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2020年6月19日 (金)

CORROSION OF CONFORMITY『WISEBLOOD』(1996)

1996年10月リリースの、CORROSION OF CONFORMITYの5thアルバム。日本盤は1ヶ月前倒しの同年9月に発売されています。

もともとはハードコアやスラッシュメタルをベースにしたクロスオーバー・サウンドが武器のバンドでしたが、ペッパー・キーナン(Vo, G)加入以降は徐々にサウンドを土着的なストーナーロック路線へとシフト。今作ではついにハードコアの要素がほぼ払拭され、埃臭いハードロックを全編にわたり展開しています。

サザンロックとストーナーロック/スラッジメタルをミックスさせたスタイルのバンドは、今でこそ数多く存在しますが、本作はそれまでアングラだったそのスタイルをメジャーシーンで一般化させるために一役買った、非常に重要な1枚だと捉えています。もっとも、そのスタイルが以降のメジャーシーンでそこまで浸透しなかったので、表立った重要さは伝わらないかもしれません。が、この時期にMETALLICA『LOAD』(1996年)『RELOAD』(1997年)というアルバムでこの手のスタイルに果敢に挑んでいたことを考えると、その重要さはなんとなく伝わるのではないでしょうか。

実は本作、そのMETALLICAからジェームズ・ヘットフィールド(Vo, G)が「Man Or Ash」という楽曲にゲスト参加しています。しかし、契約の関係上、アルバムには一切クレジットされていません。それでも聴けばジェームズだと一瞬でわかる、豪快で男臭い歌声はさすがの一言。そういえば、のちにペッパー・キーナンはMETALLICAのベーシスト・オーディションにも呼ばれましたよね。そのへんのつながりを考えると、また見え方/聴こえ方も変わってくるんじゃないかな。

BLACK SABBATHをサザンロック的に表現するとなると、それこそのちにザック・ワイルドBLACK LABEL SOCIETYで実践していることとも重なりますが、意外とこのあたりのことをもっともわかりやすい形で届けてくれたのがこの『WISEBLOOD』だったと。当時はそんなこと微塵も考えずに、ただひたすら気持ちよく楽しめるハードロックアルバムとして接していましたが、実はそれくらい難しいことを考えずに楽しむのが一番なのかな。

後半から終盤にかけて「The Door」や「Wiseblood (Some Tomorrow)」のようなシャッフルビートの曲があったり、「Fuel」のような過去のハードコア路線を彷彿とさせるパンキッシュなナンバーもありますが、基本的にはヘヴィかつスローな楽曲が大半を占めます。全13曲、60分近くにわたりこの手のサウンドが続くと飽きがくるのでは?と若干不安になるものの、演奏面でのメリハリの付け方が功を奏し、意外と最後までスルスル聴き進められるのも本作の魅力。C.O.C.本来の“らしさ”という点ではかなり希薄な1枚かもしれませんが、それでも嫌いになれない、いやだからこそ大切に扱いたい名作だと個人的には思っています。

 


▼CORROSION OF CONFORMITY『WISEBLOOD』
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