THE USED『HEARTWORK』(2020)
2020年4月下旬にリリースされたTHE USEDの8thアルバム。
ロス・ロビンソン(KORN、LIMP BIZKIT、SLIPKNOTなど)をプロデューサーに迎えた前作『THE CANYON』(2017年)はCD2枚組、トータル79分にもおよぶ超大作ながらも初期からのファンには不評を買うことに。あれから2年半を経て届けられた今作は、果たしてどんな内容なのかといざ蓋を開けてみると……。
うん、意外と良いじゃない。初期のスクリーモ/エモ/ポスト・ハードコアらしさが復調しつつ、ちゃんとモダンな要素も取り入れている。すべてにおいて初期からのファンを満足させることは難しいかもしれませんが、これはこれで良い仕上がりだと思います。
今作のプロデュースを担当したのはジョン・フェルドマン。『THE USED』(2002年)や『IN LOVE AND DEATH』(2004年)、『LIES FOR THE LIARS』(2007年)といった初期3作を手がけた、気心知れた相手との再タッグということで、バンドも従来の“らしさ”と成長した部分、今ならではの表現を素直に形にすることができたのかもしれませんね。それを見事に引き出したジョンの手腕もさすがだと思います。
グランジ経由のオルタナロック色の強いオープニング曲「Paradise Lost, a poem by John Milton」に一瞬「あれっ?」と不安を覚えるものの(これはこれでカッコいい!)、続く「Blow Me」ではまごうことなきTHE USED節を展開。この曲にはFEVER 333のジェイソン・エイロン・バトラー(Vo)がゲスト参加しており、彼ならではのシャウト/スクリームを随所で響かせています。カッコいいったらありゃしない。
かと思えば、「BIG, WANNA BE」では昨今のエモに通ずる、ビッグビートなモダンポップを展開し、「Wow, I Hate This Song」では浮遊感の強いエモーショナルなオルタナロックを披露。インタールード的な1曲ですが、「My Cocoon」でのクールダウンしたテイストも嫌いじゃない。それに続く「Cathedral Bell」は今流行りのダークポップにも通ずる仕上がりで、しっかり“今”に対応できることも証明しています。
ゴシックテイストを内包する「1984 (Infinite Jest)」や「Gravity's Rainbow」には思わず最初こそ「おおっ!?」と驚きを隠せませんが、楽曲自体はTHE USEDそのもの。味付けが多彩なのも本作の特徴かもしれませんね。なんてびっくりしていると、EDMを流用したダンサブルな「Clean Cut Heals」まで飛び出す始末。なんでもありだな、おい!(笑)
終盤にはマーク・ホッパスやトラヴィス・バーカー(ともにBLINK-182)、ケイリブ・ショーモ(BEARTOOTH)をフィーチャーした楽曲も用意。とにかく1曲1曲のクセが強くて、最後まで飽きずに楽しむことができました。
バンドとしてようやくネクストレベルへ到達できた。そんな印象を受ける良質な1枚だと思います。前作での経験がしっかり活かされているのかどうかはわかりませんが、前々作『IMAGINARY ENEMY』(2014年)あたりが好きなリスナー(筆者含む)なら問答無用で楽しめる良作だと思います。
▼THE USED『HEARTWORK』
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