THE CLASH『COMBAT ROCK』(1982)
1982年5月に発売されたTHE CLASHの5thアルバム。本作リリースを目前とした同年1月下旬から2月初頭にかけて、THE CLASHは最初で最後のジャパンツアーを行いました。
『LONDON CALLING』(1979年)はアナログ2枚組、『SANDINISTA!』(1980年)に至ってはアナログ3枚組という多作振りを発揮し続けたTHE CLASH。しかも、その内容は初期のストレートなパンクロックからどんどん拡大/拡散方向へと進み、レゲエやダブ、スカなどのポストパンクサウンドを確立させていきます。
そうした実験を経て到達した本作は全12曲/46分という、過去2作と比較すると非常に短い尺のアルバム。いや、これが普通なんですけどね(笑)。どうしてもボリューミーな過去2作のあとに“普通”の作品が届けられると、なんだか物足りなさを感じてしまいそうになります。
ですが、その内容はまったく“普通”ではない濃厚な1枚。過去2作ほど実験色は強くありませんが、それでもパンクロックの“その先”が明確に示されており、なおかつそういった要素をよりメジャー感強く表現したのが、この集大成的な5thアルバムといえるでしょう。
ハードロック的なスタイルが2ndアルバム『GIVE 'EM ENOUGH ROPE』(1978年)を思わせるミック・ジョーンズ(G,Vo)Vo曲「Should I Stay Or Should I Go」や、ディスコサウンドを大々的に取り入れたジョー・ストラマー(Vo, G)Vo曲「Rock The Casbah」、アルバムの冒頭を飾る“これぞTHE CLASH”な「Know Your Rights」など、代表曲が多数含まれている本作。こういった楽曲に加え、ゴスペルテイストの「Car Jamming」、レゲエ色の強いポール・シムノン(B, Vo)Vo曲「Red Angel Dragnet」、文字通りのファンクロック「Overpowered By Funk」、ダブ色濃厚な「Sean Flynn」など、過去2作での実験を比較的ポップな形で昇華させた楽曲群は、先の代表曲とのバランス感も良好で、非常に聴きやすい。実は初期のパンクロック色濃厚なアルバム群や名作『LONDON CALLING』よりも入っていきやすい、ビギナーの入門には最適な1枚ではないでしょうか。
それもあってか、本作からは「Rock The Casbah」が初の(そして唯一の)全米TOP10入り(最高8位)を記録。「Should I Stay Or Should I Go」も全米45位まで上昇、こういった後押しもあってアルバム自体も全米7位(200万枚)、全英2位というキャリア最大のヒット作となりました。オリジナル・ロンドンパンクで唯一、セールス的に大成功した唯一の作品となるのでしょうか。
そして、本作をもってストラマー/ジョーンズ/シムノン/トッパー・ヒードン(Dr)という黄金期メンバーは解体。ストラマーのみがバンドに残り、新たな布陣で最終作となる『CUT THE CRAP』を1985年秋に発表したのちに、THE CLASHは解散することになります。
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