOLLS』は当時の東芝EMIから、今作はワーナーからのリリース)、実はTHE TEA PARTYキャリア最大のヒット作はその間に発表された3rdアルバム『THE EDGES OF TWILIGHT』(1995年)なんですよね。そこがポツンと抜け落ちた状況での日本盤化(しかもレーベルを変えての1作目)によって、当時のカナダでの状況を的確に伝えることもできず(今のようにインターネットが一般化する以前の話ですし)、すごく小さいパイの中で瞬間最大風速もそこまで大きくならないまま、カルト的な話題で終わってしまったんじゃないかな。事実、当時自分の周りでこのバンドのことを知っている人、皆無でしたから。

バンドは2005年に一度解散してしまいますが、2011年に再結成。一度もメンバーチェンジのない状態で現在まで活動を続けています。ここから日本で人気が盛り返すこともないでしょうし、せめてこの記事を読んだ人に「こんなバンドがいるんだ。20数年前にこういうアルバムが出て、カナダだけで20万枚以上も売り上げていたんだ」という記憶を刻み込むことができていたら本望です。

 


▼THE TEA PARTY『TRANSMISSION』
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I MOTHER EARTH『DIG』(1993)

1993年8月にリリースされたI MOTHER EARTHの1stアルバム。

I MOTHER EARTHはカナダ出身の4人組オルタナティヴロックバンド。本作はCapitol Recordsからのメジャーデビュー作で、日本でも当時「Rain Will Fall」のMVが伊藤政則氏の番組で紹介され、一部で注目を集めました。

グランジ・ムーズメント最盛期と言える1992〜93年にかけて、シアトルの外側からさまざまなポスト・グランジバンドが青田買いされましたが、彼らもその流れで世に広められた印象が強い。なので、グランジ視点で解釈すると「PEARL JAMの流れを汲む土着性の強いバンド」と捉えることもできるでしょう。

しかし、彼らの魅力はそういったリフ主体のシンプルなギターロックとは異なるところにあると思っていて、例えばアルバムでは「Rain Will Fall」の次に収録されている「So Gently We Go」で聴けるムーディーかつサイケデリック色の強いサウンドスケープからは、むしろ『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』(1991年)あたりでRED HOT CHILI PEPPERSが展開させたスタイルとの共通点を見つけることができるはずです。

そういう見方をすれば、先の「Rain Will Fall」で聴くことができるギターリフ/カッティングもグランジというよりも、ファンクを通過したそれと捉えることができるはず。また、SOUNDGARDENあたりのサイケデリアとも一線を画するものがあり、当時ひと足先にブレイクしていたBLIND MELONあたりと同じ枠で捉えるべきバンド/アルバムではないかと気づくことでしょう。

実はこのバンド、当時にグランジシーンにおけるオルタナティヴな存在だったのかなと。かつ、BLIND MELONほどの突き抜けたポップさが足りなかったこともあり、あの時代で多くの人に見つけられないまま見過ごされてしまった。ある意味“早すぎたバンド”だったのかもしれませんね。

ワンコードで引っ張る曲構成や要所要所でパーカッションやハモンドB3オルガンを強調したアレンジ、それにより1曲5分6分超えは当たり前で、ラストの「The Universe In You」なんて8分を超えてしまう。トータル12曲で68分というトータルランニングはアナログ時代なら2枚組相当の濃さですし、一見さんにはちょっとハードルが高い内容かもしれません。しかし、レッチリほど黒人音楽からの影響をそのまま出そうとせず、あくまで白人的観点で表現したサイケデリックファンクロックの数々は、リリースから30年近くを経た今聴いても新鮮に響くはずです。

CDはすでに状態ですが、中古ショップでこまめに探せばすぐに見つけられることでしょう。また、ストリーミングサービスでは過去のカタログから本作のみ聴くことができるので、もし本作で彼らにハマった方がいたら続く2ndアルバム『SCENERY AND FISH』(1996年)もぜひ聴いてほしいな。プログレ色も強まった(RUSHのアレックス・ライフソンもゲスト参加)、よりドープな内容に仕上がっているので、間違いなく“こっち側”に戻ってこられなくなるはずなので(笑)。

 


▼I MOTHER EARTH『DIG』
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2020年4月25日 (土)

TRIVIUM『WHAT THE DEAD MEN SAY』(2020)

TRIVIUMが2020年4月24日にリリースした通算9作目のオリジナルアルバム。

『THE SIN AND THE SENTENCE』(2017年)から2年半ぶりに届けられた本作は、前作から引き続きジョシュ・ウィルバー(LAMB OF GODSONS OF TEXASGOJIRAなど)をプロデューサーに起用。ジョシュは前々作『SILENCE IN THE SNOW』(2015年)でもミックス・エンジニアとして携わっているので、3作連続でバンドの制作に関わったことになります。作品ごとにプロデューサーを変えることの多いTRIVIUMですが、ジョシュとはそれだけウマが合ったということなのかもしれません。

事実、本作で聴くことができるサウンド/楽曲も『THE SIN AND THE SENTENCE』の延長線上にある仕上がりで、前作での経験をブラッシュアップし、無駄を削ぎ落としたシンプルで濃厚な形で届けられています。

思えば、『SILENCE IN THE SNOW』でいきなり王道メタル路線へと変化を遂げ、初期のエクストリーム路線からは道を外れたなと思ったものですが、続く『THE SIN AND THE SENTENCE』では前作での経験をなかったものとはせずに、その上に初期の攻撃性やエクストリームさをかぶせることで、1周したもののスタート地点とは別の位置に到達しているという成長ぶりを提示してくれた。そこからさらに2年半を経て、バンドは前作で掴んだ経験をより確かなものへと昇華させ、本作では今までの紆余曲折がすべて必要だったことを証明してみせたわけです。

アルバムは2分程度のインストナンバー『IX』で幕を開け、そのまま激情メタルチューン「What The Dead Men Say」へと続きます。リードトラック「Catastrophist」や「Amongst The Shadows & The Stones」など、いかにもTRIVIUMらしい複雑な展開を持つ6分前後の長尺曲もありつつ、『SILENCE IN THE SNOW』での経験が活かされたミディアムテンポの歌モノ「Bleeding Into Me」や、ツインリードが気持ち良い疾走チューン「The Defiant」など、過去にTRIVIUMが見せてきたさまざまなスタイルが各曲に集約されている。

本作のプレスリリースでマシュー・キイチ・ヒーフィー(Vo, G)は「過去、現在、そして未来のTRIVIUMの特有な要素が詰まっている。このアルバムで俺たちがやったことすべてが『TRIVIUMのサウンド』だと言えるだろう」、コリィ・ビューリー(G)も「俺たちは前作で築いたものを土台にしてアルバムを作りたかった。今作はTRIVIUMの要素がすべて詰まっている」と語っていますが、本当に今作はTRIVIUMというバンドの集大成であり、次の10年を見据えた“新たなスタンダード”的傑作ではないでしょうか。

また、本作が非常に興味深いのは全10曲/46分という非常にオーソドックスな形でまとめられていること。オープニングのインストを除くと、歌モノ楽曲は実質9曲。3分台のナンバーも2曲ほど収められていますが、基本的には5分前後の複雑な展開を持つアグレッシヴな楽曲が中心で、6分台も2曲含まれている。今やストリーミング主流で、アルバムという形はほぼ意味を成さなくなってしまいましたが、それでもこうした昔ながらの形にこだわるところにも、彼ららしいメタル愛が感じられるのではないでしょうか。気持ち的には、これはぜひアナログ盤(もしくはカセットテープ!)でも聴いてみたいですね。うん、傑作です!

 


▼TRIVIUM『WHAT THE DEAD MEN SAY』
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TRIVIUM『SILENCE IN THE SNOW』(2015)

2015年10月にリリースされたTRIVIUMの7thアルバム。

DISTURBEDのフロントマン、デヴィッド・ドレイマン(Vo)をプロデューサーに迎えた異色作『VENGEANCE FALLS』(2013年)から2年を経て届けられた本作では、新たなプロデューサーとしてマイケル・“エルヴィス”・バスケット(ALTER BRIDGEcoldrainスラッシュなど)を起用。ミックス・エンジニアにはジョシュ・ウィルバー(LAMB OF GODHATEBREEDGOJIRAなど)という現在のモダンメタル・シーンにおけるトップ・エンジニアたちとタッグを組んで、“新しいTRIVIUM”をリスナーに届けてくれました。

アルバム名といい、そのタイトルからイメージさせたアートワークといい、そしてアルバム序盤(特にオープニング「Snøfall」からM-3「Blind Leading The Blind」まで)の流れといい、叙情的な空気で包み込まれた作風は確かにこれまでのTRIVIUMにありそうでなかったタイプ。スクリームを完全に排除し、流麗でエモーショナルなメロディをドラマチックに演出する演奏は、ヨーロッパ圏や日本では非常に好まれるスタイルではないでしょうか。そういえば、インスト「Snøfall」ってバンドによるオリジナル曲ではなく、EMPERORのフロントマンにしてソロでも活躍するイーサーンの書き下ろしナンバーなんですよね。そのへんもこのスタイルに大きく影響しているんでしょうか。

かと思えば、M-4「Dead And Gone」以降はモダンメタル的なヘヴィネスを味付けに用いた、非常に現代的な楽曲も飛び込んでくる。けれど、スクリームに頼ることなく、すべてを歌とメロディで伝えようとする姿勢からはある種の“縛り”のようなものも感じられます。

メロディやアレンジの要所要所からは、往年の“ジャパメタ”を彷彿とさせる色合いも見え隠れする。このへんはキイチくん(マシュー・キイチ・ヒーフィー/Vo, G)のルーツも大きいのかな。コリィ・ビューリー(G)も本作の影響に対してRAINBOWBLACK SABBATHDIOあたりの名前を挙げており、タイトルトラックは『SHOGUN』(2008年)の頃にあったアイデアだけど、当時の音には合わなかったからボツにしていたと発言しているので、いつかこういった“縛り”に挑戦してみたかったんでしょうね。

全体的に落ち着いた作風で、ハードロックや王道ヘヴィメタル的な側面の強い1枚かもしれません。そしかし、の要素をより現代的な形で届けることは、往年の過激なサウンドを好むリスナーには受け入れがたい作風でもあるのかなと。でも、気づくと聴いているんですよね、このアルバム。バンドのキャリア的には実験色の強いものかもしれませんが、ヘヴィメタルバンドとしての主張が今まで以上に強く表出した、胸を張ってオススメしたい1枚です。

 


▼TRIVIUM『SILENCE IN THE SNOW』
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2020年4月24日 (金)

TESTAMENT『DEMONIC』(1997)

1997年6月にリリースされたTESTAMENTの7thアルバム。日本盤は1ヶ月遅れで発売されています。

音楽性を初期のスラッシュメタル路線から時代に合わせたグルーヴメタル/モダンヘヴィネスへと接近させた前作『LOW』(1994年)リリース後にメジャーのAtlantic Recordsからドロップ。また、ジェイムズ・マーフィー(G)やグレック・クリスチャン(B)、ジョン・テンペスタ(Dr)といった主要メンバーも相次いで脱退してしまいます。チャック・ビリー(Vo)と唯一のオリメンであるエリック・ピーターソン(G)の2人のみが残されたバンドは、事実上の活動休止状態に。これを受け、TESTAMENTとは異なる名義で時代に寄り添ったヘヴィなアルバムを制作するのですが、結果としてそれはTESTAMENT名義で世に放たれることとなったのでした。

チャック、エリックにデリック・ラミレズ(B)、ジーン・ホグラン(Dr)、グレン・アルヴェライス(G/1曲のみ参加)という新たな布陣でレコーディングに臨んだそのアルバムこそが、リリース当時賛否両論を巻き起こした『DEMONIC』というアルバム。『LOW』で接近したモダンなスタイルをより激化させたサウンドからは、もはや80年代の面影は一切感じられません。それを象徴するのが、チャックの歌唱スタイルの変化。前作の時点ですでに見え隠れしていましたが、本作ではほぼデス声で叫んでおり、当時何も知らずに本作を聴いてこれがTESTAMENTの新作だと気づく人はほとんどいなかったはずです。

だからといって、本作が駄作かと問われるとまったくそんなことはなく、ミドルテンポを軸にしつつも重戦車のように突き進むジョン・テンペスタのドラミングの素晴らしさと、そこにTESTAMENT“らしい”不穏なギターフレーズの数々が乗ることで不思議な高揚感を覚えるはず。確かに時代的にも“後追い”感は否めませ。曲によってはやれどのバンドに似ている、あのバンドの二番煎じという声も聞こえてきそうですが、それでも1曲1曲のクオリティは平均以上で、「Demonic Refusal」や「The Burning Times」「John Doe」「Murky Waters」「Hatred's Rise」など今でも十分に通用する良曲豊富な1枚。TESTAMENTの歴史上真っ先に聴くべき1枚ではないものの、2000年代以降の彼らを語る上では欠かせない重要な作品だと思います。

日本盤は当時バンダイ・ミュージックエンタテインメントからリリースされましたが、のちに同レーベルが閉鎖されたことにより国内盤は廃盤が続いています。また、海外でもしばらくコンピなどで数曲聴ける程度だったところ、2018年に新たなアートワークで再発。残念ながら国内ストリーミングサービスでは聴くことはできない1枚ですが(というか90年代後半から2010年代前半の諸作品が聴けないのは残念すぎる)、機会があったらぜひ手に取ってほしいな。

 


▼TESTAMENT『DEMONIC』
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TESTAMENT『THE RITUAL』(1992)

1992年5月に発表された、TESTAMENTの5thアルバム。

表題曲MVがMTV「Headbangers Ball」でヘビロテされたことで、アルバム自体も初の全米トップ100入り(77位)を果たした3作目『PRACTICE WHAT YOU PREACH』(1989年)、続く4thアルバム『SOULS OF BLACK』(1990年)も全米73位とまずまずの成績を残したTESTAMENT。1987年のメジャーデビュー以降、アルバムを年に1枚とコンスタントにリリースを続けてきましたが、初めて1年7ヶ月という(彼らにしては)長いスパンをかけて完成させた5作目は、バンドにとって新たな挑戦がぎっしり詰め込まれた1枚となっています。

まず、本作の興味深いところはスラシュメタルから距離を取り、正統派HR/HMへと接近したことでしょう。直近の2作でその予兆はあったとはいえ、ここまで潔く舵を切るか……と当時は驚いたものです。

