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2020年8月 6日 (木)

DAVID BOWIE『HUNKY DORY』(1971)

1971年12月にリリースされたデヴィッド・ボウイの4thアルバム。

前作『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』(1970年)からミック・ロンソン(G)、ミック・ウッドマンジー(Dr)が参加し、今作ではトレバー・ボルダー(B)が加わったことで、いよいよ次作『THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS』(1972年)への地盤が固まります。事実、アルバムの楽曲の多くは『ZIGGY STARDUST』とほぼ同時期に制作されたものが多く、次作ほどギラついていないものの『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』から表出し始めた耽美な世界観は今作でも至るところに見つけることができます。

なによりも本作はまず、「Changes」というボウイにとって大きなテーマとなる1曲をオープニングに置いていることが大きい気がします。ここでの宣言が、次作でのグラムロック化(あるいはジギー・スターダストという“仮面”をかぶること)へとつながっていき、さらにその先に何度も迎える変化を示唆することになるわけです。

かと思えば、まるでミュージカルの中の1曲のようなドラマチックさが演出された名バラード「Life On Mars?」も次作への布石にも感じられる。また、美しさと儚さ、力強さを併せ持つや「Oh! You Pretty Things」や「Quicksand」、フォーキーな軽やかさが印象的な「Kooks」、アコギとハンドクラップと歌のみで構成されたどこかサイケデリックな「Andy Warhol」、次作以降のグラムロック感が強くにじみ出た「Queen Bitch」、ボウイ流オペラと言えなくもない「The Bewlay Brothers」など、とにかくクセの強い楽曲が並びます。

一方で歌詞に目を向けると、マスコミに対する皮肉が詰まった「Life On Mars?」や、自身の無力さを歌う「Quicksand」、精神病院に入った実兄への思いを綴った「The Bewlay Brothers」など、ダークめな内容も少なくなく、こういった狂気性は次作へとつながっていく。この、ちょっと「狂い始めた」感がその後のボウイらしさにも通ずるものがあり、グッとくるものがあります。

ハードさが目立つ『THE MAN WHO SOLD THE WORLD』とグラムロックの教科書的な『ZIGGY STARDUST』の間に挟まれた本作は、若干地味で穏やかに映るかもしれません。が、まるで「嵐の前の静けさ」を彷彿とさせるこの作風こそ、実はボウイの本領発揮と言えなくもないのでは? 派手なスーパースター的ボウイももちろん大好きですが、個人的には『‘hours...’』(1999年)あたりと並んで愛聴する機会の多い、隠れた名盤のひとつです。

 


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