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2020年12月14日 (月)

GREG PUCIATO『CHILD SOLDIER: CREATOR OF GOD』(2020)

2020年10月1日にリリースされたグレッグ・プチアートの1stソロアルバム。日本盤未発売。

THE DILLINGER ESCAPE PLANのフロントマンで、現在はTHE BLACK QUEENやKILLER BE KILLEDの一員としても活動するグレッグが、ドラム以外の楽器をすべて自身で演奏した、文字通りの“ソロ”アルバム。当初はTHE BLACK QUEENの3rdアルバム用に新曲を作り始めたところ、バンドのカラーに合わないと判断。さらにはKILLER BE KILLEDのテイストとも異なることから、ソロEPとして発表しようと計画。ところが、これを機に創作意欲がさらに増していき、過去THE DILLINGER ESCAPE PLANで制作した断片まで引っ張り出して、1枚のアルバムとしてまとめてしまったのです。

ドラマーにはPOISON THE WELLのメンバーで初期のTHE BLACK QUEENに携わった経験を持つクリス・ホーンブルック、過去THE DILLINGER ESCAPE PLANのメンバーでもあったクリス・ペニー、そしてCONVERGEの一員でKILLER BE KILLEDでの盟友ベン・コラーという馴染みの3人が参加。プロデューサーにはLAMB OF GODからVAMPIRE WEEKEND、マドンナまで幅広く手がけるニック・ロウが携わり、グレッグの多彩さに満ちた音楽性を見事にひとつの作品として表現しております。

オープニングトラック「Heaven Of Stone」の内省的なフォーキーさに、いきなり度肝を抜かれる本作。そうか、ソロではそういう方向性なのか……と思いきや、続く本作のタイトルトラック「Creator Of God」ではエレクトロ/インダストリアルサウンドとタイトなリズムが重なる唯一無二の世界観が飛び込んできて、さらに3曲目「Fire For Water」ではTHE DILLINGER ESCAPE PLAN時代を思わせるエクストリームメタルが展開される。ああ、そうか。ソロアルバムなんだもん、ひとつのジャンルに固執しなくてもいいんだよな。これが本作の楽曲をTHE BLACK QUEENやKILLER BE KILLEDで使用しなかった理由なわけですもんね。

とにかく、グレッグというアーティストのいろいろな才能が凝縮された1枚で、統一感はそこまで強いものではないのですが、不思議と破綻はしていない。全体的にエクスペリメンタルメタルの色は強いものの、中には「Down When I'm Not」のようなニューウェイヴチックなオルタナティヴロックがあったり、「Throught The Walls」にはR&Bの香りも感じられるし、「A Pair Of Questions」からは80年代エレポップからの影響も伝わってくる。さらに「Evacuation」なんてNINE INCH NAILS以降のインダストリアルメタルそのものですし、最初から最後までまったく楽しめるんですよ、これが。

当初は別名義でのプロジェクトとして発表しようとした本作ですが、友人であるALICE IN CHAINSのジェリー・カントレル(Vo, G)の助言によりソロアルバムとして発表されたとのこと。アルバム収録曲のリークにより発売日が3週間前倒しになるなど災難もありましたが、思ったより話題になっていないのがちょっと寂しいなど。聴き手を選ぶ内容かもしれませんが、ひとつでも引っかかるポイントがあれば生涯楽しめる1枚ではないでしょうか。

 


▼GREG PUCIATO『CHILD SOLDIER: CREATOR OF GOD』
(amazon:海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

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