初期3作を手がけたアレックス・ペアリアスから初めてマイケル・ローゼン(FORBIDDEN、LAAZ ROCKIT、MORDREDなど)へとプロデューサーを変更した前作『SOULS OF BLACK』を経て、今作では新たにトニー・プラット(CHEAP TRICKDIO、VOW WOWなど)、ミックス・エンジニアにはナイジェル・グリーン(IRON MAIDENDEF LEPPARDAC/DCなど)というメジャー感の強い人選で制作に臨んでいます。

それもあってか、確かにサウンドの密度が過去4作とはまったく異なるものに。音圧の高さ、音数の多かったスラッシュ路線を排除したことにより、全体的にクリーンな音質で1音1音をより明確にさせるような音像/ミックスが施されており、それによりチャック・ビリー(Vo)のボーカルやアレックス・スコルニック(G)のギターソロがより際立つようになっています。

また、チャックの歌うメロディラインも明確にわかりやすいものへと昇華されており、単調さが目立ちマンネリ感が否めなかった前作からかなりの進歩が見られます。それらのメロディをより有効活用するために、テンポもグッと落とし、リードトラック「Electric Crown」のノリの良さ、「So Many Lies」や「Deadline」で展開されるグルーヴィーさ、「The Ritual」「Return To Serenity」といったバラード調の楽曲で強調されるエモさなど、ミドルテンポの中でもさまざまな工夫が用意されています。

正直、TESTAMENTの諸作品中もっとも刺激の少ないアルバムなのは否めませんが、「Electric Crown」や「Return To Serenity」のような楽曲を聴くと当時の彼らは“新世代のJUDAS PRIEST”になりたかったのかな……と。当の本家は逆に『PAINKILLER』(1990年)を経てよりスラッシュ/エクストリーム化が進んでいたわけですが。

アルバム自体は全米55位と、グランジ全盛の中大健闘。しかし、本作を最後にアレックス、ルイ・クレメンテ(Dr)が相次いで脱退し、いわゆる全盛期ラインナップは崩壊してしまいます。変化の代償はかなり大きかったようですね。

 


▼TESTAMENT『THE RITUAL』
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2020年4月23日 (木)

FEAR FACTORY『OBSOLETE』(1998)

FEAR FACTORYが1998年7月にリリースした3rdアルバム。

インダストリアル風味のモダンヘヴィネス・サウンドが展開された前作『DEMANUFACTURE』(1995年)が、ここ日本を含む世界中のHR/HMシーンで高く評価され、さらに『Ozzfest』出演(1996年)などを経て一気に知名度を高めることに成功したFEAR FACTORY。続く本作は全米77位と、初めてBillboard 200にチャートインを果たし、現在までに50万枚以上を売り上げる人気作に。バンドの人気を確実に決定づけた“ダメ押し”の1枚です。

“機械文明 vs 人間”をテーマにした前作から引き続き、本作も同様のモチーフでSF的側面を描いたコンセプチュアルな作品。とはいえ、よくある「曲間をセリフなどのインタールードでつなぐ」的作りとは異なり、(要所要所でSE的なものは挿入されるものの、怒涛の構成をぶった切るようなことは一切ない)ひたすらモノトーンで冷徹な轟音で、時に無感情に、時にエモーショナルに各曲が表現されていきます。

いわゆるスラッシュメタル的なスピード感は前作よりも劣るものの、1998年というラップメタル/グルーヴメタル主流の時代にフィットしたミドルテンポの楽曲を軸にした作風は、アルバムのトーンをひとつにまとめるという点において見事に成功しているのでは。そこにアップライト・ベースを用いることでヒップホップ的テイストが加わった「Edgecrusher」や、いかにも彼ららしいスペーシーなメロディ&ボーカルが乗った「Securitron (Police State 2000)」、跳ね気味のリズムとキャッチーなメロディの融合が不思議な浮遊感を醸し出す「Descent」など、1曲1曲が異なる個性を放つことでモノトーンの中にもグラデーションを生み出だしています。

バートン・C・ベル(Vo)のデスボイスを用いたスクリームとクリーントーンによるメロウパートの対比は前作以上にくっきり際立つような作りですし、ディーノ・カザレス(G)&レイモンド・ヘレーラ(Dr)、そしてクリスチャン・オールド・ウォルバース(B)が繰り出すゴリゴリでヘヴィなリフ、かつ機械のように息の合ったシンコペーションも前作以上のノリを醸し出している。ですが、ひたすら機械的な印象が強かった『DEMANUFACTURE』と比べると、同じひんやりした演奏の中からも不思議と人間味が感じられる。「Freedom Or Fire」での打ち込みを同期させながらも躍動感の強さを感じさせるビートはまさにそれで、そのへんの対比含めて実は前作と合わせて語るべき1枚なのかもしれません。

昔は「FEAR FACTORYといえば『DEMANUFACTURE』!」というイメージを強く持っていて、一番好きなアルバムも同作だったりしたのですが、現在は何気に今作こそがFEAR FACTORYの入門編に最適なアルバムでは?と思っています。というか、この時期のFEAR FACTORYにはハズレなしなので、どっちから入ったとしても絶対にハマってもらえるはずです。

 


▼FEAR FACTORY『OBSOLETE』
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STRAPPING YOUNG LAD『HEAVY AS A REALLY HEAVY THING』(1995)

デヴィン・タウンゼンド率いるバンド/プロジェクト・STRAPPING YOUNG LADの1stアルバム。海外では1995年4月、日本では同年7月にリリースされました。

スティーヴ・ヴァイとのプロジェクトVAI、THE WiLDHEARTSのサポート・ギタリストを経てようやくたどり着いた、デヴィンのリーダー・プロジェクト。VAIの時点でもその奇才ぶりは相当発揮していたと思いますが、実はあんなもんじゃなかった!ということを、このアルバムを通じて嫌というほど思い知らされることになります。

レコーディングではデヴィンはボーカル、ギター、キーボード、プログラミングのみならず、ミックスやエディットまで担当。ギターの一部をプロジェクト終了までデヴィンとタッグを組むことになるジェド・サイモン、ドラムをエイドリアン・ホワイトという、その後正式メンバーとなる布陣が参加しております。

『超怒級怒濤重低爆音』と名付けられた邦題に、聴く前から度肝を抜かれるかと思いますが、いざ聴いてみればそれも納得のタイトルだと気づくはずです。なんでしょうね、この爆音の壁(笑)。フィル・スペクターが手がけるサウンドに対して“Wall of Sound”なんて呼ばれていますが、さしずめ本作で表現されているのは“Wall of Heavy & Loud Sound”といったところでしょうか。オープニングの「S.Y.L.」からして、音の隙間が一切見当たらない爆音に次ぐ爆音の嵐で、そこにどこかサイケデリックでスペーシーなボーカルが乗る。むちゃくちゃヘヴィなくせして、しっかりキャッチーさが備わっているんですよね。

だから、爆音で鳴らし続けていても苦痛じゃない(いや、この手の音楽が苦手な人には苦痛以外の何ものでもないでしょうけど。苦笑)。かつ、曲と曲のつなぎが自然なので(要は音の切れ目がない)、頭から数曲はまるで組曲のようにも感じられるのです。

VAI時代からもともとギタリストとして自身をアピールしたかったデヴィン、このアルバムではものすごい音圧の“ディストーション・ギターの壁”を作っています。しかも、軸になるリズム(ドラム)もブラストビート的なすごいテンション&BPMで叩き続ける。「Cod Metal King」のように打ち込みビートを用いたナンバーも用意されていますが、これなんて“NINE INCH NAILSがデスメタルを演奏した”かのような仕上がりですし。演奏もボーカルも終始カオスの塊なのに、それでいて聴き手を飽きさせないキャッチーなメロディも随所に散りばめられている。なんでしょうね、この絶妙なバランスは。今の耳で聴いても十分にヘヴィでキャッチーな、強烈なメタルアルバムです。

デヴィン・タウンゼンドという男の才能が完璧な形で凝縮された本作。実は、その才能はさらに多岐にわたることを、その後展開される数々のプロジェクトでさらに思い知らされるわけですが、それはまた別の機会に。

なお、日本盤や海外リイシュー盤にはJUDAS PRIESTのカバー「Exciter」などを追加収録。同曲はストリーミングでも聴くことができるので、アルバム同様に『UNLEASHED IN THE EAST』(1979年)でのライブバージョンをさらにアグレッシヴにアレンジしたカバーをお楽しみください。

 


▼STRAPPING YOUNG LAD『HEAVY AS A REALLY HEAVY THING』
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2020年4月22日 (水)

VAI『SEX & RELIGION』(1993)

1993年7月に発表された、スティーヴ・ヴァイの新プロジェクトVAI唯一のアルバム。ヴァイのソロ作品としてカウントすると、通算3作目のスタジオアルバムに当たります。

1990年秋にWHITESNAKEがライブ活動を停止すると同時に、バンドを離れたヴァイは前作『PASSION AND WARFARE』(1990年)に続くアルバムの準備に取り掛かります。ここでヴァイは自分と肩を並べる“バケモノ級”アーティストを求め、T.M.スティーヴンス(B)&テリー・ボジオ(Dr)という強烈なリズム隊とタッグを組むことに。さらに、当時無名だった若干21歳のデヴィン・タウンゼンド(Vo, G)を発掘し、最終的にはVAIというバンド(プロジェクト)名でアルバムを完成させ、ツアーに臨むことになります。

全13曲(日本盤のみ14曲)中、インストは3曲。つまり、10曲が歌モノというヴァイの作品としては異色の内容。しかも、内1曲(ラストの「Rescue Me Or Bury Me」)ではヴァイ自身がボーカルも担当しています。作曲はもちろん、作詞まで含めて (2曲を除いて)すべてヴァイが手がけるという点にでは、歌われる内容やメッセージまで含めて彼の作品であるわけで、歌と言葉で何かを伝えようとする意識の変化には興味深いものがあるなと、リリース当時感じていました。

アルバムを聴くとまず何より、デヴィンというボーカリストの力量に驚かされるはずです。今やSTRAPPING YOUNG LADやDEVIN TOWNSEND PROJECTでお馴染みのデヴィンですが、声域の広さやパワフルさと繊細さを併せ持つ表現力、マイク・パットン(FAITH NO MORE)にも匹敵する変態性(ラップボーカルやスクリーム、さらにオペラボーカルまで)は、今まで出会ったことのないタイプで、正直どう捉えていいのかわからなかった記憶も。しかも、ヴィジュアルがアレじゃないですか(笑)。「あ、ヴァイやボジオと渡り歩くくらいだから、やっぱりヤバイ人なんだ」と(苦笑)。

「『PASSION AND WARFARE』に変態的なボーカルを乗せるとこんなふうになるのね」という内容は、歌モノロック/メタル観点で捉えれば若干の敷居の高さを覚える作風ですが、プレイヤー視点で聴くとギター、ドラム、ベースそれぞれのハイテクさに耳と心を奪われるはず。そういった意味では、80年代前半の“ニューウェイヴ期”のKING CRIMSONに通ずるものもあると、個人的には感じています。

序盤の「In My Dreams With You」や「Still My Bleeding Heart」で魅せるポップネスと、「Dirty Black Hole」でのセバスチャン・バック(ex. SKID ROW)ばりのシャウト&スクリームとのギャップ、ハンパないです(笑)。MVも制作された終盤の山場「Down Deep Into The Pain」からヴァイ自身が歌う「Rescue Me Or Bury Me」へと続く最後の構成など、とにかく最初から最後まで沸点みたいな変態度の高い1枚です。

 


▼VAI『SEX & RELIGION』
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STEVE VAI『PASSION AND WARFARE』(1990)

1990年5月に発表されたスティーヴ・ヴァイの2ndアルバム。

イングヴェイ・マルムスティーンの後任としてALCATRAZZに加入したことで、メタルファンにその名を知らしめたスティーヴ・ヴァイ(もちろん、それ以前にはフランク・ザッパ門下生というキャリアがあるわけですが、HR/HM観点では今回は割愛)。その後、デヴィッド・リー・ロスとのコラボレーションでさらに知名度を上げ、1989年にはWHITESNAKEに加入して多くのファンを驚かせます。

このソロアルバムはWHITESNAKEの『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)参加後に発表されたものですが、ALCATRAZZで名を上げてから初めてリリースされるソロアルバムでもありました。そういった意味でも、本作に対する注目度は当時かなり大きなものがありました。

それもあってか、WHITESNAKEのツアー中に発表された本作は全米18位と、インスト・アルバムにも関わらず大ヒットを記録。WHITESNAKEのライブでも本作から「For The Love Of God」と「The Audience Is Listening」がソロコーナーで披露されたことは、今でもよく覚えています。

さて、気になる内容ですが、先に書いた「スティーヴ・ヴァイというギタリストの原点」を考えれば納得のいくテイストで、全編HR/HMリスナーを満足させるような作りではないかもしれません。テイストのひとつにハードロックが用意されているだけで、実はジャズやフュージョンの要素も随所から感じられるし、インドなど東洋からのテイストも散りばめられている。それらがプログレッシヴなバンドアンサンブルで構築されることによって、「クセは強いのに意外と聴きやすい」作品へと昇華されているわけです。

その聴きやすさの要因に、色彩豊かなギターのサウンドメイクも付け加えられるはず。ALCATRAZZやデヴィッド・リー・ロス、あるいはWHITENAKE『SLIP OF THE TONGUE』を通過したリスナーなら、耳馴染みのあるカラフルなギターエフェクトが全編で感じることができ、そこも親しみやすさに一躍買っているのではないでしょうか。

アルバム中盤の「For The Love Of God」「The Audience Is Listening」を大きな山場として用意し、そこへ向けて、あるいはそれ以降も気持ちが盛り上がっていけるような、バラエティに富んだ楽曲が用意され、それらの曲順が緻密に考えられている。そこも含めて、スティーヴ・ヴァイという奇才らしい1枚と言えるでしょう。

ボーカルナンバーは皆無ですが、スティーヴ・ヴァイというギタリストに少しでも触れたことがあるリスナーなら、間違いなく響くはずの1枚。かつ、昨今のメタルコアやジェントなどのヘヴィ系ギターにも通ずる要素満載なので、何気に幅広い層にアピールできる良盤だと思っております。

 


▼STEVE VAI『PASSION AND WARFARE』
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2020年4月21日 (火)

JOE SATRIANI『SURFING WITH THE ALIEN』(1987)

