CHRIS POLAND『RETURN TO METALOPOLIC (30TH ANNIVERSARY EDITION)』(2020)
1990年に発表されたクリス・ポーランド(G)初のソロアルバム。ここでは、2020年2月に海外でリリースされた同作の30周年記念エディションについて触れていきたいと思います(オリジナルバージョンは1990年10月に日本盤もリリースされましたが、この30周年エディションは国内未発売です)。
クリスはもともと、MEGADETHの初代ギタリストとしてシーンにその名を知らしめた人で、『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』(1985年)、『PEACE SELLS... BUT WHO'S BUYING?』(1986年)という初期2作品でその非凡なプレイを堪能することができます。特に、ジャズやフュージョンの香りがする楽曲は間違いなくクリスの影響が強く表れた結果だと思われます。
そんなクリスがMEGADETHから脱退後、約3年を経て届けられたのがこの初ソロアルバム。ドラマーに弟のマーク・ポーランドを、プロデューサーにPEACE SELLS... BUT WHO'S BUYING?』も手がけたランディ・バーンズを迎えた本作は、もともとボーカリストありきで制作されていたようで、あとからクリスのメロディアスなソロプレイが増やされているものの、全体的に隙間の多さが目立つ1作。ですが、それがマイナスポイントに働くことがないくらい、クリスの独特なプレイ&フレージングを存分に楽しめるのも、本作ならではの個性と言えるでしょう。
要所要所でスラッシュメタル的(MEGADETHでいうところの“インテレクチュアル・スラッシュメタル”的)要素を見つけることができものの、全体を通して感じるのはフュージョン的な浮遊感が散りばめられたヘヴィメタル色の強さ。そこに、クリス特有の音階やフレージングが際立つソロが被せられており、「Heinous Interruptus」や「The Fall Of Babylon」あたりのギタープレイやリズム感からはMEGADETHらしさも感じられるものの、大半は初期MEGADETHともまた違った新鮮さを味わうことができるはずです。
ぶっちゃけ、本作はリフワークだけでも十分に元を取れるくらい楽しめますが、そこに加えてクリスならではの音階を用いたソロも堪能できるのですから、ギタリスト志望のリスナーにとっては非常に勉強になる1枚ではないでしょうか。僕は自分のプレイスタイル的にはかなりかけ離れているものの、「こういう表現もあるんだ」という程度には楽しめる1枚でした。
で、ここからが30周年エディションの追加要素についてです。再発盤には4曲の新曲と、1990年のアリゾナでのライブ音源5曲が追加されています。この再発盤、元盟友であるデヴィッド・エレフソン(B)主宰レーベルのCombat Recordsからリリースされています。そういえば、ジュニアのソロアルバム『SLEEPING GIANTS』(2019年)にもクリスはゲスト参加していましたし、いまだに交流があるというのは古くからのファンにはうれしい限りです。
この新録パート、リズム隊にはチェイス・ブライアント(B)&カルロス・クルーズ(Dr)というWARBRINGER組が参加。きめ細やかさが印象に残ったオリジナル盤の楽曲とは異なり、こちらのミックスは非常に生々しいデッドな録音が活かされております。このへんは好みが分かれそうな気がしないでもないですが、よりフリーキーさが際立つクリスのプレイを前にすると、そういった細かいことはどうでもいいのかなと思えてきます。ここでは「Final Days」のみ、女性シンガーのメアリー・マギルが参加した歌モノになっており、もともとはこういう方向性の作品にしたかったのかな……という裏テーマも見えてきます。もし可能なら、オリジナルの『RETURN TO METALOPOLIC』にボーカルを加えたバージョンも聴いてみたいな……そう思わせてくれる、貴重な1曲です(その進化形が、1993年にアルバム1枚のみ制作したDAMN THE MACHINEなんでしょうね。それについては、また別の機会にでも)。
残りのライブテイクは、2007年に発表された『RETURN TO METALOPOLIC LIVE』から厳選された5曲。既発テイクなので、持っている人も少なくないのでは。トリオ編成でのライブなので、スタジオテイク以上に暴れまわるクリスのプレイを楽しむことができます。オリジナルアルバムには未収録の「Psycho Boy」「Nightmare Hall」といった楽曲も含まれているので、これからCDを購入しようと思っている方は、新曲&ボートラ満載の30周年エディションがオススメです。
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