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2021年1月29日 (金)

RIDE『NOWHERE』(1990)

1990年10月にリリースされたRIDEの1stアルバム。

1989〜90年にかけて『RIDE』(通称“赤ライド”)、『PLAY』(通称“黄ライド”)と2枚のEPを立て続けに発表し、それぞれで「Chelsea Girl」「Like A Daydream」という後世まで残る代表曲を生み出したRIDE。のちにシューゲイザーやドリームポップと呼ばれるようになるジャンルを、MY BLOODY VALENTINEらと確立させたという点において、これら2枚のEPが果たした役割は非常に大きかったはずです。当時、すでに上京していた僕は、音楽誌などで名前を目にしてからそれら2枚を求めて六本木や西新宿のレコード店を何度もさまよったものです。

これらのEPを経て届けられた初のフルアルバム。残念ながら先の2曲をはじめとするEP収録曲は含まれていませんが(これら8曲は、のちに編集盤『SMILE』として流通)、それらを補って余りあるほどの名盤に仕上がっています。いや、ぶっちゃけこっちのほうが好きです僕は。

全8曲(ボーナストラック除く)中7曲でマーク・ガードナー(Vo, G)がリードボーカルを担当、うち1曲「Seagull」はアンディ・ベル(Vo, G)とのツインボーカルという本作。アンディは「Paralysed」「Vapour Trail」の2曲にとどまっていますが、このどちらも素晴らしい仕上がり。メジャー感を出すという点においてはマークのボーカルを前面に打ち出すのは正解で、事実オープニングを飾るシューゲイズナンバー「Seagull」のツインボーカルで掴みはまずOKだし、そこからマークのキャッチーな歌声がたっぷり楽しめるのも正しい。音楽性自体も「Dream Burn Down」を筆頭としたシューゲイザーから少しずつ幅を広げ始めており、すでにマイブラなどとは異なる道へと進み始めていることが伺えます。

バックで鳴る轟音ギターの壁はあるものの、曲構成やアレンジ、メロディラインなどは、この数年後に勃発するブリットポップから生まれたバンドにも通ずるものがあり、RIDEが確実にルーツのひとつになっていることはご理解いただけるはず。実際、RIDE自身もアルバムを重ねるごとにそういったブリットポップバンドの枠へと、どんどん食い込んでいくことになりますしね。

こうやって振り返ると、1990年って本当に境目だったんだなと気づかされます。ある意味ではTHE STONE ROSESもこの枠に含まれるんでしょうけど、ひとつ前の世代であるTHE SMITHSがいて、このひとつあとの世代に(本当は同時代に生まれたんだけど、化けたという意味では次世代の)BLURがいたり、それこそOASISがいたり。RIDEって味付けこそ濃かったものの、軸にあるものはTHE SMITHS世代の延長ですからね。そこからのいいとこ採りがのちのブリットポップなわけで……そういった意味では、実は不幸な立ち位置なのかもしれませんね。

ですが、それでもアルバム本編ラストを飾るアンディVo曲2連発(「Paralysed」「Vapour Trail」)の美しさは他の何にも変えがたい存在感と魅力があるし、CD化の際に3曲(「Taste」「Here And Now」「Nowhere」)追加されたことで、アルバムの全体像が若干ぼやけてしまったけど(さらなる再発で加わった「Today」を筆頭とした4曲のせいで、さらに輪郭がぼやけたけど)、それでもオリジナルの8曲構成に勝るものなし。初期EPはもちろん素晴らしいんだけど、僕としては本作と次作『GOING BLANK AGAIN』(1992年)をRIDEの入り口としてオススメしたいです。

 


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