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2020年8月 3日 (月)

DREAM THEATER『FALLING INTO INFINITY』(1997)

1997年9月にリリースされたDREAM THEATERの4thアルバム。

前作『AWAKE』(1994年)発表前後にケヴィン・ムーア(Key)が脱退し、新たにデレク・シェリニアン(現SONS OF APOLLO)が加入。1995年秋には23分にもおよぶ超大作タイトルトラックを含むEP『A CHANGE OF SEASONS』をリリースし、満を辞してこのフルアルバムに取り組みます。

新たなプロデューサーとしてケヴィン・シャーリー(AEROSMITHIRON MAIDENJOURNEYなど)を迎え制作した本作は、前作での作風をベースにしつつも楽曲1つひとつの完成度を高めることに注力し、なおかつそれらにDTらしいインタープレイを効果的に取り入れるという進化したバンドの姿を提示しています。メロディに関して言えば、前作がそのヘヴィな音像に合わせるかのようにモノトーン調だったのに対し、今作はより色彩豊かで耳に残る良メロを量産。『IMAGES AND WORDS』(1992年)のようにメタル的ハイトーンを多用したメロとは異なる、大人の落ち着きと、純粋に「ポップスとして成立する」メロディが多数用意されています。

また、楽曲の質感やジャンルの幅もかなり広がっており、一概にHR/HMの枠には収まりきらない楽曲も増え始めています。そのもっともたる例が「Hollow Years」や「Anna Lee」といったバラードでしょう。特に前者はリリース時期的にもスティング「Shape Of My Heart」(映画『レオン』でおなじみ)と重なる印象があり、間違いなくそのへんの層を意識した1曲なのでしょう。

かと思えば、難解なプレイが全面フィーチャーされた12分におよぶ「Lines In The Sand」ではソウルフルなフィーリングが強まることで曲が持つ緊張感が強まっているし(ゲスト参加のKING'S Xのフロントマン、ダグ・ピニックのボーカルパフォーマンスのさすがの一言)、モノトーンな前半からどんどんヘヴィさが増していく「Peruvian Skies」なんて90年代のMETALLICA的な色合いすら感じられる。「Hell's Kitchen」のような“らしい”インストナンバーがあったり、シングルカットできそうなポップなミディアムバラード「Take Away My Pain」、今でもライブではおなじみの「Just Let Me Breathe」もあり、アルバムラストには13分超の3部作「Trial Of Tears」も存在する。全体のバランスとしてはかなり緩急に富んだ1枚で、もしかしたら前作『AWAKE』でふるいにかけられた『IMAGES AND WORDS』からのHR/HMリスナーの中には、ここで離脱してしまったなんて人もいるのではないでしょうか。

良く言えばバンドとしての表現の幅が急速に広がった実験的意欲作、悪く言えば「売れる」ことを意識しすぎてメタルバンドとしての焦点がぼやけた不発作と言えなくもありません。しかし、ファンには馴染み深い良曲/人気曲も多く含まれていることから、決して駄作ではないはず。その後20年以上続くDTの歴史的にも評価の難しい1枚ですが、個人的には前作『AWAKE』から引き続き愛聴した“好み”の作品です。もしかしたら自分、このバンドに対してヘヴィメタル的な側面はそこまで求めていないのかもしれませんね(苦笑)。

 


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