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2021年1月

2021年1月31日 (日)

2020年12月のアクセスランキング

ここでは2020年12月1日から12月31日までの各エントリーへのアクセスから、TOP30エントリーを紹介します。内訳は、トップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いた上位30記事。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたらと。

ちなみに記事タイトルの後ろにある「(※XXXX年XX月XX日更新/↓●位)」の表記は、「更新日/2020年11月のアクセスランキング順位」を表しています。

 

1位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新/→1位)

2位:DARK TRANQUILLITY『MOMENT』(2020)(※2020年11月29日更新/↑16位)

3位:DIAMOND HEAD『LIGHTNING TO THE NATIONS 2020』(2020)(※2020年12月2日更新/NEW!)

4位:THE WiLDHEARTS『30 YEAR ITCH』(2020)(※2020年12月7日更新/NEW!)

5位:SOILWORK『A WHISP OF THE ATLANTIC』(2020)(※2020年12月9日更新/NEW!)

6位:DEFTONES『OHMS』(2020)(※2020年9月28日更新/↑25位)

7位:SODOM『GENESIS XIX』(2020)(※2020年12月9日更新/NEW!)

8位:L.A. GUNS『RENEGADES』(2020)(※2020年12月12日更新/NEW!)

9位:CHRIS CORNELL『NO ONE SINGS LIKE YOU ANYMORE』(2020)(※2020年12月16日更新/NEW!)

10位:NOTHING『THE GREAT DISMAL』(2020)(※2020年11月10日更新/NEW!)

 

11位:NINE INCH NAILS『THE FRAGILE』(1999)(※2019年1月25日更新/↑12位)

12位:DREAM THEATER『METROPOLIS PT.2: SCENES FROM A MEMORY』(1999)(※2020年12月3日更新/NEW!)

13位:POPPY『I DISAGREE』『I DISAGREE (MORE)』『ALL THE THINGS SHE SAID』(2020)(※2020年12月5日更新/NEW!)

14位:PAUL McCARTNEY『McCARTNEY III』(2020)(※2020年12月22日更新/NEW!)

15位:THE SMASHING PUMPKINS『ADORE』(1998)(※2018年9月1日更新/Re)

16位:THE ATOMIC BITCHWAX『SCORPIO』(2020)(※2020年12月13日更新/NEW!)

17位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新/↑22位)

18位:SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)(※2018年3月8日更新/↑30位)

19位:BRING ME THE HORIZON『LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL』(2016)(※2020年12月21日更新/NEW!)

20位:HAREM SCAREM『CHANGE THE WORLD』(2020)(※2020年3月12日更新/Re)

 

21位:DIAMOND HEAD『LIGHTNING TO THE NATIONS』(1980)(※2020年12月1日更新/NEW!)

22位:VOIVOD『LOST MACHINE - LIVE』(2020)(※2020年12月8日更新/NEW!)

23位:DAVID LEE ROTH『SKYSCRAPER』(1988)(※2018年2月9日更新/↓11位)

24位:DEAFHEAVEN『10 YEARS GONE』(2020)(※2020年12月10日更新/NEW!)

25位:VAN HALEN『5150』(1986)(※2004年3月24日更新/Re)

26位:BILLIE JOE ARMSTRONG『NO FUN MONDAYS』(2020)(※2020年12月23日更新/NEW!)

27位:PANTERA『REINVENTING THE STEEL: 20TH ANNIVERSARY EDITION』(2020)(※2020年11月2日更新/↓7位)

28位:MOTÖRHEAD『NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH』(1981)(※2020年12月28日更新/NEW!)

29位:THE SMASHING PUMPKINS『CYR』(2020)(※2020年12月18日更新/NEW!)

30位:KORN『KORN』(1994)(※2017年12月18日更新/Re)

30位:VAN HALEN『BALANCE』(1995)(※2018年7月31日更新/↓4位)

30位:PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS『WE'RE THE BASTARDS』(2020)(※2020年12月11日更新/NEW!)

2021年1月のお仕事

新年明けましておめでとうございます。本年も当サイトともどもよろしくお願いいたします。今年もこちらで最新のお仕事の動向やプレイリストをご紹介していきたいと思います。

こちらでは、2021年1月に公開されたお仕事の、ほんの一例でが紹介いたします。最新のお仕事が公開され次第、随時更新していきます。(※1月31日更新)

 

[WEB] 1月31日、「リアルサウンド」にてコラムTHE YELLOW MONKEY、コロナ禍で30周年記念ライブを開催した意義 『Live Loud』に刻まれた時代の空気感を読み解くが公開されました。

[紙] 1月28日発売日向坂46新聞 2021年冬号にて、3期生(上村ひなの、高橋未来虹、森本茉莉、山口陽世)座談会、東京ヤクルトスワローズ長谷川宙輝選手×高本彩花・東村芽依・丹生明里・渡邉美穂座談会、佐々木久美×濱岸ひより“宝塚歌劇団”対談、潮紗理菜インタビュー、齊藤京子インタビュー、『ひなくり2020~おばけホテルと22人のサンタクロース』レポートを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 1月26日、「リアルサウンド」にてインタビュー乃木坂46 梅澤美波&清宮レイ&田村真佑に聞く、次世代担うメンバーとしての覚悟「遠慮しがちな時代はもう終わった」が公開されました。

[WEB] 1月22日、「リアルサウンド」にてインタビュー竹達彩奈×クラムボン ミトに聞く、歌手と音楽作家の理想的な関係性 「10年20年、大切に歌っていける曲を作っていきたい」が公開されました。

[WEB] 1月20日、「リアルサウンド」にてインタビューLittle Glee Monster、初ベスト盤から選んだ思い出の3曲は? メンバーが『GRADATI∞N』と共に振り返るグループの軌跡が公開されました。

[紙] 1月18日発売「別冊カドカワScene 04」にて、ZOC藍染カレン・西井万理那・巫まろインタビューを担当しました。(Amazon

[WEB] 1月7日、「ファミ通.com」にレポート記事乃木坂46の2021年初ライブは『荒野行動』で! リズムゲームで観客とメンバーが一体化した幻想的なコラボをリポートが公開されました。

[WEB] 1月5日、「リアルサウンド」にてコラム【今からでも間に合う!初めてのBABYMETAL】10年で成し遂げた偉業の数々を3つのターニングポイントから辿るが公開されました。

[WEB] 1月5日、和楽器バンドの日本武道館公演「大新年会2021 日本武道館2days アマノイワト」のオフィシャルレポートを担当しました。さまざまなサイトにて記事公開中です。

[紙] 1月5日発売「乃木坂46×週刊プレイボーイ2020〜2021」にて、松村沙友理、高山一実、星野みなみの各「100の質問」、乃木坂46物語三期生編にて梅澤美波インタビューをそれぞれ担当しました。(Amazon

[紙] 1月4日発売「日経エンタテインメント!」2021年2月号にて、乃木坂46山下美月、生田絵梨花の各インタビュー、櫻坂46菅井友香の連載「いつも凛々しく力強く」、日向坂46渡邉美穂の連載「今日も笑顔で全力疾走」の各構成を担当しました。(Amazon

[WEB] 1月3日、「リアルサウンド」にてインタビュー中島由貴に聞く、芸歴15年のキャリアが育んだ仕事に対するプロ意識「考え方や仕事に対する姿勢もお母さんから学んだこと」が公開されました。

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また、2020年12月に当サイトで紹介したアルバムから各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストをSpotify、AppleMusicにて制作・公開しました。題して『TMQ-WEB Radio 2012号』。レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

RED HOT CHILI PEPPERS『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』(1991)

1991年9月にリリースされたRED HOT CHILI PEPPERSの5thアルバム。

前作『MOTHER'S MILK』(1989年)で初の全米トップ100入り(最高52位)を果たしたレッチリ。「次が勝負!」とばかりに、それまで所属したEMI RecordsからWarner Bros. Recordsへと移籍し、プロデューサーも“時の人”リック・ルービン(SLAYERTHE BLACK CROWESBEASTIE BOYSなど)を起用。ミキシングエンジニアにはTHE BLACK CROWES『SHAKER YOUR MONEY MAKER』(1990年)でリックとともに作業したブレンダン・オブライエン(AC/DCPEARL JAMRAGE AGAINST THE MACHINEなど)を迎え、最強の布陣にて最強のロックアルバムを完成させます。

オープニングを飾る「The Power Of Equality」こそ前作での破天荒でおバカなスタイルを引き継いでいるものの、今作におけるメインどころはそこではなく、ジョン・フルシアンテ(G)の個性が強く発揮されたフォーキーで穏やかなサイケデリック感。確かに「Give It Away」や「Suck My Kiss」などファンキーな楽曲も存在こそすれど、それ以上に大ヒットシングル「Under The Bridge」や「Breaking The Girl」といったナンバーの印象が強いのではないでしょうか。

ぶっちゃけ、初めて本作に触れたときはその地味なテイストの多さに少しだけ違和感を覚えたものです。「あれ、求めていたものと違う」って。ファンキーはファンキーでも、「If You Have To Ask」や「Funky Monks」、「Sir Psycho Sexy」での落ち着いたトーンの楽曲群に対する「それじゃない」感。今聴けばそこに散りばめられた狂気性にも気づくのですが、ガキンチョの自分にはそこまでたどり着くことができず。しかも全17曲/70分超という大作ですから……30年近く前にリアルタイムで聴いたときの最初の印象、忘れられません。

正直なところ、最初のうちはそこまでのめり込むことはできませんでした。それよりは、同時期にリリースされたGUNS N' ROSES『USE YOUR ILLUSION I』および『同 II』、輸入盤ではすでに出回っていたNIRVANA『NEVERMIND』やPEARL JAMの『TEN』といった作品のほうにばかり手が伸びた記憶があります。

でもね、時間をかけてじっくり聴き込むと非常に味わい深い1枚なんですよね。今でも「長すぎ!」とは思いますが、あのタイミングにバンド(というかジョン)の創作意欲が爆発する感覚、しっかり伝わりますもの。と同時に、ジョンが脱退〜復帰を経てたどり着いた7作目『CALIFORNICATION』(1999年)という傑作を通過したあとに本作を聴き返すと、よりその魅力に気づかされる。そんな1枚でもあるのかなと思います。

当時ハタチそこそこの小僧には派手な曲にしか耳が行きませんでしたが、大人になればなるほどその魅力に引き込まれていく。30年前だったら「I Could Have Lied」みたいな曲にそこまで夢中にはなれなかったもんなあ。そういった意味では、ジョンが抜けたあとにデイヴ・ナヴァロ(JANE'S ADDICTION)と制作した6作目『ONE HOT MINUTE』(1995年)の派手さと地味さのさじ加減が一番ツボというのも、我ながら納得といいますか。

「Under The Bridge」の全米2位という大ヒットを受けて、アルバムも最高3位まで上昇。アメリカのみで700万枚超、全世界で1400万枚以上を売り上げるメガヒット作。その後のレッチリらしさはここからスタートしたんだなと、久しぶりに聴き返して再認識しました。今作と『CALIFORNICATION』から聴けば、まずレッチリは間違いないんじゃないでしょうか(『ONE HOT MINUTE』は無理に薦めません。笑)。

 


▼RED HOT CHILI PEPPERS『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』
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2021年1月30日 (土)

R.E.M.『OUT OF TIME』(1991)

1991年3月にリリースされたR.E.M.の7thアルバム。

前々作『DOCUMENT』(1987年)でシングル/アルバムともに初の全米TOP10入りを果たし、続く『GREEN』(1988年)でメジャー移籍。アルバムは200万枚を超える大ヒット作となったR.E.M.が、いよいよ国民的バンドへと登りつめるための大切なカードを切ることになります。

先行シングル「Losing My Religion」が全米4位というキャリア最大のヒットを記録。続く「Shiny Happy People」も全米10位まで上昇し、「Near Wild Heaven」「Radio Song」などがラジオヒット。アルバムはついに全米1位を獲得し、本国のみで400万枚を超えるメガセールス作となります。まさに黄金期の始まりを告げる1枚と言えるでしょう。

作風的には前作『GREEN』の延長線上にある内容で、それ以前のギターオリエンテッドなオルタナティヴ感は徐々に薄れ始めています。代わりに、マンドリンやマリンバ、バイオリンをはじめとするストリングスなどを前面的に打ち出すことで、土着感をより強めていくことに成功。これがカレッジラジオリスナーのみならず、幅広い層へとアピールする材料となり、メジャー化の手助けに一役買うわけです。

もちろん、そのメジャーヒットには楽曲の素晴らしさという大前提があるわけですが、先に挙げたヒットシングルは言うまでもなく、「Endgame」や「Half A World Away」「Country Feedback」のようにレイドバックした楽曲群がひと世代もふた世代も上のリスナーにも届くような(メロディ、味付け含め)味付けとなっている(このへん、今思えばオルタナ・カントリーですよね)。と同時に、「Low」や「Me In Honey」のように以前のオルタナティヴ路線も少々手法を変えつつも残している。このバランス感が幅広いそうのハートを鷲掴みにする要因になったことは間違いないでしょう。

事実、このアルバムがヒットしている時期に海外で短期間生活していたのですが、パブなどで「Losing My Religion」のような楽曲が流れると、世代問わず大合唱するんですよね。しかもそれ、アメリカじゃなくてイギリスの話。要するに、アメリカを飛び越えてイギリスにまで行き届き、しっかり浸透していたわけです。

ちなみに本作、イギリスでも初の1位を獲得。「Losing My Religion」は全英19位、「Shiny Happy People」は6位、「Near Wild Heaven」は27位、「Radio Song」は28位とアメリカ以上にシングルヒットが続出していたんです。そういえば、現地のMTVやBBCでも彼らのMV、よく目にしたもんな。

アルバムのトータル性や完成度という点においては、次作『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE』(1992年)が上かもしれませんが、この“時代遅れ”と題されたアルバムがなければ、それすらも生まれなかったわけですよね。そう考えると、本作と次作は切っても切れない関係にある2枚かもしれませね。

 


▼R.E.M.『OUT OF TIME』
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2021年1月29日 (金)

RIDE『NOWHERE』(1990)

1990年10月にリリースされたRIDEの1stアルバム。

1989〜90年にかけて『RIDE』(通称“赤ライド”)、『PLAY』(通称“黄ライド”)と2枚のEPを立て続けに発表し、それぞれで「Chelsea Girl」「Like A Daydream」という後世まで残る代表曲を生み出したRIDE。のちにシューゲイザーやドリームポップと呼ばれるようになるジャンルを、MY BLOODY VALENTINEらと確立させたという点において、これら2枚のEPが果たした役割は非常に大きかったはずです。当時、すでに上京していた僕は、音楽誌などで名前を目にしてからそれら2枚を求めて六本木や西新宿のレコード店を何度もさまよったものです。

これらのEPを経て届けられた初のフルアルバム。残念ながら先の2曲をはじめとするEP収録曲は含まれていませんが(これら8曲は、のちに編集盤『SMILE』として流通)、それらを補って余りあるほどの名盤に仕上がっています。いや、ぶっちゃけこっちのほうが好きです僕は。