1987年10月にリリースされたジョー・サトリアーニの2ndアルバム。日本盤は翌1988年5月に発売されています。

ジョー・サトリアーニの出世作にして、ギターインスト・アルバムの概念を大きく変えた記念碑的作品と断言してもいいくらい、ロックやHR/HMの視点で楽しめるインストアルバムです。

当時、日本でのサトリアーニの評判は「スティーヴ・ヴァイの師匠」や「METALLICAのカーク・ハメットが教え子」といった話が先行し、一部のコアなリスナーやプレイヤー以外にその音楽やプレイにまで注目が行き届いていなかった印象があります。しかし、1988年3月にミック・ジャガーが初来日した際、そのバンドメンバーとしてサトリアーニが初来日。ミックやROLLING STONESの曲を弾くことがメインではあったものの、ここで初めて彼のプレイを目の当たりにした人は多かったはずです(当時、フジテレビのゴールデンタイムでライブの模様が放送されましたしね。僕も音楽誌ですでに名前は知っていたものの、ここで初めて“動くサトリアーニ”と対面しました)。

特に日本では、その来日の直後に本作が初リリースされたこともあり、いい流れで高評価につながったような記憶があります。僕もレンタルだったか、友人に借りたかで本作に触れて、その“聴きやすさ”に驚きましたし。

ヴァイやカークの師匠というキーワードが先行して、音を聴く前はどうしてもキワモノ感が拭えませんでしたが、本作で展開されているプレイや楽曲は変態的なものとは少し距離を置いた、テクニカルだけど非常にまっとうなロック。むしろ、タッピングなどの速弾きやアーミングに関してはエディ・ヴァン・ヘイレンからの影響が強いよね?とすら感じたほど。そう、だからハードロック耳の僕でもすんなり入っていけたんだと思います。

冒頭のタイトルトラックこそ打ち込みリズムでチープさが否めませんが、これでもか!と弾き倒すハードブギー「Satch Boogie」は問答無用のカッコよさ。VAN HALENを愛するリスナーなら絶対嫌いになれない1曲です。

かと思えば、クラシカルなオーケストレーションを用いた「Hill Of The Skull」やセンチメンタルさが際立つ「Circles」、エレクトリック・シタールを用いたフレーズにヴァイとの共通点を感じずにはいられない「Lords Of Karma」など、クセと個性の強いナンバーも用意。40分に満たない程よいトータルランニング含め、ギターインスト初心者にうってつけの1枚だと思います。

楽曲のポップ度という点においては、本作以降どんどん磨きがかかっていきますが、トータルでの“サトリアーニらしさ”は本作がベスト。マーベルコミックのシルバーサーファーを起用したジャケットは2018年の権利切れで差し替えになってしまいましたが、当時のアートワーク含めキャッチーさが際立つ傑作です。

 


▼JOE SATRIANI『SURFING WITH THE ALIEN』
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JEFF BECK WITH TERRY BOZZIO AND TONY HYMAS『JEFF BECK'S GUITAR SHOP』(1989)

1989年10月にリリースされた、ジェフ・ベックのソロ名義で5作目のスタジオアルバム。JEFF BECK GROUPやBECK, BOGERT & APPICEでの活動も含めると、通算10作目のスタジオ作品となります。

僕自身が初めて手にしたジェフ・ベックのアルバムはこれでした。当時高校3年生、受験勉強の最中でしたが、よくアルバム(をダビングしたカセット)をリピートしていた記憶があります。インストものなので、言葉や歌が耳に入ってこないので、勉強が捗ったなぁ……(ウソ。個々のプレイに惹きつけられて、ギターを手にしてコピーにトライしていたような)。

テリー・ボジオ(Dr)、トニー・ハイマス(Key)というトリオ編成で制作された本作は、ジャケットやそのタイトルから想像できるような「ギターインストの改造工場」みたいな内容で、オープニングの「Guitar Shop」やCMソングにも起用された「Stand On It」のようにどこか機械的な印象を受けるクールなナンバーと、「Where Were You」みたいにベックのエモーショナルなギターを前面に打ち出したスローナンバー、「Savoy」や「Behind The Veil」での肉感的なアンサンブルなど、ギターサウンド/ギタープレイ/ギターインストを新たな次元へと昇華させようとする強い意思が感じ取れます。

そういった「従来のギターインスト・アルバムから離れよう」とする姿勢が、普段あまりその手の作品を聴いていなかった当時高校生の自分にもヒットしたんでしょうね。もちろん、そこは盟友トニー・ハイマスの手腕と、奇才テリー・ボジオのテクニック/アイデアが良い方向に作用したことも大きな要因ですし、なによりも最新のテクノロジーやサウンドと向き合うベックの好奇心旺盛なスタイルがあってこそ。僕自身がギターを弾く上では、テクニック的にまったくといっていいほど影響を受けていないジェフ・ベックですが、自分が音楽をする際にギタリストに求めるもの、あるいはリスナーとしてギタリストに求めるものとしては“ジェフ・ベック的なもの”の比重は非常に大きく、そのベースになっているのは確実にこの1枚だと確信しております。

だから、彼のアルバムの中でも格別に好きなのは『WHO ELSE!』(1999年)以降の作品ばかり。JEFF BECK GROUPを聴くのはコージー・パウエル(Dr)目当てですからね(苦笑)。

リリースから30年以上経過した今聴くと、すでにテクノロジー的にも前時代なものに感じますし、若干バブリーなサウンド面にも時の流れを感じずにはいられませんが、それでも“あのタイミングに、この3人にしか作り上げられなかった奇跡”であることには変わりありません。普段メタリックな音楽を愛聴しているリスナーにもストレートに響く、ギターインスト・アルバムの傑作のひとつです。

 


▼JEFF BECK WITH TERRY BOZZIO AND TONY HYMAS『JEFF BECK'S GUITAR SHOP』
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2020年4月20日 (月)

VAN HALEN『TOKYO DOME LIVE IN CONCERT』(2015)

2015年3月末にリリースされた、VAN HALENにとって2作目となるライブアルバム。コンピやボックスセットを除く公式作品としては2020年4月現在、本作がバンドにとって最新かつ最後のアイテムです。

タイトルからもおわかりのとおり、本作は2013年6月21日に実施された東京ドーム公演から、(映像を使ったインターバルなどを除いて)当日披露された全25曲を完全収録したもの。なぜライブから2年近くも経ち、しかもこの日本公演の音源をリリースすることになったのかは諸説ありますが、恐らく同年夏に予定されていた最新ツアーを前に新しいアイテムを発表しようとした結果、一番手軽に発表できる音源がこれだったというのが本当のところみたいですね(当初は未公開のデモ音源をリマスタリングして発表する予定もあったようですが、元音源の紛失が発覚したという話もありましたし)。

このライブには僕も足を運んでいますが、初めて観る「デヴィッド・リー・ロスが在籍するVAN HALEN」に会場でめちゃめちゃ興奮した記憶があります。行く前は「マイケル・アンソニー(B)いないし、完全な形じゃないのでテンション下がるわー」とか言ってたくせに、ステージで見せるデイヴの完璧なパフォーマンスに圧倒され、溜飲が下がったわけですよ。

サミー・ヘイガー在籍時唯一のライブアルバム『LIVE: RIGHT HERE, RIGHT NOW』(1993年)では大半がスタジオで再録音されたという話ですが、本作はどうなんでしょう。上記のような事情を考えれば、そこまで大きな“修正”は行われていないのではないかと思いますが……。

選曲自体は、当時の最新作『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』(2012年)からの楽曲は3曲に抑え、『VAN HALEN』(1978年)から『1984』(1984年)までの6作からの代表曲をバランスよく選出た印象。CDで冷静に聴いてみても、構成もそこまで悪くないかなと感じます。日本でのライブらしく、というか日本での生活がそこそこあるデイヴらしく、曲中の煽りがイミフなカタコト日本語なのもご愛嬌。とはいえ、「Everybody Wants Some!!」での緊張感ある演奏の合間に「ニホンゴガヘタデスミマセン。ニホンゴガヘタクソデスミマセン。デモ……ナニヲカンガエテイタンダ?」なんて素っ頓狂な日本語が飛び込んでくると、思いっきりズッコケてしまいますけどね(笑)。

このアルバムを評するに当たって、デイヴのボーカルの関して「昔より歌えていない」とか「衰えた」なんて声も多いですが、それに対しては反論を。当日のライブを観た人ならおわかりのとおり、当時すでに60歳に近づいていたデイヴはこの日も2時間フルで動いていましたし、そのパフォーマンスは圧巻の一言。それをこなしながら20曲以上も歌っているわけですから、そこを差し引いても大健闘だと思いますけどね。つうか還暦間近のお爺ちゃんに何を求めているんだよ。そんなんだったら昔のブートレグ聴いていろよ、と。

……おっと、言葉が荒くなってしまいましたね。何はともあれ、デイヴ在籍時唯一のライブ作品ですし、もはや復活も望めそうがない今はこれをありがたく楽しませていただきたいと思います。リリースから5年経ちましたが、無心で楽しめる最高の「デイヴ期グレイテストヒッツ・アルバム」ですので。

 


▼VAN HALEN『TOKYO DOME LIVE IN CONCERT』
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VAN HALEN『LIVE: RIGHT HERE, RIGHT NOW』(1993)

1993年2月に発表されたVAN HALEN初のライブアルバム。

今ほど映像作品が安価で流通していなかった80年代、デヴィッド・リー・ロス在籍時のライブ作品は公式リリースされることはありませんでした。しかし、サミー・ヘイガーにフロントが代わってから、初のライブビデオ(当時はVHSでしたね)『LIVE WITHOUT A NET』(1987年)をリリース。『5150』(1986年)からはMVが1本も制作されたなかったこともあり、このライブ映像は“動くVAN HAGAR”を目撃できるという意味で、非常に重宝しました。また、日本のファンは1989年初頭の“VAN HAGAR”初来日時(『OU812』ツアー)の東京ドーム公演が、当時テレビ朝日で深夜に放送されたものを録画して、それこそビデオテープが擦り切れるほど楽しんだのではないでしょうか(僕もそのひとりですが)。

で、作品としては『LIVE WITHOUT A NET』に続いて発表されたのが、1993年1月発売の『LIVE: RIGHT HERE, RIGHT NOW』というライブビデオ。全17曲入りで120分という、『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』(1991年)を携えたツアーの様子をまるまる楽しめるという、非常に画期的な映像作品でした(DVDが登場する以前はビデオテープ主流だったこともあり、2時間を超えるライブがまるまるリリースされることは少なく、60〜90分程度に編集されることが多かったのです)。

今回紹介するライブアルバムは、このライブ映像作品のCD版ということになりますが、収録曲数は24曲と映像版より7曲多い構成。つまり、ツアーで披露された楽曲を網羅するような“いいとこ取り”な内容、要するに“1993年時点でのVAN HAGARグレイテストヒッツ”的作品に仕上がっているわけです。

なので、大ヒットした『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』からの楽曲群を軸に、「When It's Love」や「Dreams」「Love Walks In」「Finish What Ya Started」といったサミー期のヒット曲も楽しめ、なおかつ「Ain't Talkin' 'Bout Love」「Panama」「You Really Got Me」「Jump」というデイヴ期の代表曲、さらには「One Way To Rock」「Give to Live」といったサミーのソロナンバー(日本盤初版にはボーナスディスクで「Eagles Fly」も楽しめました)や、ここでしか聴けないTHE WHOのカバー「Won't Get Fooled Again」も堪能できる、至れり尽くせりなセットリストなのですよ。

『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』ツアーなので同作からの楽曲が多いのは致し方ありませんが、それでも来日が実現しなかった1991年当時の“脂の乗ったプレイ”を存分に味わえるという意味では、あの頃本作が果たした役割は非常に大きなものがありました(実は、演奏や歌の大半はあとからスタジオ修正/再録音されていることを、のちにサミーが明かしているのですが……)。アンディ・ジョーンズ特有のモワッとした、クセの強いミックスは2020年に聴くとちょっとアレですが、結局サミー在籍時のライブ作品はこれが最後(CDではこれが最初で最後)だったので、今となっては非常に貴重なアイテムと言えるかもしれませんね。なんだかんだで好きなライブアルバムです。

 


▼VAN HALEN『LIVE: RIGHT HERE, RIGHT NOW』
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2020年4月19日 (日)

VAN HALEN『THE BEST OF BOTH WORLDS』(2004)

2004年7月にリリースされた、VAN HALENにとって2作目のベストアルバム。

初のグレイテストヒッツ・アルバムとなった『BEST OF VOLUME 1』(1996年)から8年ぶりのベスト盤ですが、その間にバンドが発表した新作は三代目ボーカルのゲイリー・シェローン(EXTREME)が参加した『VAN HALEN III』(1998年)のみ。しかも、ゲイリーはその後しばらくして脱退しております。どうしてそんなタイミングにまたベスト?という経緯は、実は2004年当時に書いた『5150』(1986年)レビューに記されております。

つまり、ゲイリー脱退→ボーカル不在時にエディ・ヴァン・ヘイレンの舌癌発覚で活動休止→サミー・ヘイガー復帰&ツアー実施→ツアーに向けた新しいアイテムが必要→新曲作ろうぜ、ということでこのお手軽ベストが用意されたわけです。なので、同じベストでも『VOLUME 2』にはならなかったわけですね。

とはいえ、その内容はCD2枚組ということもあり全キャリアを網羅するような大ボリューム。デビュー作『VAN HALEN』(1978年)からサミー在籍時ラスト作となった10thアルバム『BALANCE』(1995年)までのオリジナル作に、当時バンド唯一のライブアルバムだった『LIVE: RIGHT HERE, RIGHT NOW』(1993年)からのテイクも含む全36曲で構成されています。

あれ、『VAN HALEN III』の楽曲は……って、ツアーでサミーがこの作品からの楽曲を歌うとは思えませんしね。あと、『BEST OF VOLUME 1』に収録された「Humans Being」やデヴィッド・リー・ロスとの12年ぶり新曲も未収録。ここまで入れてしまったら、全米1位まで獲得した『BEST OF VOLUME 1』がカタログとして意味を持たなくなってしまうので、あえて差別化したんでしょうか。

