DAVID BOWIE『LET'S DANCE』(1983)
1983年4月にリリースされたデヴィッド・ボウイの15thアルバム。
70年代はヒット作なども多数生み出したものの、どこかカルトスター的なイメージの強かったボウイ。本作のリリース直後には大島渚監督作品『戦場のメリークリスマス』に出演し、ここ日本でも一般的な知名度を高めることに成功します。
そんな中でリリースされた今作は、CHICのナイル・ロジャースをプロデューサーに迎え制作。ナイルは今作と前後してINXS「Original Sin」やマドンナ『LIKE A VIRGIN』、DURAN DURAN「The Reflex」などをヒットさせており、いわばメジャー感の強い“時の人”。そんな人選なもんですから、このアルバム自体も非常にわかりやすいダンス・ポップアルバムに仕上がっており、リードシングル「Let's Dance」は全米/全英1位を獲得したほか、「China Girl」は全英2位/全米10位、「Modern Love」は全英2位/全米14位とヒット曲を連発。アルバム自体も全英1位/全米4位という好記録を樹立しました。
ナイル・ロジャースのプロデュースに加え、ミックスをボブ・クリアマウンテンという売れっ子を採用。レコーディングにはナイル自身がギターをプレイしたほか、当時はまだ無名だったスティーヴィー・レイ・ヴォーンがリードギターを担当。ドラムにオマー・ハキムやトニー・トンプソンなど、それまでのボウイからしたら想像もつかないメンツを迎えているわけですから、そりゃわかりやすいわけですよ。当時中学生だった自分には、ボウイの入り口としてはこれ以上ないくらいに間口が広いんですから。
オープニングの「Modern Love」からして完全にアリーナロック/スタジアムロックですからね。続く「China Girl」ではタイトルからも想像できるようなオリエンタルテイストを交えたポップ・ソウル(これがイギー・ポップとの共作&イギーへの提供曲のセルフカバーであることは、当時中学生だった自分は後々知るわけですが)。で、「Let's Dance」はシングル(MVバージョン)よりも長尺の、7分半超えのフロア仕様。これ1曲取り上げても、彼が当時何をしたかったかが何となく想像できるんじゃないでしょうか。
頭3曲はシングル向けのわかりやすさ満載な楽曲並びですが、以降の「Without You」や「Ricochet」あたりは前作『SCARY MONSTERS (AND SUPER CREEPS)』(1980年)のあたりのニューウェイヴ流れの楽曲もあり、実は大人になってから聴くと頭3曲よりもこのへんの楽曲のほうがツボだったりするんですよね(ヒット曲はベスト盤などで散々聴き飽きたのもありますが)。「Criminal World」もその流れの1曲ですよね。アナログA面ラストからB面への流れ、やっぱり今聴いても悪くないです。
かと思えば、同名映画に提供した楽曲のリテイク「Cat People (Putting Out Fire)」があったり、序盤のテイストをシンセ主体で焼き直したような「Shake It」があったりで、終盤に向けてちょっとだけ尻すぼみ。ちょっと勿体ないエンディングかな。
コアなリスナーからは酷評されたり、グラム期やイーノ三部作こそボウイだと断言するような方々からは敬遠されがちな作品ですが、映画からボウイに入っていったようなビギナーには実は一番わかりやすい良作なんじゃないでしょうか。で、他の作品をどんどん聴き進めていくうちに物足りないと感じるようになり、一周すると「やっぱりいいんじゃない?」と再確認できる。そんな1枚です。
▼DAVID BOWIE『LET'S DANCE』
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