全8曲(ボーナストラック除く)中7曲でマーク・ガードナー(Vo, G)がリードボーカルを担当、うち1曲「Seagull」はアンディ・ベル(Vo, G)とのツインボーカルという本作。アンディは「Paralysed」「Vapour Trail」の2曲にとどまっていますが、このどちらも素晴らしい仕上がり。メジャー感を出すという点においてはマークのボーカルを前面に打ち出すのは正解で、事実オープニングを飾るシューゲイズナンバー「Seagull」のツインボーカルで掴みはまずOKだし、そこからマークのキャッチーな歌声がたっぷり楽しめるのも正しい。音楽性自体も「Dream Burn Down」を筆頭としたシューゲイザーから少しずつ幅を広げ始めており、すでにマイブラなどとは異なる道へと進み始めていることが伺えます。

バックで鳴る轟音ギターの壁はあるものの、曲構成やアレンジ、メロディラインなどは、この数年後に勃発するブリットポップから生まれたバンドにも通ずるものがあり、RIDEが確実にルーツのひとつになっていることはご理解いただけるはず。実際、RIDE自身もアルバムを重ねるごとにそういったブリットポップバンドの枠へと、どんどん食い込んでいくことになりますしね。

こうやって振り返ると、1990年って本当に境目だったんだなと気づかされます。ある意味ではTHE STONE ROSESもこの枠に含まれるんでしょうけど、ひとつ前の世代であるTHE SMITHSがいて、このひとつあとの世代に(本当は同時代に生まれたんだけど、化けたという意味では次世代の)BLURがいたり、それこそOASISがいたり。RIDEって味付けこそ濃かったものの、軸にあるものはTHE SMITHS世代の延長ですからね。そこからのいいとこ採りがのちのブリットポップなわけで……そういった意味では、実は不幸な立ち位置なのかもしれませんね。

ですが、それでもアルバム本編ラストを飾るアンディVo曲2連発(「Paralysed」「Vapour Trail」)の美しさは他の何にも変えがたい存在感と魅力があるし、CD化の際に3曲(「Taste」「Here And Now」「Nowhere」)追加されたことで、アルバムの全体像が若干ぼやけてしまったけど(さらなる再発で加わった「Today」を筆頭とした4曲のせいで、さらに輪郭がぼやけたけど)、それでもオリジナルの8曲構成に勝るものなし。初期EPはもちろん素晴らしいんだけど、僕としては本作と次作『GOING BLANK AGAIN』(1992年)をRIDEの入り口としてオススメしたいです。

 


▼RIDE『NOWHERE』
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2021年1月28日 (木)

THE STONE ROSES『THE STONE ROSES』(1989)

1989年5月にリリースされたTHE STONE ROSESの1stアルバム。

国内盤初出時は『石と薔薇』の邦題だった記憶のある本作。本国ではこのアルバムより前に「Elephant Stone」(本作未収録)や「Made Of Stone」(全英90位)などのリリースが続き、アルバムからのリカットシングル「She Bangs The Drum」(同34位)や、アルバム未収録の新曲「Fools Gold」(同8位)や「One Love」(同4位)が立て続けにヒットしたことを受け、再発された「Elephant Stone」(同8位)、「Made Of Stone」(同20位)、「I Wanna Be Adored」(同20位)、新たに「Waterfall」(同27位)、「I Am The Resurrection」(同33位)がシングルカット。アルバム発売から2〜3年以上にわたり本作からの楽曲が何度も焼き増しされたこともあり、アルバム自体も全英5位/全米86位という数字を残しています。

このバンドもPIXIESのときに登場したアメリカからの友人が先にハマり、周りの“耳が早い”音楽ファンが続いてハマり、そこに巻き込まれる形で知ることになりました。カッコいいじゃないですか、STONEにROSESって完全に某“転がる石”某“銃と薔薇”をくっつけたようなイカした名前だし。どれだけ不良なんだよ!と喜んでダビングしてもらったカセット(笑)を再生したら……

 

 

 

 

 

 

 

 

え……このボーカル……これ、本気!?……本気出して歌ってる……!?

 

全然ハードロックじゃなかったし、なんなら不良の音でもない。過剰な期待をした自分が悪かったわけですけどね。

それでも頑張って最後まで聴きましたよ。オープニングの「I Wanna Be Adored」のバンドアンサンブルとジョン・スクワイア(G)のギタープレイには心を奪われましたし、続く「She Bangs The Drum」冒頭のマニ(B)のベースラインもカッコいい。「Waterfall」のサイケなポップ感も理解できるし、「Made Of Stone」や「I Am The Resurrection」のアレンジにはハードロック的な側面が感じられる。なんなら「I Am The Resurrection」は曲後半のインストパートこそ、このアルバムにおけるピークなんじゃないかと思えたほど。うん、“演奏は”最高にいいじゃないですか。

でもね、まだガキだった自分にはイアン・ブラウン(Vo)の超個性的なボーカルスタイルは受け入れられませんでした。リリース年に行われた初来日公演にも連れていかれましたが、パンパンのクラブチッタで聴くイアンの歌声は音源とは比べものにならないほどにフリースタイルすぎて、自分の理解の範疇を超えていたのです。結果、ライブ後半からフロアの外に出てしまった高校3年の自分(ファンの皆さんゴメンなさい。でもこれ事実なんです)。

本作リリースから5年後、契約のいざこざがありようやく完成した2ndアルバム『SECOND COMING』(1994年)の頃には、さすがに何度も聴き返していたこともあり、このボーカルに対する耐性も付き、さらにハードロック化したそのサウンドとともに素直に受け入れていた記憶はあります。が、そのポジティブさも、二度目の来日公演@日本武道館ですべて打ち砕かれることになるのですが(苦笑)。

ライブに関してはまったくいい思い出のないバンドではありますが、現在までに残された2枚のオリジナルアルバムは何だかんだいってお気に入りです。最初の腰砕けな思い出込みでね(笑)。

 


▼THE STONE ROSES『THE STONE ROSES』
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2021年1月27日 (水)

PIXIES『SURFER ROSA』(1988)

1988年3月にリリースされたPIXIESの1stフルアルバム。

前年10月に発表されたEP『COME ON PILGRIM』(1987年)から半年という短いスパンで届けられた本作は、かのスティーヴ・アルビニがレコーディングエンジニアを担当した、数年後にオーバーグラウンドへと本格浮上するUSオルタナティヴロックシーンの夜明けを宣言する記念碑的作品。極端な話、本作がなければNIRVANA『NEVERMIND』(1991年)『IN UTERO』(1993年)も誕生しなかったはず。

轟音ギターの分厚い壁と美しくポップなメロディ、強弱を効果的に取り入れることでバンドのダイナミズムを的確な形で表現したアレンジ、そしてブラック・フランシス(Vo, G)とキム・ディール(Vo, B)の男女ツインボーカル編成という……90年代以降のUSのみならず日本のオルタナティヴロックシーンにも多大な影響を与えたスタイルは、本作の時点でほぼ完成の域に達しています。きっと初めて本作を聴いた邦楽リスナーは、「あれ、この曲のここって○●に似てる!」とか「この音色って○●のあのアルバムじゃん!」と特定のバンド名を思い浮かべるかもしれません。そう、すべてはこのバンドがルーツと言っても過言ではないのです。

オープニングを飾る「Bone Machine」の、破天荒なんだか気が抜けてるんだか、その波が交互に押し寄せるアレンジといい、ちょっとコミカルなのに異常にカッコいい「Broken Face」といい、90年代以降のロックにおける“雛形”のひとつとなった「Where Is My Mind?」といい、名曲揃いな本作。キムがリードボーカルをとる「Gigantic」も、のちにデヴィッド・ボウイがカバーすることになる「Cactus」も、鬼気迫る「Vamos」「I'm Amazed」も、すべて色褪せていない。全13曲でトータル35分にも満たないトータルランニングといい、完璧の一言なのです。

とはいっても、僕はリリース当時このアルバムに触れていながらも、そこまで心惹かれなかったんですよね。同じ学校にいた交換留学生のアメリカ人から勧められて聴いた記憶があるんですが、その頃はマッチョなメタル脳(笑)だったので、このナヨっとしたテイストが肌に合わず。ところが、数年後に上京してNIRVANAの『BLEACH』(1989年)に初めて触れ、かつその直後にリリースされた『NEVERMIND』に触れることで「あれ、このテイスト知ってるぞ?」と……PIXIESのことを思い出すわけです。そこから、自分が聴いていなかった時期に発売された『DOOLITTLE』(1989年)も『BOSSANOVA』(1990年)も、そして当時発売されたばかりの(結果的に最終作となった)『TROMPE LE MONDE』(1991年)も後追いで聴いたわけです。そういやあ、のちにWEEZERが登場したときも、PIXIESのことを思い出したっけ。あとは(以下キリがないので省略)。

ライブは再結成以降、何度も観ています。2004年のフジロックは、まさにこのアルバムの1曲目「Bone Machine」から始まったんでしたっけ(前半10数曲で東京事変に移動してしまったこともよく覚えています)。翌年末の単独来日にも行ったなあ(そのときも「Bone Machine」始まりでしたね)。そういった意味でも、本作は再結成以降により思い入れが強くなった1枚かもしれません。

 


▼PIXIES『SURFER ROSA』
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2021年1月26日 (火)

ECHO & THE BUNNYMEN『ECHO & THE BUNNYMEN』(1987)

1987年7月にリリースされたECHO & THE BUNNYMENの5thアルバム。

実は80年代のBUNNYMENって、リアルタイムではそこまでしっかりと通っていなくて。ちゃんと聴くきっかけになったのが1985年のシングル「Bring On The Dancing Horses」で、初めてちゃんと聴いたアルバムがその年に発売されたベストアルバム『SONGS TO LEARN & SING』。完全なる後追いで「The Cutter」や「The Killing Moon」などといった代表曲と出会うわけです。

そんな自分が初めてリアルタイムで対峙することになるオリジナルアルバムが、このセルフタイトルアルバムでした。当時の状況としては、ピート・デ・フレイタス(Dr)が脱退→再加入というバンドとして不安定だった時期で、本作にもそういったバンドの“迷い”が少なからず表出してしまっています。が、僕は最初に触れたオリジナルアルバムってこともあってか、この不安定さが妙に心地よかったりするんですよね。

当時はシングルカットされた「The Game」「Lips Like Sugar」「Bedbugs And Ballyhoo」のような楽曲に惹かれたのですが、大人になってから聴くと「All In Your Mind」や「Bombers Bay」「Lost And Found」のようなニューウェイヴ影響下のロックナンバーも味わい深くてツボ。派手さこそ皆無ですが、この適度な暗さと哀愁味がたまらなく心地よい。「New Direction」とか当時シングルカットしていても不思議じゃない佳曲だと思うんですが、いかがでしょう?

かと思えば、ポップ度の高い「Over You」や「Blue Blue Ocean」があったりして、「あれ、いいじゃん!」と再認識させられる。終盤には「Satellite」みたいなワイルドさがにじみ出たロックチューンがあったり、90年代の再結成時にも通ずる穏やかで美しいミディアムナンバー「All My Life」があったりと、ここからバンドとして新しい歴史が始まる予感も伝わってきます。

結果的に、本作を最後にフロントマンのイアン・マカロック(Vo, G)が脱退してしまったり、1989年にはピートが交通事故でこの世を去ったりと、オリジナルメンバーでのラスト作となってしまいましたが、ベストアルバムでひと区切りをつけて、バンドとしてはこのアルバムを新たな基準として次のステップへと進もうとしたのでは……ただ、イアンが「ソロになるからバンド抜けるね」と言い出してしまったのを機に、本格的にバンドは解体してしまう。新たなシンガーを迎えて『REVERBERATION』(1990年)というアルバムを作っているものの、それは真の意味での“次の次”ではないしね。聴いてみたかったな、あの4人での“次の次”を。

ということで、視点を変えれば本作も非常によくできたロックアルバムであることがおわかりいただけるかと。偏見なしで触れてほしい1枚です。

なお、本作は2003年にリマスタリング&ボーナストラック追加で再発。アルバム収録曲の初期テイクやTHE DOORS「Soul Kitchen」のカバーなど7曲を楽しむことができます。実は、同時期に映画『ロストボーイ』のサウンドトラックに、同じくTHE DOORSのカバー「People Are Strange」を提供しているのですが、すごく好きなテイクなんですよね。言っちゃえば、このアルバムのテイストの延長線上にあるというか……だから、こっちの再発盤にも入れてほしかったんだけどな。残念(同曲は後発のコンピ盤などで聴くことができます)。

 


▼ECHO & THE BUNNYMEN『ECHO & THE BUNNYMEN』
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2021年1月25日 (月)

THE SMITHS『THE QUEEN IS DEAD』(1986)

1986年6月にリリースされたTHE SMITHSの3rdアルバム。THE SMITHSというバンドが存続していた期間に、最初に触れたのがこのアルバム(と、1987年発売のコンピレーションアルバム『THE WORLD WON'T LISTEN』)でした。

デビューアルバム『THE SMITHS』(1984年)の時点で全英2位、続く2作目『MEAT IS MURDER』(1985年)ではついに全英1位に輝くなど、そのスタンスとは裏腹に国民的人気を獲得しつつあった彼ら。この3rdアルバムも全英2位を記録しており、「The Boy With The Thorn In His Side」(全英23位)、「Bigmouth Strikes Again」(同26位)というヒットシングルも収録されています。また、1992年にはベストアルバム発売に伴い「There Is A Light That Never Goes Out」もシングル化、全英25位のヒットとなりました。

チャート的にも成功を収めた『MEAT IS MURDER』と同じく、モリッシー(Vo)&ジョニー・マー(G)のプロデュース、スティーヴン・ストリート(モリッシー、BLUR、KAISER CHIEFSなど)のエンジニアリングで制作された本作は、ロック度/ポップ度ともに最良のバランスで構築されており、その完成度の高さから「THE SMITHSの最高傑作」との呼び声も高い1枚。攻めの姿勢のロックチューン「The Queen Is Dead」「Bigmouth Strikes Again」があるかと思えば、牧歌的なポップチューン「Frankly, Mr. Shankly」や「The Boy With The Thorn In His Side」(「心に茨を持つ少年」という邦題の素晴らしさたるや!)、名曲と呼ぶにふさわしい1曲「There Is A Light That Never Goes Out」、穏やかなミディアム/スローナンバー「I Know It's Over」「Never Had No One Ever」「Cemetry Gates」、ノリの良さでは随一の「Vicar In A Tutu」、オープニングでの音量エフェクトに最初こそドキッとさせられるも、ジョニー・マーのキラキラしたギターフレーズと耳馴染みの良いメロディの相性抜群の「Some Girls Are Bigger Than Others」と、すべてにおいて捨て曲なし。自分の音楽人生において“全曲歌えるアルバム”ってそうは多くないと思うのですが、この『THE QUEEN IS DEAD』はその数少ない作品のひとつだと断言できます(『THE WORLD WON'T LISTEN』もね)。

自分はTHE SMITHSというバンドにおいて、モリッシーというシンガー/表現者よりもジョニー・マーという稀代の名ギタリストによるプレイ/フレージングの数々に心を奪われた側の人間なのですが、そういう視点においても本作は特筆すべき点が多い1枚だと思います。アルバム冒頭「The Queen Is Dead」での切れ味鋭いカッティングがあるかと思えば、ラストでの「Some Girls Are Bigger Than Others」では美しいフレージングをたくさん味わうことができるのですから。あと、本作はリズム隊のアンサンブルも絶妙で、そういった意味でもバンドの最盛期に残した“記録”としては最高の部類に入るのではないでしょうか。

