THE ARMED『ULTRAPOP』(2021)
2021年4月16日にリリースされたTHE ARMEDの4thアルバム。日本盤は同年4月21日発売。
THE ARMEDは2009年から活動をスタートさせた、デトロイト出身の実験的ハードコア/メタルコア/マスコア・プロジェクト。メンバーの名前など一切明かされておらず、構成員も流動的とのことで、デビュー作からCONVERGEのカート・バルー(G)がエンジニアとして全面的に携わっていたり、また過去の作品では同じくCONVERGEのベン・コラー(Dr)やSUMACのニック・ヤキシン(Dr)、元THE DILLINGER ESCAPE PLANのクリス・ペニー(Dr)といったエクストリーム・シーンで名の知れたドラマーたちが参加するなど、その界隈では注目の存在でした。
とはいっても、僕自身このアルバムで初めて彼らに触れたわけでして。そもそもTHE ARMEDというバンドの存在を知らないわけですから、このアートワークにアルバムタイトルで、最初は「イマドキのEDM寄りのR&B」アルバムかと思い込んでいたわけです(笑)。ところが、このアートワークを目にする場所が『Kerrang!』をはじめとする、海外のメタル/エクストリーム・ミュージック専門サイトばかり。そりゃ気になりますよね。
これまでデジタルリリース中心だったとのことで、CDでのフィジカルリリースは本作が初めて(アナログ盤の発売は過去もあり)。日本リリースも本作が初めてとのことで、改めて日本盤にて購入したわけですが……ある意味『ULTRAPOP』というタイトルに相応しい内容だな、こりゃ最高だ……と思ったわけです。そうそう、自分は今、こういう音を求めていたんだよ、待っていたんだよ……と。
アルバム内のクレジットを目にする限りでは、カート・バルーがエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされており、レコーディングにはカートやベンのCONVERGE組のほか、マーク・ラネガン、トロイ・ヴァン・リーウウェン(QUEENS OF THE STONE AGE)、ユライアン・ハックニー(ROUGH FRANCIS)、エヴァ・スペンス(ROLO TOMASSI)などが連ねておりますが、この際そういった事実は置いておいて。いやはや、とにかく楽曲やサウンド、アレンジなどすべてがカッコいいんです。
感覚的には、昨年のCODE ORANGEの新作『UNDERNEATH』(2020年)に触れたときと似たものがあるんですが、こちらはメタリックさが若干薄く、よりハードコア色が強い印象を受けました。そこに現代的なエレクトロニックな味付けが施されることで、耳や脳に刺激的なサウンドへと昇華。こう書くと、アバンギャルドな作品なのかなと思いきや、随所にキャッチーなメロディやポップな要素も見え隠れし、それが非常に気持ちよく響く。突き刺すような攻撃性と、聴き手を優しく包み込むポップさが融合することで、文字通り『ULTRAPOP』な作品が完成するわけです。このとぼけたアートワークからは想像できないような、ビビッドな内容はまさに2021年という時代を象徴する1枚と言えるでしょう。
「All Futures」のMVではメンバーが姿を現しライブパフォーマンスを披露していますが、それすらも本当に彼らなのかわかりません。アートワークやタイトルと内容との乖離/対比含め、どこまでが狙いでどこまでが素なのか。そういう匿名性も、2010年代以降ならではだなと思います。純粋なHR/HMとは異なりますが、エクストリーム・ミュージックという大きな枠で括れば間違いなく今年のベストアルバム候補だと、断言させてください。
▼THE ARMED『ULTRAPOP』
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