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2020年5月13日 (水)

CHEAP TRICK『BUSTED』(1990)

1990年6月下旬にリリースされたCHEAP TRICKの11thアルバム。日本盤は同年7月下旬に発売されています。

トム・ピーターソン(B, Vo)が復帰し、オリジナルメンバーで制作した起死回生の前作『LAP OF LUXURY』(1988年)から「The Flame」という初の全米No.1シングルが生まれ、その後も「Don't Be Cruel」(全米4位)、「Ghost Town」(同33位)、「Never Had A Lot To Lose」(同75位)とヒットを連発。アルバムも最高16位まで上昇し、100万枚を超えるヒット作になるなど、第二の黄金期に突入したCHEAP TRICK。続く今作『BUSTED』では、その成功を持続させようとするさまざまなトライが見受けられます。

プロデューサーには引き続いリッチー・ズィトー(HEARTBAD ENGLISHWHITE LIONなど)を起用し、ダイアン・ウォーレンやテイラー・ローズ、ミック・ジョーンズ(FOREIGNER)などの外部ライターも楽曲制作に参加。ですが、前作ほど全面的に起用しているわけではなく、全体を通して見てみるとロビン・ザンダー(Vo, G)&リック・ニールセン(G)が中心となって書いている楽曲のほうが多いのかなと。また、外部ライター丸投げは1曲のみ(バラード「Wherever Would I Be」のみで(カバー曲を除く)、外部ライターが多数参加している曲にも必ずメンバーがひとりはクレジットされている。このあたりに前作とは異なる、バンドとしてのアイデンティティが強く感じられるのではないでしょうか。

作風的にもAORや産業ロック色を強めた前作の延長線用にあるものの、アレンジ的には前作のように曲によってちぐはぐということもなく、ロックバンドとしての一体感が若干強まっている。前作での成功が良い作用をもたらしたのか、まさに「大人(アダルト)ロック」と呼ぶにふさわしい大人の余裕が強く伝わってきます。リードシングルに選ばれた「Can't Stop Fallin' Into Love」なんてまさにその象徴的なナンバー、落ち着いたテンポに歌うようなベースライン、メロディをサポートするようなギタープレイとロビン・ザンダーの色香がにじみ出たボーカルまで含め、まるで80年代半ば以降のロッド・スチュワートが歌いそうな、すべてが完璧な1曲なのです。

もちろん、オープニングを飾る「Back 'N Blue」やタイトルトラック「Busted」、ビートルズを彷彿とさせる「Had To Make You Mine」、ロイ・ウッドのカバー「Rock 'N' Roll Tonight」など、それ以外にもCHEAP TRICKらしいロックナンバーは豊富ですし、クリッシー・ハインド(THE PRITENDERS)をフィーチャーした「Walk Away」や「When You Need Someone」などミディアムバラードもたっぷり用意。全体のバランスは前作以上の仕上がりで、80年代半ば以降の産業ロック期では最高の1枚だと思います。

ですが、本作は全米48位と前作ほどのヒットにはならず、シングルも「Can't Stop Fallin' Into Love」(全米12位)、「Wherever Would I Be」(同50位)の2枚がチャートインしたのみ。この失敗が影響してか、翌1991年に初のベストアルバム『THE GREATEST HITS』を発表し、デビューから在籍したEpic Recordsを離れることになります。

ですが、この1、2年後に勃発するグランジ・ムーブメントにより、CHEAP TRICKはみたび日の目を浴びることになるのでした。それについてはまた別の機会に。

 


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