« XIBALBA『Años En Infierno』(2020) | トップページ | JOAN JETT & THE BLACKHEARTS『UP YOUR ALLEY』(1988) »

2020年8月19日 (水)

HALESTORM『REIMAGINED』(2020)

2020年8月14日にデジタルリリースされた、HALESTORMの最新EP。CDでのフィジカルリリース予定は今のところなく、海外アナログ盤が同年8月28日に発売されるようです。

HALESTORMはこれまで、フルアルバムとフルアルバムの合間に『REANIMATE: THE COVERS EP』と題したカバーEPを3作発表しています。どれもバンドのルーツを感じさせる選曲だったり、直近のヒットチャートを賑わせたポップソングを彼ら流にカバーしていたりと非常に興味深い内容で、個人的にもオリジナルアルバム同様に愛聴してきました。

現時点での最新アルバム『VICIOUS』(2018年)発売から2年経ち、そろそろ次のカバーEPの出番かなと思っていたら、ここで新たな挑戦が。リジー・ヘイル(Vo, G)が語るところによると、「ここ10年くらい面白半分で、アルバムとアルバムのリリースの間にカバーEPを出してきて、でも今回は大きく変えてみようって決めたの。1曲だけカバー曲で、あとはHALESTORMの楽曲を新たに作り直したバージョンを収録している」とのことで、全6曲中5曲が既発曲のリアレンジバージョンとなっています。

新たな解釈が施された楽曲群は、「I Miss The Misery」「I Am The Fire」「Mz. Hyde」などの代表曲をアコースティック・ベースでスロー&バラード調のアレンジに変身。かといってアンプラグド風になっているわけではなく、あくまで「ロックバンドがスタジオに集まって、肩の力を抜いてセッションしている」感じのアレンジかなと。バンドの主張はそこまで強くなく、あくまでリジーのシンガーとしての表現力を改めて知らしめるための、貴重なサンプルとして楽しめる作品かなと思いました。

その表現力が単にロックシンガーとしてだけでなく、もっと普遍的なボーカリストとしてのものであることがよくわかるのが、本作唯一のカバー曲「I Will Always Love You」でしょう。ご存知、ホイットニー・ヒューストンが映画『ボディガード』で披露しメガヒットした、ドリー・パートンのカバー曲(つまり、本作ではカバーのカバーということになるのかな)。彼女の歌がより際立つシンプルな演奏&アレンジで表現されることで、歌の力をより感じることができるはずです。こういうリジーもいいですね。

そしてもうひとつ、「Break In」の再構築バージョンではゲストシンガーとしてEVANESCENCEのエイミー・リーをフィーチャー。過去に2バンド一緒にツアーした経験から親交を深めてきたリジーとエイミーですが、今年5月にはリジーのYouTubeプログラムでもこの曲をデュエットしていました。つまり、本作への布石だったわけですね。コロナ禍前にレコーディングされたそうですが、リジーはこの制作を振り返り「2人一緒の部屋で、最初から最後までのフルパフォーマンスで収録したの。エイミーが参加することで、単なるラブソングから、お互い団結して支え合う声明へと、この楽曲に新しい意味をもたらした。今は大変な世の中だけど、今作がみんなの楽しみや希望となってくれてたらうれしいなと思っている」とコメントを寄せています。とにかく2人の声の相性も抜群ですし、最高のリメイクと言えるでしょう。

今後もこの『REIMAGINED』シリーズが続くのかどうかはわかりませんし、続いたとしても毎回必ずこういったアレンジとも限らないでしょう。でも、リメイクとカバーという2つの“お遊び”を手に入れたことは、おそらく来年あたりには届くであろうニューアルバムにも少なからず影響を与えるのではないでしょうか。何にせよ、しばらくはこれを聴いて彼らの次のアクションを待ちたいと思います。

 


▼HALESTORM『REIMAGINED』
(amazon:海外盤アナログ / MP3

 

« XIBALBA『Años En Infierno』(2020) | トップページ | JOAN JETT & THE BLACKHEARTS『UP YOUR ALLEY』(1988) »

Evanescence」カテゴリの記事

Halestorm」カテゴリの記事

2020年の作品」カテゴリの記事

カテゴリー