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2020年7月17日 (金)

STONE SOUR『AUDIO SECRECY』(2010)

2010年9月初頭にリリースされたSTONE SOURの3rdアルバム。

4thアルバム『ALL HOPE IS GONE』(2008年)を携えたSLIPKNOTのワールドツアーを終えるも、201年5月にポール・グレイ(B)が急逝。そんな悲しみに包まれたタイミングにコリィ・テイラー(Vo)、ジェイムズ・ルート(G)が完成された本作は、亡きポールに捧げられた1枚でもあります。

前作『COME WHAT(EVER) MAY』(2006年)制作時はサポート扱いだったロイ・マヨルガ(Dr)が正式加入し、コリィ、ポール、ジョシュ・ランド(G)、ショウン・エコノマキ(B)、ロイという布陣で制作された最初で最後の1枚(ショウンは本作を伴う活動終了後に脱退)。前作から引き続きニック・ラスクリネクツ(DEFTONESFOO FIGHTERSHALESTORMなど)をプロデューサーに迎えた本作は、よりキャッチーでメロディアスな1枚に仕上がっています。

土着的な70'sハードロックと、リフでゴリゴリ押し切る90年代以降のオルタナ・メタルからの影響を程よくブレンドした過去2作とは一線を画し、本作はとにかくポップさ、わかりやすさがより際立つ内容で、コリィの“歌”を武器にして楽曲の良さで勝負しようとする気概が感じられます。耽美なオープニングSE「Audio Secrecy」はまさにポールへの鎮魂歌のようにも聴こえますが、続くリードトラック「Mission Statement」を筆頭に、歌メロが耳や脳にこびりつく良質なハードロックナンバーを次々に繰り出します。

もちろん「Dying」や「Miracles」にように過去2作にもあった土着的バラードも存在するのですが、以前だったらそれが武器のひとつになっていたところを、本作では「こういうのもできます」と薬味程度の扱いに収めている。むしろ、大陸的なパワーバラード「Hesitate」のほうが本作では印象に残るのですから……それくらいメロディアスさが印象的な作品集なわけです。いわゆるポスト・グランジ的立ち位置だった過去2作から、ここで一気に個性を確立させた……そう捉えることもできるのではないでしょうか。それくらい、完成度の高いHR/HMアルバムだと思います。

ただ、そんな本作にも唯一の欠点が。それは曲数が多いことで、通常盤14曲(54分)、スペシャル・エディション18曲(69分)というのはいかがなものかと。すべてそれなりに完成度が高いのはわかるんですよ。でも、これを12〜3曲程度にまとめていたら、もっと完成度の高い傑作として評価されたんじゃないでしょうか。これ、今だったら残りの5〜6曲をEPとして配信限定リリースすることもできるんでしょうけどね。もし、ゆったりめの曲多めのEPを別に作っていたら、ALICE IN CHAINSにおける『SAP』(1992年)的良作が完成していたのでは……なんていうのは邪推でしょうか。

バンドにスタンス的に意外と古き良き時代のHR/HMを大切にしているような印象を受けるけど、リリース形態に関しては「あるもの全部出しちゃえ」というGUNS N' ROSES的な精神が玉に瑕(苦笑)。いい曲が多いのにアルバムとして「これ!」という1枚が少ない、このバンドの弱点が表面化してしまった惜しい1枚です。

 


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