中学生後半〜高校時代はHR/HMを中心に聴いていた自分ですが、洋楽のルーツのひとつにはUKロックやニューウェイヴ/ニューロマンティックのバンドが含まれていることから、こういったバンドにも自然と手が伸びましたし、それを普通に勧めてくる友人も周りにいたので、なんとかリアルタイムで彼らに触れることができていました。だからこそ、突然の解散にはただただびっくりしましたが……。

もし「人生の10枚:洋楽編」みたいな企画をすることがあったら、間違いなくピックアップするであろう自分史的にも重要な1枚です。

 


▼THE SMITHS『THE QUEEN IS DEAD』
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2021年1月24日 (日)

FALCO『FALCO 3』(1985)

1985年10月に海外でリリースされたファルコの3rdアルバム。日本盤は『ロック・ミー・アマデウス』の邦題でアナログ盤のみ翌1986年3月に、続いてCDが同年7月に発売されています。

ファルコはオーストリア出身の、ニューウェイヴ影響下にあるポップシンガー。ドイツ語歌唱ながらも1stアルバム『EINZELHAFT』(1982年)が全米64位のヒットを記録しています。これは、同作に収録された「Der Kommissar」が1983年にイギリスのロックバンドAFTER THE FIREで英詞カバーされヒットしたことや、「Maschine Brennt」がUSクラブチャートにランクインしたことも影響したようです。

そんな下地もあってなのか、1985年に発表された本作からのシングル「Rock Me Amadeus」はジワジワとUSチャートを上昇していき、1986年にはついに全米1位を獲得。〈Amadeus, Amadeus, Oh…Amadeus〉という印象的なシンガロングと、ドイツ語で展開されるラップが斬新で、ファルコ自身が“パンクなモーツァルト”を演じたMVもMTVで大量オンエアされたこともあり、かなり浸透した1曲だったのではないでしょうか。同作からはほかにも「Vienna Calling」(全米18位)というシングルヒットも生まれ、アルバム自体も全米3位(50万枚)という好記録を残しています。

が、その後北米では大きなヒットが続かなかったこともあり、「Rock Me Amadeus」の一発屋と認識される傾向が強いかな。本国では以降も、No.1ヒット作をいくつも残しているのですが……。

アルバム自体は先にも書いたように、ニューウェイヴ以降のエレポップが中心で、「Rock Me Amadeus」タイプの楽曲はこれのみ。フォークロックを思わせる「America」や文字通りのタンゴ「Tango The Night」、時代を感じさせるエレポップ「Munich Girls」、壮大かつシリアスなバラード「Jeanny」、きらびやかなディスコロックにドイツ語ラップが乗った「Männer des Westens」、ジャジーにアレンジされたボブ・ディランのカバー「It’s All Over Now, Baby Blue」など、統一感のある内容というよりは「エレポップをベースに、いろいろやってみました」的な印象が強いかもしれません。ですが、どの曲も異様にポップでキャッチーなんですよね。

最初は耳馴染みのないドイツ語で盛大に歌われる違和感こそ残りますが、慣れるとドイツ語ラップも気持ちよく楽しめるはず。当時、ヒットチャートの上位に入る“一般的なロック/ポップスリスナーを楽しませる大衆的ラップ”というと、RUN D.M.C. & AEROSMITH「Walk This Way」BEASTIE BOYS「Fight For Your Right (To Party)」、そしてファルコの「Rock Me Amadeus」の3曲がメジャーだったのかなと(それはそれでヒップホップを勘違いしてしまいそうですが)。

なお、現在ストリーミングや再発CDで流通しているアルバムに収録されている「Rock Me Amadeus」と「Vienna Calling」、日本初出時のオリジナル盤とテイクが異なります。シングルヒットした「Rock Me Amadeus」は3分強のラップ中心のテイクですが、初出時のアルバムにはラップは一切入っていない、ファルコのナレーションと印象的なシンガロングのみで構成された9分近い<The Salieri Version>で収められていました。「Vienna Calling」も同様で、現在は4分程度のシングルバージョンが収められていますが、元々は<The Metternich Arrival Mix>と題した7分強のバージョン。オリジナルバージョンに慣れた耳で現在流通されているアルバムを聴くと、ちょっと違和感が残ります。

ですが、両曲のオリジナル・ロングバージョンは各曲のEPにて聴くことができるので、気になる方はそちらをチェックしてみてください。

 


▼FALCO『FALCO 3』
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2021年1月23日 (土)

DAVID SYLVIAN『BRILLIANT TREES』(1984)

1984年6月にリリースされたデヴィッド・シルヴィアンの1stソロアルバム。

1982年12月にJAPANでの活動を終了させたデヴィッドは、その前後からソロ作品の制作に着手。まずは坂本龍一とのコラボシングル「Bamboo Houses」「Forbidden Colours」を立て続けに発表し、のちに本格的なソロ作品制作に取り掛かります。レコーディングはデヴィッド・ボウイ『LOW』(1977年)や『HEROES』(1977年)、イギー・ポップ『THE IDIOT』(1977年)&『LUST FOR LIFE』(1977年)など名盤を多数輩出してきたベルリンのハンザ・スタジオ(Hansa Tonstudio)にて、JAPAN時代の盟友リチャード・バルビエリ(Key)と実弟スティーヴ・ジャンセン(Dr)のほか、坂本龍一(Key)、ホルガー・シューカイ(G)などを迎えて実施。全英4位という好成績を残しました。

アルバム冒頭こそ、JAPAN末期の方向性の延長線上にある作風かなと思わされます。実際、それもあながち間違いではないでしょう。ポストパンク以降のホワイトファンクをベースにした「Pulling Punches」なんてまさにそれで、とはいえバンド時代よりも派手さが若干増したかなという印象すら受けます。

ですが、本作の醍醐味は2曲目「The Ink In The Well」以降ではないでしょうか。ジャズからの影響を思わせる作風は、これもJAPAN末期のスタイルと言えなくもありませんが、バンド時代以上に“個”が際立つテイストはまさしくソロならでは。民族音楽や宗教音楽の香りすら感じられる「Nostalgia」、ジャズファンク的なクールさが際立つ「Red Guitar」などは、80年代半ばという時代性とも見事にマッチしており、新たな時代がここから始まっていく予感も伝わります。

かと思えば、環境音楽的なテイストを随所に散りばめた「Weathered Wall」、全英的なジャズ色濃厚な「Backwaters」といった新境地的ナンバーもしっかり用意されている。音数の少なさ=隙間の多さで表現される“行間を楽しむ”作風はどこか日本的でもあり、難解なことに挑戦していながらも我々日本人にフィットするポイントも見受けられる……と感じるのは僕だけでしょうか。だからなのか本作、リリース当時中学生だった自分にも不思議としっくりくるものがあったんですよね。JAPANの最終オリジナル作品『TIN DRUM』(1981年)の“その先”という意味でも、僕は子供ながらに受け入れることができました。

ラストは9分近くにもおよぶタイトルトラック「Brilliant Trees」。この穏やかでミニマルな世界観と、デヴィッドの落ち着いたトーンの歌声が生み出す独特な空気感が存分に味わえる、究極の1曲ではないでしょうか。そして、この曲からも不思議と和の香り……侘び寂びに通ずるものが伝わってくる気がします。

フロントマンとしての存在感という点において、10〜20代の自分にマイケル・モンローやイギー・ポップ、デヴィッド・ボウイと同じくらい影響を与えたひとり。これまで表立って作品を取り上げる機会は少なかったですが、常に心の片隅に存在して鳴っているのが、JAPAN中後期とデヴィッドのソロ作品で、中でもこのアルバムは忘れられない1枚。初めて出会ってから35年以上経ちますが、今でも年に何度か再生している大切な作品です。

 


▼DAVID SYLVIAN『BRILLIANT TREES』
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2021年1月22日 (金)

TEARS FOR FEARS『THE HURTING』(1983)

1983年3月にリリースされたTEARS FOR FEARSの1stアルバム。

ここ日本ではヒット曲の数々がCMソングに使用されたこともあり、2作目『SONGS FROM THE BIG CHAIR』(1985年)や3作目『THE SEEDS OF LOVE』(1989年)のほうが知名度は上ですが、個人的にはTEARS FOR FEARSといえば本作というくらいの思い入れがある1枚。ちなみに、本作は本国イギリスで1位を記録しております(意外にも、次作『SONGS FROM THE BIG CHAIR』は全英2位止まり)。

「Pale Shelter」(再発後に全英5位)、「Mad World」(同3位)、「Change」(同4位/全米73位)と何気に2ndアルバム以上にシングルヒットの打率が高い本作。ジャケットのセンスといい、程よい“A級とB級の間”感が心地よく響く楽曲群のセンスといい、すべてにおいてツボ。これが『SONGS FROM THE BIG CHAIR』になると完全に“抜け切って”しまうため、ここで味わえる丁度良さが物足りないんですよね。

といっても、僕も本作に関しては完全に後追いなので偉そうに言えませんが(笑)。2nd→3rdをリリースされたタイミングに聴き、そのあとに1stにたどり着いたら「なんだ、1作目が一番好みじゃんか」と気づかされるという。要するに、80年代初頭のニューウェイヴの延長線上にある“A級とB級の間”のサウンド/楽曲が好みってだけですね(笑)。

カート・スミス(Vo, B)のボーカルはすでに完成されている感が強いですが、一方でローランド・オーザバル(Vo, G)の歌唱はどこか垢抜けなさが残っていて、その野暮ったさがまた良かったりする。そういったボーカルで、メル・コリンズ(ex. KING CRIMSONなど)のサックスが乗った「Ideas As Opiates」、ダークさの目立つ「Memories Fade」、まったくヒットしなかったけどキャッチーさ抜群のデビューシングル「Suffer The Children」、どことなくインダストリアルロック風の「The Prisoner」など個性的な楽曲が披露される。最高じゃありませんか。大好物すぎます。そりゃあ30周年記念ボックスセットまで購入しちゃいますわな(笑)。

とはいえ、普通は上に挙げた『SONGS FROM THE BIG CHAIR』や『THE SEEDS OF LOVE』か、初期3作をまとめたベストアルバム『TEARS ROLL DOWN (GREATEST HITS 82-92)』(1992年)から入るのが最適。ベストアルバムを聴いて「なんだ、初期シングル曲もいいじゃん」と思えたり、代表作2枚を聴いて「このバンドのテイスト、好みかも」と実感できたら、ぜひこの1stアルバムにも手を伸ばしてみてください。

 


▼TEARS FOR FEARS『THE HURTING』
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2021年1月21日 (木)

THE CLASH『COMBAT ROCK』(1982)

1982年5月に発売されたTHE CLASHの5thアルバム。本作リリースを目前とした同年1月下旬から2月初頭にかけて、THE CLASHは最初で最後のジャパンツアーを行いました。

『LONDON CALLING』(1979年)はアナログ2枚組、『SANDINISTA!』(1980年)に至ってはアナログ3枚組という多作振りを発揮し続けたTHE CLASH。しかも、その内容は初期のストレートなパンクロックからどんどん拡大/拡散方向へと進み、レゲエやダブ、スカなどのポストパンクサウンドを確立させていきます。

そうした実験を経て到達した本作は全12曲/46分という、過去2作と比較すると非常に短い尺のアルバム。いや、これが普通なんですけどね(笑)。どうしてもボリューミーな過去2作のあとに“普通”の作品が届けられると、なんだか物足りなさを感じてしまいそうになります。

ですが、その内容はまったく“普通”ではない濃厚な1枚。過去2作ほど実験色は強くありませんが、それでもパンクロックの“その先”が明確に示されており、なおかつそういった要素をよりメジャー感強く表現したのが、この集大成的な5thアルバムといえるでしょう。

ハードロック的なスタイルが2ndアルバム『GIVE 'EM ENOUGH ROPE』(1978年)を思わせるミック・ジョーンズ(G,Vo)Vo曲「Should I Stay Or Should I Go」や、ディスコサウンドを大々的に取り入れたジョー・ストラマー(Vo, G)Vo曲「Rock The Casbah」、アルバムの冒頭を飾る“これぞTHE CLASH”な「Know Your Rights」など、代表曲が多数含まれている本作。こういった楽曲に加え、ゴスペルテイストの「Car Jamming」、レゲエ色の強いポール・シムノン(B, Vo)Vo曲「Red Angel Dragnet」、文字通りのファンクロック「Overpowered By Funk」、ダブ色濃厚な「Sean Flynn」など、過去2作での実験を比較的ポップな形で昇華させた楽曲群は、先の代表曲とのバランス感も良好で、非常に聴きやすい。実は初期のパンクロック色濃厚なアルバム群や名作『LONDON CALLING』よりも入っていきやすい、ビギナーの入門には最適な1枚ではないでしょうか。

それもあってか、本作からは「Rock The Casbah」が初の(そして唯一の)全米TOP10入り(最高8位)を記録。「Should I Stay Or Should I Go」も全米45位まで上昇、こういった後押しもあってアルバム自体も全米7位(200万枚)、全英2位というキャリア最大のヒット作となりました。オリジナル・ロンドンパンクで唯一、セールス的に大成功した唯一の作品となるのでしょうか。

そして、本作をもってストラマー/ジョーンズ/シムノン/トッパー・ヒードン(Dr)という黄金期メンバーは解体。ストラマーのみがバンドに残り、新たな布陣で最終作となる『CUT THE CRAP』を1985年秋に発表したのちに、THE CLASHは解散することになります。

 


▼THE CLASH『COMBAT ROCK』
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2021年1月20日 (水)

DURAN DURAN『DURAN DURAN』(1981)

1981年6月にリリースされたDURAN DURANのデビューアルバム。

アルバムデビューに先駆けて、シングル「Planet Earth」(全英12位)、「Careless Memories」(同37位)のスマッシュヒットも大きく後押しし、同作は1stアルバムにも関わらず全英3位という好記録を樹立。さらに、アルバム発売後にリカットされたシングル「Girls On Film」も全英5位まで上昇し、DURAN DURANは一躍時の人となるのです。

この成功の裏側には、当時海外を中心に普及し始めたミュージックビデオ、およびそれらをオンエアする専門チャンネルMTVが果たした役割が非常に大きかったことは外せません。比較的ルックスの良いメンバーが化粧をしたそのビジュアル効果はかなり大きなものがあり、本国のみならずここ日本でも洋楽専門誌のグラビアを飾るアイドル的人気を確立。そんなルックスの良いメンバーが動く姿を存分に楽しめるMV、そりゃファンならたまりませんよね。

かつ、そのMVでの実験的かつ挑戦的な姿勢も彼らの成功に一役買います。「Planet Earth」や「Careless Memories」では奇抜さは見受けられませんが、あとから制作された「Girls On Film」のMV……これがDURAN DURANの知名度を一気に高める結果になるわけです。元10CCのゴドレイ&クレームの映像チームが手がけたMVは、バンドが演奏する前で力士相手に女性ファイターが試合をしたり、女性同士のキャットファイトなどが繰り広げられるというもので、当時としては破格の6分半にも及ぶ内容でした。ところが、当初MTVなどではその過激な内容から放送禁止に(YouTubeに公開されているのは3分半尺の、過激な描写をカットした通常バージョン。この6分半のノーカット版は“Night Version”として親しまれています)。この噂が広まったことで、同MVが収められたMV集がヒットしたという話まであります。

