CREEPER『SEX, DEATH & THE INFINITE VOID』(2020)
2020年7月31日にリリースされたCREEPERの2ndアルバム。日本盤未発売。
CREEPERは2014年に結成された、イギリス・サウスハンプトン出身の6人組ゴシックホラーパンクバンド。2015年には早くも名門レーベルのRoadrunner Recordsと契約を交わし、『THE CALLOUS HEART』(2015年)、『THE STRANGER』(2016年)と2枚のEPを経て、1stフルアルバム『ETERNITY, IN YOUR ARMS』(2017年)では日本デビューも飾りました。
全英18位という好記録を残した1stアルバムから約1年の空白期間を経て、3年4ヶ月ぶりに届けられた今作は、フロントマンのウィル・グールド(Vo)の実際の人生が反映された、ストーリー性の強い1枚に仕上がっています。このアルバムの完成に至るまでに、CREEPERはメンバーが死に直面するような悲劇を経験。また、大きな成功を収めた前作を超えるアルバムを制作しようと、メンバーも過度のプレッシャーからメンタルヘルスの問題に悩まされたそうです。
そういった、昔ながらのロックミュージシャンが経験してきた苦しみが、もはやスンタンダードと呼べるようなブリティッシュロック/パンク、ガレージロックやグラムロック、さらには海を渡りアメリカーナにまで手を出し、ロック/ポップスの歴史が凝縮されたかのような、カラフルで煌びやかな楽曲群にまとめられている。ゴシックホラーの要素は以前よりも薄まっている気がしますが、随所に80年代のTHE DAMNEDを彷彿とさせる要素が散りばめられているし、さらにはロイ・オービソンをはじめとするアメリカンポップス黄金期の香りも全体を覆っている。本作はもはや、ジャンルを超越したロック/ポップスアルバムと言えるのではないでしょうか。そういった意味では、PANIC! AT THE DISCOにも通ずるものがある気がします。
歌モノ楽曲の合間には、数秒から数十秒のスキット(インタールード)が用意されていることから、通して聴いたときにどことなく映画のサウンドトラックのようなストーリー性、連続性が感じられるはず。この構成含め、やはりアルバムとして通して楽しいでほしいものです。もちろん単曲でもポップスとしての即効性は非常に高いので、受け取り手が好きなように楽しめばいいと思います。
でも、古臭い考えの持ち主(笑)である筆者としては、デヴィッド・ボウイの『ZIGGY STARDUST』(1973年)のようにアルバムを通してその世界観を感じてもらいたいなと。若いミュージシャンの手による作品集ですが、それ以上に本作は古き良き時代のロックが持っていたロマンが詰め込まれたコンセプトアルバムだと信じてやみません。激しさや攻撃性とは対極にある、センチメンタリズムやロマンチシズム、ナルシズムを存分に味わってみてください。
なお、本作は前作を超える全英5位を記録。このご時世でリリース後にライブをすぐにはできない関係から、12月にアルバム発売記念ライブを実施し、2021年3月にはヘッドラインツアーを計画しているそうです。ぜひ日本でもサマソニあたりで観てみたいですね。
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