AC/DC『POWER UP』(2020)
2020年11月13日にリリースされたAC/DC通算16枚目(オーストラリア国内では17枚目)のオリジナルアルバム。
前作『ROCK OR BUST』(2014年)からちょうど6年ぶりの新作となります。同作はその前の『BLACK ICE』(2008年)からも6年というスパンで届けられているので、このリリース間隔はもはや定番なのかもしれません。
しかし、バンドにとってこの6年は非常に波乱万丈な期間であり、正直僕自身『ROCK OR BUST』がラストアルバムになるんだろうな……と思っていたくらい。詳細については前作のレビューにて触れているので、そちらにてご確認を。
ここ1年ほど、秘密裏で今作の制作が進められており、都度都度SNSにそのレコーディング情報のすっぱぬきが飛び込んできましたが、どうやらブライアン・ジョンソン(Vo)、アンガス・ヤング(G)、スティーヴィー・ヤング(G)、クリフ・ウィリアムズ(B)、フィル・ラッド(Dr)という前作と同じ布陣でレコーディングしていることが明らかになると、いよいよその期待感はマックスにまで高まるわけです。
10月にリードトラック「Shot In The Dark」が公開された際、「これぞAC/DC!」と言わんばかりのキャッチーかつストロングスタイルのハードロックサウンドに、思わずガッツポーズをとってしまったものです。しかも、初公開されたのがエディ・ヴァン・ヘイレンの亡くなった当日だったこともあり、どれだけこの曲に救われたことか……。
それからしばらくして、本作をひと足先に聴く機会を得ました。リリースまでの半月強、どれだけこのアルバムをリピートしたことでしょう。それくらい、どこから切り取ってもシンプルでキャッチーで、ハードでパワフル……AC/DCそのものであり、全12曲41分があっという間に感じられるほど夢中になってしまう1枚なのです。
『ROCK OR BUST』は2〜3分前後の楽曲を中心に、全11曲で34分というびっくりするくらい短いアルバムでした。それはそれでよかったですし、今思えば“丸裸のAC/DC”ってくらいにロックンロールなアルバムだったと思います。それは裏を返せば、マルコム・ヤング(G)との最後のコラボレーションを経て、バンドの原点へと立ち返ることを意味したのかもしれません。
ところが、本作ではそのマルコムとのコラボで生み出されたネタを元に、「王道のAC/DC」を純化させる作業にこだわった。その結果、わかりやすさがより際立つ内容になったのではないかなと。この「マンネリなのに飽きが来ない」不思議なバランス感は、そういった努力の賜物なのかもしれません。
ポップでわかりやすい曲もあればリフ一発ですべてを持っていく曲もあるし、ライブでの盛り上がり必至のアップチューンも、一緒にシンガロングしたくなるアンセムも、全部揃っている。完全無欠のAC/DCを体現した本作は、間違いなく『BACK IN BLACK』(1980年)以降の集大成であり、『THE RAZORS EDGE』(1990年)以降の最高傑作だと断言できるものです。
これだからロックはやめられないのよ。
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