こういうったトピックが噂を呼び、さらに楽曲自体にも注目が集まった。実際、ニューウェイヴ通過後のファンクポップ/ロックは非常に親しみやすいもので、クラブ受けやラジオ受けも良い。癖の強くないサイモン・ル・ボン(Vo)のボーカルと、ニック・ローズ(Key)による煌びやかなシンセサウンドも耳馴染みが良いので、幅広い層……とりわけ若年層にも浸透しやすかったのではないでしょうか。当時中学生だった自分も、本作を含む初期3作は狂ったようにリピートしまくりましたから。

80年代初頭のティーンエイジャーにとって、ビジュアル/楽曲面で洋楽の入り口の役割を果たした重要な存在。今聴くと時代を感じさせるニューウェイヴ感と、わかりやすそうで実は意外と捻くれたことにも手を出している楽曲群のクオリティは、実はそこまで洋楽ビギナーに優しいわけではなかったことにも気づかされます。偏見抜きに、改めて真摯に受け止めてほしい「新時代の始まりを告げる」1枚です。

 


▼DURAN DURAN『DURAN DURAN』
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2021年1月19日 (火)

U2『BOY』(1980)

1980年10月にリリースされたU2の1stアルバム。

1979年9月に初のEP『THREE』を発表し、続いて1980年に『ANOTHER DAY』『11 O'Clock Tick Tock』と2枚のシングルをリリースしたU2。この『11 O'Clock Tick Tock』ではFactory Recordsの取締役にしてJOY DIVISIONなどのプロデューサーとして知られるマーティン・ハネットがプロデュースを担当しており、続く1stアルバムも彼がプロデュースを手がける予定でしたが、イアン・カーティス自殺が深い影を落とし、制作直前にスティーヴ・リリーホワイトへと交代することになります。しかし、この交代劇がのちのU2快進撃へと大きな影響を与えることとなるわけです。

デビューアルバムにも関わらず、すでに初期U2の世界観が見事な形で完成/表現。スティーヴのプロデュース&ミックスによる特徴的なサウンドプロダクションも、このU2サウンドの確立にかなり大きな影響を与えていることが、特に本作のデラックス・エディションのボーナスディスクに収録された“『BOY』以前”の楽曲群と比較することでより明確になります。

パンク/ニューウェイヴ以降の“ネクストステップ”を示しつつ、ダブリン出身のバンドらしい(といっていいのかな?)仄暗さや湿り気を持ったメロディが、雷が落ちるかのような衝撃を与えるサウンドメイクと合わさることで、唯一無二のスタイルを作り上げている。「I Will Follow」で示されるストレートなロックサウンドや、「The Electric Co.」で見せる“パンク以降”のスタイル、さらには「Twilight」や「An Cat Dubh」などのミドルチューンで表現されたテイストなど、先に述べたように初期U2のスタイル/世界観はこの1作目で早くも固まったといっても過言ではありません。

本作以降、特に3作目『WAR』(1983年)以降のU2を知っている耳で聴くと、確かに未熟さも目立つ1枚かもしれません。が、本作がなければ『WAR』はなかったわけで、ここで早くも第1章の幕開け&完結を届けられたからこそ、彼らの貪欲な音楽探求の旅は果てしなく続いていったわけです。そういった意味でも、本作が果たした役割は想像以上に高いものがあるのではないでしょうか。

個人的には、本作における推し曲は「The Electric Co.」かな。後にも先にも、ここまでパンキッシュに攻めるU2は見られないですし、特に同曲はイントロを拡張させたライブバージョン(2ndアルバム『OCTOBER』デラックス版やライブアルバム『LIVE: UNDER A BLOOD RED SKY』に収録)が最高にカッコいいので、ぜひ合わせてチェックしてもらいたいです。

 


▼U2『BOY』
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2021年1月18日 (月)

THE DAMNED『MACHINE GUN ETIQUETTE』(1979)

1979年11月に発売されたTHE DAMNEDの3rdアルバム。

前作『MUSIC FOR PLEASURE』(1977年)はチャートインすることなく、ラット・スキャビーズ(Dr)の脱退を経てTHE DAMNEDは1978年春に一度解散。しかし、同年夏にはキャプテン・センシブル(B)とラット、デイヴ・ヴァニアン(Vo)が再集結し、ブライアン・ジェイムス(G)に代わりキャプテンがギターへとスイッチし、新たにアルジー・ワード(B)を迎えた新体制で再結成することになります。

その再結成第1弾アルバムが本作。それまでのメインソングライターだったブライアンが抜けたことで、楽曲の方向性も少し変化。アルバム冒頭を飾る「Love Song」「Machine Gun Etiquette」やシングルカットもされた「Smash It Up」、MC5のカバー「Looking At You」のような疾走パンクチューンも存在するものの、全体的にはそれまで以上にキャッチーさ、ポップさが強まっています。そういった意味では、すでにデビューアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』(1977年)のTHE DAMNEDとは別モノなのかもしれませんね。

その象徴的な楽曲が、「I Just Can't Be Happy Today」や「Anti-Pope」などといったところでしょうか。さらに「These Hands」あたりでは60年代のガレージ・サイケのようなテイストも見受けられ、のちのゴシックロック路線へと通ずるヒントがこの時点で見つけることができます。特に「Plan 9 Channel 7」あたりは、そのプロトタイプと言えなくもないのかなと。オルガンを随所にフィーチャーすることで、不思議とサイケデリック感が強まっているような印象も受けますが、実はこの音色こそ本作のポップ度を高める隠し味になっているのではないでしょうか。

前のめりなパンクチューン「Noise, Noise, Noise」にはTHE CLASHからジョー・ストラマー&トッパー・ヒードンがコーラスで参加。さらに「Machine Gun Etiquette」ではジョー&ポール・シムノンがハンドクラップで華を添えています。思えばTHE CLASHもこの頃は『LONDON CALLING』(1979年)にて、純粋なパンクロックから脱却し始めた時期。SEX PISTOLSを除くオリジナルパンク勢がブームの鎮火を経て、新たなステージへと進む過程がそれぞれ感じられる作品をそれぞれ発表していたことを考えると、非常に興味深いものがあります。こと、イギリスに関してはパンクロックに取って代わるように、アンダーグラウンドからは新たなメタルの波が押し寄せようとしていたタイミングですしね。

今聴いても冒頭2曲のメドレー風つなぎはカッコいい。話題は逸れますが、かのマイケル・モンローがライブでこの2曲を間髪入れずに続けて演奏していましたが、あのメドレー風構成こそが本作の掴みにおける醍醐味。気になる方はぜひマイケル・モンローのライブアルバム『ANOTHER NIGHT IN THE SUN: LIVE IN HELSINKI』(2010年)にて確認してみてください。

 


▼THE DAMNED『MACHINE GUN ETIQUETTE』
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2021年1月17日 (日)

PATTI SMITH GROUP『EASTER』(1978)

1978年3月にリリースされたパティ・スミスの3rdアルバム(PATTI SMITH GROUP名義でのリリース)。

本作からはブルース・スプリングスティーンとの共作「Because The Night」が全米13位/全英5位の大ヒットシングルが生まれ、アルバム自体も全米20位/全英16位まで上昇。パティ・スミスを一段上のステージへと引き上げる、代表作のひとつとなりました。

ジョン・ケイル、ジャック・ダグラスが手がけた初期2作はガレージロックやハードロック色が漂う作風でしたが、今作ではそこにパンキッシュな色合いが加わることで、のちにパティ・スミスが“パンクロックの女王”と呼ばれるようになるきっかけを作ります。「Rock N Roll Nigger」のような直線的なパンクロックも存在しますが、本作におけるパンキッシュさは「Space Monkey」や、「Rock N Roll Nigger」の序章といえる「Babelogue」などから垣間見える呪術的な歌唱スタイルによるものが強いのかなと。「Babelogue」などで聴けるポエトリー的な歌唱スタイルはデビュー作『HORSES』(1975年)の時点から存在していたものですが、初期のそれはもうちょっと知的さが強かったような。それと比べると、今作でのポエトリーはより開放的な側面が強まり、そのエネルギッシュさこそパンクロックの根源なのでは……本作を聴くと、そう思わずにはいられません。

かと思えば、先の「Because The Night」のようにエモーショナルな楽曲も存在する。スプリングスティーン自身のセルフカバーもあれば、10,000 MANIACS、CASCADA、GARBAGE、マイケル・スタイプ(R.E.M.)、BON JOVIなどさまざまなアーティストが音源やライブでカバー。パンククラシックというよりは(作風的にも)ロッククラシックと呼ぶにふさわしい1曲と言えるでしょう。この曲と同時に「Rock N Roll Nigger」みたいな曲も並列して存在するあたりが、本作最大の魅力ではないでしょうか。

で、その2曲をつなぐかのように、間には民俗音楽的なアコースティックナンバー「Ghost Dance」が居座っており、ほかにもスローバラード「We Three」、ダルなゴリゴリのガレージロッ組曲「25th Floor」「High On Rebellion」などバラエティに富んだ楽曲で固められている。サウンド的なパンクではなく、精神性でのパンクを表現した本作は、「パンクロックとは何か?」を考える上で改めて重要な1枚のような気がします。

若い頃は見過ごしていた気づきが、この年齢になったからこそいろいろ発見できる。と同時に、大人になるにつれて失ったものにも気づかせてくれる。歳を重ねるたびに聴くと、その感じ方の変化が大きい生き物のような怪作です。

 


▼PATTI SMITH GROUP『EASTER』
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2021年1月16日 (土)

IGGY POP『LUST FOR LIFE』(1977)

1977年8月にリリースされたイギー・ポップの2ndアルバム。

THE STOOGES解散後、デヴィッド・ボウイのサポートを経て『THE IDIOT』(1977年)にてソロデビューへとこぎつけたイギー。同作から5ヶ月という短いスパンで発表されたソロ2作目は、当時の勢いをそのまま凝縮したかのような傑作に仕上がっています。

『THE IDIOT』はボウイの単独プロデュースだったものの、今作ではイギーもプロデューサーに名を連ねています。また、ソングライティング面でも前作は全曲ボウイ/イギーの共作としてクレジットされていましたが、今回は作詞の大半をイギーが、作曲では「Lust For Life」や「Tonight」をボウイが単独で、「Sixteen」ではイギーが単独で手がけており、リッキー・ガードナー(G)による「The Passenger」などあるものの、それ以外はボウイがほかのソングライターと共作したもので占められています。

前作ではダークさやダルさなどニューウェイヴ感が随所から感じられましたが、本作ではちょっと突き抜けた感が全体を覆っており、そのへんが当時のボウイのカラーだったのかなと。そういう意味では、イギーの持ち味とボウイの持ち味が程よい加減でミックスされた、奇跡的なバランス感の1枚と言えるでしょう。

とにかく、キャッチーな楽曲が多いのが本作の特徴。映画『トレインスポッティング』を機に、一気に知名度を高めたタイトルトラック「Lust For Life」のポップさ。あのモータウン調のドラムビート含め、すべてがキャッチーなんです。ほかにも、イギーのライブには欠かせない「The Passenger」や、「Lust For Life」にも匹敵するキャッチーさの「Some Weird Sin」に「Success」、のちにボウイが自身のアルバム『TONIGHT』(1984年)でセルフカバーする「Tonight」や「Neighborhood Threat」、豪快でカッコいいロックンロール「Sixteen」、ソウルフルさが際立つ「Turn Blue」「Fall In Love With Me」と捨て曲ゼロ。これを怪作『THE IDIOT』とほぼ同時期に仕上げてしまったイギーとボウイの創作欲たるや、お見事としか言いようがありません。

THE STOOGESの(当時の時点での)ラスト作となった『RAW POWER』(1973年)、初ソロ作『THE IDIOT』、そして本作と3作続けてボウイとのコラボレーションを続けたイギーですが、続くソロ3作目『NEW VALUES』(1979年)ではジェームス・ウィリアムソン(G/THE STOOGES)と再びタッグを組んで混沌とした世界へと舞い戻っていきます。以降もたびたびボウイとのコラボは実現していますが、本格的なプロデュースという点においては、ここから9年後の『BLAH-BLAH-BLAH』(1986年)まで待たねばなりません。そして、そのアルバムこそ自分がリアルタイムで初めて触れたイギーの作品。これが正しかったのか、間違っていたのかは今でもわかりませんが……。

 


▼IGGY POP『LUST FOR LIFE』
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2021年1月15日 (金)

RAMONES『RAMONES』(1976)

1976年4月発売の、RAMONESの1stアルバム。日本盤は『ラモーンズの激情』という邦題で知られています。

Wikipediaによると、「ニューヨーク・パンクのシーンにおいてはパティ・スミスに続きレコード契約を得たアーティスト」と記されています。このRAMONESのアンダーグラウンドシーンでの台頭が、ロンドンパンクのSEX PISTOLS誕生の引き金となったなんて言われていますが、本作を聴くとそれも納得の内容/仕上がりだと断言できるでしょう。

すべての楽曲が1〜2分台というコンパクトなショートチューンで、シンプルな3コードをベースにしたアップテンポのロックンロールが中心。全14曲で約29分という潔い内容は、のちのパンクロック作品に大きな影響を与えることになります。パンクロックといっても、のちのハードコア的な攻撃性やハードさ、タフさはあまり感じられず、むしろGREEN DAY以降のポップパンクの下地と言えるようなキャッチーさが備わった楽曲がずらりと並びます。

オープニングを飾る「Blitzkrieg Bop」のシンガロング、親しみやすいメロディはバブルガムポップのそれに通ずるものがあるし、「I Wanna Be Your Boyfriend」の流麗な歌メロ、「Chain Saw」で耳にする“ウーワー”コーラスなんて60年代のポップソングのそれですしね。曲冒頭での「1、2、3、4!」ってカウントや、ハードロックのそれとも異なるパワフルなギターリフやパワーコードにこそパンクロックの無軌道な勢いを強く感じますが、実は楽曲自体は非常によく作り込まれた王道ポップチューンという事実。これこそが、RAMONESが(音楽的にも)長きいわたり愛され続ける要因かもしれません。

USパンクの第1世代と言えるイギー・ポップ率いるTHE STOOGESというよりは、同じく50〜60年代のポップスを下地にしたグラマラスなNEW YORK DOLLSにより近い存在。それがRAMONESのスタートだったのではないでしょうか。このシンプルでキャッチーなロックンロールスタイルを最後まで崩さなかったからこそ、彼らは信頼され、愛され続けた。それがよくわかる原点の1枚だと思います。

RAMONESの真の凄みを味わいたければ、スタジオアルバムではなくてライブアルバムから入るのがベストですが、楽曲の良さをじっくり堪能したければ、まずはこのデビュー作から聴くのが一番。基本的にはどのアルバムも一緒っちゃあ一緒ですが(アルバムを重ねるごとに進化するポイントも生まれますが)、だからこそまずはこの1stアルバムから聴くのが正しいのかな。そんな気がします。

結局RAMONESは90年代前半に数回観たっきりでしたが、それでもあの凄さを毎回クラブチッタクラスのハコで味わえたのは、今となってはいい思い出です。

 


