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2020年8月22日 (土)

JAMES DEAN BRADFIELD『EVEN IN EXILE』(2020)

2020年8月14日にリリースされた、MANIC STREET PREACHERSジェイムズ・ディーン・ブラッドフィールド(Vo, G)の2ndソロアルバム。日本盤未発売。

2017年に映画『THE CHAMBER』のオリジナル・サウンドトラックをリリースしているジェイムズですが、あちらはインスト盤ということで、歌モノ・アルバムは2006年に全英22位のヒットを記録した『THE GREAT WESTERN』以来、実に14年ぶり。こちらのサイトでも取り上げた配信シングル「There'll Come A War」「Seeking The Room With The Three Windows」を6月末に発表したかと思うと、続いて7月初頭には「The Boy From The Plantation」を配信リリース。そこから1ヶ月強を経て、満を辞してのアルバム発売となりました。

本作は新たに立ち上がったレーベルMontyRayからの第1弾作品。ディストリビュートはインディーズのThe Orchardが行なっており、だから日本盤が出ないのか……と思ったのですが、よくよく調べるとこのThe Orchard、親会社はSonyのようなので、日本盤発売も夢ではないのかな?

さて、肝心の内容について……作品の成り立ちや概要はシングルのレビューで触れているので割愛。全11曲中1曲のみ、アルバムの題材となったヴィクトル・ハラの「La Partida」がカバーされています。また、本作は先の「There'll Come A War」を筆頭に「Under The Mimosa Tree」「La Partida」とインストナンバーが複数収録されているのも特徴で(厳密には完全なるインスト曲ではなく、〈Ah Ah Ah〉などのコーラス入り。歌詞・歌がないという意味でのインスト曲と捉えていただければ)、かつラテンやフォルクローレの要素が強い。これもヴィクトル・ハラの音楽性を考えれば至極納得のいく流れだと思います。

そういわれると、マニックス経由のリスナーは「ちょっとハードルが高いのでは?」と不安に駆られるかもしれません。心配ご無用、ちゃんとジェイムズらしさやマニックスの香りは存分に残されております。オープニングを飾る「Recuerda」や「The Boy From The Plantation」からは『EVERYTHING MUST GO』(1996年)『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』(1998年)を筆頭に、2000年代半ば前後のマニックス的要素が存分に感じられ、ちょっとしたフレージングやハーモニーに「あ、マニックス!」とニンマリできるはずです。

だって、マニックスのメロディメイカーが作っているんだもん。そこから外れるわけがない。シングルレビューにも書いたように、要所要素の味付けに70年代末のニューウェイヴからの影響が感じられるのも、マニックスでいったら『LIFEBLOOD』(2004年)前後の感触を思い出させることでしょう。と同時に、しっかりソロとしての前作『THE GREAT WESTERN』との共通項も見つけられる。思えば、この1stソロアルバムがあったから、その後のマニックスが『SEND AWAY THE TIGERS』(2007年)へとたどり着いたわけですから、すべてがつながっているわけですよ。

ヴィクトル・ハラの生涯に触発された楽曲はもちろんですが、できることならニッキー・ワイヤー(B)の実兄パトリック・ジョーンズが書いた歌詞もじっくり理解したいところです。そういう意味でも、ぜひ対訳の付いた日本盤発売に期待したいところですが……いつまでも待っています!

ミュージシャンとして、ソングライターとして、そしてボーカリストとしてさらなる成熟期を迎えたジェイムズ。こんなディープで味わい深い傑作を経て、次はバンドでどんな作品を届けてくれるのか。コロナ禍もあり、おそらく新作は来年以降になるかと思いますが、少なくともこのソロアルバムを聴いたらみんな無駄に期待したくなるんじゃないでしょうか。うん、素晴らしい1枚です。

 


▼JAMES DEAN BRADFIELD『EVEN IN EXILE』
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