アルバムは『BEST OF VOLUME 1』同様に、デビュー作収録のインスト「Eruption」からスタート。“2つの世界(デイヴ期、サミー期)のベスト”といいながらも、結局はエディのバンドなんだっていう象徴的なオープニングですよね。で、そのあとにサミー歌唱の新曲3曲が続くのですが、『VAN HALEN III』からの続きというよりは、サミーが参加した『BALANCE』からの続いという印象が強い作風かな。ダウンチューニングでヘヴィさを強調していますが、芯にあるのは開放的なアメリカン・ハードロック。アレンジには随所にサミーー在籍時の名曲群を彷彿とさせる味付けが、豊富に用意されています。シングル向けな突出した魅力こそ薄いものの、おまけとしては十分な役割を果たしているです。

以降はデイヴ期/サミー期、リリースされた時期関係なく、ご機嫌なナンバーが目白押し。「You Really Got Me」や「(Oh) Pretty Woman」「Dancing In The Street」など『BEST OF VOLUME 1』からは外されたカバー曲も含まれており、まさにキャリアを総括するような“ベスト of ベスト”と断言できる内容です。シングル曲だけを楽しみたければ、本作だけ持っていれば十分っていう作品集ですね(むしろ、チャートインしたシングル曲でここに収録されていないのは「So This Is Love?」くらいかな? ラジオヒットした「Somebody Get Me A Doctor」や「Mean Street」「Don't Tell Me (What Love Can Do)」あたりも収録容量の関係で外れているけど)。

可能性は薄いけど、もし今後VAN HALENが再び表舞台に舞い戻り、ツアーを行うようなことがあれば……デイヴが歌う新曲を含む“3つめのベスト盤”が生まれる可能性がありますが、その可能性はゼロに近いのかな。

 


▼VAN HALEN『THE BEST OF BOTH WORLDS』
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VAN HALEN『BEST OF VOLUME 1』(1996)

1996年10月にリリースされた、VAN HALEN初のベストアルバム。

デビューアルバム『VAN HALEN』(1978年)から直近の最新オリジナルアルバム『BALANCE』(1995年)までの10作から、厳選されたヒットシングルの数々とアルバム未収録のサントラ提供曲、そしてデヴィッド・リー・ロスと12年ぶりに制作した新曲2曲を含む全17曲で構成。「なんであの曲がないの?」とツッコミたく気持ちを抑えつつ、CD1枚に収めるならこれがベストかな?というコンパクトな1枚に仕上がっています。

デビュー作収録の衝撃的なインスト「Eruption」からスタートする構成は素晴らしいと思うのですが、本来ならそこに続くはずの「You Really Got Me」は未収録で、代わりに「Ain't Talkin' 'Bout Love」が並ぶという選曲には当時ひっくり返ったものですが、おそらくオリジナル曲にこだわった結果こういう選曲になったんでしょうね。なので、カバー曲ばかりがシングルカットされた5thアルバム『DIVER DOWN』(1982年)からは1曲もセレクトされておらず。そういった点では若干消化不良気味かもしれません。

また、基本的に各アルバムから代表的ヒット曲を1曲セレクトしている形ですが、アルバム自体がバカ売れした作品からは複数ピックアップしているのも、まあ納得の範疇。ちなみに『VAN HALEN』(「Eruption」含め3曲)、『1984』(1984年/「Jump」と「Panama」。日本盤はボートラとして「Hot For Teacher」追加の3曲)、『5150』(1986年/「Why Can't This Be Love」「Dreams」)、『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』(1991年/「Poundcake」「Right Now」)の4作品がそれで、デイヴ時代とサミー・ヘイガー時代半々といったところでしょうか(選曲的にはトータルでデイヴ歌唱曲が多めですけどね)。

気になる初収録曲3曲についても。サミー在籍時最後の楽曲となった「Humans Being」は映画『ツイスター』提供曲。1996年前半にシングルリリースもされましたが、楽曲としては『BALANCE』からの流れを組むモノトーンなヘヴィ路線。サビ以外はパッとしない印象で、アルバムの中に入っていたら“流して”しまいそうな1曲かもしれません。

で、デイヴが参加した新録2曲もその傾向が強い“普通の曲”。「Can't Get This Stuff No More」は初期デイヴ参加作にありそうなノリですが、5分以上もあると間延びした感が否めず。「Me Wise Magic」は序盤の低音ボーカルに違和感を覚えますが、サビでの“開ける”感はさすがかなと。「第1期VAN HALEN復活!」と過剰に期待しすぎたせいか、その期待を裏切られた感は否めません。とはいえ、彼らのヒット曲を手軽に楽しみたいという点においては、本作は非常に重宝する1枚ではないかと思います。入門編としても最適ですしね。

タイトルにあるとおり、本来ならこのあと『VOLUME 2』も計画していたんでしょうけど、ご存知のとおりバンドは本作のあとにオリジナルアルバムを2枚しか発表していませんし、ヒット曲にも恵まれず。結果、別の形でベストアルバムを制作することになるのでした。

 


▼VAN HALEN『BEST OF VOLUME 1』
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2020年4月18日 (土)

VAN HALEN『DIVER DOWN』(1982)

1982年4月にリリースされたVAN HALENの5thアルバム。

3rdアルバム『WOMEN AND CHILDREN FIRST』(1980年)、4thアルバム『FAIR WARNING』(1981年)とオリジナル曲のみで勝負した作品を連発したVAN HALENですが、セールスは下がる一方。年に1枚というな創作ペースも災いし、ここでいわゆる“マンネリ感”が強く表出してしまます。

全12曲と一見すると今までで一番楽曲が多い印象を受けますが、内訳的には3曲がインスト/インタールードで、そのうち2つは次の曲の前奏的な役割。さらにカバー曲が過去最多の5曲と、歌モノ・オリジナル曲は実質4曲という体たらく。完全に過渡期中の過渡期やん。

ですが、本作は「(Oh) Pretty Woman」(全米12位)や「Dancing In The Street」(同38位)と、カバー曲ながらもヒットシングルが続出。アルバム自体も全米3位と過去最高順位を打ち出し、セールス面でもダブルミリオン達成と息を吹き返すきっかけを与えてくれます(最終的に、現在までに400万枚以上を売り上げています)。

また、エディ・ヴァン・ヘイレン(G)のギターも前作『FAIR WARNING』から引き続き水を得た魚のように、変幻自在なプレイで我々を楽しませてくれます。「Hang 'Em High」での難易度高めなリフ、「Cathedral」でのバイオリン風ボリュームコントロール、「Dancing In The Street」でのディレイを用いたダンサブルな味付けなど、インパクトは強めかと。

カバー曲中心なので、楽曲自体は悪いわけがない。また、アレンジ的にも至るところから“らしさ”が感じられる。バンドの創作面でのマンネリ感は否めないものの、プレイヤビリティにおいてはさらに高まっていることが伺えるはずです。

なお、「Big Bad Bill (Is Sweet Wlliam Now)」ではアレックス(Dr)&エディ兄弟の実父ジャン・ヴァン・ヘイレンがクラリネットで参加。そういうお遊び感もあってか、“ユルさ”が印象に残る1枚。だからこそ、次に『1984』(1984年)や「Jump」という傑作が産み落とされるなんて、誰も想像できなかったのではないでしょうか。

 


▼VAN HALEN『DIVER DOWN』
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VAN HALEN『FAIR WARNING』(1981)

1981年4月に発売されたVAN HALENの4thアルバム。

前作『WOMEN AND CHILDREN FIRST』(1980年)はチャートアクション的にはそれ以前の『VAN HALEN II』(1979年)と同じ全米6位まで上昇するものの、セールス的には若干落としてしまう結果に。また、シングルも「And The Cradle Will Rock...」(全米55位)と低調&1枚しかカットされていないことから、なんとなく地味な印象を残す作品となってしまいました。

エディ・ヴァン・ヘイレン(G)のギタープレイ的にも最初の2枚と比べてインパクトに欠ける印象があり、それも前作のインパクトの薄さにつながっているのかもしれません。が、しかし。続く今作ではオープニングナンバー「Mean Street」の冒頭でタッピングとスラップをミックスした強烈なプレイをかまし、続く「"Dirty Movies"」でも派手なプレイで聴き手に衝撃を与えてくれる。作風的には前作でのシリアス&ダーク路線の延長線上なのですが、音の粒がより細かく感じられ、かつヘヴィな作風に合わせた歪み方などすべてにおいてバージョンアップしていることが伺えます。

本作もすべてバンドのオリジナル曲。しかし、過去3作と大きく異なるのはエディのギターをフィーチャーしたインストが含まれていないこと。その要素が歌モノナンバーの中にミックスされることで、1曲の尺が若干長めになった印象もあります。

が、ラストの2曲。「Sunday Afternoon In The Park」と「One Foot Out The Door」はいわゆる組曲的な構成で、前者がエディの弾くシンセとドラムによるセッション的なインストで、その流れでファストチューンの後者へと流れていくという。手法としては新しい可能性を感じさせます。

セールス的にはデヴィッド・リー・ロス(Vo)在籍時の初期6枚中もっとも低いといううれしくない記録を残していますが、超名曲「Unchained」やソウルフルな異色作「Push Comes To Shove」、軽やかな「So This Is Love?」など良曲もそれなりに用意された、過渡期の1枚です。

 


▼VAN HALEN『FAIR WARNING』
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VAN HALEN『WOMEN AND CHILDREN FIRST』(1980)

1980年3月にリリースされたVAN HALENの3rdアルバム。

デビューアルバム『VAN HALEN』(1978年)、次作『VAN HALEN II』(1979年)とミュージシャン/ソングライターとして、そしてチャートアクション的にも着実にステップアップを重ねてきたVAN HALEN。本作ではバンドとして“ホンモノ”であることを証明するため、いよいよオリジナル曲のみで構成されたアルバム作りに挑みます。

全9曲中、エディ・ヴァン・ヘイレン(G)によるテクニカルなインストは「Tora! Tora!」1曲のみという構成はこれまで同様。ですが、本来だったらインタールード的ギタープレイから楽曲本編と2曲に分けていたところを「Fools」のようにひとまとめにする構成/アレンジも目立ち始めます。それによって、同曲は6分近い長尺ナンバーに。

また、「Everybody Wants Some!!」のように従来の彼ららしい、キャッチーなパーティロックは比較的抑えめで、全体的にヘヴィでダークなテイストでまとめられているのも本作の特徴。これこそ、先に挙げた「“ホンモノ”であることを証明」したいがあまりに、肩の力が入りまくった表れかもしれませんね。

ダークグリーンにモノトーンのアー写をあしらったジャケット同様、アルバム通して地味な印象が強い1枚ですが、アナログA面(M-1〜M-4)の流れは過去イチの完成度。ブルージーな色合いが強まった後半のインパクトがちょっと弱めなのが玉に瑕ですが、個人的には次の大きなブレイクへと向けた助走期のはじまりと捉えておきたいと思います。

 


▼VAN HALEN『WOMEN AND CHILDREN FIRST』
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VAN HALEN『VAN HALEN II』(1979)

1979年3月リリースの、VAN HALENの2ndアルバム。

全米19位とデビュー作ながらも大健闘となった『VAN HALEN』(1978年)から1年1ヶ月とハイペースで届けられた本作は、そのヒット作を踏襲しつつも、オリジナル曲のバリエーションを少しずつ広げようとする努力が垣間見れる意欲的内容。

前作では2曲用意されたカバー曲(デビューヒットとなったTHE KINKS「You Really Got Me」含む)は、オープニングの「You're No Good」のみに抑え、バンドとしてのアイデンティティを自作曲に見出してもらおうとする意欲も伺え、実は前作よりも粒ぞろいな1枚という印象を受けます。実際、本作からは「Dance The Night Away」(全米15位)という初のシングルTOP20入りも実現。同曲をはじめ「Somebody Get Me A Doctor」や「Beautiful Girls」(全米84位)など、キャッチーさが際立ちます。

かと思えば、「Bottoms Up!」や「Light Up The Sky」のような攻めの楽曲も用意。エディ・ヴァン・ヘイレン(G)のギターテクを存分に味わえる短尺インスト「Spanish Fly」もあり、実は本作と前作の2枚で初期VAN HALENのベースは固まったと断言できます。

チャートアクション的にも、前作を上回る全米6位と好成績を残していますし、セールス面でも現在までに500万枚を超える売り上げ、キャリア的にはデビュー作、『1984』(1984年)『5150』(1986年)に次ぐヒットアルバムになっています。

 


▼VAN HALEN『VAN HALEN II』
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2020年4月17日 (金)

JOE SATRIANI『SHAPESHIFTING』(2020)

2020年4月上旬に発表された、ジョー・サトリアーニの17thアルバム。

前作『WHAT HAPPENS NEXT』(2018年)から2年3ヶ月という比較的短いスパンで届けられた本作は、グレン・ヒューズ(B)&チャド・スミス(Dr/RED HOT CHILI PEPPERS)という編成による派手めなサウンドから一変。ケニー・アロノフ(Dr)&クリス・チェイニー(B)という職人気質のリズム隊と、エリック・コデュー(Key)やリサ・コールマン(Piano/ex. PRINCE & THE REVOLUTION)、クリストファー・ゲスト(Mandolin)などのゲストプレイヤーを迎えています。

プロデューサーも前作でのマイク・フレイザーというHR/HM畑から、今作ではジム・スコット(FOO FIGHTERS、RED HOT CHILI PEPPERS、TOM PETTY & THE HEARTBREAKERSなど)という手堅い人選に。それもあってか、楽曲の幅は比較的広いものの、どことなく地味で渋さを強く感じる1枚に仕上がっています。

「Nineteen Eighty」(M-7)といったタイトルの収録曲があるように、本作はサトリアーニが1980年頃の活動初期に思い描いていたサウンド/楽曲を形にしたものとのこと。それもあってか、メタリックというよりはハードロックやそれ以前のクラシックロック的な色合いが感じられる楽曲、あるいは1980年前後のニューウェイヴの香りが感じられるナンバー、それこそポップなもの(M-2「Big Distortion」)からレゲエを取り入れたもの(M-8「All My Friends Are Here」)までが大半を占め、そこにブルースなどのルーツミュージック、さらにはマンドリンをフィーチャーしたレイドバック感満載の1曲(M-13「Yesterday's Yesterday」)などが挿入されている。

かと思えば、随所に当時のルーツであるエディ・ヴァン・ヘイレン(VAN HALEN)を彷彿とさせるフレーズが楽しめるハードチューンも散りばめられており、全体のバランスとしては抜群ではないかと思います。

ところが、どの曲も平均点以上なのにも関わらず、全体を通して聴いたときのインパクトは前作よりも弱い。実はこれ、実は突出した1曲がないことが原因なのかなと。どの曲もノスタルジーに浸りすぎるが故に、「2020年でも映える1曲」という肝心な点にまで至らなかった。だとしたら、非常に勿体ない内容だと思うんです。

