AC/DC『WHO MADE WHO』(1986)
1986年5月下旬にリリースされたAC/DC初のコンピレーションアルバム。
本作はスティーヴン・キングが自らの短編作品を初めて自ら監督・映像化した映画『Maximum Overdrive(地獄のデビル・トラック)』のサウンドトラックとして制作されたもの。キング自身がAC/DCのファンであることから実現した企画で、アルバムには全9曲され、うち3曲が本作のために制作された新曲です。
タイトルトラック「Who Made Who」は本作のために用意された新曲のひとつで、AC/DCのポップサイドが強く表出した良曲。当時、よくMTVでこの曲のMVが流れていたので、そこで初めてAC/DCというバンドを認識した記憶があります。実際、初めてちゃんと聴いたアルバムも本作でしたしね(レンタルにて。初めて盤で購入したのは次作『BLOW UP YOUR VIDEO』です)。
そのほかの新曲2曲「D.T.」「Chase The Ace」はAC/DCには珍しいインストゥルメンタルナンバー。おそらく映画のサウンドトラックとして制作されたものかと思いますが、実際に使用されたのでしょうか(実は映画、未見なんですよね。キングのファンですが、自身が失敗作と認めるものをわざわざ探してまで観るのもねえ……)。どちらも、まあ“らしい”っちゃあらしい仕上がりですが、マストで聴くべき楽曲とも言い難い。本作に関してはタイトルトラックの印象が強いので、ほかの新曲はおまけ程度という認識かな。
で、これら3曲以外の6曲はボン・スコット(Vo)時代の「Ride On」含む既発ナンバーで構成。「You Shook Me All Night Long」「Hells Bells」(『BACK IN BLACK』収録)、「For Those About To Rock (We Salute You)」(同タイトルアルバム収録)、「Sink The Pink」「Shake Your Foundations」(『FLY ON THE WALL』収録)と直近の3作からのシングル曲が中心で、なぜか1983年の『FLICK OF THE SWITCH』からは1曲も選ばれず。まあそういう内容ということもあって、本アルバムは80年代前半のAC/DCを手軽に楽しめる“セミ・ベストアルバム”的作品として、長きにわたり重宝されてきた1枚でもあります。
結果、当時はチャート上では全米33位と低調でしたが、セールス的には現在までに500万枚を超えるセールスを記録。のちに全キャリアを総括するようなライブアルバム『LIVE』(1992年)や映画『Iron Man 2(アイアンマン2)』のサウンドトラックも発売されていますが、しばらくは本作が(アメリカでは)AC/DC入門編的な1枚だったようです。
「Who Made Who」って今聴くと、ポップなわりに硬質なミックスなんですよね。ヘッドフォンで聴くとズシズシと体に響くドラムの音が気持ちよいし、かつアンガス・ヤング(G)のギタープレイも派手だし。この曲のスタジオ音源が聴けるのは本作だけなので(ボックスセット『BACKTRACKS』配信バージョンには12インチ・ロングバージョン収録)、そういった意味でもファンは一度は手を出しておくべき1枚だと思います。
▼AC/DC『WHO MADE WHO』
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