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2020年12月12日 (土)

L.A. GUNS『RENEGADES』(2020)

2020年11月13日にリリースされたL.A. GUNSのニューアルバム。日本盤未発売。

昨年3月に発売された『THE DEVIL YOU KNOW』(2019年)に続く新作……と思いきや、あちらはトレイシー・ガンズ(G)&フィル・ルイス(Vo)バージョンのL.A. GUNS。こちらの新作はスティーヴ・ライリー(Dr)&ケニー・ニケルス(B)バージョンのL.A. GUNS(笑)。ややこしいったらありゃしない。一時期のRATTやQUEENSRYCHEと一緒ですね。

バンド名の使用権をめぐって、現在もトレイシー側とスティーヴ側とで訴訟の最中らしいのですが、そこを強行してリリースされたスティーヴ・ライリー側のL.A. GUNS、本作が1stアルバムということになります。

メンバーは全盛期メンバーのリズム隊と、スコット・グリフィン(G/ex. ボビー・ブロッツァー側のRATT……ってこっちもややこしい!笑)、カート・フレーリッヒ(Vo)の4人。もともとフィルはこちらのL.A. GUNSに在籍していたものの、仲違いしていたトレイシーと2015年に和解、再びトレイシーと一緒にL.A. GUNSとして活動していくことになるのです……ってややこしい!(苦笑) すべての元凶、フィルちゃうんか? いや、そもそも1stアルバム『L.A. GUNS』(1988年)のレコーディング終了後にバンドに加わり、我が物顔でバンド名使用権を主張するスティーヴもどうかと思うけど(トレイシー・“ガンズ”でL.A. GUNSっていう認識ですからね、我々は)。

まあ、いいや。アルバムの中身について触れていきましょう。同じ名前ということもあり、どうしてもトレイシー側のL.A. GUNSとの比較は避けられないと思うので、ここでも直近2作品と比較しながら話を進めます。

まず、楽曲の出来ですが、非常によく作り込まれたハードロック/スリージーロックといった印象で、個人的には好印象。L.A. GUNSっぽいか?と問われると正直「う〜ん……」と悩んでしまう楽曲も少なくないけど(バラード「You Can't Walk Away」なんてヘアメタル的パワーバラードだけど、決してL.A. GUNSっぽくはないし)、まあ全体の空気感的に「っぽい」ようなイメージも。そこに関しては全盛期のメインソングライターと象徴的な声の持ち主が在籍するトレイシー側に軍配が上がるかな(僕個人の趣味としてもトレイシー側ですし)。

カートのボーカルは良く言えば「上手」「安定感がある」、悪く言えば「個性に乏しい」「印象に残らない」というタイプ。下手だけど個性と存在感に長けたフィルと比べてしまうのがかわいそうになってしまうほど……ここで「あくまで個人の感想です」ってつけて予防線を張るのもいいけど、こればかりは事実だから仕方がない。スリージーロックのわりに品が感じられる本作の楽曲群には最適だけど、じゃあL.A. GUNSにこれを求めるかと問われると、どうしても頭の中に「?」が浮かんでしまう。本当に“扱いに困った”良作です。

そう、アルバムとしては非常にクオリティが高いし、これを往年のヘアメタル/LAメタルバンドの新作として捉えれば両手を上げて絶賛するんだけど、自分がL.A. GUNSに何を求めるか、何が揃っているとL.A. GUNSなのか……そういう観点で向き合うと、やっぱり「NO!」なんですよ、残念ながら。そういった根本的なことを見つめ直すいい機会を与えてくれた1枚。作品として正当な評価は下したいけど、名乗った名前によってネガティブなイメージを与えてしまう罪作りな問題作です。

 


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