STEVE VAI『PASSION AND WARFARE』(1990)
1990年5月に発表されたスティーヴ・ヴァイの2ndアルバム。
イングヴェイ・マルムスティーンの後任としてALCATRAZZに加入したことで、メタルファンにその名を知らしめたスティーヴ・ヴァイ(もちろん、それ以前にはフランク・ザッパ門下生というキャリアがあるわけですが、HR/HM観点では今回は割愛)。その後、デヴィッド・リー・ロスとのコラボレーションでさらに知名度を上げ、1989年にはWHITESNAKEに加入して多くのファンを驚かせます。
このソロアルバムはWHITESNAKEの『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)参加後に発表されたものですが、ALCATRAZZで名を上げてから初めてリリースされるソロアルバムでもありました。そういった意味でも、本作に対する注目度は当時かなり大きなものがありました。
それもあってか、WHITESNAKEのツアー中に発表された本作は全米18位と、インスト・アルバムにも関わらず大ヒットを記録。WHITESNAKEのライブでも本作から「For The Love Of God」と「The Audience Is Listening」がソロコーナーで披露されたことは、今でもよく覚えています。
さて、気になる内容ですが、先に書いた「スティーヴ・ヴァイというギタリストの原点」を考えれば納得のいくテイストで、全編HR/HMリスナーを満足させるような作りではないかもしれません。テイストのひとつにハードロックが用意されているだけで、実はジャズやフュージョンの要素も随所から感じられるし、インドなど東洋からのテイストも散りばめられている。それらがプログレッシヴなバンドアンサンブルで構築されることによって、「クセは強いのに意外と聴きやすい」作品へと昇華されているわけです。
その聴きやすさの要因に、色彩豊かなギターのサウンドメイクも付け加えられるはず。ALCATRAZZやデヴィッド・リー・ロス、あるいはWHITENAKE『SLIP OF THE TONGUE』を通過したリスナーなら、耳馴染みのあるカラフルなギターエフェクトが全編で感じることができ、そこも親しみやすさに一躍買っているのではないでしょうか。
アルバム中盤の「For The Love Of God」「The Audience Is Listening」を大きな山場として用意し、そこへ向けて、あるいはそれ以降も気持ちが盛り上がっていけるような、バラエティに富んだ楽曲が用意され、それらの曲順が緻密に考えられている。そこも含めて、スティーヴ・ヴァイという奇才らしい1枚と言えるでしょう。
ボーカルナンバーは皆無ですが、スティーヴ・ヴァイというギタリストに少しでも触れたことがあるリスナーなら、間違いなく響くはずの1枚。かつ、昨今のメタルコアやジェントなどのヘヴィ系ギターにも通ずる要素満載なので、何気に幅広い層にアピールできる良盤だと思っております。
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