DINOSAUR JR.『SWEEP IT INTO SPACE』(2021)
2021年4月23日に発売されたDINOSAUR JR.の12thアルバム。
2005年に再結成し、2007年の『BEYOND』を筆頭に本作で5枚の新作を発表してきたDINOSAUR JR.。前作『GIVE A GLIMPSE OF WHAT YER NOT』(2016年)から約5年ぶりとなる本作ではJ・マスキス(Vo, G)のセルフプロデュースから離れ、カート・ヴァイルとJの共同プロデュース作となっています。
もともとは2020年半ばに発売予定だった本作は、2019年秋から制作が始まったとのこと。Jによると「THIN LIZZYをよく聴いていたので、ツインリードのサウンドを手に入れようとしたんだ(笑)」とのことで、カートはプロデュースのみならずギタリストとしてレコーディングにも参加しているそうです。いつも以上にギターに厚みを感じる(ような気がする)のは、これが要因なんですかね。
楽曲自体は近年の彼らの延長線上にあるスタイルで、グッドメロディを時に荒々しくも整理されたロックサウンドで、時にレイドバックしたカントリーテイストで表現しています。「Freak Scene」や「The Wagon」「Feel The Pain」などでこのバンドに一度でも惹きつけられた経験のあるリスナーなら、本作も問題なくスルッと受け入れられると思います。どの楽曲もハズレなしの平均点超えですしね。
かと思うと、「Garden」や「You Wonder」といったルー・バーロウ(B, Vo)楽曲ではJが制作するものとは異なる繊細なメロディ運びが伝わり、特に流麗なメロディを持つミディアムテンポの前者は本作におけるキラーチューンのひとつと言えるでしょう。一方の後者も、アルバムの締め括りに最適な穏やかさが伝わり、「I Ain't」や「Hide Another Round」「I Expect It Always」といったナンバーで前のめり加減を表現するJナンバーとは異なる味わい深さを楽しむことができるはずです。
驚きこそ皆無だけど、安定感は抜群。このバンドに求められていることを100%形にした良作だと思います。ちょっとストーンズっぽさも随所に感じられるようになりましたが、そこらへんはアーティストとして成熟してきた表れなのかな。わりと嫌いじゃないです。
年間ベストに真っ先に選ぶタイプの作品ではないけど、気づいたらずっとあってリピートしていた。1年後も3年後も同じような価格で楽しむことができる、優れものの1枚だと断言しておきます。
▼DINOSAUR JR.『SWEEP IT INTO SPACE』
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