« VADER『SOLITUDE IN MADNESS』(2020) | トップページ | ASKING ALEXANDRIA『LIKE A HOUSE ON FIRE』(2020) »

2020年5月19日 (火)

PARADISE LOST『OBSIDIAN』(2020)

2020年5月15日リリースの、PARADISE LOST通算16作目のオリジナルアルバム。

前々作『THE PLAGUE WITHIN』(2015年)ではゴシックメタルをベースに、本来のデスメタル/ドゥームメタルらしさに回帰。ニック・ホルムス(Vo)のデス声も本格復活し、続く前作『MEDUSA』(2017年)ではドゥーム側に寄せたスロウ&ヘヴィなサウンドで聴き手を楽しませてくれました。

前作から2年8ヶ月ぶりに届けられた今作は、オープニングの「Darker Thoughts」でこそストリングスを取り入れた叙情的な世界観を展開しますが、基本的に序盤序盤3曲(「Darker Thoughts」「Fall From Grace」「Ghosts」)は前作を踏襲したスタイルなのかな。そこでリスナーを惹きつけておいて、4曲目「The Devil Embraced」から本編に入る……と言っては言い過ぎでしょうか? けど、本作のミソはここからではないかと思っています。

それはですね、あれですよ。バンドの全盛期といえる4thアルバム『ICON』(1993年)、5thアルバム『DRACONIAN TIMES』(1995年)で強くアピールしたゴシックテイストが色濃く復調しているんです。

もちろん、このテイストは前作にも少なからず存在していましたし、その前の『THE PLAGUE WITHIN』(2015年)でもしっかりと感じ取れるものでした。が、ここまでバランスよく(しかもわかりやすく)本来の持ち味を「武器のひとつ」として見せてくれたのは、特に古くからのファンには驚きと同時に喜びが込み上げてくるのではないでしょうか。

しかも、この“回帰”は単なる焼き直しではなく、7thアルバム『HOST』(1999年)から数作続いた“実験”を(それが成功であっても失敗であっても)なかったことにせず、そこを通過したことでアップデートできている。だから“あの頃”のようであってそうじゃない、完全に今の音であり、『THE PLAGUE WITHIN』から続く“良き形の進化”の結果なんですよね。

BLACK SABBATHCATHEDRALにも通ずるドゥーミーさ/スラッジ感なんてことを前作のレビューでは書きましたが、今回はそこに頼っていないし、むしろニックのクリーンボイスとグロウルを巧みに使い分けた歌唱と、グレッグ・マッキントッシュ(G, Key)によるメロウで泣きまくりのギタープレイが絶望的なまでの悲しみを表現してくれている。ああ、カッコいいったらありゃしない。

それこそ、先の「The Devil Embraced」から「Hope Dies Young」までの流れを全部クリーントーンで歌って、演奏をデジタルに置き換えたら……言いたいこと、わかりますよね? ホント、『HOST』は無駄じゃなかったんだと力説したい(少数派かもしれませんが、本当にあのアルバムが好きなもので)。

ちなみに、本作は海外デラックス・エディションおよびデジタル版(ストリーミング含む)は全11曲入りで、本来はM-9「Ravenghast」で終了する45分程度のコンパクトな構成。再びドゥーミーなこの曲で終わる構成、良いです。個人的にはボーナストラック2曲(「Hear The Night」「Defiller」)は蛇足かなと感じているので、アルバムを通して聴くときは「Ravenghast」終わりで一旦小休止するようにしています。だって、不穏なピアノ&ストリングスの音色で終わるほうが、このバンド(このアルバム)らしくて最高じゃないですか?

 


▼PARADISE LOST『OBSIDIAN』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

« VADER『SOLITUDE IN MADNESS』(2020) | トップページ | ASKING ALEXANDRIA『LIKE A HOUSE ON FIRE』(2020) »

Paradise Lost」カテゴリの記事

2020年の作品」カテゴリの記事

2020年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー

無料ブログはココログ