« AC/DC『POWER UP』(2020) | トップページ | AEROSMITH『CLASSICS LIVE II』(1987) »

2020年11月14日 (土)

BUCKCHERRY『TIME BOMB』(2001)

2001年3月27日にリリースされたBUCKCHERRYの2ndアルバム。日本盤は同年3月14日に先行発売。

1999年という時代にスリージーでグラマラスなハードロックを展開したデビューアルバム『BUCKCHERRY』が中心に大きな注目を集めたBUCKCHERRY。本国アメリカでも最高74位(ゴールドディスク獲得)と新人ながらも大健闘を果たし、2000年のグラミー賞に「Lit Up」がノミネートされるほどの成功を収めました。特にここ日本では1999年末、大阪ドーム(現京セラドーム大阪)でのAEROSMITHMR. BIGのカウントダウンライブにオープニングくととして参加。2000年元日のZepp Tokyoを筆頭にジャパンツアーを敢行して好評を博しました。

1stアルバム完成後にヨギ(G)が加入し、初期のジョシュ・トッド(Vo)、キース・ネルソン(G)、JB(B)、デヴォン・グレン(Dr)という編成が完成。この5人で最初の最後のアルバムとなったのが、この『TIME BOMB』です。

前作ではテリー・デイトとSEX PISTOLSスティーヴ・ジョーンズがプロデュースを手がけましたが、今作ではジョン・トラヴィス(キッド・ロック、STATIC-Xなど)が担当。前作でのかっちり作り込まれた作風と比べると、若干ですがラフさが感じられる作りとなっており、それがこのバンドが持つパンキッシュさに良い形で作用していると思います。

また、楽曲自体も前作より“隙”が多く感じられるスタイルで、BUCKCHERRYスリージーでグラマラス、かつデンジャラスというこのバンドに対して抱くパブリックイメージを体現したナンバーがズラリと並びます。オープニングを飾る「Frontside」の性急さ、「Time Bomb」でのスリリングさはまさにその象徴と言えるでしょう。

そんな中に豪快なハードロックを展開する「Ridin'」や「Slamin'」、ポップで親しみやすいロックンロール「Slit My Wrists」、アコースティックベースのサイケバラード「Helpless」、ブルージーなスローバラード「You」のような前作の延長線上にある楽曲が加わることで、アルバム自体にも幅が感じられる。パンク/スリージー一辺倒では収まりきらない、ジョシュ&キースのソングライターとしての才能が遺憾無く発揮されています。デビュー作が気に入った方なら、本作も問題なく楽しめる内容ではないでしょうか。

見事な形でデビュー作からアップデートを遂げたBUCKCHERRYでしたが、同年夏にJBが脱退。同年10月のジャパンツアー後にはヨギ、デヴォンが相次いで脱退し、2002年になるとジョシュまでもがバンドを離れ、解散を余儀なくされるのでした。

各ストリーミングサービスがスタートして以降、なぜか本作のみ日本国内では配信されていません。それどころか、最近ではデビュー作と最新アルバム『WARPAINT』(2019年)以外のアルバムは配信サービスによって配信数がだいぶ異なる歯抜け状態に。すべてが傑作とは言いませんが、この手のサウンドが好きなリスナーには欠かせないバンドだけに、ぜひとも全カタログの解放をお願いいたいところです。

 


▼BUCKCHERRY『TIME BOMB』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

 

« AC/DC『POWER UP』(2020) | トップページ | AEROSMITH『CLASSICS LIVE II』(1987) »

Buckcherry」カテゴリの記事

2001年の作品」カテゴリの記事

カテゴリー