RATT『RATT EP』(1983)
1983年8月23日に海外でリリースされたRATTの1st EP。
本作はアルバム『OUT OF THE CELLAR』(1984年)でメジャーデビューする約半年前に、バンドの主宰するインディレーベルTime Coast Communicationsから発表された6曲入りEP。『OUT OF THE CELLAR』でのブレイク後にはリミックスを施した形でメジャーのAtlantic Recordsから再リリースされています(日本盤アナログ初出は1985年3月10日。1987年5月10日には初CD化もされました)。
残念ながら、現在ではCDは廃盤状態。ストリーミングでも配信されていない状況ですが、「You Think You're Tough」を筆頭にバンドにとって重要な楽曲も複数収録されており、今でも最初を望む声は少なくないのではないでしょうか。
バンドの初期衝動を端的に表したファストチューン「Sweet Cheater」からスタートする本作は、続く「You Think You're Tough」「U Got It」「Tell The World」など、『OUT OF THE CELLAR』にも匹敵する良曲揃い。すでにこのEPの時点で“RATTらしさ=RATT 'n' Roll”が完成の域に達していたことが窺えます。
かと思うと、メジャー1stアルバムにて再録される「Back For More」のオリジナルバージョンも収録。こちらはインディーズならではのサウンドプロダクションと間延びしたアレンジが印象的で、全体のまとまりや完成度でいったら間違いなくメジャー・バージョンのほうが格段に上。しかし、Aメロで飛び込んでくるフアン・クルーシエのオクターブ弾きのアクセントが妙に心地よく、個人的にはこのインディーズ・バージョン、大好きなんですよね。10代後半、こっちばかり聴いていた記憶があります。
そして、AEROSMITHもデビュー作『AEROSMITH』(1973年)でカバーしたルーファス・トーマス作「Walking The Dog」も収録。この選曲やアレンジなどからも、RATTが初期はAEROSMITH的なスタイルをメタリックなサウンドで表現しようとしていたことが窺えるのではないでしょうか。
本作のアナログ盤は中古ショップを回れば比較的安価で入手できますが、CDは割高なのでご注意を。ただ、「Tell The World」「You Think You're Tough」のみバンド初のシングルコレクションアルバム『RATT & ROLL 81-91』(1991年)で聴くことができるので(かつ、こちらも安価で入手可能なので)、まずはこのベスト盤を手にすることをオススメします。間違っても、現行のベスト盤『TELL THE WORLD: THE VERY BEST OF RATT』(2007年)は買わないように(こちら、タイトルがこれなのに肝心の「Tell The World」はおろか、本EPからの楽曲が皆無という謎の1枚なので)。
今やCDは死にゆくメディアなので、盤での再発は期待薄ですが、デジタルならば権利関係さえクリアすれば可能性大なので、ぜひともなんとかしてもらいたいなと。配信が決まったら、迷わずデジタル購入しますので!
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