▼RAMONES『RAMONES』
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2021年1月14日 (木)

IAN HUTER『IAN HUNTER』(1975)

1975年4月にリリースされたイアン・ハンターの初ソロアルバム。

1974年末にMOTT THE HOOPLEを脱退したイアンは、同時にバンドを離れたミック・ロンソン(G)とともにソロ活動を開始。MOTT在籍時はスタジオ作品に参加することのなかったロンソンでしたが、ここからハンター/ロンソンのタッグが長きにわたり続いていくことになります。

プロデュースはハンター/ロンソンが担当し、レコーディングにはのちにFOREIGNERに加わるデニス・エリオット(Dr)、ミックの古い友人ジェフ・アップルビー(B)などが参加。イアンはボーカルやピアノのみならず、ギターも担当し、ミックもリードギターのほかオルガンやメロトロン、ベースなども弾いているようです。

ソングライティング面では1曲(「Boy」)のみハンター/ロンソンの共作ですが、それ以外はすべてイアン単独で書かれたもの。MOTT THE HOOPLEっぽさもあれば、ミックのソロやグラムロック期のデヴィッド・ボウイっぽさもある楽曲/サウンドは、グラムロックというよりは無駄を削ぎ落としたシンプルなロックという印象が強いものかもしれません。オープニングを飾る「Once Bitten, Twice Shy」なんてグラムを通り越した王道ロックンロールの風格が漂っていますしね。続く「Who Do You Love」も、どこかMOTTっぽさはあるものの、やっぱりもっとソリッドなロックンロールという印象かな。

かと思えば、ミックの本領発揮と言いたくなる9分近い大作「Boy」はグラム前夜のボウイを彷彿とさせるし、続く完全アコースティックナンバー「3,000 Miles From Here」はそのボウイも憧れたボブ・ディランっぽさすら感じさせる。そして、生き生きとしたミックのギターを堪能できるハードチューン「The Truth, The Whole Truth, Nuthin' But The Truth」……結局、どれも2人が過去に在籍したバンドの色を漂わせるも、実はオリジナリティの強いものばかりという事実を再認識させられます。

イアン・ハンターのボーカルもバンド時代以上に“太さ”を感じさせるし、ミック・ロンソンのギターに関しては……この人は自分が中心になるよりも、カリスマ的フロントマンの隣に立ってこそ本領を発揮するんだってことに気づかせてくれる。イアンの1stソロアルバムではあるものの、実は本作ってハンター/ロンソンというデュオによる鮮烈なデビューアルバムと呼ぶほうが正しいんじゃないんでしょうか。

なお、本作は本国イギリスで21位、アメリカでも最高50位を記録。シングルカットされた「Once Bitten, Twice Shy」は全英14位まで上昇しますが、実はこの曲ってGREAT WHITEが1989年にカバーしたバージョンのほうが原曲よりヒットしているんですよね(GREAT WHITEバージョンは全米5位という、キャリア最大のヒットを記録)。カバーからこの曲を知ったというリスナーも、実は多いかもしれませんね。

ボウイが好き、MOTTが好きってリスナーなら確実に気に入るであろう本作。そんなライトな気持ちで触れてみたら、僕のようにその深みにどっぷりハマってしまった……きっと本作の魅力に気づいてもらえるはずです。

 


▼IAN HUTER『IAN HUNTER』
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2021年1月13日 (水)

SWEET『DESOLATION BOULEVARD』(1974)

1974年11月にイギリスで発売されたSWEETの3rdアルバム。アメリカでは翌1975年7月にリリースされています。

本国イギリスではシングルヒットこと連発させていたものの、アルバムとしては前作『SEET FANNY ADAMS』(1974年)が最高27位まで上昇したものの、以降ランクインせず。ところが、本作に関してはアメリカで最高25位を記録し、50万枚以上ものヒットにつながりました。

実は本作、本国UK盤(RCA盤)とUS盤や日本盤(Capitol盤)とでは一部収録曲が異なります。現在ストリーミングサービスで流通しているのは後者で、僕が慣れ親しんだのも後者なので、今回はわかりやすい選曲の後者について触れていきます。

いわゆるグラムロックと呼ばれるジャンルが衰退し始めた1974年前後、これと代わるようにイギリスではQUEENが人気を獲得し始めます。骨太なハードロックサウンドにグラマラスな要素を乗せることで、それ以前の旧世代ハードロックにはなかった斬新さを確立させたわけですが、このSWEETのサウンド/楽曲もその延長線上にあると言えるでしょう。

本作には「Ballroom Blitz」(全英2位/全米5位)や「Fox On The Run」(全英2位/全米5位)、「The Six Teens」(全英9位)などのシングルヒットが含まれているほか、「Sweet F.A.」や「Set Me Free」などハードロック系アーティストにカバーされる機会の多い楽曲が多数含まれています。「Ballroom Blitz」や「Sweet F.A.」なんて完全にハードロックのそれですし、「Set Me Free」の疾走感もハードロックのそれ、「Fox On The Run」なんてポップソングと呼んでも差し支えのないキャッチーさが備わっていますし。そりゃ売れますわな。

しかも、「The Six Teens」や「Sweet F.A.」などで耳にすることができる多重コーラスや、複雑なアレンジを持つ楽曲展開などはQUEENの影響下にあると言えるもの。「Into The Night」のギターオーケストレーションも、ブライアン・メイのそれですしね。サウンド的にはこれをグラムロック的と括ることはできませんが、もし初期のQUEENを(ビジュアルのみならず)グラムロックの枠に収めるのならば、このSWEETも確実にそっち側に属するということになるんでしょう。

でもね、初めて彼らの音に触れた高校生時代の自分はこのアルバムのこと、グラムロックという認識ではなくて「QUEENに影響を受けたブリティッシュハードロックバンド」と捉えていたんです。いや、もっと言えば「THE WHO始まり、QUEEN経由の英国ハードロックバンド」という認識かな。だって、そういう音じゃなですか。当時はバンドの背景とか、そのへんよく知りませんでしたもものね。今ならインターネットですぐ調べられるし、こういう個人サイトもあるし(笑)。本当便利な世の中になりましたね。

でも、それと同時にカテゴライズがより複雑になっているのも事実。やれグラムロックだ、やれハードロックだ、やれバブルガムポップだ……ぶっちゃけ、そんなのどうでもいいんですよ。聴いた人にとってどう思ったかが正解。現在の僕にとってのSWEETやこのアルバムは「グラムロックの延長線上にいるハードロックバンド」くらいの存在。それで十分ですし、だからといってこのアルバムへの評価が揺らぐことはないですからね。

SWEETの入門編としては、ベストアルバムが一番いいと思うんです(笑)。だって、ここに収録されてない(DEF LEPPARDなどのカバーでおなじみの)「Action」や、POISONカバーした「Little Willy」、MOTLEY CRUEのあの曲の元ネタなんてささやかれた「Hell Raiser」など、名曲満載ですからね。それで気に入ったら、オリジナルアルバムとしては本作から入るのが妥当かなと思います。

 


▼SWEET『DESOLATION BOULEVARD』
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2021年1月12日 (火)

MICK RONSON『SLAUGHTER ON 10TH AVENUE』(1974)

1974年2月リリースの、ミック・ロンソン初のソロアルバム。

70年代初頭のデヴィッド・ボウイの相方として知名度を上げ、以降はMOTT THE HOOPLEやイアン・ハンターなどと活動をともにしたミック・ロンソンですが、本作はボウイがジギー・スターダストとしての活動に終止符を打ったあと、本格的に着手した「自分のため」の1枚。プロデュースはロンソン自身が手がけています。

レコーディグにはTHE SPIDERS FORM MARSでの盟友トレヴァー・ボルダー(B)やマイク・ガーソン(Piano)のほか、のちにJOURNEYなどにも参加するエインズレー・ダンバー(Dr)などが参加。収録された全7曲のうち4曲がカバー曲で、さらに1曲はボウイ作詞・作曲ナンバー。残り2曲のオリジナルナンバーも、うち1曲にはボウイの名前がクレジットされていることから、グラムロック期のデヴィッド・ボウイの延長線上で楽しむことができる1枚と言えるかもしれません。

実際、その内容も70年代初頭……それこそロンソンが関わるようになった諸作品との関連性が多数見いだせる内容となっており、カバーのセレクトやアレンジ含め、非常に“ボウイ的”と言えるでしょう。と同時に、このカラーはボウイひとりのものではなく、ある意味ではロンソンの色でもあった……というのは言い過ぎでしょうか。

エルヴィス・プレスリーの名曲「Love Me Tender」を独自の解釈でアレンジしたオープニングから穏やか、かつ仰々しくスタートするオープニングといい、いかにもボウイな「Growing Up And I'm Fine」といい、まるで“当時日の目を見なかったボウイの未発表アルバム”を聴いているような錯覚に陥るほど、サウンドそのものは初期ボウイそのもの。かつ、ロンソンのボーカルも中音域から高音域にかけて、非常にボウイっぽい。似せているのか、それとも自然と似てしまったのか。このへんも面白いですね。

「Only After Dark」は90年代にDEF LEPPARDがカバーしていたので、これは知っているというハードロックファンも少なくないことでしょう。原曲はパーカッションを強調することで、どこかT. REXっぽくもあるのが印象的。さらに、イタリアのシンガーソングライター、ルーチォ・バッティスティの楽曲をボウイが英訳詞を乗せた「Music Is Lethal」や、8分以上におよぶ(マイク・ガーソンの流麗なピアノ含め、これこそボウイそのものな)組曲「Pleasure Man / Hey Ma Get Papa」など、ボーカルにおいてもギターにおいても、とにかく聴きどころ満載の1枚と言えるでしょう。

そんなアルバムのラストを締めくくるのが、タイトルトラック「Slaughter On Tenth Avenue」。1930年代のブロードウェイ・ミュージカル『オン・ユア・トウズ』の劇中曲(インスト)であり、60年代にはVENTURESのカバーヒットでも知られる楽曲ですが、ロンソン版ではドラマチックなアレンジと物悲しさ漂うギタープレイでじっくり浸らせてくれます。やっぱりマイク・ガーソンのピアノが加わることで、非常に味わい深いものになりますね。

現行盤にはボーナストラックとしていくつかのライブトラックを追加収録。こちらのロンソンのギターも素晴らしく、ボウイがロンソンのことを「僕のジェフ・ベック」と称した意味がより理解できるのではないでしょうか。

 


▼MICK RONSON『SLAUGHTER ON 10TH AVENUE』
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2021年1月11日 (月)

IGGY & THE STOOGES『RAW POWER』(1973)

1973年5月にリリースされたTHE STOOGES(IGGY & THE STOOGES名義)の3rdアルバム。日本盤は初出時、『淫力魔人』の邦題のもとリリースされています。

前作『FUN HOUSE』(1970年)発表後、デイヴ・アレクサンダー(B)がアルコール中毒でバンドから解雇。イギー・ポップ(Vo)を筆頭に他メンバーもドラッグ問題に陥り、バンドは活動休止状態に陥ります。そんなタイミングに、イギーはデヴィッド・ボウイと出会い、ボウイがイギーをサポートすることに。イギーはTHE STOOGEを再生させようと、ジェーウズ・ウィリアムソン(G)とともに音楽活動を再開させます。新たなリズム隊を探すものの、なかなか良いメンツに恵まれず、結果として旧THE STOOGESからロン(G)&スコット(Dr)のアシュトン兄弟を呼び戻し、ロンがベースにスイッチすることで新生THE STOOGESとしての活動が始まるわけです。

すべての楽曲をイギーとジェームズで制作し、プロデュースをイギーが担当、ボウイがミックスを手がけた『RAW POWER』では、初期のアートロック的なテイストが完全に払拭され、ガレージロック色をさらに強めた初期パンク的な作風を確立。以降に続くイギーのパブリックイメージを定着される上でも、非常に重要な1枚となりました。また、オープニングを飾る「Search And Destroy」やタイトルトラック「Raw Power」などは、現在まで多くのアーティストたちにカバーされる人気ナンバーで、イギーもソロになってからも演奏する機会を多く持ちました。

本作は1997年に国内初CD化されておりますが、実はこのバージョンは1973年のオリジナル盤とはミックスがまったく異なります。というのも、1997年バージョンはミックスをイギーがやり直しているのです。ボウイがミックスしたオリジナルバージョンはリズムトラック音圧が低く、ボーカルとギターのみが前に出過ぎていて、このバンドが本来持つ暴力性や狂気性を表現しきれていない気がします。

このミックスに対する不満の声が多かったことに対し、イギーは「どの曲も音が全部振り切れるくらいボリュームを上げて、すごい激しいミックスになったぜ!」とやりすぎってくらい高音圧で激しいリミックスバージョンを完成させます。のちに「スタッフが怖気づいておとなしいバージョンってのを作ったが、俺は聴くことさえ拒否した」とのことで(笑)、そちらの修正版の仕上がりも気になるところです。

内容に関しては文句なし。生々しいロックンロールをベースに、パンクやブルースを味付けに、時にはハードロックと言わんばかりのヘヴィさも表現された本作は、ボウイ版よりもイギー版のミックスで聴くことをオススメします。なお、ボウイ版ものちにCD化され、現在もストリーミングサービスで聴くことができるので、気になった方は聴き比べてみてはどうでしょう。その際、先にイギー版から聴いてしまうと、ボウイ版がペラペラに感じられること間違いなしなのでご注意を(苦笑)。

 


▼IGGY & THE STOOGES『RAW POWER』
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2021年1月10日 (日)

DAVID BOWIE『THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS』(1972)

1972年6月にリリースされたデヴィッド・ボウイの5thアルバム。

ボウイの人気を決定づけた歴史的名盤のひとつであり、グラムロックというジャンルにおける教科書的作品。前作『HUNKY DORY』(1971年)で揃ったミック・ロンソン(G)、トレバー・ボルダー(B)、ミック・ウッドマンジー(Dr)によるバンド編成がひとつの頂点へと達しつつあることを示す名演を、たっぷり楽しむことができます。また、本作はその長尺のタイトルが示すように、非常に物語性の強いコンセプチュアルな作風で、このアーティスティックな作風もボウイのカリスマ性を高めることに一役買ったのではないでしょうか。

ゆったりしたドラムのリフがフェードインする「Five Years」の、非常にドラマチックなオープニングといい、続く「Soul Love」「Moonage Daydream」の風変わりなテイストといい(特に後者で聴けるミック・ロンソンのギターソロは圧巻!)、前作での穏やかさとは異なる、影に潜んだ狂気性がじわじわ伝わってくる楽曲群はさすがの一言。そこから名曲「Starman」へと続く流れも文句の付けどころがなく、気づけばその独特な世界観にグイグイ引き込まれているわけです。

中盤はパワフルなハードロック「It Ain't Easy」や、キラキラした眩さすら伝わるバラード「Lady Stardust」で緩急をつけ、豪快なロックチューン「Star」以降はクライマックスに向けてバンドの熱量が加速し始めます。ドライブ感の強い「Hang On To Yourself」、パワフルなギターリフがすべてと言わんばかりのタイトルトラック「Ziggy Stardust」、そして終焉と向けた狂騒を表す「Suffragette City」からラストナンバー「Rock 'N' Roll Suicide」へと流れ、約40分におよぶ壮大なドラマは幕を下ろします。

