GREAT WHITE『HOOKED』(1991)
1991年2月末にリリースされたGREAT WHITEの5thアルバム。日本盤は海外から1週遅れの同年3月上旬に発表されました。
アメリカでは『ONCE BITTEN...』(1987年)、『...TWICE SHY』(1989年)と2作連続でプラチナム獲得、特に後者は売り上げ200万枚を突破したほか、「Once Bitten, Twice Shy」(全米5位)という大ヒット曲も生まれました。日本でも『...TWICE SHY』を携えて初来日公演が実現と、ノリにノッテいるタイミングに、この勢いを失わないようにと制作されたのがこの『HOOKED』というロックンロールアルバムです。
過去2作にあったメタリックな要素は完全に払拭され、『...TWICE SHY』で顕著だった土着的ロック路線を前面に打ち出した作風は、バンドのルーツであるFREEやBAD COMPANY、HUMBLE PIEあたりも通ずるブルース・ベースのハードロック。ドラムのミックスも過去の作品と比べるとかなり軽くなり、ギターの歪みもだいぶ抑えられている。しかし、そういった要素がマイナスポイントになることは一切なく、むしろ「この曲だからこの音!」という説得力を持って強調されているのです。
軽薄でノリ一発な「Call It Rock N' Roll」(全米53位)から始まる本作は、最初こそ「軽いな……」と思うかもしれません。が、2曲目「The Original Queen Of Sheba」からが本作の真骨頂。「Cold Hearted Lovin'」や「Heartbreaker」で見せるグルーヴィーかつブルージーなロックぶり、「Can't Shake It」(THE ANGELSカバー)や「Desert Moon」でのメロウなハードロック路線、「Lovin' Kind」や「Afterglow」(SMALL FACESカバー)で聴かせるアダルトなバラードなど、地味だけどクセになるロックチューンが満載なんです。
特に、「Desert Moon」の完成度はなかなかのものがあり、『ONCE BITTEN...』以降のGREAT WHITEのひとつの完成形ではないかとも思うのです。しかし、この曲は大きなヒットにはつながらず……そうそう、アルバム自体も全米18位で売り上げ50万枚止まり。過去2作ほどの成功を収めることはできませんでした。
ちょうどHR/HMブームからグランジ・ムーブメントへと移行する間の作品ではあるものの、いかんせんこのアートワークがいけなかったよな(苦笑)。そういえば、本作を携えた二度目の来日公演を観に行き、このアートワークをあしらったTシャツを購入。学校などで着ていたわけですが(着るなよ。苦笑)、アメリカ人女性講師から非難されましたから。当時は「ふざけんなよ!」とイキがった若造だった筆者も、今なら激昂する理由よくわかります(苦笑)。
アートワークが原因だとは思いませんが、本作は日本のみならず海外でもデジタル配信やストリーミング配信が行われておりません。そういえばGREAT WHITEの作品ってサブスクにないものが多いんですよね。HR/HM路線の良作『SHOT IN THE DARK』(1986年)もないですし。このへん、ぜひデジタル化をお願いしたいところです。
というわけで、しばらくはCDを購入して聴いていただけたらと。現行の日本盤にはボーナストラックとしてDR.FEELGOODのカバーでおなじみの「Down At The Doctor」やブルースの名曲「The Hunter」など、ブルース/ルーツロックのカバー4曲が追加収録されており、こちらも必聴に値するものですので。オススメです。
※追記:2020年末の段階で、本作や『SHOT IN THE DARK』(1986年)などCapitol Records時代の音源がApple Music、Spotifyに追加されていました。
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