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2020年12月 7日 (月)

THE WiLDHEARTS『30 YEAR ITCH』(2020)

2020年12月4日にリリースされたTHE WiLDHEARTSの最新ライブアルバム。日本盤未発売。

ジャケットにもあるように、本作はバンドの30周年(1991年〜2021年)を祝して制作されたもので、最新アルバム『RENAISSANCE MEN』(2019年)および最新EP『DIAGNOSIS』(2019年)を携えて行われたライブツアーからセレクト。ふと思ったのですが、THE WiLDHEARTSの結成って1989年らしいんですよ……あれ?と疑問が生じたのですが、どうやらジンジャー(Vo, G)がボーカルを務める現在の編成となったのが1991年かららしく(苦笑)。ジンジャー的にはここを今のTHE WiLDHEARTSのスタート地点と捉えているんでしょうかね。

中身に関しては、ツアーを行った2019年が本当の意味での(笑)結成30周年だったこともあってか、キャリアを総括するようなオールタイム・グレイテスト・ヒッツ的セットリスト。オープニングこそ最新作の冒頭を飾る「Dislocated」から勢いよくスタートしますが、そこから「Everlone」「Suckerpunch」へと続く構成はなかなかアガるものがあります。おそらくアルバム向けに編集された構成かと思ったのですが、実際にこの3曲がオープニングを飾るセットリスト、実在するんですよね。もちろん、これがそれだとは思いませんが、これはさすがに生で体験してしまったら失禁モノですわ(苦笑)。

で、さらにそこからダニー(B, Vo)がリードボーカルを務める「Anthem」へと続くのも最高。そもそもこの曲、ダニーが復帰しなければ演奏されることなんて考えられないですものね。同曲が収録された異色作『ENDLESS, NAMELESS』(1997年)からは「Urge」も演奏されており、エフェクトを排除した生々しい音は原曲とは異なる魅力があり、どちらも好印象。エフェクトといえば、『¡CHUTZPAH!』(2009年)収録の「The Jackson Whites」がノーマル(の半音下げ)チューニングで演奏されているのも印象的で、キーが上がると意外と普通にTHE WiLDHEARTSの曲として成立しているんだという事実にも気づかされます。面白いな、このへんの選曲は。

地味な印象の強い『THE WILDHEARTS』(2007年)からも「The Revolution Will Be Televised」がしっかり含まれているし、さらに地味な(笑)『THE WiLDHEARTS MUST BE DESTROYED』(2003年)からも「Vanilla Radio」や「Someone That Won't Let Me Go」といった比較的人気の高い楽曲もしっかり押さえている。『FISHING FOR LUCKIES』(1994年)再発バージョン(1996年)収録の「Sick Of Drugs」が含まれているのに、なぜか初期EP『DON'T BE HAPPY... JUST WORRY』(1992年)からは選出されず。なんでよ!!……と思ったら、Round Recordsでのプレオーダー購入者のみのボーナストラックに「Nothing Ever Changes But The Shoes」が含まれているという(こちらには「Top Of The World」「Shame On Me」「My Baby Is A Headfuck」も収録)。欲しかったなぁ……(気づいたらプレオーダー期間終了してました。苦笑)。

過去、数々のライブ作品が発表されているTHE WiLDHEARTSですが、それらに負けじと劣らずの演奏/内容だと思うので、初心者にも最適な1枚です。もちろん、ここに含まれていない名曲、人気曲も多々あるので、本作でこのバンドのことが気になったら、『THE WiLDHEARTS STRIKE BACK』(2004年)『TOKYO SUITS ME』(1999年)あたりに手を出してみてはどうでしょう。後者はデジタル未配信ですが、コンパクトで聴きやすくオススメですよ。

 


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