CODE ORANGE『UNDER THE SKIN』(2020)
2020年9月4日に配信リリースされたCODE ORANGE初のライブアルバム。
今年3月に最新オリジナルアルバム『UNDERNEATH』(2020年)をリリースしたばかりの彼らですが、ご存知のとおり新型コロナウイルスの影響で本格的なライブ活動を行うことができず。しかし、リリースパーティをオンラインにて世界中に配信することで、予想以上の大勢のファンに観てもらうことができました。そのオンラインライブからヒントを得たのが、このアルバムに収録されたアコースティックライブでした。
このアコースティックライブ自体も、往年の『MTV Unplugged』をモチーフにしたもので、無観客ながらも彼らの楽曲をアコースティックベースでリアレンジされたものが、普段とはことなる編成で演奏されていきます。ハードコアバンドのアコースティックアレンジ、一体いかなるものなのか……。
全体を通して聴いて感じたのは、90年代前半から半ばにかけてグランジ勢が行なったアンプラグドライブを、今のCODE ORANGEらしいアレンジ&エフェクトでしっかり作品化されたものだなと。演奏されている楽曲は最新作『UNDERNEATH』と前作『FOREVER』(2017年)、その間に発表されたEPなどに収録された楽曲が中心となっており、楽曲が持つ空気やメロディの質感からは統一感が伝わってくるのではないでしょうか。この質感が非常にグランジ以降のオルタナティヴロックと共通するものがあるとわかり、改めてCODE ORANGEに対する理解が深まることでしょう。
それを強く実感させる要因として、ALICE IN CHAINSの代表曲のひとつ「Down In A Hole」(1992年の2ndアルバム『DIRT』収録)がカバーされている点が挙げられるでしょう。ALICE IN CHAIS版アンプラグドアルバムである『MTV UNPLUGGED』(1996年)で披露されたバージョンが元になったこの曲の世界観が、今作でCODE ORANGEが表現したかったそれと一致したこともあり、こういう貴重なテイクが世に送り出されることになったのならば、ファンとしてはうれしい限りです。
ボーカルに関してはジャミー・モーガン(Vo, Dr)よりもリーバ・マイヤーズ(Vo, G)が前面にフィーチャーされたことで、全体的に柔らかさや繊細さが強調された作風に。アコースティックギターをメインにしているものの、要所要所でデジタルエフェクトも施されており、このあたりに彼らなりのこだわりが感じられ、結果本作を“作品”たらしめているなど実感させられます。要するに、ライブアルバムとは言うものの、スタジオライブ音源を素材にした実験作という側面が強いのかなと。特にアルバムラスト「Under The Skin」「Hurt3」の流れはまさにその色がもっとも濃く表れた2曲で、そのリアレンジぶり含め本作の真骨頂と言えるのではないでしょうか。
『UNDER THE SKIN』を聴いてから改めて『UNDERNEATH』を聴き返すと、この2作は真の意味で表裏一体なんだなと気づかされます。コロナ禍がなかったら生まれなかったであろう本作ですが、このタイミングにCODE ORANGEをより深く理解する上で非常に重要な副読本だと断言できます。
▼CODE ORANGE『UNDER THE SKIN』
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