BLACK VEIL BRIDES『WE STITCH THESE WOUNDS』(2010)
2010年7月にリリースされたBLACK VEIL BRIDESの1stアルバム。日本盤は同年11月に発売されています。
BLACK VEIL BRIDESは2006年にアメリカ・オハイオ州で結成された、グラム/ゴシック色の強いメタルコアバンド。活動拠点をハリウッドに移してからSNSなどを通じて着実に知名度を高めていき、当時若干19歳だったフロントマンのアンディ・ビアサック(Vo/当時はアンディ・シックス名義)のルックスと相まって、2009年6月に公開した「Knives And Pens」のMVは1年強で1,600万再生を記録するほどの人気を誇る存在でした。
SNSの寵児とでも言わんばかりの人気ぶりからか、はたまたマネジメントがIN THIS MOMENTなどを擁するMercenary Management、プロデューサー兼マネージャーがオジー・オズボーン・バンドのブラスコ(B)という強力なバックアップあってこそか、本作はデビュー作ながらも全米36位のスマッシュヒットを記録。この時点ですでに大物の風格を表していたわけですね。
さて、気になる音ですが、メタルコア以降のサウンド/アレンジをベースに、スクリームなどを交えつつも中音域をメインとしたアンディの甘い歌声や、オーソドックスなツインリードなどを中心に置くメロディアスな楽曲群は、AVENGED SEVENFOLDやBULLET FOR MY VALENTINE以降の流れを汲む現代的な作風であることが伺えます。つまり、適度なヘヴィさを保ちつつも、軸になるのはエモ以降のキャッチーなメロディ。わかりやすさ重視なのが2000年代的であり、その傾向は2010年代に入ってさらに特化していった
ような気がします。
と同時に、KISSや80年代前半のMOTLEY CRUEを彷彿とさせるグラムメイクは、ひと時代前のヘアメタルというよりはMY CHEMICAL ROMANCE以降の流れと捉えることもできる。彼らのようなゴスメイクは(アメリカにおけるいわゆる)オタク受けが非常に良いですし(そういったファンが日本のV系を愛好するように)、要するに彼らが2010年にデビューしたのは必然だったのかもしれませんね。
ヒステリックに歌い上げることなく、アンセミックに大合唱できるようなシンガロングパートも意外と少ない。そういった点からはスクリーモやポストハードコア流れのバンドとは異なる、生粋のHR/HM流れのバンドであることにも気づかされるはず。ストリングスをフィーチャーしたアコースティックバラード「The Mortician's Daughter」のような楽曲を含むあたりからも、その傾向が伺えるのではないでしょうか。
個性や才能が本格的に開花するのは次作『SET THE WORLD ON FIRE』(2011年)以降になりますが、原石らしさが詰まった本作もまた処女作ならではの「この瞬間だけの輝き」を見つけられるはずです。
▼BLACK VEIL BRIDES『WE STITCH THESE WOUNDS』
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