安心して聴ける1枚ではあるけれど、バランスにこだわりすぎた結果突き抜けることができなかった。サトリアーニという優等生らしい側面がそのまま形になった佳作かな。

 


▼JOE SATRIANI『SHAPESHIFTING』
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2020年4月16日 (木)

METAL CHURCH『FROM THE VAULT』(2020)

2020年4月に発表されたMETAL CHURCHのコンピレーションアルバム。日本盤未発売。

本作は4曲のスタジオ新録トラック、最新オリジナルアルバム『DAMNED IF YOU DO』(2018年)制作時に録音されたBサイド・トラック、カバー3曲、2019年来日時にクラブチッタで録音されたライブテイクから構成された全14曲入りCD。配信版のみボーナストラックとして4曲追加した全18曲入りとなっています。

気になる新録曲ですが、いきなり低音の効いた「Dead On The Vine」からスタート。この1曲だけでもここ2作で聴ける、マイク・ハウ(Vo)の味わい深いボーカルを活かしたパワーメタルを存分に楽しめるはずです。ほかの楽曲も『XI』(2016年)、『DAMNED IF YOU DO』といった近作、および『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)『THE HUMAN FACTOR』(1991年)といったマイク・ハウ在籍時の“良い”要素を凝縮させたメタルチューンばかりで、マイク・ハウ期が特に好きというリスナーなら確実に楽しめるはずです。

なお、この新録楽曲の中には5thアルバム『HANGING IN THE BALANCE』(1993年)収録曲「Conductor」の再録バージョンも含まれています。アルバムとしての印象が薄かった同作に「こんな曲あったっけ?」と不思議に感じてしまうほど良い出来なので、これを機に改めて聴き返してみようと心を改めました。

ちなみに、新録4曲のみミックス/マスタリングをクリス・“ザ・ウィザード”・コーリアー(KORNKXMWHITESNAKEPRONGなど)が担当。その他はメンバーのカート・ヴァンダーフーフが手がけています。それもあってか、5曲目の『DAMNED IF YOU DO』からのアウトテイク以降は急に“それなり”の音質/音圧になるのでご注意を。

『DAMNED IF YOU DO』からのアウトテイクは、まあ確かにアルバム本編に入れるにはもう一歩かな?と感じてしまう楽曲が続きます。特に新録4曲を聴いたあとだけに、余計にそう感じてしまうのかも。悪くはないけど……という『HANGING IN THE BALANCE』を聴いたあとに感じた印象に近いのかな。

カバーはNAZARETH「Please Don't Judas Me」、SUGARLOAF「Green Eyed Lady」、RAM JAM「Black Betty」という風変わりなセレクトばかり。選曲的にはバンドの本筋からは離れるもののアレンジは“らしく”収まっており、こういったルーツもあるよという程度に収めておきます。ただ、この中では「Please Don't Judas Me」が特に印象に残るかな。

ライブ音源は臨場感こそ少ないものの、録音としてはわりよ良さげなので、例えば「Agent Green」あたりは新バージョンくらいの気持ちで受け取ってもらえるといいんじゃないでしょうか。

ボーナストラック4曲は『XI』時期のもので、「Killing Your Time」「Needle & Suture」はクリス・“ザ・ウィザード”・コーリアーによる別ミックス、「The Enemy Mind」「The Coward」は同作のWEB限定盤にて既出の音源。完全なるオマケですね。

マイク・ハウが「このアルバムはファン向け」と明言しているとおり、本作はMETAL CHURCHというバンドのことを理解しているリスナーに向けた、次のアルバムまでの“ボーナス”といった立ち位置の作品だと思います。ビギナーに真っ先にオススメする内容ではありませんが、先の新録ナンバーなどはそれでも十分にアピールする魅力を備えていると思うので、オリジナルアルバムを数枚聴いたあとに、気が向いたら手を伸ばしてみてはいかがでしょう。

 


▼METAL CHURCH『FROM THE VAULT』
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2020年4月15日 (水)

NIGHTWISH『HUMAN. :II: NATURE.』(2020)

2020年4月にリリースされたNIGHTWISHの9thアルバム。

前作『ENDLESS FORMS MOST BEAUTIFUL』(2015年)から5年ぶりという、過去最長のインターバルを置いて発表された本作。とはいえ、この5年間には『VEHICLE OF SPIRIT』(2017年)、『DECADES: LIVE IN BUENOS AIRES』(2019年)という2つのライブ作品(CDおよびDVD/Blu-ray)とベストアルバム『DECADES』(2018年)がそれぞれリリース、さらにフローア・ヤンセン(Vo)やマルコ・ヒエタラ(B, Vo)のソロ活動もあったので、実はそこまで空いたと感じた人は少なかったかもしれません。

前作発表後に結成/デビュー20周年という節目を迎え、バンドが新たに取り組んだのが本作。当初はコンセプトを決めずに制作に突入したそうですが、結果として歌モノ9曲入りのDISC 1、8部構成のインスト組曲を収めたDISC 2からなるキャリア初の2枚組オリジナルアルバムが完成しました。これまで、インスト・ディスクを付けた2枚組仕様はあったものの、純粋なオリジナルアルバムとしての2枚組はこれが初めてだったんですね。意外といえば意外です。

制作過程で“ヒューマン=人類”と“ネイチャー=自然”という2大テーマが浮き彫りになり、DISC 1のボーカルナンバーではフローア、マルコ、トロイ・ドノックレイ(Uilleann Pipes, Low Whistle, etc.)という3人のシンガーの特性を見事に活かしたアンサンブルを楽しむことができるほか、王道のシンフォニックメタル・ナンバーに加えフォークメタルの要素が強調された楽曲なども用意されており、直近のアルバムを気に入っている人なら素直に楽しめるはずです。

一方で、DISC 2には31分にわたるインスト大作「All The Works Of Nature Which Adorn The World」を収録。フル・オーケストラをフィーチャーしたこの組曲は、メインコンポーザーであるツォーマス・ホロパイネン(Key)の奇才ぶりが遺憾なく発揮されており、もはやDISC 1で展開された楽曲を奏でるバンドとは同一と思えないほどに(良い意味で)ブッ飛んでいます。いや、そんな奇抜なものではなく、むしろ良質のクラシックナンバーを聴いているかのような錯覚に陥り(それもある意味では正解ですが)、自然と心が癒されていく……そんな不思議な効能が用意されております(いや、マジで)。

DISC 1はもちろんのこと、DISC 2にだって聴けばNIGHTWISHの作品だと気づく要素はふんだんに散りばめられていますが、それでもこのDISC 2の組曲はアーティスト/コンポーザーとしての偉才ぶりが際立つもの。自然を題材としたこの大作は世の中が混沌とした“いま”こそ、多くの人に聴いてもらいたい1曲(実質8曲)です。

20周年という節目を経て、ここまで“トゥー・マッチ”な作品集を届けてくれるとは。きっと将来的にはフル・オーケストラとともに、本作を完全再現したライブなんてのも予定されているんでしょうね。日本では無理かもしれませんが、ぜひ一度生オケとの共演ライブを観てみたいものです。

 


▼NIGHTWISH『HUMAN. :II: NATURE.』
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2020年4月14日 (火)

IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』(2000)

IRON MAIDEN、来日中止になっちゃいましたね……前回の両国国技館はいろいろあって行けなかったので、今回は……と楽しみにしていただけに、残念でなりません。まあ、こんなご時世ですから素直にライブを楽しめるのか?と問われると、確かに疑問なんですけどね。とにかく今は、早く健康な世の中になって再来日が決まることを願っております。

というわけで、今回紹介するのは2000年5月末にリリースされたIRON MAIDENの12thアルバムです。

1999年に3代目シンガーのブレイズ・ベイリーが脱退。これと代わるように先代のブルース・ディッキンソンがバンドに再加入し、さらにやニック・ガース(G)の前に在籍したエイドリアン・スミス(G)までもが再加入。ギタリストの誰か1人が抜けるのではなく、トリプル・ギター編成の6人組バンドとしてIRON MAIDENは新たなディケイドへと突入することになります。

アルバムデビュー20周年という節目に発表された本作は、ケヴィン・シャーリー(AEROSMITHDREAM THEATERJOURNEYなど)という若手エンジニアを共同プロデューサーに迎えパリでレコーディングを敢行。ライブ・レコーディングに近い形で、トラックごとにではなく一斉に演奏した音を録っていったそうで、これは現編成になってまず行われたツアー「The Ed Hunter Tour」での勢いをそのまま残す意味もあったのかなと(楽曲自体はツアー前から書かれていたようですが)。

いくつかの楽曲(「The Nomad」「Dream of Mirrors」「The Mercenary」)はブレイズ在籍時の前作『VIRTUAL XI』(1998年)から存在したようで、本作収録にあたりブラッシュアップされたとのこと。そういえば、ブレイズ加入後の2作(『VIRTUAL XI』と1995年の『THE X FACTOR』)はスティーヴ・ハリス(B)のカラーが強すぎたのか、長尺だけどモノトーンという印象の楽曲が多かったように思います。本作にもそういったタイプの楽曲(特に「The Nomad」あたり)は存在するものの、いくぶん彩り豊かになった印象も受けます。

それは、ブルースという“歌える”シンガーが歌っていることも大きいのかなと。ブレイズはどこか一本調子なところがありましたからね。あれはあれでよかったんだけど、曲によっては合わなかったですし。また、オープニングを飾る「The Wicker Man」のキャッチーさ(エイドリアン、スティーヴ、ブルース共作)や、続く「Ghost Of The Navigator」「Brave New World」などが持つ“複雑なのに親しみやすい”要素は、過去2作には確実になかったもの。なんというか、1曲1曲の作りが丁寧な印象を受けるんです。それはクリアなサウンドのせいもあるでしょうけど、なによりも曲作りにいろんな声や意見がしっかり反映されたのかなと。そこの違いが形となって表れた1枚なんじゃないかと思います。

全10曲で70分近い作風は相変わらずですが、それでも先の3曲や「Blood Brothers」「The Fallen Angel」「Out Of The Silent Planet」など印象に残る楽曲は多数存在します。長めの曲を1曲削って、コンパクトな疾走チューンを加えただけでだいぶ印象は違ったと思いますが、現在までの“メイデンらしさ”を決定づけたという点においてはひとつの雛形となる、メイデン史を語る上で欠かせない1枚です。

 


▼IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』
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2020年4月13日 (月)

POLARIS『THE DEATH OF ME』(2020)

オーストラリア・シドニー出身の5人組メタルコア・バンド、POLARISが2020年2月21日にリリースした2ndアルバム。日本盤未発売。

2012年の結成以降、シングルやEPを定期的に発表してきた彼らは、2017年11月にSharpTone Recordsから発表した1stフルアルバム『THE MORTAL COIL』で一気に知名度を上げます(同作は本国でチャート6位まで上昇)。特に日本のリスナーには、最近Crystal Lakeと海外ツアーを行ったことでその名を知ったという方も少ないないのかもしれません。

僕はこのアルバムで初めて彼らの音に触れたのですが(それこそ、最初は日本の同名バンドの新作か?と勘違いしたくらいですから……)、若干プログレッシヴメタルやジェント、ポストロックのテイストを含むメタルコア・サウンドは個人的にとても好みで、最後まで飽きることなく楽しめました。

ミドルテンポを中心に進行していく楽曲群は適度にメロディアス(クリーン・ボーカルを担当するギターのジェイク・スタインハウザーの手腕によるもの)で、要所要所に用意されたブレイクダウンも気持ち良い。かと思えば、「Masochist」にようにエモやメロディックパンクの要素を強く感じさせる楽曲があったり、「Landmine」に散りばめられたシンガロングパートと後半で見せるハードコア要素(しかも、ギタープレイに関してはオーソドックスなヘヴィメタルのカラーも存在)、「Vagabond」での攻撃的な序盤からサビで一気に広がる壮大なコーラス……この手のバンドにしては1曲1曲に異なる彩りが用意されており、本当に飽きが来ないんですよね。

アルバム後半もグルーヴメタル的なヘヴィさとスムーズさを併せ持つ「Creatures Of Habit」や、大きなリズムをベースに随所に用意された緩急のダイナミズムが抜群に気持ち良い「Above My Head」、本作中もっともエモーショナルさが際立つ「Martyr (Waves)」、ポストロック的なイントロのギターフレーズとエモーショナルなアレンジが楽曲の持つドラマチックさをより強めている「All Of This Is Fleeting」、ダークで攻撃的なスタイルでアルバムを締めくくる「The Descent」と良曲目白押し。約42分のトータルランニングがあっという間に感じられる1枚です。

正直、この手のメタルコアは出尽くした感があるし、よほど新たなスタイルに挑戦するなどしないと聴き手にインパクトを与えることは難しいのではないかと思っていたのですが、こうやって良い曲と良いアレンジ、良いパフォーマンスにこだわればまだまだ戦えることを証明してくれたのは、いちリスナーとしてもうれしい限り。全体的にも日本人好みのテイストだと思うので、ちょっとでも気になった方は騙されたと思ってぜひ一度聴いてみてください。

 


▼POLARIS『THE DEATH OF ME』
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2020年4月12日 (日)

H.E.R.O.『BAD BLOOD』(2020)

2020年4月3日にリリースされた、H.E.R.O.の2ndアルバム。日本盤は海外に先駆け、4月1日に発売されました。

1stアルバム『HUMANIC』(2019年)が2019年4月下旬発売だったことを考えると、1年未満で新作が届けられたことになります。どれだけ生き急いでいるんだ……という気がしますが、ここ日本での状況を考えると、この展開は正しいのかなとも思えてきます。

DIZZY MIZZ LIZZYをデンマークのトップスターに仕立て上げたチームが携わったことで、デビュー作の時点で本国やここ日本でも注目を集めることに成功した彼ら。もともとメンバー3人がソロキャリアを重ねてきたプロのミュージシャンだったこともあり、デビューアルバムの時点で非常に完成度の高い作品を届けてくれましたが、続く本作は1年未満という短期間でさらなる進化を遂げており、バンドとしてのH.E.R.O.がまだまだ成長過程にあることを示しています。

曲作りは昨年初夏以降から行われており、そのまま本作のレコーディングに突入。今年1月末〜2月初頭に行われた初の単独来日ツアーの合間にも、ここ日本で追加レコーディングが行われるなど、かなりタイトなスケジュールのもと完成にこぎつけたようです。