もはやコンセプトアルバムと呼ぶにふさわしい本作は、確かにデヴィッド・ボウイというアーティストにとって最初のピークと断言できる内容です。ソングライターとしても表現者としても、当時にできることをすべて詰め込み、かつ周りでサポートするバンドのメンバーの力量もそれに追随するものがある。加えて、ライブでの狂気じみたパフォーマンスやボウイのカリスマ性、それを崇めたてるファン……すべての要素がプラスに作用し、アングラとメジャーの狭間で伝説を作り上げた。それが1972年当時のボウイ=ジギーだったのかなと、後追いで彼に触れた(リリース当時は1歳にも満たない)自分は思うわけです。

本作に最初に触れたのは、ボウイがソロを封印するための実施した1990年の東京ドーム公演前後だったと思います。ボウイの諸作品がCDで再発され、その流れで本作を購入。以来、30年以上にわたり聴き続けているわけですが、本当の意味で本作の魅力や凄みに気づいたのって、実はここ10年くらいのことかもしれません。

ボウイが亡くなって今日でまる5年。本来「Five Years」という曲は、5年後に迫った人類滅亡を伝える内容で、まさにこのアルバムで語られる物語の序章に当たるわけですが、ボウイの死から5年経った現在、本当に“世界の終わり”みたいな状況に一歩近づいていることを考えると……ジギー・スターダストみたいな存在が本当に誕生するんじゃないか、そいつは救世主なのか破壊神なのか……なんてことをふと想像してしまいます。

長いボウイのキャリアにおいて、グラムロック期はほんの数年。ここから先の探求の旅が本当に面白いので、初期数作だけにとらわれずにいろいろ聴いてほしいなと思います。

 


▼DAVID BOWIE『THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS』
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2021年1月 9日 (土)

DAVID BOWIE『HEATHEN』(2002)

2002年6月11日にリリースされたデヴィッド・ボウイの22ndアルバム。日本盤は海外に先駆けて、同年6月5日に発売。

90年代に入ってからのボウイは『BLACK TIE WHITE NOISE』(1993年)でソロ活動を再びソフトランディングさせ、以降は『1. OUTSIDE』(1995年)『EARTHLING』(1997年) と実験的かつ前衛的な作品に着手し続けます。しかし、特に『EARTHLING』ではドラムンベースやインダストリアルロックなど良くも悪くも時代に迎合するかのように、モダンなテイストを前面に打ち出すも絶対的な成功とは言い難い結果を残すにとどまりました。

そんな実験と挫折(とちょっとの手応え)を経て、前作『'hours...'』(1999年)では原点回帰とも言える「良い曲を作ることにこだわる」作風へとシフト。結果的にはこちらも成功とは言い切れないような結果しか残せませんでしたが、同作は間違いなく90年代のボウイの頂点であり、続く2000年代への布石でした。

『'hours...'』での試みの“その先”として、本来は2001年に『TOY』というアルバムをリリースする予定でした。同作は60年代にボウイが制作した楽曲をセルフカバーし、そこに新曲を加えるといった内容で、方向的には『'hours...'』の延長線上にあるものだったと言えるでしょう。ところが、同作のために制作した新曲に手応えを感じたボウイは、『TOY』という作品をお蔵入りにし、完全なるオリジナルアルバム制作に着手。かつ、そのアルバムのプロデューサーに70年代からの盟友であるトニー・ヴィスコンティを約20年ぶりに迎えることになるのでした。

本作には『1. OUTSIDE』や『EARTHLING』で見せたド派手なアレンジは皆無ですし、『BLACK TIE WHITE NOISE』のようなダンサブルさもゼロ。あるのはソウルやフォーク、ロックンロールをベースにした穏やかな“いい曲”。そこに往年のボウイを思わせるゴシック感も若干散りばめられておりますが、そのへんは単なる味付けにすぎず、やっていること自体は間違いなく『'hours...'』の“その先”。もっと言えば、初期の名盤『HUNKY DORY』(1971年)の“その先”と解釈することもできる。そんな「地味だけど、時の経過とともにじわじわ効いてくる」1枚なのです。この時点でボウイ55歳。人生も折り返しに入り、いかにエキセントリックなアートを生み出すかということよりも、純粋に音楽を楽しむ方向にシフトしたってことなんでしょうか。

全12曲の収録曲の中には、もはや80年代以降のボウイの十八番ともいえるカバー曲も3曲収録。中にはPIXIESの「Cactus」なんてものも含まれており、そのセンスに思わずニヤリとしてしまいます。また、アルバムにはカルロス・アロマー(G)などおなじみの面々に加え、ピート・タウンゼンド(G/THE WHO)が「Slow Burn」に、デイヴ・グロール(G/FOO FIGHTERS)が「I've Been Waiting For You」にそれぞれゲスト参加しているというトピックも用意されています。が、本作を前にすると、そういった要素はおまけにしかすぎないなと思わされます。

それくらいよく作り込まれた、純粋に“良い”作品。リリースされた当時より大人になった今聴くほうが、その魅力にたくさん気づける“今聴くべき”1枚です。そんなアルバムに異教徒や野蛮人を意味する『HEATHEN』と名付け、ジャケットではそのタイトルを上下逆に表記するというユーモアもさすがの一言です。

なお、現在まで未発表のアルバム『TOY』の収録曲の大半は、すでにいろいろな形で発表済み。『HEATHEN』には「Slip Away」(オリジナルタイトルは「Uncle Floyd」)と「Afraid」がリテイクという形で収録され、同作のデラックス盤では「Baby Loves That Way」「Conversation Piece」「Shadow Man」「You've Got A Habit Of Leaving」、3枚組ベストアルバム『NOTHING HAS CHANGED』(2014年)では「Let Me Sleep Beside You」「Toy (Your Turn To Drive)」「Shadow Man」をそれぞれ耳にすることができます。

 


▼DAVID BOWIE『HEATHEN』
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2021年1月 8日 (金)

DAVID BOWIE『NEVER LET ME DOWN』(1987)

1987年4月にリリースされたデヴィッド・ボウイの17thアルバム。

前作『TONIGHT』(1984年)と前後して、ボウイは映画関連の楽曲やサンドトラックに携わる機会が急増します。『コードネームはファルコン』(1984年)には「This Is Not America」を、『風が吹くとき』(1986年)には「When The Wind Blows」、そして自身も出演した『ビギナーズ』(1986年)には「Absolute Beginners」など数曲、同じく役者としても携わった『ラビリンス/魔王の迷宮』に関してはテーマソング「Underground」ほか6曲に関わり、サウンドトラックアルバム自体が半分ボウイのアルバムみたいなことになっております。このほかにもミック・ジャガーとのコラボカバーシングル「Dancing In The Street」(1985年)のヒットや、盟友イギー・ポップの再起作『BLAH-BLAH-BLAH』(1986年)のプロデュースや楽曲提供などもあり、多方面で大忙しの数年を過ごします。

『LET'S DANCE』(1983年)から『TONIGHT』までは1年半という短いスパンだったものの、結局『TONIGHT』に続くオリジナルアルバム到着までには2年半もの歳月を要することになるのも、納得のワーカホリックぶりですね。

そんなこんなで完成したアルバム。プロデューサーには新たにデヴィッド・リチャーズ(80年代後半以降のQUEENでおなじみの方)を迎え、リード・ギタリストにはピーター・フランプトンという渋い人選で制作されたわけですが……リリース当時は『TONIGHT』以上に酷評された記憶があります。まあそれも致し方ない内容と言いますか……。

方向性的には『LET'S DANCE』や『TONIGHT』に含まれるスタジアムロック的テイストをさらに拡大させたような内容で、すべてにおいて“ビッグ”なロックサウンドを楽しむことができます。ドラムは全編的に打ち込みかな? かなり硬質で、当時流行していたハードロック的手法が取り入れられているような印象も受けます。もはやニューウェイヴの色合いは感じられず、完全なるメインストリーム/王道ロックといったところでしょうか。

楽曲自体は悪くないんです。わかりやすいしポップだし、適度にハードだし。シングルヒットした「Day-In Day-Out」(全英17位/全米21位)や「Time Will Crawl」(全英33位)、「Never Let Me Down」(全英34位/全米27位)なんてその真骨頂ですし。だけど、これをボウイに求めるかと言われると……ね? 酷評の理由がなんとなく理解できます。

あと、本作の日本盤には初出時に「Girl」(ティナ・ターナーに提供した楽曲のセルフカバー)の日本語バージョンという謎のテイクが追加収録されていたことも、当時の迷走ぶりを象徴するような気が。曲自体は悪くないんです。なんなら、ティナのバージョンよりも良いと思う。だけど、あのたどたどしい日本語と謎な歌詞は……今聴いても苦笑い、のちにクスリみたな1曲です。

現行リマスター盤はオリジナル盤から1曲カットされていたり(「Too Dizzy」)、ボウイ自身もあまり気に入ってなかった的な発言もあったりしますが、ここでの挑戦が続く“自身がバンドの一員になる”TINE MACHINEへと続いていくのは、あながち間違った解釈ではないと思うのです。ていうか、そうなるよなと。

個人的にも特に印象が強くない1枚ですが、ミック・ジャガーが同年に発表したソロアルバム『PRIMITIVE COOL』(1987年)との共通点もあるような、ないような……結局はそういう時代だったってことなんでしょうね。と、自分を納得させて、またじっくり聴き込んでみます。

 


▼DAVID BOWIE『NEVER LET ME DOWN』
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2021年1月 7日 (木)

DAVID BOWIE『TONIGHT』(1984)

1984年9月にリリースされたデヴィッド・ボウイの16thアルバム。

前作『LET'S DANCE』(1983年)および同名シングルの大ヒットを受け、前作から1年半という短いスパンで届けられた本作。方向性的には間違いなく前作の延長線上にあるのですが、いざ収録内訳を確認すると全9曲中5曲がカバー(前作における「China Girl」同様、イギー・ポップへの提供曲セルフカバー3曲含む)という事実に驚かされます。

プロデューサーは前作でのナイル・ロジャースからデレク・ブラブル&ヒュー・パジャムに交代。デレクはファンクバンドHEATWAVEの元メンバーで、ジャッキー・グラハムやフェイス・ヒルなどを手がけたことで知られる人。ヒュー・パジャムは80年代前半にTHE POLICEやフィル・コリンズ、HUMAN LEAGUE、XTCなどで名を馳せたご存知の方。前作でやろうとしたことを、各分野のトップランナーを迎えることでより濃く表現しようとした結果なのでしょうか(単にナイル・ロジャースが売れっ子すぎて捕まらなかった説もありますが)。

オープニングを飾る「Loving The Alien」は儚くも美しい世界観を持つ良曲ですが、ベースラインが「Let's Dance」をなぞっていたりして、なるほどと納得されられます。また、この曲が本作で最長の7分強というのも、なんとなく「Let's Dance」の二番煎じ的な……そこと重ねてしまうと「う〜ん」と思ってしまいがちですが、過去を切り離して曲単位で考えると非常によくできた1曲ではないでしょうか。

イギー程曲曲のカバー「Don't Look Down」や「Tonight」は、意外と落ち着いた雰囲気で好印象。後者はティナ・ターナーをデュエット相手に迎えており、このレゲエテイストの緩やかな曲調で暑苦しい歌声を響かせます(笑)。「God Only Knows」はご存知THE BEACH BOYSの名曲カバー。このスタンダード感もまた良し。ブラックミュージックやスタンダードナンバー的な楽曲をカバーすることで、ポップスター感をより強めることに成功しています。

後半には前作における「Modern Love」的なスタジアムロック「Neighborhood Threat」(イギー提供曲のカバー)があったり、当時ノエビア化粧品(懐かしい……笑)のCMソングとしておなじみだった「Blue Jean」(全英6位/全米8位)、ボウイ&イギーの共作によるファンキーな「Tumble And Twirl」があったり、そのイギーをデュエット相手として迎えた「Dancing With The Big Boys」があったりと、なかなかバラエティに富んだ構成となっています。そんな中、個人的に印象深いのは60年代に活躍したR&Bシンガー、チャック・ジャクソンのカバー「I Keep Forgettin'」がお気に入り。いかにもヒュー・パジャム的なタムタムドラムの音色はさすがに今聴くと苦笑してしまいますが、全体を通して悪くないんじゃないかな。いや、かなり良いと思うんですが……。

前作での成功の余波もあり、本作は全英1位/全米11位と大健闘。ですが、二番煎じ感が強かったためか、前作以上に低評価なんですよね。だけど、改めて聴き込むと……実は『LET'S DANCE』よりよく作り込まれた良作じゃないかと気づくわけです。これを聴いちゃうと、『LET'S DANCE』はこのアルバムの習作だったんじゃないか……とすら思えてくるのですが、ふと冷静になって考えると、収録曲の半数以上がカバーという事実にぶち当たる。これが低評価の要因のひとつでもあるのかな。

だけど、個人的な好みで言えば確実にこっち。ここはぜひ“もっとも再評価されるべき1枚”だと断言させてください。

 


▼DAVID BOWIE『TONIGHT』
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2021年1月 6日 (水)

DAVID BOWIE『LET'S DANCE』(1983)

1983年4月にリリースされたデヴィッド・ボウイの15thアルバム。

70年代はヒット作なども多数生み出したものの、どこかカルトスター的なイメージの強かったボウイ。本作のリリース直後には大島渚監督作品『戦場のメリークリスマス』に出演し、ここ日本でも一般的な知名度を高めることに成功します。

そんな中でリリースされた今作は、CHICのナイル・ロジャースをプロデューサーに迎え制作。ナイルは今作と前後してINXS「Original Sin」やマドンナ『LIKE A VIRGIN』、DURAN DURAN「The Reflex」などをヒットさせており、いわばメジャー感の強い“時の人”。そんな人選なもんですから、このアルバム自体も非常にわかりやすいダンス・ポップアルバムに仕上がっており、リードシングル「Let's Dance」は全米/全英1位を獲得したほか、「China Girl」は全英2位/全米10位、「Modern Love」は全英2位/全米14位とヒット曲を連発。アルバム自体も全英1位/全米4位という好記録を樹立しました。

ナイル・ロジャースのプロデュースに加え、ミックスをボブ・クリアマウンテンという売れっ子を採用。レコーディングにはナイル自身がギターをプレイしたほか、当時はまだ無名だったスティーヴィー・レイ・ヴォーンがリードギターを担当。ドラムにオマー・ハキムやトニー・トンプソンなど、それまでのボウイからしたら想像もつかないメンツを迎えているわけですから、そりゃわかりやすいわけですよ。当時中学生だった自分には、ボウイの入り口としてはこれ以上ないくらいに間口が広いんですから。

オープニングの「Modern Love」からして完全にアリーナロック/スタジアムロックですからね。続く「China Girl」ではタイトルからも想像できるようなオリエンタルテイストを交えたポップ・ソウル(これがイギー・ポップとの共作&イギーへの提供曲のセルフカバーであることは、当時中学生だった自分は後々知るわけですが)。で、「Let's Dance」はシングル(MVバージョン)よりも長尺の、7分半超えのフロア仕様。これ1曲取り上げても、彼が当時何をしたかったかが何となく想像できるんじゃないでしょうか。

