RIOT『THE PRIVILEGE OF POWER』(1990)
1990年2月にリリースされたRIOTの7thアルバム。
トニー・ムーア(Vo)、ボビー・ジャーゾンベク(Dr)など新メンバーを迎え、起死回生の前作『THUNDERSTEEL』(1988年)で劇的な復活を果たしたRIOT。マーク・リアリ(G)、ドン・ヴァン・スタヴァン(B)という編成で制作したこのアルバムは日本で高い評価を受け、1989年12月には待望の初来日公演が実現(来日前にベーシストがスタヴァンからピート・ペレスに交代)。その際にセカンドギタリストとしてマイク・フリンツ(G)が加入し、初期の楽曲を再現可能なツインギター編成が再び完成します。
この来日前に制作していたのが、この『THE PRIVILEGE OF POWER』というコンセプチュアルな作品集。全10曲で58分という当時としては比較的長めのアルバムは、良い意味で前作を踏襲しつつも、バンドとしての新たな挑戦も多数詰め込まれた1枚です。
レコーディング自体はムーア、リアリ、スタヴァン、ジャーゾンベクという『THUNDERSTEEL』と同じ編成で実施。それに加え、本作には豪華なゲストプレイヤーが多数参加していることでも当時話題になりました。そのメンツもジョー・リン・ターナー(Vo)というHR/HM界隈から、T.M.スティーヴンス(B)、G.E.スミス(G)、ジェイムズ・“ブラッド”・ウルマー(G)などジャズ/ファンク畑のプレイヤー、さらにはTOWER OF POWERなどのブラスセクションまで……「えっ?」って人選ですよね。
コンセプトアルバムということで、本作には曲間に長めのSEが多々挿入されています。オープニング「On Your Knees」からしてすぐには始まりませんし、1曲終わると間にテレビのニュース番組みたいなナレーションが挿入されて、すぐ曲に入らない。かと思えば、「Killer」みたいにゴージャズなホーンセクションが後ろで鳴ってる曲まであるんですから(苦笑/ジョー・リン・ターナーとのツインボーカルは最高なんですけどね)。
本作と前後して、EXTREMEがファンクメタルというスタイルでブレイクを果たし、「Get The Funk Out」のようにブラスをフィーチャーした楽曲で支持を集めますが、別にRIOT自身はファンクをやっているつもりもなければ、単純に味付けとしてブラスを入れただけ。楽曲自体はストレートなパワーメタルだし、リズムも跳ねていませんし。だからこそ、当時このアルバムを聴いて困惑したんですよ、「え、何がやりたいの?」って。
HR/HMが多様化した現在ならこういう作風も理解できますし、曲間のSEさえ気にならなければ1曲1曲のカッコよさや完成度の高さを素直に楽しむことができると思います。「Dance Of Death」や「Black Leather And Glittering Steel」のスピードメタル感も「Runaway」や「Maryanne」の叙情的スタイルも最高ですし。ですが……「Storming The Gates Of Hell」のラッパ……お前だけは解せないんだ(苦笑)。進軍ラッパを表現しているんでしょうけど、挿入の仕方含めて気の抜けた法螺貝みたいで……うん。曲自体は本当にカッコいいんですけどね。
もしSEなしのバージョンとか存在したら、もしブラスなどの装飾を排除した“Nakedバージョン”が存在したら……このアルバムの評価、もっと違ったはずなんですよ。いや、今となってはこれはこれで全然ありなんですけど。個人的には最後まで真顔で聴き通すのが難しい1枚です。
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