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2020年4月16日 (木)

METAL CHURCH『FROM THE VAULT』(2020)

2020年4月に発表されたMETAL CHURCHのコンピレーションアルバム。日本盤未発売。

本作は4曲のスタジオ新録トラック、最新オリジナルアルバム『DAMNED IF YOU DO』(2018年)制作時に録音されたBサイド・トラック、カバー3曲、2019年来日時にクラブチッタで録音されたライブテイクから構成された全14曲入りCD。配信版のみボーナストラックとして4曲追加した全18曲入りとなっています。

気になる新録曲ですが、いきなり低音の効いた「Dead On The Vine」からスタート。この1曲だけでもここ2作で聴ける、マイク・ハウ(Vo)の味わい深いボーカルを活かしたパワーメタルを存分に楽しめるはずです。ほかの楽曲も『XI』(2016年)、『DAMNED IF YOU DO』といった近作、および『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)『THE HUMAN FACTOR』(1991年)といったマイク・ハウ在籍時の“良い”要素を凝縮させたメタルチューンばかりで、マイク・ハウ期が特に好きというリスナーなら確実に楽しめるはずです。

なお、この新録楽曲の中には5thアルバム『HANGING IN THE BALANCE』(1993年)収録曲「Conductor」の再録バージョンも含まれています。アルバムとしての印象が薄かった同作に「こんな曲あったっけ?」と不思議に感じてしまうほど良い出来なので、これを機に改めて聴き返してみようと心を改めました。

ちなみに、新録4曲のみミックス/マスタリングをクリス・“ザ・ウィザード”・コーリアー(KORNKXMWHITESNAKEPRONGなど)が担当。その他はメンバーのカート・ヴァンダーフーフが手がけています。それもあってか、5曲目の『DAMNED IF YOU DO』からのアウトテイク以降は急に“それなり”の音質/音圧になるのでご注意を。

『DAMNED IF YOU DO』からのアウトテイクは、まあ確かにアルバム本編に入れるにはもう一歩かな?と感じてしまう楽曲が続きます。特に新録4曲を聴いたあとだけに、余計にそう感じてしまうのかも。悪くはないけど……という『HANGING IN THE BALANCE』を聴いたあとに感じた印象に近いのかな。

カバーはNAZARETH「Please Don't Judas Me」、SUGARLOAF「Green Eyed Lady」、RAM JAM「Black Betty」という風変わりなセレクトばかり。選曲的にはバンドの本筋からは離れるもののアレンジは“らしく”収まっており、こういったルーツもあるよという程度に収めておきます。ただ、この中では「Please Don't Judas Me」が特に印象に残るかな。

ライブ音源は臨場感こそ少ないものの、録音としてはわりよ良さげなので、例えば「Agent Green」あたりは新バージョンくらいの気持ちで受け取ってもらえるといいんじゃないでしょうか。

ボーナストラック4曲は『XI』時期のもので、「Killing Your Time」「Needle & Suture」はクリス・“ザ・ウィザード”・コーリアーによる別ミックス、「The Enemy Mind」「The Coward」は同作のWEB限定盤にて既出の音源。完全なるオマケですね。

マイク・ハウが「このアルバムはファン向け」と明言しているとおり、本作はMETAL CHURCHというバンドのことを理解しているリスナーに向けた、次のアルバムまでの“ボーナス”といった立ち位置の作品だと思います。ビギナーに真っ先にオススメする内容ではありませんが、先の新録ナンバーなどはそれでも十分にアピールする魅力を備えていると思うので、オリジナルアルバムを数枚聴いたあとに、気が向いたら手を伸ばしてみてはいかがでしょう。

 


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