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2020年8月21日 (金)

EVIL STIG『EVIL STIG』(1995)

1995年8月にリリースされた、EVIL STIG唯一のアルバム。日本盤は同年9月に発売。

EVIL STIGはジョーン・ジェット(Vo, G)とシアトルのパンク/グランジバンドTHE GITSのメンバーによって結成されたスペシャルバンド。結成の経緯としては、フロントメンバーだったミア・ザパタ(Vo)が1993年に強姦殺人により他界したTHE GITSと、同時期に性差別やレイプに対する反対声明を掲げベネフィット活動を行っていたジョーンが邂逅。この事件にショックを受けたジョーンはBIKINI KILLのキャサリーン・ハンナとともに「Go Home」という楽曲を制作(JOAN JETT & THE BLACKHEARTSのアルバム『PURE AND SIMPLE』に収録。MVも制作されました)、依然犯人が捕まらない捜査に協力することになります。また、THE GITSのメンバーもジョーン側に「私的調査の資金調達のためのベネフィットコンサートに参加してもらえないか」と打診。その結果、ジョーンがTHE GITSに加わりEVIL STIG名義でツアーを行うことになるわけです。

逆から読むと「GITS LIVE」というバンド名のEVIL STIGによるこのアルバムは、そのツアーでのライブ音源をまとめた、非常に生々しいサウンドのパンクロックアルバムに仕上がっています。初めて聴いたときはその剥き出し感に「スタジオライブ音源なのかな?」と思いましたが、曲間にうっすら聞こえる歓声に気付いたとき、改めてこれがライブ音源だと実感するはずです。

アルバムの大半は「Second Skin」をはじめとするTHE GITSが残した2枚のオリジナルアルバムからで、そこに「Crimson & Clover」などJOAN JETT & THE BLACKHEARTSの既発曲のEVIL STIGバージョン、さらにジョーンとTHE GITSの残されたメンバー3人との共作ナンバー「Last To Know」が収められております。THE GITSの楽曲はどれも2分台のシンプル&ストレートなパンクロックで、これらの楽曲では当時“元祖ライオット・ガール”などと若手ガールズバンドから支持されたジョーンのパンク的側面が従来以上に表出した好演を堪能することができます。

また、THE BLACKHEARTSの楽曲をTHE GITSのメンバーが演奏したバージョンでは、原曲よりも尖った演奏により攻撃性も増幅。特に、ラストのシークレットトラックとして収められている「Go Home」は、原曲のダルな雰囲気とは異なる前のめり加減がたまりません。

当時のジョーン自身、先のBIKINI KILLやL7、BABES IN TOYLANDなどシアトル/グランジシーンとも関わり深かったこともあり、「ジョーン・ジェットがグランジに染まるとこうなる」というサンプルとしても非常に興味深い1枚。何気にお気に入りの1枚です。

なお、本作の収益の多くがミア殺害事件の捜査費用に寄付。事件発生からだいぶ時間が経ってしまったものの、2003年には犯人が逮捕されています。

 


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