MICK RONSON『SLAUGHTER ON 10TH AVENUE』(1974)
1974年2月リリースの、ミック・ロンソン初のソロアルバム。
70年代初頭のデヴィッド・ボウイの相方として知名度を上げ、以降はMOTT THE HOOPLEやイアン・ハンターなどと活動をともにしたミック・ロンソンですが、本作はボウイがジギー・スターダストとしての活動に終止符を打ったあと、本格的に着手した「自分のため」の1枚。プロデュースはロンソン自身が手がけています。
レコーディグにはTHE SPIDERS FORM MARSでの盟友トレヴァー・ボルダー(B)やマイク・ガーソン(Piano)のほか、のちにJOURNEYなどにも参加するエインズレー・ダンバー(Dr)などが参加。収録された全7曲のうち4曲がカバー曲で、さらに1曲はボウイ作詞・作曲ナンバー。残り2曲のオリジナルナンバーも、うち1曲にはボウイの名前がクレジットされていることから、グラムロック期のデヴィッド・ボウイの延長線上で楽しむことができる1枚と言えるかもしれません。
実際、その内容も70年代初頭……それこそロンソンが関わるようになった諸作品との関連性が多数見いだせる内容となっており、カバーのセレクトやアレンジ含め、非常に“ボウイ的”と言えるでしょう。と同時に、このカラーはボウイひとりのものではなく、ある意味ではロンソンの色でもあった……というのは言い過ぎでしょうか。
エルヴィス・プレスリーの名曲「Love Me Tender」を独自の解釈でアレンジしたオープニングから穏やか、かつ仰々しくスタートするオープニングといい、いかにもボウイな「Growing Up And I'm Fine」といい、まるで“当時日の目を見なかったボウイの未発表アルバム”を聴いているような錯覚に陥るほど、サウンドそのものは初期ボウイそのもの。かつ、ロンソンのボーカルも中音域から高音域にかけて、非常にボウイっぽい。似せているのか、それとも自然と似てしまったのか。このへんも面白いですね。
「Only After Dark」は90年代にDEF LEPPARDがカバーしていたので、これは知っているというハードロックファンも少なくないことでしょう。原曲はパーカッションを強調することで、どこかT. REXっぽくもあるのが印象的。さらに、イタリアのシンガーソングライター、ルーチォ・バッティスティの楽曲をボウイが英訳詞を乗せた「Music Is Lethal」や、8分以上におよぶ(マイク・ガーソンの流麗なピアノ含め、これこそボウイそのものな)組曲「Pleasure Man / Hey Ma Get Papa」など、ボーカルにおいてもギターにおいても、とにかく聴きどころ満載の1枚と言えるでしょう。
そんなアルバムのラストを締めくくるのが、タイトルトラック「Slaughter On Tenth Avenue」。1930年代のブロードウェイ・ミュージカル『オン・ユア・トウズ』の劇中曲(インスト)であり、60年代にはVENTURESのカバーヒットでも知られる楽曲ですが、ロンソン版ではドラマチックなアレンジと物悲しさ漂うギタープレイでじっくり浸らせてくれます。やっぱりマイク・ガーソンのピアノが加わることで、非常に味わい深いものになりますね。
現行盤にはボーナストラックとしていくつかのライブトラックを追加収録。こちらのロンソンのギターも素晴らしく、ボウイがロンソンのことを「僕のジェフ・ベック」と称した意味がより理解できるのではないでしょうか。
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