CHATHERINE ANNE DAVIES & BERNARD BUTLER『IN MEMORY OF MY FEELINGS』(2020)
2020年9月18日にリリースされた、THE ANCHORESSことキャサリン・アン・デイヴィスと元SUEDEのバーナード・バトラーによるコラボアルバム。日本盤未発売。
本作は2014年に制作されていたものの、諸事情により6年以上お蔵入りとなっていた曰く付きの1枚。2020年に入ってからNeedle Mythologyというインディレーベルの目に留まり、正式リリースが実現したという経緯があります。
キャサリンにとってはTHE ANCHORESSのデビューアルバム『CONFESSIONS OF A ROMANCE NEVELIST』(2016年)発表前に関わった作品であり、バーニーにとってはEP2枚と短命に終わったTRANSと同時進行で制作に取り組んだ1枚でもあるのですが……これが非常に良いんです。僕、このアルバムの存在を2021年に入ってから知ったんですね(THE ANCHORESSの新作発売に関するプレスリリースを通して)……なんでもっと早くに出会ってなかったんだろう!? と強く思った、2020年のベストアルバムに選出すべき1枚だったのです。
キャサリンの歌を軸にしつつ、バーニーは裏方(ギタリスト&ソングライター、プロデューサー)に徹した内容なのですが、曲が進むにつれてバーニーのギタリストとしての主張がどんどん強くなっていくのが非常に興味深いんです。最初こそTHE ANCHORESSにも通ずる耽美な世界観が構築されているのですが、「Sabotage (Looks So Easy)」あたりから空気が一変。あのねちっこい激情型ギタープレイが随所にフィーチャーされ始めるのです。そうそう、これよこれ!
McALMONT & BUTLERやバーニーのソロ作で感じられたソウルフルさと、初期SUEDEにも通ずるグラマラスな要素がバランスよく散りばめられた楽曲の良さと相まって、2人の個性も曲を重ねるごとにどんどんディープさを増していく。個人的には「I Know」や「No More Tears To Cry」「The Waiting Game」あたりで楽しめる2人の化学反応と、その集大成といえるラストナンバー「F.O.H.」がツボすぎて、聴くたびに何度も鳥肌を立てたものです。いやあ、本当に素晴らしい。バーニー関連の作品でいうと、個人的には彼のソロ1作目『PEOPLE MOVE ON』(1998年)以来となる会心の仕上がりと断言したいです。
今回の正式リリースに際して、アルバムにはボーナストラック2曲を追加。ひとつはマドンナの80年代のヒット曲「Live To Tell」カバーで、こちらはTHE ANCHORESS的側面が強いアレンジと言えるかもしれません。これはこれで良きかな。もうひとつは、アルバム収録曲「The Patron Saint Of The Lost Cause」の別バージョン。リズムトラックを排除し、鍵盤ハーモニカを主軸にしたアレンジとなっています。これもこれで味わい深くて良きかな。まあ、アルバム本編は「F.O.H.」という大傑作で盛大に幕を下ろすので、この2曲はオマケ以外の何ものでもないですけどね。できれば「F.O.H.」が終わったところでワンクッションおいて、しばらくしてからボートラに触れると最適かもしれません。
いやあ、それにしても素晴らしい作品じゃないですか。THE ANCHORESS自体がMANIC STREET PREACHERSやMANSUN、そしてSUEDEあたりを好むリスナーにドンピシャなアーティストであるわけですが、このコラボ作はその中でも飛び抜けてど真ん中な1枚であると同時に、時代を超越したロック/ポップスの名盤と呼ぶに相応しいのではないでしょうか。昨年リリースされたアルバムの中ではトップクラスに好きな作品です。
▼CHATHERINE ANNE DAVIES & BERNARD BUTLER『IN MEMORY OF MY FEELINGS』
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