頭3曲はシングル向けのわかりやすさ満載な楽曲並びですが、以降の「Without You」や「Ricochet」あたりは前作『SCARY MONSTERS (AND SUPER CREEPS)』(1980年)のあたりのニューウェイヴ流れの楽曲もあり、実は大人になってから聴くと頭3曲よりもこのへんの楽曲のほうがツボだったりするんですよね(ヒット曲はベスト盤などで散々聴き飽きたのもありますが)。「Criminal World」もその流れの1曲ですよね。アナログA面ラストからB面への流れ、やっぱり今聴いても悪くないです。

かと思えば、同名映画に提供した楽曲のリテイク「Cat People (Putting Out Fire)」があったり、序盤のテイストをシンセ主体で焼き直したような「Shake It」があったりで、終盤に向けてちょっとだけ尻すぼみ。ちょっと勿体ないエンディングかな。

コアなリスナーからは酷評されたり、グラム期やイーノ三部作こそボウイだと断言するような方々からは敬遠されがちな作品ですが、映画からボウイに入っていったようなビギナーには実は一番わかりやすい良作なんじゃないでしょうか。で、他の作品をどんどん聴き進めていくうちに物足りないと感じるようになり、一周すると「やっぱりいいんじゃない?」と再確認できる。そんな1枚です。

 


▼DAVID BOWIE『LET'S DANCE』
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2021年1月 5日 (火)

THE LOCAL BAND『LOCALS ONLY - DARK EDITION』(2015)

2015年12月2日にリリースされたTHE LOCAL BAND唯一のEP。日本先行でリリースされ、続いて12月4日に海外で発売されています。

THE LOCAL BANDはCHILDREN OF BODOM(当時)のアレキシ・ライホ(G, Vo)とTHE 69EYESのヨッシ69(Dr)が2013年頃、遊びで結成したカバーバンド。当時のメンバーはこの2人に加えてオリー・ヘルマン(Vo/RECKLESS LOVE)、アーチー・クルーズ(B/SANTA CRUZ)という面々。当初はPOISONMOTLEY CRUEといったヘアメタルバンドのカバーが中心で、2015年10月には『LOUD PARK』出演のために初来日も果たしました(これが4回目のライブだったとか)。実際、僕も会場で見ましたが、上記2組に加えてDEF LEPPARDBON JOVIデヴィッド・リー・ロスGUNS N' ROSESSKID ROWVAN HALENといった有名バンドの代表曲を披露して会場を沸かせました。いや、沸かせたっつうか単なるカラオケ大会と化してましたが(笑)。

で、この来日直前に制作されたのがこのEPで、本作には上記のライブで披露された楽曲は1曲も入っていないという有様(笑)。音源は結構マジ気味の選曲で、コリー・ハート「Sunglasses At The Night」、パット・ベネター「Promises In The Dark」、リトル・スティーヴン「Out Of The Darkness」、SIMON & GARFUNKEL「Hazy Shade Of Winter」(の、THE BANGLESバージョン)などHR/HMとはかけ離れたセレクト。“こっち側”の楽曲はオジー・オズボーン「Waiting For Darkness」くらいで、これにしても選曲は非常に地味&マニアック。

あと、僕が原曲を知らなかった2曲(THE VERONICAS「Untouched」、METROPOLIS「The Darkest Side Of The Night」)も含まれています。THE VERONICASはオーストラリアの女性デュオで、エレポップやパワーポップをベースに活動。この「Untouched」は2007年に全米17位、全英8位のヒットを記録しています。もうひとつのMETROPOLISはカナダのSSWスタン・マイスナーによるハードロックバンドで、「The Darkest Side Of The Night」は2000年にリリースされた唯一のアルバム『THE POWER OF THE NIGHT』の収録曲。もともとは映画『13日の金曜日 PART9 ジェイソンN.Y.へ』(1989年)のために制作されたものでしたが、当時はリリースされることなく、音源としては先のアルバムで初めて正式発売されています。この曲も“こっち側”でしたね。

どの曲も原曲に忠実にカバーされているので、オリジナルバージョンを知っている人ならすんなり入っていけると思います。コリー・ハートの曲なんて、しっかりシンセのリフも再現していますし。それにしてもこの曲、ハードロック調演奏が加わると、完全にヘアメタル/スタジアムロックに化けるんですね。驚きと同時に、やっぱりいい曲だなと再認識しました。

とにかくオリー・ヘルマンのボーカルがよろしいんです。適度なハスキーさと甘さがあり、こういったヘアメタルに最適。ってRECKLESS LOVE自体そっち側ですしね。アレキシもギタリストに徹しているものの、自身のメインバンドとは異なりボーカルを立てて一歩退いてる感が伝わってくる。このバランス感も絶妙ですね。

個々のエゴを押し出すよりも、原曲の良さを引き立てつつ演奏を楽しむ。遊びの延長だからこそ成し得た奇跡の1枚だと思います。どうせならヘアメタルバンドをカバーした盤も聴きたかったなあ……。

 


▼THE LOCAL BAND『LOCALS ONLY - DARK EDITION』
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2021年1月 4日 (月)

CHILDREN OF BODOM『HATE CREW DEATHROLL』(2003)

本当は今年の1月4日から最低1週間くらい、4年以上続いた毎日更新をお休みする予定だったんです。モチベーションがちょっと落ちてきたので、また書きたいと思えるまではいいかな……って。

ところが、1月4日もあと数時間で終わろうとしているこのタイミングに、アレキシ・ライホの訃報が飛び込んできて。取材帰りの出先で、SNS経由で知ったのですが、ショックが大きくて。自分でもここまでショック受けるなんて思いもしませんでした。

というわけで、今日は特別にCHILDREN OF BODOMについて書きたいと思います。

本作『HATE CREW DEATHROLL』は2003年1月6日にリリースされた、CHILDREN OF BODOMの4thアルバムにして出世作。日本盤は同年2月5日に発売されました。

本作で本国フィンランドのアルバムチャートで初めて1位を獲得。このアルバムのチルボドの入門編として挙げる人も多いくらい、非常に聴きやすい/入っていきやすい1枚だと思います。

シンセを取り入れたクラシカルな王道クサメタルを下敷きにしつつ、90年代半ばから勃発したメロディックデスメタルの要素を強く打ち出した独特なスタイルは、本作でひとつの完成形へと到達。PANTERA以降のグルーヴメタルのテイストや、L.A.メタル的ロックンロール要素も随所に散りばめつつ、サビではシンガロングできそうなわかりやすくキャッチーなメロディを採用することで、メロデスが苦手なリスナーにも取っ付きやすさを感じさせてくれる。また、ギターリフやソロパートも非常にクールで耳に残るものばかり。改めてアレキシという稀代のギターヒーローの才能も、ここで存分に味わえるはずです。

楽曲に関してはとにかく名曲揃い。オープニングを飾る「Needled 24/7」を筆頭に、ラストのタイトルトラック「Hate Crew Deathroll」まで捨て曲一切なしで、グルーヴィーさを感じさせる「Sixpounder」にドラマチックな「Bodom Beach Terror」や「Angels Don't Kill」、イントロのドラムフレーズ(トラック的には前曲「You're Better Off Dead」のアウトロ)がモロにJUDAS PRIEST「Painkiller」な「Lil' Bloldred Ridin' Hood」などクセものばかり。次作『ARE YOU DEAD YET?』(2005年)ではグルーヴメタル側に寄り始めるので、クラシカルなクサメタルが好きなリスナーはぜひ本作から触れてみることをオススメします。

ボーナストラックには恒例のカバー曲が。哀愁味に満ちたRAMONES「Somebody Put Something In My Drink」と、スラッシーなSLAYER「Silent Scream」というタイプの異なる2曲を楽しむことができます。個人的にはこのバンドのロックンロールテイストが色濃く表れた前者がお気に入り。

チルボド自体はメンバー3人が脱退したことで、2019年末にほぼ活動終了状態に突入。アレキシはBODOM AFTER MIDNIGHTという新バンドで昨年から活動を始めたばかりでした。まだ41歳という若さでこの世を去るなんて。ダメだよ、自分より若いミュージシャンが俺より先に逝ってしまうのは……。

 


▼CHILDREN OF BODOM『HATE CREW DEATHROLL』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

2021年1月 3日 (日)

祝ご成人(2000年4月〜2001年3月発売の洋楽アルバム20選)

少し気が早いですが、新成人の皆さんおめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で7回目を迎えます。いつもは成人の日前後に掲載しているのですが、今年は書けるうちに……と思い、3が日に企画記事を固めてみました。

この企画は「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に貴重な機会でもあり、同時に「どれを20枚に含めるか?」というセレクトにおいても非常に頭を悩ます良いタイミングとなっています。

改めて趣旨説明を。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2000年4月〜2001年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちら、2019年度の新成人編はこちらです)

 

AEROSMITH『JUST PUSH PLAY』(2001年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

AT THE DRIVE-IN『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE AVALANCHES『SINCE I LEFT YOU』(2000年11月発売)

 

BJÖRK『SELMASONGS』(2000年9月発売)(Spotify

 

BON JOVI『CRUSH』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

COLDPLAY『PARASCHUTES』(2000年7月発売)(Spotify

 

DAFT PUNK『DISCOVERY』(2001年2月発売)(Spotify

 

DEFTONES『WHITE PONY』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

EMINEM『THE MARSHALL MATHERS LP』(2000年5月発売)(Spotify)(レビュー

 

ERYKAH BADU『MAMA'S GUN』(2000年11月発売)(Spotify

 

GORILLAZ『GORILLAZ』(2001年3月発売)(Spotify

 

GREEN DAY『WARNING』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE HIVES『VENI VIDI VICIOUS』(2000年9月発売)(Spotify

 

LIMP BIZKIT『CHOCOLATE STARFISH AND THE HOT DOG FLAVORED WATER』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

LINKIN PARK『HYBRID THEORY』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

MADONNA『MUSIC』(2000年9月発売)(Spotify

 

PAPA ROACH『INFEST』(2000年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

QUEENS OF THE STONE AGE『RATED R』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

RADIOHEAD『KID A』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

U2『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

残念ながらセレクトから漏れた作品も多く。以下に主だった作品をピックアップしておきました。

A PERFECT CIRCLE『MER DE NOMS』(レビュー
AMERICAN HI-FI『AMERICAN HI-FI』(レビュー
BACKSTREET BOYS『BLACK & BLUE』
BLACK LABEL SOCIETY『STRONGER THAN DEATH』(レビュー
BRITNEY SPEARS『OOPS!... I DID IT AGAIN』
FATBOY SLIM『HALFWAY BETWEEN THE GUTTER AND THE STARS』
DECKARD『STEREODREAMSCENE』(レビュー
GODSMACK『AWAKE』
HALFORD『RESURRECTION』(レビュー
THE HELLACOPTERS『HIGHT VISIBILLITY』(レビュー
IN FLAMES『CLAYMAN』(レビュー
IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』(レビュー
JACK JOHNSON『BRUSHFIRE FAIRYTALES』(レビュー
KYLIE MINOGUE『LIGHT YEARS』
MANIC STREET PREACHERS『KNOW YOUR ENEMY』(レビュー
MARILYN MANSON『HOLY WOOD (IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)』(レビュー
MARVELOUS 3『READY SEX GO』(レビュー
MOTÖRHEAD『WE ARE MOTÖRHEAD』(レビュー
RAGE AGAINST THE MACHIE『RENEGADES』(レビュー
SiLVER GiNGER 5『BLACK LEATHER MOJO』(レビュー
UNDERWORLD『LIVE: EVERYTHING, EVERYTHING』(レビュー
ZEBRAHEAD『PLAYMATE OF THE YEAR』
V.A.『M:I-2 SOUNDTRACK』

2000年って振り返ると、サマソニが富士急ハイランドで初開催された年なんですよね。個人的にはあそこで観たMUSEとAT THE DRIVE-INの印象が(良くも悪くも)強く。あと、RAGE AGAINST THE MACHINEがその年の6月に単独来日を果たしているのですが、家庭の事情で参加できず。で、その年の11月に突如解散してしまった……なんてことも記憶に残っています。ちょうどこのサイトの前身(『とみぃの宮殿』)を始めて2年目から3年目というタイミングで、実は2000〜2001年頃に一度休止した記憶も。プライベートでも先の家庭の事情(家族の死)などもあって、バタバタしたタイミングで、実は音楽をそこまで真剣に聴いていたかと問われると……な時期でもあったことが思い出されます。

ということもあって、印象に残っているアルバム/20枚に残しておきたいアルバムのHR/HM比重が低くなっているのも印象的な1年かもしれません。そういえばこの時期、そんなに真剣に新興勢力(LINKIN PARKやPAPA ROACHなど)をリアルタイムでは聴いていなかったもんなあ。

まあ、個人的事情はさておき。国内に目を向けてもBLANKEY JET CITYの解散やLUNA SEAの終幕などありましたが、フジロックでそのブランキーやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTがトリを務めたり、エレカシが「ガストロンジャー」以降のファイティングスタイル集大成としてアルバム『GOOD MORNING』を完成させたり、Mr.Childrenが大傑作『Q』を発表したりと、いろいろ記憶に残る1年だったことも付け加えておきます。あと、2001年3月には宇多田ヒカル『DISTANCE』VS 浜崎あゆみ『A BEST』メガセールス対決っていうのもありましたね。

これら20枚からプレイリストも作ってみたので、よろしければ連休中の暇つぶしとして、あるいは成人式の合間の時間つぶしとしてお楽しみください。

 

2021年1月 2日 (土)

TMQ-WEB: 2020年の年間アクセスランキングTOP50

このエントリーでは2020年1月1日から同年12月31日までの1年間における、アクセス上位50エントリーを紹介します。内訳はトップページやアーティスト別カテゴリーへのアクセスなどを省いた上位50エントリーです。今回は過去記事すべてを集計した総合ランキングと、2020年リリースの新譜レビュー記事に限定した上位50エントリーの2つを紹介。まだ読んでいない記事などありましたら、この機会に読んでいただけたら幸いです。

まずは、2020年リリースの新譜レビュー記事に限定した上位50エントリーからです。

 

■2020年 年間アクセスランキングTOP50(2020年リリース作品限定)

1位:HAREM SCAREM『CHANGE THE WORLD』(2020)(※2020年3月12日更新)

2位:AVENGED SEVENFOLD『DIAMONDS IN THE ROUGH』(2020)(※2020年2月8日更新)

3位:CODE ORANGE『UNDERNEATH』(2020)(※2020年3月15日更新)

4位:METALLICA『S&M2』(2020)(※2020年8月29日更新)

5位:DEFTONES『OHMS』(2020)(※2020年9月28日更新)

6位:ALCATRAZZ『BORN INNOCENT』(2020)(※2020年8月4日更新)

7位:IHSAHN『PHAROS』(2020)(※2020年9月14日更新)

8位:DARK TRANQUILLITY『MOMENT』(2020)(※2020年11月29日更新)

9位:DIZZY MIZZ LIZZY『ALTER ECHO』(2020)(※2020年3月21日更新)

10位:THE FALL OF TROY『MUKILTEARTH』(2020)(※2020年8月14日更新)

 

11位:BOSTON MANOR『GLUE』(2020)(※2020年5月9日更新)

12位:WHITESNAKE『THE ROCK ALBUM』(2020)(※2020年6月25日更新)

