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2020年7月29日 (水)

SOUNDGARDEN『KING ANIMAL』(2012)

2012年11月にリリースされたSOUNDGARDEN通算6作目のオリジナルアルバム。

『DOWN ON THE UPSIDE』(1996年)を最後に、翌1997年4月に解散を発表したSOUNDGARDEN。そこから約13年後の2010年1月にクリス・コーネル(Vo, G)、キム・セイル(G)、ベン・シェパード(B)、マット・キャメロン(Dr)がスタジオ入り。同年4月に復活ライブを行い、10月には未発表曲などを含むコンピレーション盤『TELEPHANTASM』をリリースしました。さらに、2012年春に映画『アベンジャーズ・アッセンブルズ』用への新曲「Live To Rise」提供を経て、ついに16年ぶりのフルアルバムが届けられたのでした。

アダム・カスパー(FOO FIGHTERSPEARL JAMQUEENS OF THE STONE AGEなど)とバンドの共同プロデュースという前作『DOWN ON THE UPSIDE』と同じ形で制作された本作は、我々がよく知るSOUNDGARDEN……つまり、メガヒット作『SUPERUNKNOWN』(1994年)と『DOWN ON THE UPSIDE』の延長線上にある、いや、この2作からの流れをベストな形で受け継いだ、文字通り「“あの”SOUNDGARDENのニューアルバム」として仕上がっています。なので、オープニングを飾る疾走チューン「Been Away Too Long」の時点で何の違和感なく、帰ってきたSOUNDGARDENを思う存分楽しむことができます。

「Live To Rise」は映画サントラ曲ということもあり、従来のらしさ以上にキャッチーさが目立つ、言ってしまえばクリス・コーネルのソロ曲の延長に近い作風でしたが、本作にはそんな日和った楽曲は皆無。ベン&マットのリズム隊はしなやかにグルーヴを生み出し、キムのギターも時にヘヴィに、時にサイケデリックに、耳に残るフレーズを奏でる。クリスの歌声はAUDIOSLAVE時代から感じ取れた若干の「老い」が感じられるものの、それでも自然体で「SOUNDGARDENのクリス」を表出させている……そう、このアルバムには不自然さや力みが皆無なんです。全員がSOUNDGARDENのメンバーでいること、SOUNDGARDENとして演奏することを、ある程度の余裕を持って楽しんでいる。そんな円熟味が伝わってくる内容なのです。

確かにここには『BADMOTORFINGER』(1991年)や『SUPERUNKNOWN』にあった先鋭性は少ないかもしれない。しかし、『SUPERUNKNOWN』から『DOWN ON THE UPSIDE』にかけて確立させたスタンダード的スタイルがさらに明確化され、個性として強まっている。もちろん、その間には16年という空白があり、そこで各メンバーはミュージシャン/表現者として自身を磨き続けた。その結果が、このナチュラルさなのかなと思うわけです。

SOUNDGARDENに一度でも心を動かされたことがあるリスナーなら、絶対に嫌いになれない音とメロディ。そんなシンプルな集合体こそ、バンドの復活作としてふさわしい1枚となるわけで、SOUNDGARDENはその使命を全うしたわけです。2017年にはクリス・コーネルが急逝し、結果としてこの編成でのオリジナルアルバムは本作が最後となってしまいましたが、もしあのまま成熟を積み重ねていったら、このバンドはどんな存在になっていたんでしょうね……。

 


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