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2021年2月 3日 (水)

YOU ME AT SIX『SUCKAPUNCH』(2021)

2021年1月15日にリリースされたYOU ME AT SIXの7thアルバム。日本盤は同年1月20日に発売されました。

YOU ME AT SIXは2004年にイギリス・ウェイブリッチにて結成された5人組バンド。2008年にアルバム『TAKE OFF YOUR COLOURS』にてデビューを果たし、これまでに発表した7作中6作が全英TOP10入り、うち4作目『CAVALIER YOUTH』(2014年)とこの最新作『SUCKAPUNCH』の2作が全英1位を獲得しています。

サウンド的にはポストハードコアを通過したポップパンク/オルタナティヴロックといったところでしょうか。かつ、本作ではサンプリングやエレクトロの要素も前面に打ち出されており、モダンな色合いが強くなったことで昨今のヒットチャートに並ぶポップアーティストたちにも匹敵する楽曲群がずらりと並ぶ、幅広い層にアピールできる鉄壁な1枚に仕上がっています。

特にダンスロック/ポップやモダンなR&B/ヒップホップ色を強めた本作は、メタル/ヘヴィロックファン側の穿った見方をすれば「ロック低迷の今、時代にすり寄ったサウンド/楽曲」と切り捨てることもできるかもしれません。ですが、この実験的なサウンドメイクやアレンジは2010年代半ばにBRING ME THE HORIZONが切り開いたモダンメタルの進化型のひとつと解釈することもできるはず。メタルはポストハードコアといったコアでアングラなジャンルが、いざとなったときにオーバーグラウンドでヒットしている音に取り組んだらこうなるんだ。そう堂々と宣言することは、僕はセルアウトだとは思えないんですよね。

特にこのバンドの場合は自然と進化を続けてきたと思いますし、前作『VI』(2018年)の時点で味付けとして現在の要素は随所に散りばめられていましたからね。同作リリース直後から制作に取り掛かったという本作『SUCKAPUNCH』は、そのテストをより効果的に実戦に用いた最良の結果ではないかと思っています。

まあ、サウンドメイク的には賛否あるのは仕方ないとしても、楽曲自体は非常によく作り込まれたものだと断言できます。生のバンドサウンドを加工したようなリズムトラックを土台に、これまたエフェクトの効いたギターサウンドで色付け。だけど、軸となるメロディのキャッチーさは過去の作品と比べてもかなりクオリティの高いものではないかなと。本作からは2019年から2020年にかけて5曲ものリードトラックが公開されてきましたが、裏を返せば「単曲でもしっかり勝負できる完成度」という自信の現れだと思うんです。どれも大きなヒットにはつながりませんでしたが、「What's It Like」を筆頭に「Makemefeelalive」「Beautiful Way」「Suckapunch」「Adrenaline」とどれもヒットチャートの上位に並ぶポップチューンの中に混じっても違和感ないテイストでありながら、昨今のオルタナメタルや進化型ポストハードコアにも引けを取らない仕上がりですしね。

日本では“村内”のリスナーからは敬遠されそうですが、実は“村外”にいる、普段ラウドロックと呼ばれるジャンルを耳にしているリスナーにこそ好意的に受け入れられそうなバンド、アルバムではないでしょうか。世が世なら、日本の同ジャンルのバンドたちと共演することでファンベースを広げていけそうな、そんな強力な1枚だと断言させてください。

 


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