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2020年5月17日 (日)

JIMMY EAT WORLD『FUTURES』(2004)

2004年10月にリリースされたJIMMY EAT WORLDの5thアルバム。

前作『BLEED AMERICA』(2001年)の大ヒット(全米31位。ミリオン突破)をはじめ、同作から「The Middle」(同5位)、「Sweetness」(同75位)とシングルヒットが続出したことで、いよいよメジャーフィールドでも名前を目にする機会が増えたJEWですが、続く今作では同作にあった弾けるような明るさ/ポジティブさが減退したように感じられ、影や哀愁味などを強めた異色作に仕上げられています。

「Sweetness」のようなキャッチーさを求めるリスナーには、本作は地味に映るかもしれません。しかし、1曲1曲の精度/完成度は前作以上に高まっており、アルバム全体のバランス(楽曲の質のみならずサウンドの質)もシンプルなのに繊細さが際立つ作りに。これは新たなプロデューサーであるギル・ノートン(PIXIESFOO FIGHTERSFEEDERなど)の手腕によるものも大きいのかなと思います。

楽曲の作りのみならず、曲タイトルのシンプルさにも目がいくのが本作の特徴かもしれません。そんな中で特にインパクトを残すのが、モノクロのアートワークに加え、「Kill」や「Pain」「Drugs Or Me」あんどといった若干ネガティブに映るワードでしょう。しかし、当の「Kill」はダークさを微塵も感じさせない良曲ですし、「Pain」にいたっては疾走感の強いエモーショナルなロックチューンという、本作を代表する1曲ですし。中でも、アルバム中盤における「Pain」から「Drugs Or Me」への流れは美しさを通り越して、圧巻の一言。暗闇からどんどん光が差していくような構成は、本作におけるハイライトと言えるでしょう。

要するに、全体のトーンが暗めで落ち着いた雰囲気だからネガティブな作品なのかと思いきや、実はアルバムタイトルに象徴されるように、本作は“前を向いた”作品集なわけです。

ポップパンクの底抜けに明るい雰囲気が苦手というHR/HM寄りリスナーは少なくないかもしれません(ヘアメタルの陽気さとはまた違う空気感ですしね)。ですが、エモやそこを通過したパワーポップは少なからずハードロックリスナーにも引っかかるものがあるはずで、特にJEWの作品中ではこの『FUTURES』は演奏もタイトでハードさが前面に打ち出されており、もっとも我々のような層にリーチする1枚だと思うのです。事実、僕も『BLEED AMERICA』までのアルバムは嫌いではなかったけど、一気に惹きつけられたのはこの『FUTURES』を聴いてからですしね。

グランジ以降のオルタナティヴロックに偏見がなく、かつ「HR/HMといえば様式美」だとか「ヘヴィ/ラウド以降のバンドは認めない」なんていう穿った解釈を持ち合わせていないリスナーなら、絶対に引っかかるはず。一般的には3作目『CLARITY』(1999年)や『BLEED AMERICA』が代表作になるのでしょうが、個人的なベストアルバムはこの『FUTURES』です。

 


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