が、そういった急ごしらえ感は皆無で、メロディやアレンジ、サウンドメイキング含めかなり作り込まれた、“鉄壁さ”が印象に残る良作に仕上げられています。昨今のヒットチャートを賑わせるポップスのテイストを散りばめた、モダンなサウンドという印象は前作から引き続きですが、そこに前作以上にロックやニューメタルなどのハード&ヘヴィな味付けを強めた楽曲が並ぶ、ロックバンドであることに焦点を絞った内容からは彼らのアイデンティティが強く伝わってきます。前作がどちらかというと「ロックバンドであるよりも、ソングライターであることにこだわった」作風だったとすると、この変化は非常に興味深いものがあります。

また、味付けやメロディラインに非常に日本人好みなものが多く、特にHR/HMファンよりも昨今のラウドロックやモダンメタル、もっと言えばONE OK ROCKUVERworld以降のJ-ROCK/ラウドロックを愛聴するリスナーにも強く響く要素がより濃くなっている印象を受けました。どの曲も3分台で簡潔にまとまっているのも現代的ですし(日本盤ボーナストラックを除く全10曲で32分強というトータルランニング然り)、リードトラック「Avalanche」や壮大なロックバラード「Better」なんてまさに象徴的ですものね。

前作ではクリストファー・スティアネ(Vo, G)の「可もなく不可もなく」なボーカル含む優等生的な作風に「もう一声!」と惜しく感じたものですが、本作は文句なしの合格点を与えられる1枚。こんなご時世なのでなかなか難しいですが、早く本作を携えた再来日公演を実現させて、どんどん人気を拡大させてもらいたいものです。

 


▼H.E.R.O.『BAD BLOOD』
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2020年4月11日 (土)

YNGWIE MALMSTEEN『ECLIPSE』(1990)

1990年4月に発表された、イングヴェイ・マルムスティーンの5thアルバム(RISING FORCE名義含む)。

前作『ODYSSEY』(1988年)で元RAINBOWジョー・リン・ターナー(Vo)とタッグを組み、アメリカで初のトップ40入り(40位)、イギリスでも初のトップ100入り(27位)を記録するなど、コアなギタリストとしての知名度のみならず“アーティスト”としての評価を上げたイングヴェイ。しかし、ジョーとはすぐにコンビ解消となり(理由は言わずもがな。苦笑)、4代目シンガーとしてヨラン・エドマン(ex. MADISON、ジョン・ノーラムなど)を迎えて“原点回帰”的な作品を完成させます。

良くも悪くもアメリカナイズされた前作『ODYSSEY』は非常に聴きやすい内容でしたが、本作は基本的には“ラジオ・ライク”な作風であることは変わらず、しかし楽曲の質感はアメリカよりも彼の故郷である北欧をイメージさせるウェットなものへと回帰。主張の強すぎないヨランの声質と合間って、良質な北欧メタル作品へと昇華されています。

オープニングの「Making Love」こそラジオやMTVでのヒットを狙った、コンパクトでキャッチーな楽曲で掴みとしては若干弱いものの、ブルース・フィーリングが強い「Bedroom Eye」、王道の泣きメロバラード「Save Our Love」、王道のパワー&ファストナンバー「Motherless Child」と、序盤4曲だけでもかなりバラエティに富んだ内容になっています。イングヴェイのジャイアニズム全開なギターソロ(笑)も、意外とバランスが取れているような印象を受けますし、むしろその完成度は『ODYSSEY』以上ではないかと思うのですが……。

がっつり聴かせる“いかにも北欧メタル”なミディアムナンバー「Devil In Disguise」「Judas」の出来もよいですし、“らしい”シンセリフに思わずニヤリな「What Do You Want」、アグレッシヴな「Demon Driver」「See You In Hell (Don't Be Late)」、本作唯一のインストゥルメンタルナンバー「Eclipse」など、意外と聴きどころの多い本作。ボーカリストの個性やインギーのギタープレイなど、突出した個性は過去4作ほど強いものではありませんが、楽曲の完成度やアルバムとしてのバランス感は何気に(この時点で)過去イチのような気がします。

リリース当時はそこまで良いと思えなかったんですが、時間が経つにつれて本作を聴く頻度は高くなっていき、最近では『ODYSSEY』よりも聴く機会が多い1枚です。

 


▼YNGWIE MALMSTEEN『ECLIPSE』
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2020年4月10日 (金)

2020年1月〜2月のアクセスランキング

ここでは2020年1月1日から2月29日までの各エントリーへのアクセス数から、上位30エントリーを紹介します。

内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いたトップ30。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↓●位)」の表記は、「更新日/2019年11〜12月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:ANDY McCOY『21ST CENTURY ROCKS』(2019)(※2019年9月30日更新/→1位)

2位:BRING ME THE HORIZON『Music to listen (中略) to-GO TO』(2019)(※2019年12月31日更新/NEW!)

3位:CRY OF LOVE『BROTHER』(1993)(※2019年6月19日更新/↑4位)

4位:DAVID LEE ROTH『SKYSCRAPER』(1988)(※2018年2月9日更新/Re)

5位:2019年総括:①洋楽アルバム編(※2019年12月31日更新/NEW!)

6位:BLOOD INCANTATION『HIDDEN HISTORY OF THE HUMAN RACE』(2019)(※2019年12月1日更新/↑20位)

7位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新/↑21位)

8位:THE OFFSPRING『AMERICANA』(1998)(※2018年9月7日更新/↑28位)

9位:LOVEBITES『ELECTRIC PENTAGRAM』(2020)(※2020年2月1日更新更新/NEW!)

10位:TOOL『FEAR INOCULUM』(2019)(※2019年9月13日更新/↓2位)

 

11位:2019年総括:③HR/HM、ラウドロック編(※2019年12月31日更新/NEW!)

12位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新/↑25位)

13位:涙がこぼれそう(追悼、アベフトシ)(※2009年7月23日更新/↓6位)

14位:NIRVANA『NEVERMIND』(1991)(※2017年8月14日更新/↓8位)

15位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN』(1984)(※2017年3月2日更新/Re)

16位:VINCE NEIL『EXPOSED』(1993)(※2017年3月24日更新/↓11位)

17位:OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』(2020)(※2020年2月22日更新/NEW!)

18位:SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)(※2018年3月8日更新/↓9位)

19位:KISS THE FAREWELL TOUR JAPAN 2001@東京ドーム(2001年3月13日)(※2001年3月25日更新/↓3位)

20位:ANDY McCOY『THE WAY I FEEL』(2017)(※2018年4月12日更新/↓16位)

 

21位:2019年総括:②邦楽アルバム編(※2018年12月31日更新/NEW!)

22位:WHITESNAKE『SLIP OF THE TONGUE: 30TH ANNIVERSARY EDITION』(2019)(※2019年10月9日更新/↓5位)

23位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN: THE ULTIMATE SPECIAL EDITION』(2019)(※2019年3月27日更新/↓13位)

24位:RED HOT CHILI PEPPERS『ONE HOT MINUTE』(1995)(※2017年7月21日更新/Re)

25位:ANNIHILATOR『BALLISTIC, SADISTIC』(2020)(※2020年2月2日更新/NEW!)

25位:KORN『ISSUES』(1999)(※2019年1月26日更新/Re)

27位:WHITESNAKE『WHITESNAKE (1987)』(1987)(※2017年2月3日更新/Re)

28位:「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 1@苗場スキー場(2001年7月27日)(※2001年8月8日更新/Re)

28位:祝ご成人(1999年4月〜2000年3月発売の洋楽アルバム20選)(※2020年1月12日更新/NEW!)

28位:2019年総括:④楽曲編&印象的なライブ編(※2019年12月31日/↑29位)

28位:BLACK SABBATH『HEAVEN AND HELL』(1980)(※2020年1月26日更新/NEW!)

28位:SEPULTURA『QUADRA』(2020)(※2020年2月12日更新/NEW!)

RIOT『THE PRIVILEGE OF POWER』(1990)

1990年2月にリリースされたRIOTの7thアルバム。

トニー・ムーア(Vo)、ボビー・ジャーゾンベク(Dr)など新メンバーを迎え、起死回生の前作『THUNDERSTEEL』(1988年)で劇的な復活を果たしたRIOT。マーク・リアリ(G)、ドン・ヴァン・スタヴァン(B)という編成で制作したこのアルバムは日本で高い評価を受け、1989年12月には待望の初来日公演が実現(来日前にベーシストがスタヴァンからピート・ペレスに交代)。その際にセカンドギタリストとしてマイク・フリンツ(G)が加入し、初期の楽曲を再現可能なツインギター編成が再び完成します。

この来日前に制作していたのが、この『THE PRIVILEGE OF POWER』というコンセプチュアルな作品集。全10曲で58分という当時としては比較的長めのアルバムは、良い意味で前作を踏襲しつつも、バンドとしての新たな挑戦も多数詰め込まれた1枚です。

レコーディング自体はムーア、リアリ、スタヴァン、ジャーゾンベクという『THUNDERSTEEL』と同じ編成で実施。それに加え、本作には豪華なゲストプレイヤーが多数参加していることでも当時話題になりました。そのメンツもジョー・リン・ターナー(Vo)というHR/HM界隈から、T.M.スティーヴンス(B)、G.E.スミス(G)、ジェイムズ・“ブラッド”・ウルマー(G)などジャズ/ファンク畑のプレイヤー、さらにはTOWER OF POWERなどのブラスセクションまで……「えっ?」って人選ですよね。

コンセプトアルバムということで、本作には曲間に長めのSEが多々挿入されています。オープニング「On Your Knees」からしてすぐには始まりませんし、1曲終わると間にテレビのニュース番組みたいなナレーションが挿入されて、すぐ曲に入らない。かと思えば、「Killer」みたいにゴージャズなホーンセクションが後ろで鳴ってる曲まであるんですから(苦笑/ジョー・リン・ターナーとのツインボーカルは最高なんですけどね)。

本作と前後して、EXTREMEがファンクメタルというスタイルでブレイクを果たし、「Get The Funk Out」のようにブラスをフィーチャーした楽曲で支持を集めますが、別にRIOT自身はファンクをやっているつもりもなければ、単純に味付けとしてブラスを入れただけ。楽曲自体はストレートなパワーメタルだし、リズムも跳ねていませんし。だからこそ、当時このアルバムを聴いて困惑したんですよ、「え、何がやりたいの?」って。

HR/HMが多様化した現在ならこういう作風も理解できますし、曲間のSEさえ気にならなければ1曲1曲のカッコよさや完成度の高さを素直に楽しむことができると思います。「Dance Of Death」や「Black Leather And Glittering Steel」のスピードメタル感も「Runaway」や「Maryanne」の叙情的スタイルも最高ですし。ですが……「Storming The Gates Of Hell」のラッパ……お前だけは解せないんだ(苦笑)。進軍ラッパを表現しているんでしょうけど、挿入の仕方含めて気の抜けた法螺貝みたいで……うん。曲自体は本当にカッコいいんですけどね。

もしSEなしのバージョンとか存在したら、もしブラスなどの装飾を排除した“Nakedバージョン”が存在したら……このアルバムの評価、もっと違ったはずなんですよ。いや、今となってはこれはこれで全然ありなんですけど。個人的には最後まで真顔で聴き通すのが難しい1枚です。

 


▼RIOT『THE PRIVILEGE OF POWER』
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2020年4月 9日 (木)

TESTAMENT『SOULS OF BLACK』(1990)

1990年10月にリリースされた、TESTAMENTの4thアルバム。

3rdアルバム『PRACTICE WHAT YOU PREACH』(1989年)が全米77位まで上昇し、まずまずの成功を収めることができたTESTAMENTは、その成功を維持しようと、前作の成功を踏襲した作品作りに短期間で臨みます。しかし、単に前作を模倣するのではなく、プロデューサーをアレックス・ペリアラス(S.O.D.、NUCLEAR ASSAULT、OVERKILLなど)からマイケル・ローゼン(FORBIDDEN、LAAZ ROCKIT、MORDREDなど)へと変更。マイケルはミックスまで含め手がけていますが、サウンド的には前作をより抜けの良いものへと進化(いや、退化か?)させたものになっています。

進化という点では、ギターのザクザク感に呼応するようなドラムの抜けの良さが軽やかさを強調しているところ。退化と書いたのは、その軽いドラムサウンドのせいでメタルバンドらしい重厚感が減退していることでしょうか。ちょうど同時期にMEGADETH『RUST IN PEACE』を、SLAYER『SEASONS IN THE ABYSS』を、ANTHRAX『PERSISTENCE OF TIME』を発表しており、それらの傑作たちと比較するとチープさは否めず。いわゆる“ベイエリア・クランチ”を意識した結果、どことなく中途半端な音作りで終わってしまったところは残念でなりません。

また、楽曲に関してもいわゆるスラッシュメタル的なスピードチューンよりも王道メタル的なアップチューン中心で、要所要所でミディアム/スロウナンバーも用意するという前作をなぞった作風。ですが、突出した楽曲は正直少なく、個人的にはタイトルトラック「Souls Of Black」とバラード「The Legacy」くらいかな。「Practice What You Preach」の二番煎じみたいな「Absence Of Light」も悪くはないけど、メロディがピンとこない。だからこそ、「Love To Hate」のようなどストレートなスラッシュナンバーが逆に活きてしまうという逆効果を生んでします。どこまでいってもちぐはぐさが拭えない、中途半端な1枚です。

早くも訪れた過渡期を経て、バンドは制作により時間をかけて次作『THE RITUAL』(1992年)を完成されるのですが、そこでは我々が思いもしなかった変化を遂げることになります。

……なんてネガティブなことばかり書いたけど、個人的にはこの時期のTESTAMENTは意外と印象に残っていて。なにせ、初めて観た彼らのライブがこのアルバムを携えたツアーでしたからね。生でいろいろ聴いたこともあって、実は嫌いになれないアルバムでもあるのでした。

 


▼TESTAMENT『SOULS OF BLACK』
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2020年4月 8日 (水)

TESTAMENT『TITANS OF CREATION』(2020)

TESTAMENTが2020年4月初頭にリリースした、通算12作目のオリジナルアルバム。セルフカバーアルバム『FIRST STRIKE STILL DEADLY』(2001年)を含めると、通算13枚目のスタジオ作品となります。

