SERJ TANKIAN『ELASTICITY』(2021)
2021年3月19日にリリースされたサージ・タンキアンの最新EP。日本盤未発売
昨年11月に15年ぶりの新曲『PROTECT THE LAND / GENOCIDAL HUMANOIDZ』を突如発表し、古くからのファンを驚かせたSYSTEM OF A DOWN。そのフロントマンとして初期から活動するサージのソロ作品も、2013年発売の4thアルバム『ORCA』以来約8年ぶりの新作が届けられました。
『ORCA』はオーケストラとのコラボレーションから生まれた異色作でしたが、今作は初期のソロ作にも通ずるヘヴィロックテイストの楽曲も含む、実にサージらしいバラエティに富んだ内容に仕上がっています。それもそのはず、サージは今作に対して「数年前、SYSTEM OF A DOWNのメンバーと新しいアルバムを作るかもしれない、と考えた時に、そのアルバムを念頭に置きながら、ロックというフォーマットでアレンジした曲に取り組み始めた。結局SYSTEM OF A DOWNとしてのアルバムを進めていくうえで、実現することが難しくなってきたから、その時手掛けていた曲を自分自身の名前で発表しようと決めたのさ」とコメント。他メンバーのカラーが加わっていないぶん、いささかストレート気味にまとまった感もありますが、それでもサージらしい“ストレンジ”さ健在の内容と言えるでしょう。
タイトルトラックの「Elasticity」はまさにそういった楽曲で、ストレートなハードサウンドと、DEVOあたりを彷彿とさせるストレンジなニューウェイヴ感が絶妙なバランスでミックスされた個性的な楽曲。かと思えば、ドラマチックなメロディと展開を持つ「How Many Times?」なんてSYSTEM OF A DOWNでプレイする絵が容易に想像できてしまう。なるほど……と思わずにはいられない楽曲が並ぶ、『PROTECT THE LAND / GENOCIDAL HUMANOIDZ』のあとに続けて聴くには最適な1枚ではないでしょうか。
確かに、SYSTEM OF A DOWNもうひとつの個性であるダロン・マラキアン(G, Vo)のハイトーンボイスがない点では物足りなさも感じます。が、サージのソロ1作目『ELECT THE DEAD』(2007年)を初めて聴いたときに感じた「SYSTEM OF A DOWN〜よりもわかりやすい!」という感想が再びこぼれてしまう今作は、アクの弱さ含めてSYSTEM OF A DOWNよりも間口が広い内容。これまで同バンドに苦手意識を持っていたリスナーにこそ、ぜひ触れていただきたい1枚です。5曲という手軽さも、ビギナーには程よいでしょうしね。
それにしても、もし本作に収録された楽曲をベースにSYSTEM OF A DOWNのニューアルバムが完成していたら……たら・れば話をしても仕方ないですが……きっと『PROTECT THE LAND / GENOCIDAL HUMANOIDZ』を聴いたとき以上の衝撃を与えてくれたんでしょうね。それだけが残念でなりません。
アルバム単位での新作はほぼ絶望的なだけに、今はこのEPを聴いてサージの前線復帰を素直に喜びたいと思います。
▼SERJ TANKIAN『ELASTICITY』
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