IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』(2000)
IRON MAIDEN、来日中止になっちゃいましたね……前回の両国国技館はいろいろあって行けなかったので、今回は……と楽しみにしていただけに、残念でなりません。まあ、こんなご時世ですから素直にライブを楽しめるのか?と問われると、確かに疑問なんですけどね。とにかく今は、早く健康な世の中になって再来日が決まることを願っております。
というわけで、今回紹介するのは2000年5月末にリリースされたIRON MAIDENの12thアルバムです。
1999年に3代目シンガーのブレイズ・ベイリーが脱退。これと代わるように先代のブルース・ディッキンソンがバンドに再加入し、さらにやニック・ガース(G)の前に在籍したエイドリアン・スミス(G)までもが再加入。ギタリストの誰か1人が抜けるのではなく、トリプル・ギター編成の6人組バンドとしてIRON MAIDENは新たなディケイドへと突入することになります。
アルバムデビュー20周年という節目に発表された本作は、ケヴィン・シャーリー(AEROSMITH、DREAM THEATER、JOURNEYなど)という若手エンジニアを共同プロデューサーに迎えパリでレコーディングを敢行。ライブ・レコーディングに近い形で、トラックごとにではなく一斉に演奏した音を録っていったそうで、これは現編成になってまず行われたツアー「The Ed Hunter Tour」での勢いをそのまま残す意味もあったのかなと(楽曲自体はツアー前から書かれていたようですが)。
いくつかの楽曲(「The Nomad」「Dream of Mirrors」「The Mercenary」)はブレイズ在籍時の前作『VIRTUAL XI』(1998年)から存在したようで、本作収録にあたりブラッシュアップされたとのこと。そういえば、ブレイズ加入後の2作(『VIRTUAL XI』と1995年の『THE X FACTOR』)はスティーヴ・ハリス(B)のカラーが強すぎたのか、長尺だけどモノトーンという印象の楽曲が多かったように思います。本作にもそういったタイプの楽曲(特に「The Nomad」あたり)は存在するものの、いくぶん彩り豊かになった印象も受けます。
それは、ブルースという“歌える”シンガーが歌っていることも大きいのかなと。ブレイズはどこか一本調子なところがありましたからね。あれはあれでよかったんだけど、曲によっては合わなかったですし。また、オープニングを飾る「The Wicker Man」のキャッチーさ(エイドリアン、スティーヴ、ブルース共作)や、続く「Ghost Of The Navigator」「Brave New World」などが持つ“複雑なのに親しみやすい”要素は、過去2作には確実になかったもの。なんというか、1曲1曲の作りが丁寧な印象を受けるんです。それはクリアなサウンドのせいもあるでしょうけど、なによりも曲作りにいろんな声や意見がしっかり反映されたのかなと。そこの違いが形となって表れた1枚なんじゃないかと思います。
全10曲で70分近い作風は相変わらずですが、それでも先の3曲や「Blood Brothers」「The Fallen Angel」「Out Of The Silent Planet」など印象に残る楽曲は多数存在します。長めの曲を1曲削って、コンパクトな疾走チューンを加えただけでだいぶ印象は違ったと思いますが、現在までの“メイデンらしさ”を決定づけたという点においてはひとつの雛形となる、メイデン史を語る上で欠かせない1枚です。
▼IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』
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