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2020年9月13日 (日)

MARILYN MANSON『WE ARE CHAOS』(2020)

2020年9月11日にリリースされたMARILYN MANSONの11thアルバム。

デビュー時から在籍したInterscope Recordsを離れてからの3作(2012年の『BORN VILLAIN』、2015年の『THE PALE EMPEROR』2017年の『HEAVEN UPSIDE DOWN』)はどれも悪くないものの、往年の作品と比べると地味と言わざるを得ない内容でした。とはいえ、個人的には映画音楽を中心に手がけるタイラー・ベイツとタッグを組んだ直近2作のディープさは嫌いじゃなかったんですよね。でも、以前のように何度もリピートしたくなる作品でもなかった(前作はいい線いってたけど、数ヶ月で飽きてしまったし)。要は、MARILYN MANSONというバンド、そしてマリリン・マンソンというアーティストに何を求めるかで、近作の評価は大きく二分したのかもしれません。

で、前作『HEAVEN UPSIDE DOWN』から3年というスパンで届けられた本作は、新たなコラボレーターとしてシューター・ジェニングスを共同プロデューサーに迎えて制作した、心機一転の意欲作。シューターはカントリーやサザンロックを中心に手がけてきたアーティスト/プロデューサーですが、マンソンと彼はブライアン・イーノ期のデヴィッド・ボウイが好きという共通の趣味があり、そこで意気投合して2年前から本作に向けて準備を進めていたとのこと。楽曲制作およびレコーディングはコロナ禍に突入する前に終えており、内容的にはこの春以降の生活や環境は反映されていないようです。

さて、気になる内容ですが……リードトラック「We Are Chaos」がマンソンの諸作中もっともポップでキャッチーでわかりやすいという、異色の仕上がりだったので、おそらくそういう「わかりやすさ」に軸を置いた作品になるんだろうなと想像していたら、やはりそのとおりでした。オープニングの「Red Black And Blue」こそ従来のおどろおどろしさを残しているものの、全体的には先の「We Are Chaos」を中心にシンプルでわかりやすく、かつキャッチーな楽曲で占められています。とはいえ、そこはマンソンのこと、ヘヴィな音像やダークさはそのまま残されており、従来の「らしさ」は損なわれていません。むしろ、過去3作の延長線上にありながらキャッチーさだけを強めた、そんな印象すら受けます(ただ、地味さは過去イチですけどね)。

もはや90年代〜2000年代前半までのスタイルに戻ることはないようです。が、本作に限っては90年代の名作『MECHANICAL ANIMALS』(1998年)との共通点も至るところに見え隠れするんですよね。それが「イーノ期のボウイ」というキーワードでつながっているものなのかどうかはわかりませんが、あながち間違っていないような気もします。

あと、近作同様に本作もバンドの作品というよりはソロ色の強い作風かなと。特に日本盤ボーナストラックとして追加収録された「We Are Chaos」「Broken Needle」のアコースティックバージョンを聴くと、もはやマンソンはそれでいいような気がします。

願わくば、もう少し冒険的(というかアヴァンギャルド)なスタイルに挑戦してもらいたいところですが、昨年からのカントリー寄り/枯れたスタイルというのはもはや年齢的なものも大きいんでしょうか。ライブではあれだけバカやるんだから、音楽的にももうひと花咲かせてもらいたいんですが……なんて辛いことを言いながらも、本作はここ数作の中ではもっともリピートしそうな平均点以上、むしろ限りなく90点に近い高品質な1枚だと断言しておきたいと思います。初聴からこんなにリピートしたマンソンのアルバム、いつ以来だろう……。

 


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