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2020年7月 9日 (木)

MOGWAI『ROCK ACTION』(2001)

2001年4月末にリリースされたMOGWAIの3rdアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年4月初頭に発売されました。

『MOGWAI YOUNG TEAM』(1997年)や『COME ON DIE YOUNG』(1999年)がインスト主体のポストロック・サウンドにも関わらず、そのノイジーなギターアンサンブル含め海外や日本で高く評価された彼ら。特にデイヴ・フリッドマン(MERCURY REV)をプロデューサーに迎えた前作『COME ON DIE YOUNG』は、その年の年間ベストにも選出されるなど、一気にメジャー感を高めることに成功しました。

そこから2年を経て届けられた新作は、再びデイヴ・フリッドマンをプロデューサーに迎えた新機軸の1枚。ディストーションギターによるノイジーな“Wall of Sound”や攻撃的な要素は完全に後退し、非常に穏やかで叙情的な空気感で全体を覆っています。初めて聴いたときは「どのタイミングでドカーン!と爆発するのかしら……」と過剰に期待したものですが、そんな瞬間は一度も訪れることなく、終始一定のトーンと温度感でアルバムは進行するのでした。

もうひとつ、本作最大の変化はボーカルナンバーが大半を占めることでしょうか。前作にもそういった要素はフックとして用意されていましたが、本作はダウナーなオープニング「Sine Wave」を経て“歌ありきのダウナーなアンセム”「Take Me Somewhere Nice」へと続き、さらに1分にも満たない歌アリのインタールード「O I Sleep」からSUPER FURRY ANIMALSのグリフ・リース(Vo)をフィーチャーした「Dial: Revenge」へと流れていくのです。この序盤の流れ、最高ったらありゃしない。

ノイジーなギターは前面に出ることなく後方で味付けとして鳴らされ、さらにストリングスやブラスを重ねることで独特な空気感を構築していく。確かにこれもMOGWAIにとってひとつの武器だったと思います。が、それはあくまで“動”(ここでは攻撃性という意味での“動”)の要素との対比で初めて成立したものであり、ここでは“動”を排除することで、“静”でどこまで引っ張ることができるのかに挑戦している。ある種、バンドが過去2作で築き上げたスタイルを一回ぶち壊して、ここで再構築して再前進を始めた……そう受け取ることもできるのではないでしょうか。

80年代以降のPINK FLOYDと重なる表現方法は、彼らがポストロックという狭い枠から早くも飛び出そうとしているようにも受け取れる。70〜80年代のクラシックロックから脈々と続くスタイルを、21世紀の手法で再構築したこのアルバムは、過去2作のインパクトには及びませんが、バンドにとっては新たなスタンダードであり、その後の活動におけるひとつの雛形になったと断言できます(事実、その後彼らが設立したプライベートレーベル名はそのものズバリ、Rock Action Recordsですからね)。

優しさと悲しみが同じトーンで、ゆっくりと押し寄せてくるような、そんな奇跡の1枚です。

 


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