DEAD END『DEAD END』(1990)
1990年7月にリリースされたDEAD END初のライブアルバム。
本作リリース時点ではMINATO(Dr)が脱退し、バンドはすでに活動休止(事実上の解散)状態で、ファンからしてみれば各メンバーがソロへと移行する前の最後の置き土産という印象が強いかもしれません。そもそも、このバンドの性質を考えると(ちゃんと活動が続いていれば)このタイミングにライブアルバムを出すなんてこと、まずなかっただろうし……ただ、ベストアルバムではなくてライブアルバムだったのが救いだったかもしれません。
音源は1990年1月20日の中野サンプラザ公演を収録したもので、MORRIE(Vo)、YOU(G)、COOL JOE(B)、MINATOという布陣での最後のライブを収めたもの。二部構成という異色のセットリストで臨んだこのライブは第1部が当時の新作『ZERO』(1989年)からの楽曲中心、第2部は『shambara』(1988年)収録の「EMBRYO BURNING」からスタートする、オールタイムベスト的な選曲で進行します。当時からMINATO脱退の噂はあったようですが、この二部構成を前に脱退を確信したというファンも少なくなかったようです。
DEAD ENDのアルバムというと、スタジオできっちり作り込まれたイメージが強く、先の「EMBRYO BURNING」のようにライブでは完璧に再現できないくらいにギターを重ねまくっている楽曲も少なくありません。そもそもこのバンドはシンプルな4ピース編成なので、ライブになると音が薄くなってしまうのは仕方ないと言えるでしょう。しかし、このアルバムを聴くと各プレイヤーの技量の高さが遺憾なく発揮された、ライブならではのアンサンブルを堪能できるのです。
MINATOのドラミングはオープニングの「SO SWEET SO LONELY」こそゆったりと大きなリズムを聴かせてくれますが、続く「I WANT YOUR LOVE」では前のめりで若干走り気味なプレイという、ライブならではの醍醐味を楽しめます。もちろんテクニカルな曲では、改めて彼による匠のフレージング(特にシンバルなど金モノ使いの妙!)を堪能できることでしょう。と同時に、COOL JOEというベーシストの技術の高さにも気づかされるのではないでしょうか。80年代のミックス技術なのか、それともエンジニアの趣味なのか、初期のDEAD ENDの音源ってベースが必要以上に後ろに引っ込んでいる印象を受けるのですが、音数が一気に減ってシンプルになったライブ音源で彼の技量の高さが露呈することになったという意味では、本作のリリースは非常によかったのかなと思います。
MORRIEの若々しい歌声もなかなか味わい深いものがありますよね。再結成後やソロ、Creature Creatureでの歌唱に慣れてしまった耳には、この頃のフレッシュなボーカルワークも勢いが感じられてカッコいいなと思うわけです。そして、YOUのギタープレイ……ライブでは若干雑さが目立つことの多い彼の演奏ですが、ここではスタジオ音源では複数のギターを重ねて表現していたアレンジをどうギター1本で描き切るか、その1点に尽きると思います。歪み系からクリーン系への切り替え、ディレイやコーラスなどのエフェクトを巧みに使い分ける彼のギターワークからは、スタジオ作品とはまた違った魅力が見えてくるはずです。ライブならではのインプロビゼーションも随所に用意されているので、楽器を弾く方々には非常に面白い内容だと思いますよ。
録音状態が決してベストとは言えない作品ですが、現時点で唯一のライブアルバムです。映像作品ではデビュー25周年ライブを収めたDVD&Blu-rayでフルライブを楽しむことができますが、80年代のフルライブを楽しめるのはこのアルバムのみなので、オリジナルアルバムをすべて聴き終えたあとにぜひ触れてみてはいかがでしょう。
なお、もともと2枚組作品だった本作は、1995年に『DEAD END LIVE ACT-1』『DEAD END LIVE ACT-2』と題して2枚別々の単独作品としてリリースされたこともありました。しかし、2009年の再結成を機に再び2枚組仕様で再発。Blu-spec CD仕様なので、若干音質も上がっているのではないでしょうか(実は再発モノで、これだけは購入していません)。
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