PAUL McCARTNEY『McCARTNEY』(1970)
1970年4月にリリースされたポール・マッカートニーの1stソロアルバム。
ジョン・レノンの内々での脱退表明(1969年秋)により、ほぼ解散確定となったTHE BEATLES。残されたアルバム『LET IT BE』(1970年)の追加レコーディング(1970年初頭)をジョン抜きで行うのと前後して、ポールは初のソロアルバムの準備に取り掛かります。
ビートルズの喪失という彼にとって非常に大きな影を落とすことになった出来事が影響してか、本作で表現されているサウンドや楽曲は非常に内省的で落ち着いたトーンのものばかり。バンドという形態をとらずに、すべての楽器をポールひとりで担当したというのも、その孤独さを体現するのにぴったりだったのかもしれません。
もちろんポールらしいポップさは随所に感じられますが、突出した特別な1曲というのは終盤に配置された「Maybe I'm Amazed」くらいか。「Oo You」などいかにも彼らしいロックナンバーも収録されているものの、いかんせん地味さが優っており、『LET IT BE』や『ABBEY ROAD』(1969年)からの流れ(制作順。リリースは『ABBEY ROAD』〜『McCARTNEY』〜『LET IT BE』の順)で聴くと精彩さに欠ける印象も受けます。全13曲中5曲がインストナンバー、かつアコースティックベースの穏やかな楽曲が多いこともそういったイメージに拍車をかけているのかもしれません。
ただ、人間関係のもつれで終焉を迎えたビートルズから解放された感も伝わる1枚でもあり。自身ですべてのソングライティング/演奏を手がけたトータルプロデュースはジョンとのコンビ時代にはなし得なかったことで、そういった鬱憤が一気に爆発した結果、やりたいことを全部やったら意外と地味だったということなんでしょうね。シングル曲皆無ですし、今でもほぼ必ず演奏される名曲「Maybe I'm Amazed」を除いてはライブで披露される機会もあまりない楽曲ばかりですが、ポールのソロがここから始まったという意味では非常に重要な1枚と言えるでしょう。また、のちの宅録系アーティストの先駆者的存在としても、本作は歴史に名を残すべき1枚なのかもしれませんね。
そんな作品が、周囲からの期待の大きさもあって全米3週連続1位という結果を残したのも興味深いところ(イギリスでは2位止まり)。シングルヒットなしでこの成績というのも、当時の注目度の高さが伺えます。
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