13位:MARILYN MANSON『WE ARE CHAOS』(2020)(※2020年9月13日更新)

14位:CARCASS『DESPICABLE』(2020)(※2020年11月1日更新)

15位:IHSAHN『TELEMARK』(2020)(※2020年2月19日更新)

16位:BRING ME THE HORIZON『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』(2020)(※2020年10月30日更新)

17位:ANNIHILATOR『BALLISTIC, SADISTIC』(2020)(※2020年2月2日更新)

18位:LOVEBITES『ELECTRIC PENTAGRAM』(2020)(※2020年2月1日更新)

19位:OUTRAGE『RUN RIOT』(2020)(※2020年3月17日更新)

20位:DEEP PURPLE『WHOOSH!』(2020)(※2020年8月7日更新)

 

21位:TOMMY LEE『ANDRO』(2020)(※2020年10月18日更新)

22位:VANDENBERG『2020』(2020)(※2020年6月9日更新)

23位:OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』(2020)(※2020年2月22日更新)

24位:BRING ME THE HORIZON『OBEY (with YUNGBLUD)』(2020)(※2020年9月9日更新)

25位:STRYPER『EVEN THE DEVIL BELIEVES』(2020)(※2020年9月8日更新)

26位:AC/DC『POWER UP』(2020)(※2020年11月13日更新)

27位:VADER『SOLITUDE IN MADNESS』(2020)(※2020年5月18日更新)

28位:ZAKK SABBATH『VERTIGO』(2020)(※2020年9月29日更新)

29位:WHITESNAKE『LOVE SONGS』(2020)(※2020年11月9日更新)

30位:CODE ORANGE『UNDER THE SKIN』(2020)(※2020年9月11日更新)

 

31位:SEPULTURA『QUADRA』(2020)(※2020年2月12日更新)

32位:RAVEN『METAL CITY』(2020)(※2020年9月21日更新)

33位:JAMES DEAN BRADFIELD『EVEN IN EXILE』(2020)(※2020年8月22日更新)

34位:GREEN DAY『FATHER OF ALL...』(2020)(※2020年2月17日更新)

35位:PANTERA『REINVENTING THE STEEL: 20TH ANNIVERSARY EDITION』(2020)(※2020年11月2日更新)

36位:BON JOVI『2020』(2020)(※2020年10月4日更新)

37位:METAL CHURCH『FROM THE VAULT』(2020)(※2020年4月16日更新)

38位:ELLEFSON『NO COVER』(2020)(※2020年11月21日更新)

39位:MYRKUR『FOLKESANGE』(2020)(※2020年3月25日更新)

40位:ENUFF Z'NUFF『BRAINWASHED GENERATION』(2020)(※2020年7月28日更新)

 

41位:HELL FREEZES OVER『Hellraiser』(2020)(※2020年9月4日更新)

42位:COVET『TECHNICOLOR』(2020)(※2020年7月8日更新)

43位:DEREK SHERINIAN『THE PHOENIX』(2020)(※2020年10月3日更新)

44位:BLUES PILLS『HOLY MOLY!』(2020)(※2020年8月31日更新)

45位:LYNCH MOB『WICKED SENSATION REIMAGINED』(2020)(※2020年9月2日更新)

46位:STATIC-X『PROJECT REGENERATION VOL.1』(2020)(※2020年7月12日更新)

47位:DOKKEN『THE LOST SONGS: 1978-1981』(2020)(※2020年9月1日更新)

48位:EN MINOR『WHEN THE COLD TRUTH HAS WORN ITS MISERABLE WELCOME OUT』(2020)(※2020年9月12日更新)

49位:KATATONIA『CITY BURIALS』(2020)(※2020年4月30日更新)

50位:TESTAMENT『TITANS OF CREATION』(2020)(※2020年4月8日更新)

 

TMQ-WEB的2020年 年間ベストアルバムといった並びになるのでしょうか。CODE ORANGE『UNDERNEATH』やMETALLICA『S&M2』、DEFTONES『OHMS』などを差し置いて、1位がHAREM SCAREM『CHANGE THE WORLD』、2位がAVENGED SEVENFOLDのコンピレーションアルバム『DIAMONDS IN THE ROUGH』という結果が非常に興味深いです。特にこの2作品に関しては、Twitter経由も多かったのですが、それ以上にGoogleなど検索サイトからの流入が非常に多かったこと、それにより毎月平均的にアクセスがあったこと(毎月TOP50入りしている)が勝因だったようです。

あと、緊急事態宣言以降、特に初夏以降本サイトのアクセスが伸び始めたこともあり、今年後半(中でも秋以降)の作品が集計期間の短さのわりに上位入りしているのも興味深いなと。8位のDARK TRANQUILLITYなんてほぼ1ヶ月でここまで上位入りしたわけですから。ちなみに、このDARK TRANQUILLITYが総合ランキングの51位というのも非常に興味深い結果ではないでしょうか。

続いて、総合ランキングを紹介します。

 

■2020年 年間アクセスランキングTOP50(全期間)

1位:NAILBOMB『POINT BLANK』(1994)(※2018年5月12日更新)

2位:BRING ME THE HORIZON『Music to listen (中略) to-GO TO』(2019)(※2019年12月31日更新)

3位:THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)(※2018年6月28日更新)

4位:ANDY McCOY『21ST CENTURY ROCKS』(2019)(※2019年9月30日)

5位:VAN HALEN『BALANCE』(1995)(※2018年7月31日更新)

6位:「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 1@苗場スキー場(2001年7月27日)(※2001年8月8日更新)

7位:CRY OF LOVE『BROTHER』(1993)(※2019年6月19日更新)

8位:DAVID LEE ROTH『SKYSCRAPER』(1988)(※2018年2月9日更新)

9位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN: THE ULTIMATE SPECIAL EDITION』(2019)(※2019年3月27日更新)

10位:NINE INCH NAILS『THE FRAGILE』(1999)(※2019年1月25日更新/Re)

 

11位:WHITESNAKE『WHITESNAKE (1987)』(1987)(※2017年2月3日更新)

12位:SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)(※2018年3月8日更新)

13位:「FUJI ROCK FESTIVAL '99」DAY 1@苗場スキー場(1999年7月30日)(※1999年9月8日更新)

14位:VINCE NEIL『EXPOSED』(1993)(※2017年3月24日更新)

15位:NIRVANA『NEVERMIND』(1991)(※2017年8月14日更新)

16位:HAREM SCAREM『CHANGE THE WORLD』(2020)(※2020年3月12日更新)

17位:THE CULT『ELECTRIC』(1987)(※2017年9月22日更新)

18位:CINDERELLA『LONG COLD WINTER』(1988)(※2015年4月29日更新)

19位:SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』(1996)(※2019年1月1日更新)

20位:BLOOD INCANTATION『HIDDEN HISTORY OF THE HUMAN RACE』(2019)(※2019年12月1日更新)

 

21位:AVENGED SEVENFOLD『DIAMONDS IN THE ROUGH』(2020)(※2020年2月8日更新)

22位:UFO『WALK ON WATER』(1995)(※2017年8月10日更新)

23位:RED HOT CHILI PEPPERS『ONE HOT MINUTE』(1995)(※2017年7月21日更新)

24位:DEFTONES『COVERS』(2011)(※2018年8月29日更新)

25位:涙がこぼれそう(追悼、アベフトシ)(※2009年7月23日更新)

26位:DAVID LEE ROTH『A LITTLE AIN'T ENOUGH』(1991)(※2018年7月5日更新)

27位:JERUSALEM SLIM『JERUSALEM SLIM』(1992)(※2017年4月10日更新)

28位:KORN『KORN』(1994)(※2017年12月18日更新)

29位:WHITESNAKE『SLIP OF THE TONGUE: 30TH ANNIVERSARY EDITION』(2019)(※2019年10月9日更新)

30位:追悼:足立“YOU”祐二 〜DEAD ENDディスコグラフィー①〜(※2020年6月21日更新)

 

31位:KORN『ISSUES』(1999)(※2019年1月26日更新)

32位:PRIDE & GLORY『PRIDE & GLORY』(1994)(※2017年5月10日更新)

33位:THE SMASHING PUMPKINS『ADORE』(1998)(※2018年9月1日更新)

34位:PANTERA『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』20TH ANNIVERSARY EDITION(1996 / 2016)(※2016年12月24日更新)

35位:CODE ORANGE『UNDERNEATH』(2020)(※2020年3月15日更新)

36位:TOOL『FEAR INOCULUM』(2019)(※2019年9月13日更新)

37位:METALLICA『S&M2』(2020)(※2020年8月29日更新)

38位:DEFTONES『OHMS』(2020)(※2020年9月28日更新)

39位:NINE INCH NAILS『BROKEN』(1992)(※2018年10月5日更新)

40位:PRINCE『BATMAN』(1989)(※2019年2月13日更新)

 

41位:ANTHRAX『PERSISTENCE OF TIME』(1990)(※2018年2月27日更新)

42位:THE OFFSPRING『AMERICANA』(1998)(※2018年9月7日更新)

43位:ALCATRAZZ『BORN INNOCENT』(2020)(※2020年8月4日更新)

44位:ANDY TAYLOR『THUNDER』(1987)(※2017年9月28日更新)

45位:WHITESNAKE『SLIDE IT IN』(1984)(※2017年3月2日更新)

46位:THE STONE ROSES『SECOND COMING』(1994)(※2019年9月2日更新)

47位:BRYAN ADAMS『WAKING UP THE NEIGHBOURS』(1991)(※2016年12月16日更新)

48位:IHSAHN『PHAROS』(2020)(※2020年9月14日更新)

49位:THE DOGS D'AMOUR『IN THE DYNAMITE JET SALOON』(1988)(※2019年6月22日更新)

50位:FAITH NO MORE『ANGEL DUST』(1992)(※2017年7月11日更新)

 

1位は問答無用でNAILBOMB『POINT BLANK』。なぜこのレビューにここまで毎月アクセスが集まるのか、いまだに謎です。そして、2位はBMTHの2019年末に突如配信リリースさえれたEP。こちらはほぼ1年通してのアクセスということで、ここまで良い数字が出たようです。

3位以降は、あまりレビューなどで見かけないレアな作品と、いわゆるロッククラシックアルバムにアクセスが集中。このへんは検索サイト経由で安定したアクセスがあるので、Twitterからの流入が大半の新譜記事より読まれていると。あと、20年前のフジロックのレポート(1999年、2001年)にアクセスがあるのも非常に興味深いです。特に2020年はフェス開催が困難だったことも大きく影響したのでしょうか。こういう記録って、やっぱりちゃんと形にして残しておくべきなんだなと改めて実感しました。無駄に長く続けてみるものですね。

なお、2019年の年間アクセスランキングの結果はこちら。面白いことに、1年前と比べてみてもやはり上位入りするアルバムってそこまで大きく変わっていないんですよね。

というわけで、今年のお正月は通常のレビュー更新をお休みして、こういったデータまとめに徹してみました。

2021年1月 1日 (金)

2020年総括

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、それまでの日常がガラリと一変。エンタメ界にも多大なる影響を与え、ライブの在り方も“コロナ以前”と“コロナ以降”とで何もかもが変わってしまった感が強いのではないでしょうか。正直なところ、ワクチンができたところで“コロナ以前”のような生活を取り戻せるとは思っておらず、ここから先さらに新しい在り方を見つけないといけないのではないか。そう感じずにはいられません。

また、音楽の聴き方や接し方に関しても“おうち時間”が増えたこと、ライブやフェスといった体験が減ったことも影響し、だいぶ変化が生じた1年だったと思います。ぶっちゃけ、CDの購入枚数も2019年以前と比べてグンと落ちましたし。その一方で、Bandcampなどを通じてデジタルで購入する頻度はかなり高くなりましたが、やはりApple MusicやSpotifyといったサブスクリプションサービスを通じて新しい音楽と向き合う機会が格段に増えたと言わざるを得ません。

そんな中で、例年のようにこの1年のまとめをどうしようかと、実は2020年初夏から悩んでいました。事実、上半期まとめのあとからいろいろ考え始め……年末も考えがまとまらず、気づけば大晦日。で、ひとつ出した結論は「アルバム/シングル/楽曲と枠にこだわらず、20作品に縛ろう」ということ。メタル系に関してはリアルサウンドさんでのまとめ記事がありますので、そちらを参考にしていただきつつ、2020年のまとめはこの1エントリーに集約させたいと思います。

ということで、ズラッと20作品まとめて載せていきます。順位は付けず、アルファベット→50音順で掲載していきます。

 

BRING ME THE HORIZON「Kingslayer feat. BABYMETAL」(楽曲)

 

chelmico『maze』(アルバム)

 

JAMES DEAN BRADFIELD『EVEN IN EXILE』(アルバム)

 

LiSA『LEO-NiNE』(アルバム)

 

NiziU「Make you happy」(楽曲)

 

NOTHING『THE GREAT DISMAL』(アルバム)

 

POPPY「All The Things She Said」(楽曲)

 

TAYLOR SWIFT『FOLKLORE』(アルバム)

 

ULTRAÍSTA『SISTER』(アルバム)

 

阿部真央『まだいけます』(アルバム)

 

伊藤美来『Rhythmic Flavor』(アルバム)

 

イヤホンズ『Theory of evolution』(アルバム)

 

えりぴよ (ファイルーズあい)「♡桃色片想い♡」(楽曲)

 

楠木ともり『ハミダシモノ』(EP)

 

スタァライト九九組「再生讃美曲」(楽曲)

 

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会「NEO SKY, NEO MAP!」(楽曲)

 

乃木坂46「I see...」(楽曲)

 

宮本浩次『ROMANCE』(アルバム)

 

森七菜「スマイル」(楽曲)

 

ラブリーサマーちゃん『THE THIRD SUMMER OF LOVE』(アルバム)

 

メタル系は先のキュレーション連載での年間ベスト記事で選出しているので、アルバムは1枚も選ばず。むしろ楽曲単位でBMTH×BABYMETALを選出しました。ある意味、この曲が2020年の自分を象徴する1曲なのかもしれません。あ、あとNOTHINGはあえてメタルの枠から外して、こちらで選んでみました。そのほうが自分的にしっくりきたので。

あと、宮本浩次さんはオリジナルアルバム『宮本、独歩。』を最初は選んでいたものの、単純に歌の力だけで圧倒させられたという意味で(そして、このタイミングに初インタビューが実現したという意味でも)カバーアルバムのほうを選びました。

なお、この中で再生回数が多かった上位3曲は、楠木ともり「ハミダシモノ」、えりぴよ (ファイルーズあい)「♡桃色片想い♡」、NiziU「Make you happy」。アルバム単位で再生回数が多かった上位3作品はイヤホンズ『Theory of evolution』とJAMES DEAN BRADFIELD『EVEN IN EXILE』、ここには入れませんでしたがRAISE A SUILEN『ERA』でした。

以上、かなりさらっとしたまとめになりましたが……全体的な年間まとめとなると、これくらいのモチベーションしか保てないんですよ(苦笑)。偏ったジャンルでまとめればまた違うんでしょうけど……そういう意味では、こういったまとめモノも2020年が最後かな。なんて消極的なことを年始から書くのもアレですが。

とにかく2021年が2020年よりも精神的に余裕を持って過ごせますように。本当にそれだけです。

 

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