『THE FORMATION OF DAMNATION』(2008年)以降、『DARK ROOTS OF EARTH』(2012年)、『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』(2016年)とほぼ4年間隔で新作を発表し続けているTESTAMENT。今作も前作『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』から3年半というスパンを経て届けられています。特に直近の2作は全米12位(『DARK ROOTS OF EARTH』)、20位(『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』)と80〜90年代にも成し遂げることのできなかったチャートアクションを得られていること、またSLAYERの事実上解散、デイヴ・ムステイン(MEGADETH)のガンなどオールドスクール・スラッシュメタル・シーンにネガティブな話題が続いていたこともあり、TESTAMENTに対するリスナーの期待は少なからず大きなものがあったと思います。

そんな中、我々の手元に届けられた新作はチャック・ビリー(Vo)、エリック・ピーターソン(G)、アレックス・スコルニック(G)という全盛期メンバーにスティーヴ・ディジョルジオ(B)、ジーン・ホグラン(Dr)の元DEATHリズム隊が加わった、前作と同じメンバーで制作。ひたすらヘヴィで攻撃的という“ハードコアなTESTAMENT”を表現した前作から一転、今作ではいわゆる“オールドスクールなスラッシュメタル”が現代的なサウンドで展開されています。

例えば、前作は4分前後とコンパクトにまとめられた楽曲中心で、全10曲/45分という比較的スルスルと聴き進められる内容でしたが(ゴリゴリのヘヴィサウンドでしたので、これくらいの長さがちょうどよかったわけですが)、今回は全12曲で約60分。4〜5分台の楽曲中心という作風は一緒なのですが、80年代の彼らが持っていた“キャッチーさと怪しさが混在するメロディ”が復調しているのです。キャッチーさはチャックの歌メロにわかりやすく現れていますが、後者の怪しさはアレックスのギターフレーズによるものが非常に大きく、随所で大々的に用意された長尺のギターソロは「これぞTESTAMENT!」と膝を叩きたくなるくらいに往年の彼らをイメージさせるものばかりなのです。

楽曲自体もひたすら直線的に突き進むハードコア路線とは異なり、複雑な展開を要する80年代的なスラッシュメタルの王道パターンが復活。ミドルからファストへ、ファストからミドルへという構成や、その合間に挿入される不穏なギターソロや印象的なツインリード。中には6分超えの大作も用意されているのですが、それらに対して「長い!」と感じることなく、むしろすべてに対して「そうそう、これこれ!」と声高に叫びたくなるものなのです。

ドラマチックさすら感じられる「Children Of The Next Level」から始まり、いかにもTESTAMENTらしい怪しげな「Code Of Hammurabi」、激烈スラッシュチューン「Curse Of Osiris」でクライマックスを迎え、2分程度のインスト「Catacombs」で不穏さを残したまま幕を降ろす構成、まったく長いと感じませんでした。これ、TESTAMENTの集大成であると同時に彼らの最高傑作じゃないでしょうか。オールドスクール・スラッシュメタル、まだまだ捨てたもんじゃないよね。

最後に。日本盤のみ2017年2月の来日公演@TSUTAYA O-EASTをまるまる収録したライブアルバム同梱の初回限定盤も用意。これ聴いたら、また早く彼らのライブを観たくなるはず……。

ところが3月下旬、TESTAMENTとDEATH ANGELEXODUSのベイエリア・スラッシュバンド3組でヨーロッパツアーを行ったあと、チャックが新型コロナウイルス感染を発表。幸い現在は回復しているようですが、その余波は同じメンバーのスティーヴやDEATH ANGELのウィル・キャロル(Dr)、EXODUSのゲイリー・ホルト(G)にも広がっています。みんな、早く回復してまた元気な姿を見せてください……。

 


▼TESTAMENT『TITANS OF CREATION』
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2020年4月 7日 (火)

IN THIS MOMENT『MOTHER』(2020)

IN THIS MOMENTが2020年3月下旬に発表した7thアルバム。

2005年結成以来、紅一点のマリア・ブリンク(Vo)のパワフルかつ妖艶な歌声を軸にしたメタルコア/ゴシックメタル・サウンドで人気を拡大し続けている彼ら。メジャーのAtlantic Records移籍以降に発表した『BLACK WIDOW』(2014年)、『RITUAL』(2017年)ではブレント・スミス(SHINEDOWN)、ロブ・ハルフォードJUDAS PRIEST)をフィーチャーした楽曲が話題になったことも記憶に新しく、特に『RITUAL』ではフィル・コリンズのカバー「In The Air Tonight」も注目を集めました。

前作『RITUAL』から約3年ぶりとなる新作は、2ndアルバム『THE DREAM』(2008年)からタッグを組むケヴィン・チャーコ(オジー・オズボーンFIVE FINGER DEATH PUNCHDISTURBEDなど)がプロデュースを続投。出世作となった4thアルバム『BLOOD』(2012年)あたりから表出し始めたインダストリアル・メタルのテイストはより強固なものとなり、このバンドがストレートなヘヴィメタル/メタルコアを信条としていた初期のスタイルはもはや完全に過去のものになってしまったんだなと、ちょっと寂しさを覚えたりします。

まあ過去の思い出に浸っても意味がないので、新作の話題を続けます。ミディアム/スロウナンバーを軸に、エレクトロ/インダストリアル色を強めたゴシックメタル・サウンドはもはやこのバンドの大きな武器と呼べるものであり、そういった楽曲群に乗せられたキャッチーなメロディもさらに磨きがかかっている。ぶっちゃけ、ここで展開されている歌/音/メロディって今のメタルシーンにおいて王道と呼べるものだと思うんです。ゼロ年代こそオルタナティヴな存在だったIN THIS MOMENTが、テン年代に発表した過去3作で得た経験を最高の形で昇華させた、2020年代のスタートにふさわしい新たなスタンダード。それが本作『MOTHER』という傑作ではないでしょうか。

時にパワフルに歌い上げ、時に気怠さを表現するマリアの歌唱法は、もはやスクリームで攻撃性をプッシュしていた過去と完全に決別しているし、むしろそういったスクリームは味付け程度に使われるのみ。うん、それでいいんだと思います。

フィーチャリング・ボーカルの採用やカバー曲のピックアップなど、前作でN成功をそのまま踏襲している点も本作の注目点。カバー曲として選ばれたのがQUEEN「We Will Rock You」という手垢つきまくりの1曲なのは当初「?」でしたが、その曲をリジー・ヘイル(HALESTORM)、テイラー・モムセン(THE PRETTY RECKLESS)の女帝3人で歌い分けると知り、妙に納得。うん、それなら全然あり! で、これがまたカッコいいわけですよ(ボーカルパフォーマンスが)。

サウンドによる直接的な激しさを求めるリスナーには刺激が足りないかもしれませんが、ボーカルワークで感情に訴えかける激しさが表現されているという点においては、本作は志向の1枚だと断言できます。ロックやメタルがチャート的に衰退気味な今、こういう作品こそ広く親しまれてほしいと願っております。

 


▼IN THIS MOMENT『MOTHER』
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2020年4月 6日 (月)

PEARL JAM『GIGATON』(2020)

2020年3月末にリリースされたPEARL JAMの11thアルバム。

彼らの新作発売は2013年10月発売の前作『LIGHTNING BOLT』以来、実に6年半ぶりのこと。ここ最近は4年くらい感覚が空くことが続いていたけど、約7年というのは思った以上に長いスパンでして。その間、バンドはツアーをしたりライブ作品『LET'S PLAY TWO』を発表したり、マット・キャメロン(Dr)はソロアルバム『CAVEDWELLER』(2017年)をリリースしたりなどの活動がありましたが、やっぱり長かったよね。

ブレンダン・オブライエン(STONE TEMPLE PILOTSRED HOT CHILI PEPPERSRAGE AGAINST THE MACHINEなど)の手を離れ、新たにジョシュ・エヴァンス(THUNDERPUSSYSOUNDGARDENエース・フレーリーなど)とタッグを組んで制作された本作は、良い意味でマンネリ感の続いたここ数作を打破するような、若干のフレッシュさを感じらせる意欲的な内容に仕上がっています。

まず、リードトラックとなったM-3「Dance Of The Clairvoyants」を初めて聴いたとき、誰もがその変化に驚いたのではないでしょうか。ニューウェイヴ色の強まった質感とアレンジは、確かに過去の彼らのサウンドにも包括されていたものですが、このタイミングにここまであからさまな形で表現するのか、しかも7年ぶり新作のリードトラックとして……と良い意味で期待を裏切ってくれました。

アルバム自体は肩の力が抜けたロックチューン「Who Ever Said」から始まり、キャッチーなメロディが印象的な「Superblood Wolfmoon」、そして新境地の「Dance Of The Clairvoyants」、ヘヴィ&グルーヴィーな「Quick Escape」へ。意外とバラエティに富んだ構成なんですよね。

その後、彼ららしいムーディーなースローナンバー「Alright」へと続くのですが、この曲もアレンジ(サウンドメイキング)が新鮮で、このへんの味付けの妙は新プロデューサーの手腕によるものなんでしょうか。「Seven O'Clock」のアレンジも興味深いし(楽曲のテイスト自体はいつもどおりなんですが)、7年空いたことでリフレッシュされたのかなど含め非常に気になります。

アルバム後半は「Never Destination」「Take The Long Way」を筆頭に、タイトなロックチューンが並びます。このへんは従来のPEARL JAMファンが喜びそうな楽曲・構成かな。そんな中、ほぼアコギのみで構成された「Comes Then Goes」をはじめとするスローナンバーも充実しており、エディ・ヴェダー(Vo)の成熟しまくったボーカルを思う存分味わうことができます。

アレンジ面での斬新さが要所要所に散りばめられることで、“PEARL JAMらしい楽曲”に新たなフックを与えることができた本作。ある意味では“いつもどおり”安心安全の内容なんだけど、ここからの10年(2020年代)に向けて新たなステップを踏み出したと捉えることができるんじゃないかな。これはまだほんの序章にすぎないんだろうな、と“これから”が楽しみになる1枚です。

 


▼PEARL JAM『GIGATON』
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2020年4月 5日 (日)

ALICE IN CHAINS『SAP』(1992)

ALICE IN CHAINSが1992年2月に発表した4曲入りEP。日本盤は海外からだいぶ遅れ、初来日公演に合わせて1993年10月下旬に初リリースされました。

1stアルバム『FACELIFT』(1990年)のツアーを終えたバンドは、キャメロン・クロウ監督による映画『シングルス』のために新曲を制作することになりスタジオ入り。ここで翌1992年初夏に発表される「Would?」(のちに2ndアルバム『DIRT』にも収録)や、『DIRT』収録曲の「Rooster」、そしてこの『SAP』収録曲を含む10曲前後のデモが完成します。バンドはこの機会を無駄にすることなく、1991年11月に再びスタジオ入り。PEARL JAMのデビューアルバム『TEN』(1991年)を手がけたばかりのリック・パラシャーとともに、4〜5日でこのEP収録曲をレコーディングしたのでした。

“樹液”を意味するタイトルの本作(アルバムジャケットが、まさに樹液を採取する様を表現したものです)は、まさにバンドの根幹となる歌に焦点を当てた楽曲が並び、それらをシンプルなアコースティックサウンドで表現するという、その後のALICE IN CHAINSにとって必要不可欠なスタイルがここでひとつ完成します。

レコーディングには同郷シアトル出身のHEARTからアン・ウィルソンがゲスト参加。またSOUNDGARDENクリス・コーネルMUDHONEYのマーク・アームといった気心知れた仲間たちも加わり、リラックスした環境の中で制作されたことが伺えます。

アン・ウィルソンはオープニングトラック「Brother」で主張の強い歌声を響かせ、ジェリー・カントレル(G, Vo)が初めてリードボーカルを担当した「Am I Inside」でも美しいコーラスを聴かせてくれます。また、クリス&マークが参加した「Right Turn」はALICE IN CHAINS、SOUNDGARDEN、MUDHONEYの合体ということで“ALICE MUDGARDEN”名義による楽曲となり、それとわかるボーカルを耳にすることができます。

アコースティック主体といいながらも、「Got Me Wrong」では適度に歪んだギタープレイも楽しむことがで、その不穏なメロディ運び含め、続く『DIRT』や『JAR OF FLIES』(1994年)への布石を見つけることができるはず。たった4曲しか収録されていないものの、実はバンドの歴史上非常に重要な作品ではないかと思っています。

なお、本作のCDではラストナンバー「Am I Inside」終了後にお遊びナンバー「Love Song」を隠しトラックとして収録しています。こちら、Apple Musicなどでは単独楽曲として聴くことができますが、Spotifyでは未収録。できれば配信版でも隠しトラックとして通してほしかったですね。

 


▼ALICE IN CHAINS『SAP』
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NIRVANA『NIRVANA』(2002)

2002年10月下旬にリリースされた、NIRVANAのベストアルバム。日本盤は1週間ほど遅れて、同年11月初旬に発売されました。

1994年4月のカート・コバーン逝去後、『MTV UNPLUGGED IN NEW YORK』(1994年)『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』(1996年)という2枚のライブ作品が発表され、ともに全米1位を獲得。特に前者はオリジナル作品と並ぶほどのセールス(全米のみで800万枚)を記録しました。とはいえ、これら2作品はライブアルバム。前者はMTVで放送されたものを音源化したもので、後者はライブ・コンピレーション作品ということで、スタジオ音源の未発表楽曲はこれまで発表されていませんでした。

ところが、2000年代に突入してからカートが亡くなる直前に行われたレコーディング・セッション(1994年1月)の音源の扱いについて、ボックスセットの一部として発表したいデイヴ・グロール&クリス・ノヴォセリック側とシングル・ディスクのベスト盤収録曲として売り出したいコートニー・ラヴ側とで揉め始めます。結局、コートニー側の主張が認められて2002年秋、シンプルに『NIRVANA』と題されたベストアルバムがリリースされ、未発表曲「You Know You're Right」が世に出ることとなるわけです。

そもそもNIRVANAはオリジナルアルバムを3枚しか発表していないし、いわゆるシングルヒットと呼べる楽曲も「Smells Like Teen Spirit」(全米6位)と「Come As You Are」(同32位)ぐらい。『NEVERMIND』(1991年)全曲に『BLEACH』(1989年)『IN UTERO』(1993年)からそれぞれ数曲ずつ追加すればそれでいいんじゃないかと思うのですが、カートの死から8年経ち、NIRVANAやグランジ・ムーブメントを知らない世代も増え始めた時期ということもあって、このベストアルバムは全米3位まで上昇、現在までに200万枚以上もの売り上げを残しています(思ったよりも売れてないのね)。

