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2020年4月29日 (水)

SLASH'S SNAKEPIT『AIN'T LIFE GRAND』(2000)

2000年10月にリリースされたSLASH'S SNAKEPITの2ndアルバムにしてラスト作。日本盤は海外より1ヶ月前倒しの同年9月に発表されています。

SLASH'S SNAKEPIT名義の1作目となる『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』(1995年)は、GUNS N' ROSESの長い休暇期間にしびれを切らしたスラッシュが制作したサイドプロジェクト的な作品でしたが、続く今作はガンズ脱退を経て最初に作られたメインバンドとしての1枚。また、前作には当時のガンズメンバー(マット・ソーラムやギルビー・クラークなど)が参加していましたが、今回はスラッシュ以外のメンバーを一新しており、ここから新しいスタートを切るぞという意気込みが感じられます。

ロッド・ジャクソン(Vo)、ライアン・ロキシー(G)、ジョニー・グリパリック(B)、マット・ローグ(Dr)という比較的無名/これまでのキャリアと無関係なメンツを迎えたあたりに、スラッシュの「裸一貫、一から再スタート」という気概が伝わってきます(ライアンはギルビーの1stアルバム『PAWNSHOP GUITARS』にも参加していたり、アリス・クーパーのツアーメンバーでもあったので、唯一ガンズ絡みと言えなくもないですが)。AEROSMITHCHEAP TRICKNEW YORK DOLLSなどで知られるジャック・ダグラスがプロデュースを務めた本作は、前作でのブルースフィーリング濃厚な作風から一転、ソウルフルさこそ漂うものの根本には「パンキッシュでグラマラスな豪快ハードロック」という原点回帰な1枚に仕上がっています。

前任のエリック・ドーヴァーがアクセル・ローズ的テイストの声/ボーカルスタイルの持ち主だったこともあり、前作には「ガンズが今、スラッシュ主導で新作を作ったらこうなるのかな?」という側面もありましたが、今作で歌うロッドの声質は前任ともアクセルとも異なる野太いものだからか、ギタープレイこそガンズっぽいのの曲自体は「ポップさ濃厚な、モダンテイストのハードロック」という印象が強いかな(とはいえ、一部でアクセル的歌唱を意識した歌い回しも登場しますが)。楽曲のバリエーションも前作以上の幅広さがあり、全体的にモノトーンのイメージが強かった前作と比べるとかなり聴きやすいかもしれません。

そういう意味では、本作は「スラッシュの新バンド」とか「ガンズ関連作品」という観点で触れるのではなく、当時台頭し始めたBUCKCHERRYHARDCORE SUPERSTARBACKYARD BABIESあたりと同じ視点で楽しむ1枚ではないかと。要は、スラッシュなりに当時の時流を考えた結果がこれだったと。

でも、世間が求める音はこれでなかったんですよね、残念ながら。そして、SNAKEPITは短命で終わり、スラッシュは再びダフ・マッケイガンやマット・ソーラムと合流し、VELVET REVOLVERを結成するのでした。

……って、こう書くと本作は失敗そのものみたいな受け取られ方をしてしまいそうですが(だってそう書いているじゃん自分)、そのVELVET REVOLVERへの布石も至るところに散りばめられた本作、意外と侮れない重要作なんじゃないかな。『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』から本作に至る流れ、そしてここからVELVET REVOLVERへとつながっていく流れ。点と点がすべてつながっているだってことを、本作を聴き込めばより深く理解できるはずです。

 


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