BOSTON MANOR『GLUE』(2020)
2020年5月1日にリリースされた、BOSTON MANORの3rdアルバム。日本盤未発売。
全英80位を記録した『WELCOME TO THE NEIGHBOURHOOD』(2018年)から1年8ヶ月という比較的短いスパンで届けられた本作。同じスタッフと制作した、前作を最良の形でブラッシュアップさせた力作に仕上がっています。
デジタルやエレクトロの要素を活かしたアレンジは前作から引き続きですが、その使い勝手がわかってきたのか、前作のときよりも取って付けた感はなくなり、最初からこういったエレクトロ・ロックバンドだったんじゃないかと思わされるほど自然に聴くことができます。また、前作では若干抑えめだったパンクロック色も若干復調しており、オープニング「Everything Is Ordinary」から飛ばしていくことで全体の勢いが前作以上に感じられるから不思議です。
ですが、本作の最大の魅力はそういった的な側面ではなく、やはりエレクトロの要素を自由自在に用いたアレンジと、若干ゴシック調に寄ったテイストの深化でしょう。そのディープさ、ダークさはどこかDEFTONESにも似たものがあり、特にミディアムテンポでじっくり聴かせる楽曲ではその傾向はより強まって聴こえます。それもあって、以前よりもセクシーさが増しているような気も。きっとフロントマンのヘンリー・コックス(Vo)のボーカルワークが良い意味で肩の力が抜けたのも大きいのかな。要所要所でスクリームは多用されるものの、全体的には無理に力まないことで、気だるさとセクシーさを強めることに成功しているわけですから、この成長はかなり大きなものがあると思います。
また、ギターワークやそれに付随するアレンジもパンクやエモのそれというよりは、モダンヘヴィネス以降のメタルやスクリーモなどに通ずるものがある。それによって全体の空気感も先のDEFTONESなどの系譜に接近しているわけですから、この進化はメタル寄りリスナーからしたら非常に興味深いのではないでしょうか。ようこそ、こちら側へ!みたいな感じもありますし。
と同時に、90年代のブリットポップや80年代のUKニューウェイヴにも通ずる要素も感じられる。そういった点でもDEFTONESあたりとの共通点が見つけられ、個人的にはアルバムを聴き進めながらワクワクしてしまいました。
全13曲で50分超えと、40分以下だった過去2作と比べるとボリューミーに感じられますが、それでもスルッと聴き進められてしまうのは、本作の軸が最初から最後までブレていないから。いや、これまでもブレていなかったけど、本作に関しては迷いがまったく感じられないというのが正解かもしれません。モッシュ&ダイブしたりサークルピット作ったりとか、そういう盛り上がりこそ皆無ですが、一度聴いたら抜けられないような沼にハマる感覚は過去イチ。これはすごい力作が完成したんじゃないでしょうか。ぜひポストハードコアも素直に楽しめるHR/HMリスナーにこそ触れていただきたい1枚です。
▼BOSTON MANOR『GLUE』
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