これまでに正式リリースされたオリジナルアルバム、ライブアルバム、およびコンピ盤『INCESTICIDE』(1992年)を所有している人にとっては、目当ては「You Know You're Right」ぐらい。あとはシングルのみで発表された「Been A Son」スタジオテイク(インディ盤「Blew」収録)と、「Pennyroyal Tea」のシングルミックスぐらいでしょうか。

その「You Know You're Right」は、いかにもNIRVANAらしい強弱のダイナミズムを効果的に用いたミドルナンバー。『IN UTERO』以降の流れを汲む楽曲で、適度なキャッチーさを備えた“らしい”1曲で、一応シングルカットもされ全米45位まで上昇しました。

以前はこれ1曲のためにCDを買うというカロリーの高さが気になりましたが、その後デジタル主流になったことで、この曲のみダウンロード購入したりストリーミングで手軽に聴くことができるようになりました。NIRVANA初心者は普通にオリジナルアルバムから手を出せばいいと思いますが、本作の日本盤にはボーナストラックとして「Something In The Way」と「Where Did You Sleep Last Night」の“MTV UNPLUGGED”バージョンが追加されているので、もしCD購入するなら日本盤をオススメします(ダウンロード&ストリーミング版はUS仕様なので、これら2曲は含まれていないので)。

 


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2020年4月 4日 (土)

HEAVEN SHALL BURN『OF TRUTH AND SACRIFICE』(2020)

2020年3月後半にリリースされたHEAVEN SHALL BURNの9thアルバム。日本盤は同年4月初頭に発売されています。

ドイツ出身の5人組メタルコア/デスコア・バンドが前作『WANDERER』(2016年)から3年半ぶりに発表した本作は、初の2枚組アルバム。いや、HEAVEN SHALL BURNってここ数作は毎回ボーナスディスクを付けた複数枚組でアルバムを発表してたじゃん? 何を今さら? って思うファンも多いかもしれません。いま手元にある近作を確認してもても、7thアルバム『VETO』(2013年)にはライブアルバムが付いていましたし、前作『WANDERER』なんてカバー曲だけで構成されたボーナスディスク付き(さらに日本限定盤には別ミックスを収めたDISC 3が付いた3枚組仕様)でしたしね。

でも、今作はそれらの“おまけ”的な観点とまったく異なり、純粋な新作アルバム2枚で構成された内容なのです。つまり、9作目と謳っているものの、「9thアルバムと10thアルバムを同時リリース。別売りも出来たけど、こんなご時世だしまとめて1作品として出してやったぜ」的スタンスでひとまとめになったようなものなのです(半分冗談です)。

各ディスクに『OF TRUTH』(DISC 1)、『OF SACRIFICE』(DISC 2)と異なるタイトルが付けられた本作。それぞれ10曲、9曲(日本盤のみボーナストラック「Battle Of Attrition」追加で10曲)収録と、ガチなフルアルバム2枚から構成された本作は、“真実(=Truth)”と“犠牲(=Sacrifice)”をテーマに、現代社会における問題提起をヘヴィな楽曲でリスナーに届ける、ある種のコンセプトアルバムでもあるわけです。

本作には4〜5分台のコンパクトなメタルチューンから8分超のエピカルな大作まで、多様性に富んだ楽曲を多数収録。「Expatriate」「The Ashes Of My Enemies」(『OF TRUTH』収録)、「Weakness Leaving My Heart」(『OF SACRIFICE』収録)では生オーケストラをフィーチャーすることでドラマチックさを強めることに成功し、デジタル色を加えた「Übermacht」や「La Résistance」ではメタルコアという枠を飛び越えダンステイストが強まり(その色合いは、どこか同郷のRAMMSTEINのようでもあり)、8分半にもおよぶ長編ナンバー「The Sorrows Of Victory」はMANOWAR的なパワーメタルをメタルコア的観点から再構築したような勇ましさと壮大さも感じられます。

しかも、これだけ長い(トータル100分前後)作品にも関わらず、するする聴き進められてしまう。(良い意味で)偉大なるマンネリズムこそが魅力だと思っていたHEAVEN SHALL BURNが、ここまでバラエティ豊かな作品集を、しかも2枚組という形で発表する日が来るとは、正直夢にも思いませんでした。おそるべし。

そんな意欲作が、本国で初のチャート1位を獲得したというのも、また痛快じゃないですか。世の中が不安定で自宅待機することが続く今だからこそ、本作とじっくり(爆音で!)向き合ってもらいたいな(できれば、歌詞対訳が用意された日本盤で)。

 


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2020年4月 3日 (金)

TINTED WINDOWS『TINTED WINDOWS』(2009)

2009年4月に発売されたTINTED WINDOWS唯一のオリジナルアルバム。日本盤は1ヶ月遅れでリリースされています。

TINTED WINDOWSはテイラー・ハンソン(Vo/HANSON)、ジェイムズ・イハ(G/THE SMASHIN PUMPKINS、ex. A PERFECT CIRCLE)、アダム・シュレシンジャー(B/FOUNTAINS OF WAYNE、IVY)、バン・E・カルロス(Dr/ex. CHEAP TRICK)という名うてのプレイヤー/ミュージシャンたちによって結成されたスーパーグループ。テイラーとアダムは90年代半ばから親交があり、またイハとアダムも各バンドのツアーなどで顔を合わせる機会が多く、2000年代に入ってからはイハがIVYのレコーディングに参加したり、共同でレーベルやスタジオを設立していました。そんな3人が意気投合し、それぞれが影響を受けた70〜80年代のパワーポップやニューウェイヴをモダンな形で表現するバンドとして結成されたのがこのTINTED WINDOWSでした。

彼らは大切なルーツのひとつであるレジェンド・CHEAP TRICKからバン・Eを迎え、アダム&イハのプロデュースで完成したのが本作。ボーナストラックを除く全11曲中、「Back With You」をイハ、「Nothing To Me」をテイラー、「Take Me Back」をテイラー&アダムが手がけ、残りの8曲すべてをアダムが単独で書き下ろしています。

HANSONが持つ突き抜けるようなポップネス、FOUNTAINS OF WAYNEのベースにあるオルタナティヴロック経由のパワーポップ感、そしてバン・Eを除く3人が多大な影響を受けたであろうCHEAP TRICKの香り。本作はそのすべてが凝縮された、終始ストレートに突き進むキャッチーなギターロックを堪能できる1枚と言えるでしょう。

FOWが持つカントリーテイストやCHEAP TRICKに備わっていたサイケデリック感は残念ながらここには含まれておらず(いわゆるハードロック的側面もだいぶ弱いかと)、どちらかというと「テイラー・ハンソンというフロントマンを、才能ある作曲家アダムが調理してみました」という印象が強い内容かもしれません。聴く人によってはそこに物足りなさを感じるかもしれませんが、個人的にはそこを抜きにしてもよく出来たパワーポップ/ギターロックアルバムだと断言したいな。だって、何度聴いて飽きがこないですからね。爆音で、気持ちよく楽しめる1枚です。

本作を携えた来日公演(2010年1月)にも足を運びましたが、当日は本作からの楽曲にTHE KNACK「Let Me Out」、BUZZCOCKS「I Don't Mind」のカバーを披露したことが特に印象に残っています。本作に参加したメンバーの各メインバンド、そしてカバーでピックアップしたバンド。ここにTINTED WINDOWSの本質があるのではないでしょうか。

テイラーは近年、TINTED WINDOWSは決して解散したわけではないと名言していましたが、結局2作目が制作されることなくアダムは新型コロナウイルスが原因で4月1日(現地時間)、この世を去りました。アダムといえばFOWかIVY、もしくは彼が手がけた映画『すべてをあなたに』の劇中曲「That Thing You Do!」が有名でしょうけど、僕的にはこのスーパーバンドも忘れたくないな……。

 


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2020年4月 2日 (木)

PARKWAY DRIVE『VIVA THE UNDERDOGS』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたPARKWAY DRIVEのライブアルバム。日本盤未発売。

PARKWAY DRIVEは2003年にオーストラリアで結成された5人組メタルコア・バンド。すでに6枚のスタジオアルバムを発表済みの、海外では高い人気を誇る存在で、ここ日本での評価との落差が非常に大きいバンドのひとつとしてマニアの間で知られているのではないでしょうか。事実、僕自身もなぜ彼らがここまで海外で支持されているのか、今日までいまひとつ掴めずにいますから。

そんなタイミングに発表されたこのライブアルバム。彼らの“リアル”な姿を知る/体感するにはうってつけの1枚ではないでしょうか。

本作は今年1月に1夜限定で公開された彼らの同名ドキュメンタリー映画のサウンドトラックとして制作されたもの。映画自体はバンドの15年におよぶ歴史を振り返るような内容とのことですが、このライブ盤にはその歴史におけるクライマックスと言える、2019年8月の『WACKEN OPEN AIR 2019』でのヘッドライン公演の模様が収められています。

彼らが出演したのはフェス最終日の8月3日、メインステージの最終アクトとして。歴史あるWACKENの、しかも30回目となる記念すべき年の大トリという大役を任されたPARKWAY DRIVE。これだけでも、彼らがヨーロッパ圏で絶大な人気を誇ることが伺えます。

アルバムには当日披露された全16曲のうち、厳選された11曲を収録。この時期、メンバーのジア・オコーナー(B)が膝を骨折しており、当日は車椅子に乗ってプレイしていたようです(その様子は、YouTubeで公開されている当日の映像からも確認できます)。

まあとにかく、客が歌う歌う。メロディアスなリードギターのフレーズや、エモいツインリードの数々を、それこそIRON MAIDENJUDAS PRIESTの名曲でファンがそうするように、会場にいる数万人のメタルヘッズたちが高らかに歌い上げる様がそのまま収めらているわけです。

楽曲自体は確かにメタルコアそのものなのですが、もともと2000年代初頭に登場した同系統のバンドってオールドスクールなメタルバンドをモダンに仕立て直した印象が強かっただけに、彼らの楽曲からもそういった匂いはプンプン漂っているわけです。そりゃあ嫌いになれるわけがない。現時点での最新オリジナルアルバム『REVERENCE』(2018年)なんて良い意味でメタルコアから脱却していますし、もはやゼロ〜テン年代を代表するメタルバンドのひとつとして、ここ日本でも高く評価されるべきでは……とライブ作品を聴いてより強く感じました。そういう意味でも、本作は入門編的な1枚としてうってつけではないでしょうか

また、本作には「Vice Grip」「The Void」「Shadow Boxing」という直近2作人に収録された楽曲をドイツ語で歌い直したスペシャルトラックを追加収録(タイトルもドイツ語に変換されています)。WACKENでのオーディエンスからの声援に対する、バンド側からお礼の意味が込められたプレゼントなんでしょうね。英語とは異なるドイツ語の勇ましい響きは、こういったメタルサウンドにホントぴったり。これはこれとして新鮮な気持ちで楽しめるはずです。

こういう作品を聴くと、日本人に彼らの魅力を伝えるにはやはり来日してライブを見せてもらうしかないんだろうな、と改めて思うわけです。そういった意味では、メタル系やパンク系を中心に扱うフェスやイベントでの招聘が一番なんでしょうけど……早く彼らが安心して日本を訪れることができる、平和な世の中になってほしいものですね。

 


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2020年4月 1日 (水)

TESLA『FIVE MAN LONDON JAM』(2020)

2020年3月下旬にリリースされたTESLAのライブアルバム。日本盤未発売。

本作はTESLAが1990年に発表したライブアルバム『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』から30周年を祝して、2019年6月12日にロンドンのAbbey Road Studioで行った公開ライブレコーディングを収めたもの。少数ながらも観客を入れて行われたスタジオライブの模様は4K収録され、ライブアルバムのみならずBlu-rayでも発売されています。

BON JOVIを筆頭とした「ハードロックバンドのアコースティック要素の強調」が広く行きわたり、『MTV Unplugged』の誕生および大ヒットを経て、TESLAもアコースティックライブを行い、それを録音&映像収録した『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』が大ヒット。同作からはFIVE MAN ELECTLICAL BANDのカバー「Signs」が全米TOP10入り(最高8位)も果たすなど、彼らにとって代表作のひとつと言っていい1枚です。

本作では『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』に収録された楽曲は5曲程度に抑え、最新アルバム『SHOCK』(2019年)からのナンバーや、『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』以降に発表された『PSYCHOTIC SUPPER』(1991年)や『INTO THE NOW』(2004年)といった「30年前に披露されていない楽曲」が大半を占める構成。チューニング(キー)も現在のスタイルに合わせて低く設定されており、最初こそ80〜90年代の楽曲(特に『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』でも披露されたナンバー)には多少の違和感を覚えるものの、「California Summer Song」や「Forever Loving You」といった『SHOCK』収録曲のアコースティック・バージョンの新鮮さに耳が慣れるとそこまで気にならなくなる……のでは? 何度か聴いていると慣れてきた自分に気づくはずです。

スタジオライブ収録ということで、30年前の『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』ほどの臨場感はないかもしれません。が、このバンドの場合はこういった肩の力が抜けた演奏が魅力のひとつだったりするので、これはこれでアリなのかなと思ったりして。それでも、「Into The Now」あたりに漂う緊張感もTESLAらしくて、こういうのもいいよね?と思ったりするわけですが。そういう、リラックスした中に突如訪れるスリリングさも意外と随所に散りばめられた1枚ではないでしょうか。

圧巻はやはりラストナンバー「Love Song」でしょうか。この曲に関してはアコースティクを通り越して、途中からエレキギターを多用して原曲に近いアレンジで演奏されてしますからね(笑)。で、感動的なエンディングを迎えたと思ったのもつかの間、最後の最後にレコーディング場所にちなんだカバー(フレーズ)も飛び出して、やっぱりユルく締めくくり。あ、そうか。『FIVE MAN ACOUSTICAL JAM』から引き続き「We Can Work It Out」をセレクトしたのもそれが理由か(って、ここまで書けばおわかりかと思いますが、何を演奏したかはその耳でお確かめください)。

全米21位のヒットとなった最新オリジナル作『SHOCK』はUniversal Music経由でリリースされたにも関わらず、ここ日本では未発売。おそらくこのアコースティック・ライブ盤も余程のことがない限り、日本盤化されることはないでしょう(こんなご時世ですが、来日が決まるとかね)。だからこそ、海外盤CDやBlu-ray(リージョンフリーとのこと)を購入するとか、ストリーミングサービスで再生しまくるとかしてフォローしてあげたいものです。

 


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