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2021年3月26日 (金)

BLUR『THE MAGIC WHIP』(2015)

2015年4月27日にリリースされたBLURの8thアルバム。日本盤は同年4月29日に発売。

グレアム・コクソン(G, Vo)抜きで制作された『THINK TANK』(2003年)以来12年ぶり、グレアムを含むオリジナル編成となると『13』(1999年)以来16年ぶりのアルバム。2009年に再始動したBLURにとっては、「Fool's Day」(2010年)、「Under The Westway」「The Puritan」(ともに2012年)に続く新作となります。

2013年春、BLURは日本で開催予定だった大型野外フェス『TOKYO ROCKS』に出演する予定でした。しかし、香港滞在中にフェス中止が告げられ、5日間の空き時間が生じることになります。ここでバンドはイギリスからレコーディングエンジニアを呼び出し、香港でスタジオを押さえて新曲制作に取り組みます。ここでの音源はしばらくお蔵入り状態でしたが、2014年後半にグレアムがデーモン・アルバーン(Vo)に「香港でレコーディングした新曲を完成させよう」と提案。その後、グレアムとBLURの過去作に携わったプロデューサーのスティーヴン・ストリートを中心に制作が進められ、同年末にはバンドメンバー4人が勢揃いして作業を継続。こうして、思いも寄らないニューアルバムが完成したわけです。

香港でのレコーディングが中心ということもあり、アートワークはバンド名とアルバムタイトルをそれぞれ漢字で表現。サウンドにアジアテイストが影響しているかというと、それもせいぜい「Mirrorball」でのストリングスの音色くらい。全体的には我々がイメージする「BLURらしさ」をベースに、この10数年にデーモンやグレアムが積み重ねた「新たな要素」を散りばめた、非常に“らしい”1枚に仕上がっています。

適度なブリットポップ感は随所に満載で、オープニングを飾る「Lonesome Street」の時点でそのラインを求めているリスナーにはヒットするのではないでしょうか。しかし、一筋縄でいかないのがBLUR。以降はダウナーでオルタナロック色の強いサウンドや、デーモンが当時傾倒していたアフロミュージックテイスト、打ち込みを多用したポップチューン、映画のサウンドトラックを彷彿とさせるドラマチックな楽曲など、多種多様な顔を見せるという、ある意味では90年代半ばのBLUR黄金期にもっとも近い作風と言えるでしょう。しかし、本作の場合そこに『BLUR』(1997年)や『13』、『THINK TANK』のテイストもしっかり活かされているので、バンドの総決算的1枚と呼ぶこともできるはずです。

内省的な作風は90年代後半のBLURや、直近に制作されたデーモンのソロアルバム『EVERYDAY ROBOTS』(2014年)に近いものがあるので、その流れを踏まえて触れたらスッと入っていける内容と言えるでしょう。90年代半ば、もしくは『BLUR』あたりで“止まって”しまっている懐古厨の皆さんには厳しい作品かもしれませんが、そういった意味では15年という時間の重みが強く伝わる「聴き手の立ち位置によりまったく響き方が異なる」1枚かもしれませんね。

 


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