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2021年4月 8日 (木)

OUT OF THIS WORLD『OUT OF THIS WORLD』(2021)

2021年4月2日にリリースされたOUT OF THIS WORLDの1stアルバム。今のところ、フィジカルでは日本限定リリースのようです(デジタル/ストリーミングでは海外でも聴くことができるみたい)。

KEE OF HEARTSでも活動を共にしたFAIR WARNINGのトミー・ハート(Vo)と元EUROPEのキー・マルセロ(G)を中心に結成されたメロディアス・ハードロックバンド。レコーディングにはケン・サンディン(B/ALIEN、KEE OF HEARTS)、ダービー・トッド(Dr/THE DARKNESSゲイリー・ムーアなど)が全面参加し、DEEP PURPLEのドン・エイリー(Key)も4曲でプレイしています。

このバンド名に加え、アルバムのミックスをロン・ネヴィソン(HEARTKISSオジー・オズボーンなど)が手がけていることから、間違いなく多くのリスナーはEUROPEの4thアルバム『OUT OF THIS WORLD』(1988年)を思い浮かべることでしょう。もちろん、このバンド名はキーが初参加したEUROPEの同作から拝借したもの。本作で耳にすることができるサウンドも、あの頃の(いわゆる)“産業ハードロック”と揶揄されそうなほどにキャッチーなメロディアス・ハードロックが展開されています。

トミーのボーカルは中音域中心で落ち着いた雰囲気で、7分半にもおよぶオープニングトラック「Twilight」を最初に聴いたときは「あれっ?」と思いつつも、続く「Hanging On」では従来のハイトーンを多用したスタイルで、聴き手をホッとさせてくれます。キーのリフワーク、ソロワークも安定感の強いプレイで、最初こそ「若干時代錯誤かな?」と不安になるものの、聴き進めていくうちに「やっぱりこれだよね!」と納得させられる。

と同時に、楽曲も時代を超越した王道のハードロックばかりで、そこに適度にテクニカルな演奏が加わることで終始飽きさせない。キーボードの音色で一気に“あの頃”に引き戻されるものの、それに対して嫌な感覚はまったくなく、むしろ気持ちよく楽しめるのではないでしょうか。1曲目こそ7分半近くありますが、それ以外の楽曲は4分前後のコンパクトなものなので、全10曲(ボーナストラックを含めると11曲)をさらりと聴き進められるはずです。

うん、これは安心して楽しめる1枚だ。突出した何かはないかもしれませんし、とても2021年とは思えない内容ですが、だからこそ飽きずにずっと聴いていられる極上のハードロックアルバムだと思います。

本作の初回限定盤には2018年にドイツで開催された『Heat Festival』に出演した際、前身バンドKEE OF HEARTS名義で出演した際のライブ音源を収めたCD『LIVE FROM THE HEAT』を同梱。こちらではEUROPE「Let The Good Times Rock」「Open Your Heart」「Superstitious」「Ready Or Not」といった『OUT OF THIS WORLD』からの楽曲をトミーのボーカルで楽しめるほか、FAIR WARNING「Burning Heart」「Save Me」という名曲をキーのギタープレイで堪能することができる。今のところ日本独自リリースのようなので(デジタルリリース/ストリーミングサービスでの配信なし)、できることなら日本盤で購入していただきたい貴重な1枚です。

 


▼OUT OF THIS WORLD『OUT OF THIS WORLD』
(amazon:国内盤CD / 国内盤2CD / MP3

 

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